プレゼント 書評こぼれ話

  ずっと気になっていたことがあります。
  正岡子規のこの本、
  『墨汁一滴』のこと。
  子規の三大随筆と呼ばれる三作のうち
  『仰臥漫録』『病床六尺』は
  ずっと以前に読んでいたのですが
  何故かこの『墨汁一滴』だけは
  今まで読む機会を逸していました。
  子規生誕150年の今年、
  ようやく読むことができました。
  生誕何年とか
  没後何年とか
  よく言いますが、
  読めなかった本を手にするには
  そういうこともあって
  いいのかもしれません。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  子規三大随筆はここからはじまる                   

 今年(2017年)生誕150年を迎える正岡子規。
 友人夏目漱石の方が有名なので、同じ年の生まれながら、漱石に比して大きく取り上げられることも少ない。
 けれど、子規が残した功績は漱石よりも大きいかもしれない。
 俳句という世界において。短歌という世界において。そして、何よりも近代の日本語という世界において。

 子規には三大随筆と呼ばれる作品がある。
 最初に書かれたのがこの作品(1901年)で、続けざまに『仰臥漫録』を発表、次の年に『病床六尺』を書いた。
 もっとも、子規の命はそこで尽きる。
 1902年9月19日。34年の短くも濃い人生であった。

 この作品の執筆時にはすでに病魔は深く入り込んで、しばしばその苦痛を綴っている。
 連載始まって間もない1月23日に「病床苦痛の堪へずあがきつうめきつ身も世もあらぬ心地なり」とある。
 4月23日には「盛んにうめき、盛んに叫び、盛んに泣くと少しく痛が減じる」と綴る。
 この日の記述は短いから苦痛は余程であったのだろうが、短いながらも文章のリズムがすこぶるいい。
 子規にはその病ながら妙に明るいところがある。そして、そのあたりが漱石とは違う、人気の源泉だと思う。

 その漱石のことをこの随筆の中で何度か綴っている。
 1月30日には漱石の滑稽趣味を褒め、それは真面目な性格に起因しているとしている。
 あるいは、5月30日には漱石は米の苗を知らなかったと暴露している。

 色々な読み方ができるのも、子規の随筆の特長でもあり、その萌芽はすでにここにある。
  
(2017/04/27 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  NHK朝の連続テレビ小説ひよっこ」を
  楽しみにしている。
  面白いし内容もいいのに
  視聴率がなかなか伸びないのに
  イライラしている。
  まあ、私がイライラすることもないのだが。
  そのドラマの脚本を書いているのが
  今日紹介する本
  『TVドラマが好きだった』を書いた
  岡田惠和さん。
  岡田惠和さんの作品歴をみると
  凄すぎる作品がずらりと並んでいるのでびっくりする。
  中でも一番驚いたのが
  菅野美穂さん主演でドラマ化された「イグアナの娘」(1996年)。
  あの作品を熱心に観たわけではないが
  チラリと観ただけで熱気が出ていたのを
  覚えている。
  これからも「ひよっこ」のことは
  書いていきますよ、きっと。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  「ひよっこ」を育てるのは、私たち                   

 この本の著者岡田惠和(よしかず)は人気脚本家である。
 監督や出演俳優の名前で映画館に行ったりテレビのチャンネルをあわすことは多いが、脚本家の名前で映画やドラマを観ようという人は希少価値がある。
 ひと昔前、まさにこの本で紹介されている有名なドラマでテレビが賑わっていた頃なら山田太一とか倉本聰、あるいは向田邦子といったビッグネームが綺羅星の如く輝いていたから、脚本家の名前でドラマを観た人も多かったはずだ。
 最近でいえば三谷幸喜とか宮藤官九郎あたりであろうか。
 岡田の名前をあげる人もいるだろう。
 何しろ岡田は今放送中のNHK朝の連続ドラマ「ひよっこ」の脚本を担当していて、この作品が朝ドラ3本めというから、いかに信用されている脚本家だということがわかる。

 なかでも、2001年に放映された「ちゅらさん」の人気は高く、岡田はこの作品で橋田壽賀子賞と向田邦子賞のW受賞を獲っている。
 この本はその勢いで書かれたものなのだろう、2003年に岩波書店の「図書」に連載され、その後2005年に書籍化された。
 実はこの時には朝ドラ2作めの「おひさま」はまだ作られていない。(2011年放映)
 そんな時期にこの本にある「21世紀の「朝ドラ」」は作り手岡田の創作心理を知る上で興味をひく。
 岡田はテレビと過ごす背景が大きく変化している点をあげ、「朝ドラ」が難しい時代と書いている。
 その一方で、「朝ドラ」の魅力も書いている。それは「明るさ」である。
 そして、「朝ドラ」は「視聴者が育てるドラマ」だと。
 こういう書き手だからこそ、「ひょっこ」はもっと面白くなるにちがいない。
  
(2017/04/26 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  先週の木曜は
  二十四節気のひとつ、穀雨でした。
  まさに晩春の候です。
  二十四節気をさらに区分して
  七十二候というくくりもあって
  今は「霜止んで苗出づる」候に
  あたります。
  奥ゆかしい。
  このことは
  今日紹介する
  広田千悦子さんの
  『だから、うまくいく 日本人の決まりごと』に
  全部載っています。
  この本、
  いつもの書評サイト「本が好き!」さんからの
  献本です。
  こういう本こそ
  手元に置いておきたいですね。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  いい大人でいよう                   

