プレゼント 書評こぼれ話

  4月の読書会の時であったが
  メンバーのひとりが
  石牟礼道子さんの全集から
  『苦海浄土』の巻を2巻持ってこられたことがある。
  あまりにりっぱな装幀に
  参加者たちは呆然ともなったのだが
  その人が
  そのあと天草まで旅をしてきたという話を
  今月の読書会にされていて
  参加者一同再び呆然となった。
  その人のアクティブさもそうだが
  その人をそこまで突き動かした
  石牟礼道子さんも
  すごい。
  今日は若松英輔さんが
  石牟礼道子さんへの追悼文を編纂した
  『常世の花 石牟礼道子』を
  紹介します。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  たいまつの火をつなぐようにして                   

 今年(2018年)2月10日、文学者石牟礼道子さんが亡くなりました。90歳でした。
 石牟礼さんといえば、公害病水俣病の被害者の皆さんの視点に立った『苦海浄土』で知られる文学者ですが、本書はその晩年彼女の良き伴走者であり理解者となった批評家であり詩人でもある若松英輔さんが彼女の死後新聞等に記した追悼文八編を核にして出来上がっている。
 若松さんは2016年9月にNHKEテレ「100分 de 名著」という番組で『苦海浄土』が取り上げられた際に解説を担当したことでも知られている。

 若松さんは「この本は、石牟礼道子論とよばれるようなものではないが、随想という様式だからこそ書き得る問題は、いくつか提示できたように感じている」と、「あとがきに代えて」という一文の中で記している。
 確かに堅苦しい論ではない、平易な文章ならでは伝わるものがある。
 特に著作名はとても知られた『苦海浄土』ではあるが、その実三部作となった作品は大部のものでなかなか読み切るのは容易ではない。
 それでも石牟礼さんが伝えたいことを理解しようとすれば、若松さんのこの方法はとても有効だろう。

 ある追悼文のおわりに若松さんはこう記した。
 「「いのち」とは何かを考えるためには私たちは、まず「虫」の眼をよみがえらせなくてはならない。それが石牟礼道子の遺言だったように思われる」と。
 若松さんがこの文集で私たち読者に伝えたかったことは、そういった石牟礼さんが私たちあとに残された者たちへ伝えようとした思いだったにちがいない。
  
(2018/06/14 投稿)

  芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス
プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  根本昌夫さんの『〔実践〕小説教室』という本を
  紹介します。
  根本昌夫さんがどのような人かは
  書評を読んでもらうとして
  書評に書けなかった
  小説を書く極意を
  この本から抜粋しておきます。

     小説を書くことや読むことは、
     その「ふだんいる世界の外に立つ」という経験です。

  この「ふだんいる世界」は
  「約束事の世界」とも記されています。
  それは小説を読んだ時感じることがあるかと思いますが
  書く時も
  それは重要だということですね。
  書き出しについて、

     読者を日常から脱出させる書き出しになっているかどうか

  これも先の引用部分と
  同じ意味かと思います。
  この本には
  これ以外にも色々な教えが
  はいっています。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  まるで人気講座を受講しているかのよう                   

 第158回芥川賞は石井遊佳さん、若竹千佐子さんという二人の女性による同時受賞で話題となったが、もしかすると彼女たち以上にその名を知られることになる人物がいた。
 それがこの本の著者根本昌夫さんで、何故根本さんが有名になったかというと、芥川賞を受賞した二人ともがかつて根本さんが教える「小説教室」の受講生だったからだ。
 当然そうなれば、もしかしたら自分も芥川賞作家になれるかもしれないと根本さんが持っている「小説教室」は満員で、さらにはこうして2013年に書かれた本が新しい版となって再び出版されることになるのだから、さすが芥川賞の影響力はおそろしい。

 そもそも根本さんは学生時代から文芸誌の編集に携わって、社会に出てからも雑誌「海燕」や「野生時代」の編集長まで務めた人だから、小説を読む力はすごいものがある。
 しかも根本さんと近い関係にある作家となれば、吉本ばななさんとか小川洋子さんなどがいて、根本さんの文学における新しい芽の発掘は今に始まったことでないことがわかる。

 根本さんは「いい小説を書く」ためには、「たくさん書くこと」「たくさん読むこと」「よく考えること」が重要と説く。
 その考えに沿って、この本でもまず「小説とは何か」があって、その次の「書いてみよう」では書き出しの描き方など具体的な説明がされ、最後は「読んで深く味わおう」では綿矢りささんや村上春樹さんの作品を「構造」と「重層性」の視点から読む解いていく。

 活字になってはいるが、まるで授業をその場で聴いているような臨場感があって、これはやはり満員になるだけはある、人気講座にちがいない。
  
(2018/06/09 投稿)

  芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス
プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  森博嗣さんの『読書の価値』という新書を
  紹介しますが
  どうも私はこういう類の本が
  大好きで
  書店で見かけると
  どうしても
  読んでみたくなります。
  この本の中で
  森博嗣さんが
  文章が上手くなるコツみたいなことを書いていて
  それは

    自分以外の誰かになったつもりでそれが読める

  というみたい。
  そういうことが
  タメになりましたね。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  私、この本はオススメしますが                   

 こんなことを言っては申し訳ないが、この本の著者森博嗣さんのことをまったく知らない。この本に載っている略歴によれば、1957年生まれというからほぼ同世代。大学の工学部で助教授をしていたというバリバリの理系人間で、その一方で小説、推理小説とかSF小説といった作品を発表する作家でもある。
 多くのディープなファンがいるようだ。
 そんな森さんを知らずにこの本、新書です、を手にしたのは、そのタイトルにある。
 読書の価値。
 本好き、読書好きにはたまらないタイトルではないか。
 読書の価値とは何か、が多分書かれているのでしょ、ということで手にしたこの本は、読書というよりもっと広い意味の知的生産術と呼んでもいいような気がした。

