fc2ブログ
 この『あのとき売った本、売れた本』の著者小出和代さんは、
 1994年から2019年まで紀伊國屋書店新宿本店で文芸書を担当していた元書店員さん。
 退職の際にこの本の出版元である光文社の編集者から
 「本屋の思い出話、書きませんか」と誘われたというから、
 きっと出版業界では名の知れた書店員だったのだろう。
 紀伊國屋書店新宿本店といえば、日本の書店の中でも頂点のようなお店。
 だから、そこで売れるベストセラーともなれば
 どれくらいの冊数になるのだろうか。
 でも、小出さんの本を読んでいると、
 本が売れるには、本(作品)自体の面白さはもちろんだが、
 出版者の宣伝にかける思い、著者の熱意、
 そして書店員の並々ならぬ研鑽と工夫が必要なことが伝わってくる。

  415jkCdkkGL_convert_20231214210520.jpg

 ただ書店に行けば、必ずベストセラーが並んでいるかというとそうではない。
 書店には販売実績に応じて割り当てがあるようで、
 紀伊國屋書店のような大型店舗であれば何百冊も入荷する本であっても
 地方の小さな書店には店頭に並びもしないということがよくある。
 なので、この本を読んでうらやましいと感じる書店員もたくさんいると思うが、
 大きな書店は大きな書店での苦労もあって
 それでも小出さんはそんな苦労を本が好き、小説が好きと
 乗り切ってきたに違いない。
 そんな本への愛がつまった一冊になっている。
 各思い出話についているイラストは小出さんが描いていて、
 これもまた傑作。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 まずは、この『教養としての歴史小説』の著者今村翔吾さんについて書いておきます。
 今村さんは2022年に『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞した歴史小説家です。
 受賞の際にも話題になりましたが、
 今村さんは書店も経営されていて、
 その志は全国で「町の書店」が減っていく現状をなんとか変えたいというもので、
 2023年11月には佐賀でも書店を出店しています。
 歴史小説・時代小説の魅力を語ったこの本でも、
 自身の子供の頃の本屋さんとのふれあいがしばしば描かれています。
 確かに今村さんは歴史小説に魅入られた子供でしたが、
 そのきっかけに大いに寄与したのは「町の書店」の存在だったと思われます。

  OIP_(2)_convert_20231208173031.jpg

 この本には「教養としての」という冠がついていますが、
 今村さんの歴史小説・時代小説への熱量はただものではなく、
 「人としての生き方や振る舞い方、人情の機微などは、ほとんど歴史小説から学んだ」、
 そう綴る今村さんにとって、
 歴史小説は「教養」というレベルを超えているように感じます。
 そして、この本はそんな歴史小説の面白さを存分に伝えてくれます。

 章立てで見ていくと、
 「ビジネスに役立つ」であったり「教養が深まる」であったり「創作の舞台裏」など
 多面的に歴史小説を読み解いていきますが、
 これから歴史小説を読んでみようという読者への「歴史小説ガイド」が役に立ちます。
 こういう本に若い頃出会いたかったな。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 本は美しい。
 東京文京区にある東洋文庫ミュージアムなどに行くと、
 ずらりと並んだ本の美しさに圧倒される。
 過去の知識を本という造詣に押し込めた美といっていい。
 そんな美しい本を所蔵する図書館も近年建物だけでなく、
 所蔵の仕方にも工夫があって、うれしいかぎりだ。
 しかし、世界にはもっと美しい図書館や書店がある。
 ところによっては、世界遺産に登録されていたりする。
 そんな美しい書店や図書館をきれいな写真とともに紹介してくれるのが
 『一生に一度は行きたい 世界の美しい書店・図書館』という一冊。
 2023年9月に宝島社から出版された。

  

 この中では、6つの章に分かれて102の図書館・書店が紹介されている。
 タイトルは「書店・図書館」となっているが、
 書店は3つで、あとはすべて図書館になる。
 章は「主人公気分で訪れたい映画の舞台となった図書館」や
 「世界遺産にもなった歴史が眠る図書館」、「格式高い王立&国立図書館」、
 「麗しき修道院&キリスト教系の図書館」、「洗練されたデザインのModern図書館」、
 そして書店の「一生に一度は訪れたい美しすぎる書店」となっている。
 残念ながら、日本の図書館や書店ははいっていない。

 とにかく写真を見ているだけで、その美しさに魅了される。
 一生にこれらの図書館などを訪れる機会が自分にやってくるか、
 それこそ夢でしかないが、
 そんな夢をいつまでも見ていたいと思わせる美しさだ。

 秋の読書週間、せめて近所の図書館にでも足を運んでみようか。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
プレゼント 書評こぼれ話

  今日10月27日から
  読書週間が始まります。(~11月9日)

   2023poster_500_convert_20231024202540.jpg

  今年の標語は

    私のペースで しおりは進む

  この標語の作者藤村伸子さんはこんな言葉を綴っています。

    しおりがなかなか進まない本もあれば、一気に読んでしまう本もあり。
    読み終えればどちらも、充実感や感動を得ることができます。
    これからも心に残る物語との出会いを求めて、
    私のペースで読書を楽しみたいと思います。

  イラストは、鈴木初奈さん。
  本を読む時、しおりは欠かせません。
  私は本屋さんでもらった紙のしおりに
  付箋を張り付けて本にはさんでいます。
  いい文章に出会ったら、付箋を貼っておきます。
  読書週間には読みたい人がいます。
  長田弘さん。
  今日は読書週間にちなんで
  長田弘さんの『幸いなるかな本を読む人』を
  再録書評で紹介します。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  秋になると本がおいしくなります                   

 本好きにはたまらない素敵なタイトルの、書名というのでもなく題名というのでもない、詩集a collection of poemsである。
 
 ここには、詩人長田弘が書いた、二十五冊の本に誘(いざな)われた二十五篇の詩が収められている。それは書評でも、感想でもない。どこまでいっても独立した詩なのだ。それは季節のありようにふれること、人の思いに揺さぶられること、事物の確たることに導かれること、と同じ、詩の成り立ちである。
 詩poemとはなにか。それは詩人の心の表象だし、我々の心を代理するものだ。

 詩人poetは書く。「わたしが本について、ではなく、わたしが本によって語られているという、どこまでも透きとおってゆくような感覚だった」(「あとがき」)と。

 ここには本たちが背景、あるいは空気のようにといいかえたほうがいいような、のようにあるだけだ。
 この詩集は、詩の背景となった本たちの名前が註として記載されているが、まずは二十五篇の詩を味わってみることをお勧めしたい。そのうえで、詩人がどんな書物でこれらの言葉を紡いでいったのかを、もう一度、味わう。深く味わう。
 このように書いてみると、詩とは、ごく自然に繰り返している呼吸のように思えてくる。

 詩人poetは書く。「読書とは正解をもとめることとはちがうと思う。わたしはこう読んだというよりほかないのが、読書という自由だ」(「あとがき」)と。

 言葉wordsを縦糸に、イメージimageを横糸にして織られた自由という刺繍。
 一冊の本が私たちにくれる、何にも囚われることのない自由。
 この詩集はそういう読書の本来の在り方を再認識させてくれる。

 読書の秋にふさわしいタイトルの、詩集a collection of poemsである。
  
(2008/11/01 投稿)

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス
 この本の「まえがき」に、
 編者である池澤夏樹さんが「このシリーズも三冊目」と書いている。
 最初に出たのは『わたしのなつかしい一冊』(2021年)で、
 2冊目が『あなたのなつかしい一冊』(2022年)。
 そして、この『みんなのなつかしい一冊』。2023年に出た。
 毎日新聞の土曜日の「今週の本棚」でまだ続いているから、
 来年にはどんなタイトルがつくかしらん。

  

 スタイルは三冊とも変わらない。
 池澤夏樹さんが編者で、寄藤文平さんが絵を担当している。
 各冊、50人の著名人によるブックガイド。
 この人がこんな本を懐かしんでいる、あの人が好きな本はまだ読んでないな、
 そんな本たちがずらり。
 しかも、毎回寄藤さんの素敵なイラストがつく。
 今回の本では、
 平原綾香さんが星新一の『ねらわれた星』を、
 くどうれいんさんが長野ヒデ子の『せとうちたいこさんデパートいきタイ』を、
 土井善晴さんが今江祥智の『ぼんぼん』を、
 神田伯山さんが三遊亭円丈の『師匠、御乱心!』を、といったぐあいに
 絵本あり児童書あり社会科学あり海外文学ありと
 いつもながらみなさん、とっておきの一冊をガイドしてくれている。

 もし、そのうちのどれかでも
 読みたいと感じた(!)本があれば、
 きっとその本こそあなたの「なつかしい一冊」になると思う。
 ところで、来年のシリーズ4冊めのタイトルだが、
 『かれらのなつかしい一冊』でどうだろう。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