昨日紹介した
 津村節子さんの『時の名残り』というエッセイ集のなかに
 「ひぐらしの里」という文章があります。
 それを読んで
 ハッとさせられました。
 このエッセイには
 津村節子さんの夫吉村昭さんの生前に
 荒川区長であった西川太一郎さんが訪ねてきて
 吉村昭文学館を建てたいと申し出られたことが書かれています。
 その時は吉村昭さんは固辞したそうです。
 その後も西川区長は熱心で、ついに計画が実行されることになります。
 津村節子さんのエッセイから引用します。

   文学に親しみ、文化を育む空間として、図書館、文学館、子ども施設の
   三つの機能を持つ複合施設設立が進められた。資料を整理管理する学芸員の方たちも
   充実している。
   平成29年3月に開館する複合施設「ゆいの森あらかわ」の中の
   「吉村昭記念文学館」となり、
   吉村が愛してやまなかったふるさとに、
   かれは帰ってくるのである。


 この日付に「ハッと」させられたわけです。
 吉村昭さんの文学館ができるって話を耳にしていて
 すっかり忘れていたわけで
 そうか、ついに出来たか、
 ならば行くしかないと
 初夏の陽気のような
 5月12日に行ってきました。

 もよりの駅は
 地下鉄千代田線の「町屋」駅。
 もちろん京成線の「町屋」でも
 都電荒川線でも大丈夫。
 ちょうど都電の線路脇ではバラが見頃を迎えていました。
 そこへ都電がやってきたので、
 思わずパチリ。

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 そこから歩いて10分たらずで
 「ゆいの森あらかわ」に着きます。

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 「ゆい」というのは
 漢字で書くと「」。

   人と人、本と人、地域と人、文化と人が結びつき、…

 と、その名前の由来があります。
 津村節子さんのエッセイにあるように
 ここは荒川区の中央図書館吉村昭記念文学館、それに子どもひろば
 併設されています。
 たまたま裏の方から入ったのですが
 いきなりえほん館
 柳田邦男さんの薦める絵本がずらり。
 荒川区では柳田邦男絵本大賞という企画もしています。
 それに吹き抜けになったホールがあって
 その壁面にも絵本がずらり。
 きっとこういう環境だったら
 子どもたちも本が大好きになるだろうな。

 吉村昭記念文学館
 2階にあります。
 こちらが入り口。

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 常設展示のコーナーでは
 吉村昭さんの足跡を順にたどることができます。
 奥に吉村昭さんの書斎が復元されています。
 奥さんの津村節子さんが書いた「開館に寄せて」という文章に
 この書斎のことも綴られています。

   机は資料を置くために長い板を窓の前に設置したもので、
   その右手脇にカルテ棚を設け、取材ノートや書き上げた原稿を
   納めていた。


 ちなみにこの机の前の椅子には座れますよ。
 気分は
 すっかり吉村昭です。

 吉村昭さんの作品草稿や原稿の復元品もあるのですが
 実に細かい字でびっしり書かれています。
 作家吉村昭さんの真摯な精神に触れる感じです。
 今開館記念企画展として
 「映像化された吉村作品の世界」が展示されています。
 こちらは7月23日までの企画です。
 そうそうこの文学館の入場は無料というのもいいですよね。
 あっぱれ! 荒川区。

 実はこの図書館には
 「現代俳句センター」というコーナーもあって
 現代俳人の句集や結社誌もずらりと並んでいます。
 こういう空間に一日いたら
 どんなに幸せでしょうか。

 今度また行ってみたい
 ゆいの森あらかわでした。

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 漫画家水木しげるさんが亡くなったのが
 2015年11月30日。
 水木しげるさんが93歳の時。
 もし、生きていたらこの3月8日で95歳になられてました。
 その誕生日に合わせて
 東京・松屋銀座で回顧展の決定版ともいえる
 「追悼水木しげる ゲゲゲの人生展」が開催されました。
 いいなぁ、みたいなぁ。
 ということで
 下駄をカランコロンさせて
 銀座まで出かけました。