 先日亡くなった詩人の大岡信さんの数多くの業績の中でも、朝日新聞に長期に渡って連載された「折々のうた」の功績は一番大きかったのではないかしら。
 日本の短詩型のうたを広めたというだけでなく、日本語の美しさをあの短いコラムで教えられることしばしばあったと、今改めて思い出している。
 新書となったこの作品の、その続編のあとがきに大岡信さんは「ある季節のものは、その時節にわが身を置いていないと書けなかったし、書く気もなかった」と記しているが、それがこの国がそもそも大切にしてきたしきたりのようなものであったのではないだろうか。

 大岡信さんはそのことを「折々のうた」で書き留めてくれたのであるが、日本の行事や歳時に造詣の深い広田千悦子さんのこの本は別の方法ではあるが、忘れてはいけない大事なことを書き留めてくれている。
 なんといっても広田さんの絵がいい。でしゃばらず、しとやかで、水のように緩やかなイラスト。それがなんともいい。
 その最初の章が「人をつなぐことばの力。」というのが、まるで大岡信さんのやってきたこととつながるようでもある。
 そういえば、この本ではカタカナでしか表現されないような外来語はほとんど出てこない。

 章立てでページを追う。
 次の章が「場の整え方とおもてなし。」、それから「気づかいのあるふるまい。」「食卓を囲むお付き合い。」「贈り物をすること。」「和の心を尊ぶ儀礼と行事。」「自然とのお付き合い。」、そして最後が「神さまとのお付き合い。」となる。
 今は少し消えかかっているたしなみもあるが、やはりきちんと記録しておきたいものだ。
  
(2017/04/25 投稿)

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 立春の頃は
 まだまだ暦の方が先行して
 「暦の上では春ですが…」なんて
 よくいいます。
 ところが、立夏の頃は
 気候の方がどんどん早くなって
 立夏まではもう少しですが
 なんだか初夏を思わせる日和だったりします。

  CIMG1945_convert_20170423134321.jpg

 今時分の街は
 たくさんの花が咲き乱れて
 足をとめることもしばしばです。
 こちらは
 道路脇に咲いていた

  CIMG1955_convert_20170423134713.jpg

 春の季語です。

    藤房の盛り上がらむとしては垂れ       鷹羽 狩行

 わたしの菜園は小さいので
 野菜によっては
 こちらにするかあちらにするか
 選択することもあります。
 例えばムギも選択野菜だったので
 わたしは選びませんでした。
 何軒かの菜園は
 麦を選んでおられて
 いい感じで成長しています。
 春の季語に「麦青む」という美しい言葉があります。

     青麦に沿うて歩けばなつかしき      星野 立子

 そんな光景を写してみました。

  CIMG1954_convert_20170423134638.jpg

 葉桜と青麦の競演です。

 わたしの菜園は
 スナップエンドウの実が
 大きくなってきました。

  CIMG1946_convert_20170423134353.jpg

 もうすぐ収穫できそう。
 イチゴはごらんの通り。

  CIMG1951_convert_20170423134536.jpg

 赤くなるまで
 がまん、がまん。

 4月23日に写した
 今栽培している畝です。

  CIMG1949_convert_20170423134448.jpg

 手前の畝に
 イチゴニンニク、それとトウモロコシ
 その上の畝に
 スナップエンドウキヌサヤ、そしてニンジン

 そして
 来週はいよいよ
 夏野菜三銃士、
 トマトナスピーマン
 それにキュウリの植え付けです。
 畑もこれから本格化です。

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  今日はこども読書の
  そして、今日から5月12日まで
  こどもの読書週間となります。
  今年の標語は、

    小さな本の大きなせかい

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  確かに本のページを開くと
  そこにはとっても大きな世界が
  広がっています。
  これから気候がいいので
  ぜひお気に入りの本を持って
  公園のベンチとかで
  本を広げてみて下さい。
  今日は紹介するのは
  芥川賞作家保坂和志さんが書いた絵本
  『チャーちゃん』。
  ここにも
  大きなせかいがありますよ。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  絵本の書き手の、なんと幅広いことか                   

 絵本は、書き手を選ばない。
 通常は絵本作家が文も絵も描くことが多いが、時に絵本作家同士が互いに文を担当したり絵を描いたりすることもある。
 絵本作家だけが絵本を書くことはない。
 特にそれは文の方だが、詩人も書く。漫画家も書く。映画監督も書く。俳優も書く。落語家も書く。アナウンサーも書く。
 小説家ももちろん書く。直木賞作家も芥川賞作家も書く。
 文学の世界では漫才師が小説書いたって驚天動地していたが、絵本の世界では驚かない。
 絵本はとても寛容なのだ。

 この絵本の文を書いたのは、『この人の閾』で第113回芥川賞を受賞(1995年)した保坂和志さん。(絵は、小沢さかえさん)
 芥川賞そのものがストーリー性よりも文章の巧さに一目を置くところがある文学賞だが、その文体が絵本に合うかどうかは作者次第であろう。
 どちらといえば、詩人の、一行一行刻むような散文があっているような感じがする。

 この作品の場合、「チャーちゃん」という一匹の猫が主人公だ。
 しかし、この猫は死んでいる。
 死んでいるのだが、踊っているのだという。
 この猫がいる世界は死後の世界であるが、そちらではかつて生きていたものたちが楽しそうに踊っているという。
 だから、生きていた世界ではパパもママも泣いているけれど、チャーちゃんのいる死の世界ではみんな楽しく踊っているのだ。
 そう思っている(想像している)のは、きっと生きている世界にいるものたちだろう。
 こういう深い作品も、絵本は平気な顔をして受け入れてしまう。
  
(2017/04/23 投稿)

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