 森さんが本から得た価値とは、自身が面白かったということ。
 つまり、本を読んで面白くなかったところには価値がないし、自身が面白かったからといって誰もがそうではないということなので、私が森さんのこの本を面白かったと書いても、あなたはそうではないかもしれないことを覚悟して欲しい。
 あるいは、この本は読書論というより知的生産術ではないかと私が言っても、あなたはそうではないかもしれない。
 読書とはそういうもの。

 森さんは「本はすすめられて読むものではない」と書いていて、「本との出会いは、つまり人との出会いと同じ」としている。
 つまり、友達と同じように「本は自分で選べ」というのが森さんの本選びの原則。
 そう考えれば、著者のことも知らずにこの本を手にしたのは、森さんがいう原則に則していたようだ。
  
(2018/06/08 投稿)

  芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス
プレゼント 書評こぼれ話

  今日は憲法記念日

    憲法記念日天気あやしくなりにけり      大庭 雄三

  今日の天気のような
  俳句です。
  今日からゴールデンウイークの後半ですが
  お出かけもいいですが
  じっくり本を読むのも
  いいのではないでしょうか。
  そういう時、
  何を読んだらわからないという人は多い。
  そんな人のために
  今日は素晴らしいブックガイドを紹介します。
  湯川豊さんの
  『一度は読んでおきたい現代の名短篇』。
  この本があれば
  読む本に困ることはありません。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  この本で現代の日本文学を読む                   

 この新書の宣伝文の中に、著者の湯川豊氏のことが「小説の読み巧者」と書かれているが、そう呼ばれるのも不思議ではない。
 何しろ湯川氏は文芸誌「文学界」の編集長を務め、文藝春秋社の役員までなった人であるから、多くの小説を読んできただろうし、例えば丸谷才一氏から文学のレッスンを直接受けるなど作家との親交も多岐にわたったはずだ。
 そんな湯川氏が「読む愉しみ」をただ一つの基準にして選んだ名短篇は、純文学とか大衆小説といった区分けを超えたところにあるといっていい。
 わかりやすい言い方でいえば、芥川賞も直木賞も関係がない。
 いいものはいい、というわけだ。

 ところで、気になるのは、この新書でいう「現代」とはどのあたりを指すのだろうか。
 短篇といえば芥川龍之介や志賀直哉といった作家の名前が浮かぶが、この本では取り上げられていない。
 太宰もいないし、川端康成の作品もない。
 長編作家でもあった三島由紀夫はいい短編もたくさん書いているが、三島もいない。
 これは私の感想だが、三島由紀夫あたりが分水嶺として、彼以降の作家の作品を湯川氏は「現代」としたのではないだろうか。
 最初に取り上げられているのが、松本清張というのも、この本の性格をよく表している。

 ここでは44篇の短編が紹介されているが、同時に「現代」文学を読み解くにあたって、これらの短編を書いた44人の作家こそはずせないという思いが、湯川氏にあったのだろう。
 そういう意味では作品紹介というより、現代文学を読むための、貴重な一冊といえる。
  
(2018/05/03 投稿)

  芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス
プレゼント 書評こぼれ話

  昨日から
  子ども読書週間が始まりましたが
  せっかくなので
  大人の皆さんも
  子どもたちと一緒に
  たくさん本を読みましょうよ。
  そこで
  今日は
  川上徹也さんの
  『答えはすべて本に書いてある。』を
  紹介します。
  2015年に刊行された本です。
  答えがあるなら
  本を読んでみるかではなく
  答えを探しに
  本を開いてみて下さい。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  さあ、本屋さんに出かけてみよう                   

 もともと大手広告代理店で働いていたという著者は書店好きとしても有名で、そのあたりの講演や著作も多い。
 書店が好きなのは本が好きということで、だからこそこの本が出来上がったともいえる。
 そんな著者だから言える言葉が、「書店は、世界最高峰の「悩み相談室」」であったり、「書店は、人の知的好奇心を鍛えるジムのようなもの」だったりする。
 書店という「悩み相談室」で処方されるのは、さまざまな本。
 おそらくこの本を手にするのは若いビジネスマンが多いのだろうが、自己啓発本だけではない。小説もあり漫画もあったりする。
 そのあたりが著者の本の領域の広さを感じる。

 この本で紹介されているのは108冊の本。
 どんな悩みに対してどのような本が紹介されているか、一例をあげてみよう。
 「自分に自信がない-大勢の人の前でしゃべるのが苦手」という悩みには原田マハさんの『本日は、お日柄もよく』が薦められている。確かに原田さんのこの本は「スピーチ」をテーマにした小説だ。
 同じ悩みで中谷彰宏さんの『なぜあの人は人前で話すおがうまいのか』とミロ・フランクお『結果を出す人の30秒で話を伝える技術』の2冊が紹介されている。
 このように悩みに対して、メインの本が1冊と「合せて読みたい本」として2冊が並べられている。この形は、どの悩みも同じ。
 著者の文章も、ブログでみられるような文章になっていて、若い人には読みやすいかもいれない。

 悩みそのものは人によって違うだろうから、答えの本も違って当たり前。
 まずは本屋さんに出かけて、自分の一冊を見つけるのが大事だろう。
  
(2018/04/24 投稿)

  芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス