プレゼント 書評こぼれ話

  昨日紹介した
  山田真哉さんの『平成のビジネス書』を読んでいて
  森永卓郎さんの
  『年収300万円時代を生き抜く経済学』という本を見つけて
  そういえば私もこの本を読んだなと
  懐かしくなって
  昔書いた書評を引っ張り出しました。
  蔵出し書評です。
  なんと2003年に書いているのですね。
  いやはや
  若いし、一生懸命書いてますよね。
  あの頃の私は「年収300万円」時代を
  まるで杞憂のように書いていますが
  実際若い人たちにとって
  そんな時代がやってきたことは
  時代が証明しています。
  格差の時代は
  そういう人たちのことも
  忘れてしまうという
  恐ろしい時代でもあります。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  空は本当に落ちてくるのだろうか                   

 ずっと昔の話。中国に杞という国があった。
 その国の人々は空が落ちてきたらどうしようと心配で仕方がなくなった。
 毎日空を見上げては気になって食事も喉を通らない。寝ている間に空が落ちてくるかもしれなくて、寝るのも怖い。国中がそんな不安に陥った。
 しかし、もちろん空は落ちてはこなかった。
 杞の国の人々はほっと胸を撫ぜおろした。そんな故事から「杞憂」という言葉が生まれた。
 取越し苦労という意味で使われる。

 「年収300万円時代」とか「給料半減が現実化」なんていう言葉は杞の国の人々が落ちてくるかもしれないと思った、空のような言葉かもしれない。
 現代の日本という国にあって、多くの人々がこれらの言葉に過剰に反応している。
 だから、この本が売れているのもわかるような気がする。
 誰もが(そしてその多くは、勝ち組になれなかった普通の人たちだが)近い将来大幅に収入が減るのではないかと恐怖し、そうなった場合の生活に不安を抱いているにちがいない。
 それほどに日本経済は長引くデフレ不況から脱出できないし、政治はどのような政策も実行できないでいる。

 森永氏のこの著作では、まず何故「年収300万円時代」がやってくるのかを、小泉改革が成し遂げようとしている政治の本質とそのことで作り出されていく階級社会の問題から解き明かそうとしている。
 そして、その結果として、大多数の人々の年収が300万円まで下がるのではないかと予想している。
 読む方からすれば、そうなった場合の生活のヒントのようなものを期待しているはずだが、そのことに関していえば、最後の1章で書かれているに過ぎない。
 この本は、あくまでも何故空は落ちてくるのかを説明したもので、空が落ちてきた場合の対処方法を大きく論じたものではない。

 そういう点からこの本を読めば、空が落ちてくるのを防ぐつっかえ棒はないが、「年収300万円時代」を防ぐ方法はあるかもしれないと思えてくる。
 そして、もし空が落ちてきたとしても、右往左往しないためにも、この本が投げかけている問題の本質を理解すべきかもしれない。
 バブルという時代を経て、それでも奢れる生活を営む私たちの上に、空が本当に落ちてきたとしても何の不思議もないのだから。
  
(2003/06/25 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  株価が好調です。
  時あたかも衆議院選挙の真っただ中、
  ここにきてまるでアベノミクスの成果にように
  20年ぶりの高値水準ですから
  与党の鼻息は荒くもなります。
  でもですよ、
  問題はそういう好景気が
  日本全国津々浦々にいきわたっていないこと。
  景気がいいという実感あります?
  そんなことを思うのも
  この本を読んだからかも。
  今日は
  山田真哉さんの『平成のビジネス書』という
  本を紹介します。
  平成といっても
  今から10年くらい前の平成期。
  その頃
  どんなビジネス書が読まれていたでしょう。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  ビジネス書は何故衰退したのか                   

 自分が定年を迎える年齢になるとそれまで読んできた本のジャンルの中で「ビジネス本」の割合が減っていると思っていたが、実は「ビジネス本」そのものがあまり売れなくなっているという。
 出版業界は今や構造的な不況産業といわれて久しいが、それでも2000年代は「ビジネス本」が盛んに読まれていた黄金期であった。
 そんな時代の「ビジネス本」を自身『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』というベストセラーを書いた山田真哉氏が黄金期だった頃に書いた書評と、何故今衰退したのかという考察をまとめたのが、この本である。

 書評には『金持ち父さん貧乏父さん』『年収300万円時代を生き抜く経済学』といった懐かしい書名が並んで、山田氏の文章もそれなりに時代を感じさせる。これはこれで「黄金期」の「ビジネス本」の雰囲気を感じ取れればいい。
 ただ「黄金期」にはもっと「自己啓発本」もあったように思うが、あまり触れられていないのは、当時発表された媒体の性格によるのだろうか。

 さて、もう一方の「考察編」である。
 山田氏は「ビジネス本」が「黄金期」を2000年代に迎えた理由を、「出版不況を何とか克服しようとあがいた出版社側の努力と、「失われた20年」から脱出するヒントを本に求めようとした人々の需給がマッチ」したことで生まれたものとしている。
 では、それが何故崩壊したのか、山田氏は諸説ある中で「人口減少」と「ネットに負けた」説をとっている。
 特に「人口減少」の問題は「ビジネス本」衰退の問題にとどまらないと思われる。
 今後おそらく多くの産業にこれは影響するだろう。
 案外「ビジネス本」衰退要因を分析することはそのさきがけかもしれない。
  
(2017/10/17 投稿)

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 毎年思うことですが
 金木犀の香りがかぐわしくなると
 秋の長雨になって
 あっという間に金木犀の香りも
 終わってしまいます。

  CIMG2235_convert_20171015134409.jpg

    見えさうな金木犀の香なりけり      津川 絵理子

 今年もやっぱりそうで
 金木犀が満開の時期を迎えると
 雨ばかり続きます。

 雨が続く前に
 ナスの伐採した畝に黒マルチ
 張ってしまおうと
 週の半ばに作業もして
 畝の準備も出来て

  CIMG2234_convert_20171015134237.jpg

 イチゴの苗植えの講義も受けて
 苗も入荷したのですが

  CIMG2236_convert_20171015134527.jpg

 せっかくの週末は
 雨、雨、雨と
 苗植えの作業は諦めました。

    秋の雨しづかに午前をはりけり      日野 草城

 歳時記を開くと
 「秋の雨」という季語にこうあります。

   秋といえば秋晴れを連想するが、
   雨の多い季節でもある。
   秋の雨は、古くからもの寂しいものとして
   詠まれてきた。


 確かにそのとおり。

 昨日の日曜日(10月15日)、
 雨のなかを散歩がてら
 畑に行ってきましたが
 しんと静まり返っていました。

  CIMG2240_convert_20171015135018.jpg

 そんななかでも
 野菜は成長してくれているのでしょうか
 こちらは
 キャベツですが
 だいぶ大きくなりました。

  CIMG2238_convert_20171015134813.jpg


 イチゴの苗をいつ植えようか、
 毎日天気予報と
 にらめっこしています。

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プレゼント 書評こぼれ話

  先週谷川俊太郎さんと和田誠さんの
  『ともだち』という絵本を
  紹介しましたが
  あれがとっても健康的な絵本だとしたら
  こちらは不健康? な
  ともだちの絵本になるのかな。
  本当はこちらも健康的ですよ。
  直木賞作家恩田陸さんが書いた
  『おともだち できた?』。
  絵は石井聖岳さん。
  まずが表紙から
  この絵本の不健康な? ところを
  さがしてみて下さい。
  えーっ!! って
  ちょっとびっくりしますよ。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  この絵本は、ちょっと怖い                   

 『蜜蜂と遠雷』で第156回直木賞を受賞した恩田陸さんが文を書いた、少しぶきみな絵本。
 どう不気味かというと、石井聖岳さんが描いた絵の表紙のどこかにそのヒントが隠れていますから、表紙だっておろそかにしないで。

 初めての町に引っ越してきた女の子の一家。
 外を見ると、なんだかぼんやり、どろっとしている町並みが続いています。
 パパもママも「ともだちと遊んで」とかいいますが、この町には子どもの姿も声もありません。
 ただ隣の犬がよく吠えるだけ。
 そんな町でも女の子にともだちができます。
 どんな?
 ママには見えない。パパは気づかない。隣の犬だけにはわかっているような、そんなともだち。
 この絵本は、ちょっと怖い。

 でも、ともだちってつくらないといけないのだろうか。
 ともだちができないことがまるでいけないことのようにいう人たちもいるけど、無理やりにつくることはないんじゃないかな。
 まして、できたともだちがこの絵本の女の子のようにとっても不思議なともだちだってあるだろうし、そして、そのことでママは泣いたり(この絵本の中でもママは本当に泣いている)するけれど、そういうことが当たり前だと思うこと自体、なんだか怖い感じさえする。

 この絵本はそんな当たり前の怖さを描いた、恩田陸さんの、ちょっと怖い話だ。
  
(2017/10/15 投稿)

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  慶応3年の今日、
  大政奉還がなされた記念すべき日。
  しかも
  今年で150年という節目の年。
  150年といえば
  長いようで
  先祖を並べたら3人ぐらい前の人の時代では
  ないでしょうか。
  その当時の人たちにとって
  実際どう受け止められていたのでしょうね。
  今回の選挙は
  政権選択の選挙とかいわれていますが
  自ら政権を返上した徳川慶喜
  やはり英断だったのでしょうか。
  今日は
  中村彰彦さんの
  『歴史の坂道』を
  紹介します。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  歴史の落穂を拾いあつめ                   

 第15代将軍徳川慶喜が政権を返上した大政奉還から150年になる。
 慶応3年10月14日、西暦でいえば1867年の秋のことである。
 そこから時代は大きく動いていく。
 明治維新はここから始まったともいえる。
 幕末好みの人にとっては、たまらない150年前といえるだろう。
 その主戦場となった京都だけでなく、それぞれの場所に歴史が息づいていることは間違いない。
 ひとつ、それは紅葉の始まった会津もそうかもしれない。
 その時期の会津はまさに坂道が始まらんとしていたのではないか。
 そういう落葉をひとつずつ拾い集めたエッセイが、この本といえる。

 作者は『二つの山河』で直木賞を受賞した中村彰彦氏。
 おそらく氏が今までの書いてきた歴史小説の取材の中で、言葉通り落穂となったエピソードが短い文章の中に日の目をみていく感がある。
 特に会津に関わるエッセイは、会津が持っている悲劇性と相まって、読者を魅了する。
 私も久しぶりに何年か前の大河ドラマ「八重の桜」のことを思い出したりした。

 この本の面白いところは、収められた多くのエッセイの初出が東京・新宿にある花園神社の社報「花その」だったということだ。
 ああいう神社にも「社報」なるものがあることも初めて知ったし、その中にこのようなエッセイが掲載されているのも驚きであった。
 神社の風格がそもそも歴史の坂道の、それが昇りであれ、下りであれ、始まりのようなものであるようにも感じる。
  
(2017/10/14 投稿)

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