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 今回の回顧展は6つの章でできていて
 その冒頭が水木しげるさんのへその緒ですから
 びっくりです。
 びっくりするのはまだまだ早い。
 水木しげるさんの子供時代に描いたという絵画のうまさに
 感嘆。
 水木漫画の原点がここにあったんですね。
 つづいては従軍時代。
 出来がわるかった水木しげるさんは南方の戦場に送り込まれて
 九死一生を得たのは有名。
 戦地から両親に宛てた手紙も展示されています。
 次は貧乏時代。
 腐りかけたバナナを食べていたという有名な逸話や
 紙芝居、貸本時代。
 そして、ゲゲゲの鬼太郎の登場で
 水木しげるさんは一躍人気漫画家になります。
 その時水木しげるさんは40代なかば。
 水木しげるさんの代表作のひとつ
 『悪魔くん』は実写版で
 テレビでも放映されていました。
 放映されたのが1966年ですから
 私が11歳の頃。
 水木漫画とともに大きくなりました。
 下の写真は
 私が今愛用している
 鬼太郎のトートバックです。

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 同じ商品が
 グッズコーナーで販売されていました。

 今回の展覧会では
 水木しげるさんの書斎の再現や
 「ゲゲゲの女房武良布枝さんのインタビュー映像など
 ビジュアルでも充実。
 もちろん、
 水木しげるさんの漫画原稿もたくさん。
 何よりも驚いたのは
 子供時代の絵画だけでなく
 通知表や日記、
 あるいはネタ帳といった思い出の品が
 たくさん残っていること。
 きっと奥さんがとっておいたんでしょうね。
 いい奥さんだな、まったく。

 松屋銀座での回顧展は
 3月20日まで。
 そのあと全国をまわるようですので
 お近くの街に来た際にはぜひ。
 ちなみに
 松屋銀座ではその隣で
 「君の名は。」展も開催していて
 こちらには若い人であふれていました。
 でも、やっぱり私は「ゲゲゲ」がいい。
 年季がちがいます。

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 テレビドラマをたくさん見ている方ではないと思いますが
 それでも今は
 NHK朝の連続テレビ小説「べっぴんさん
 NHK大河ドラマ「おんな城主直虎
 NHKの「精霊の守り人」の3本は
 欠かさず見ています。
 さらに、
 かつてNHKで放映されていた「坂の上の雲」も
 毎週DVDで見ています。
 それだけ見れば十分と言われそうですね。

 ドラマを見ていると
 脚本の力もそうですが
 演出だけでなく音楽とか小道具とかいったことも
 大切だとわかります。
 それになんといっても
 役者さん。
 へたな役者さんだと
 せっかくのドラマも生きてきません。
 そんなドラマ作りの妙を
 人気脚本家大石静さんが語ってくれるトークショーに
 3月5日行ってきました。

 東京・有楽町で開催された
 「第11回FRK住まいと暮らしのセミナー」がそれで
 大石静さんのトークショーは
 その第2部として行われました。
 演題は「テレビドラマの作り手として」。

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 このセミナーには
 これで三回目の参加になります。
 前々回が脚本家の中園ミホさん
 前回が林真理子さん。
 そして、今回が脚本家の大石静さん。
 大石静さんといえば
 NHK朝の連続テレビ小説「ふたりっこ」や
 「セカンドバージン」といったドラマを手掛けた脚本家。
 それに
 今回のお話を聞くまで知らなかったのですが
 かつて作家たちに愛された駿台荘の女将に養女のように
 育てられたそうで
 その中で
 人間というのは多面を持った
 立体的なものであるということを
 学んだそうです。

 そんな大石静さんは
 ドラマはみんなの力で作るものだと
 話されていました。
 ここが小説家と脚本家の大きな違いです。
 大石静さんは
 向田邦子さんの辛口のホームドラマがよかったそうで
 映画だったら
 フランソワ・トリュフォーだそうです。

 大石静さんの話を聞いていると
 かつてのモーレツ社員のような印象があって
 「仕事以外に面白いことはない」なんていう言葉を聞いたら
 現代の人たちは非難しそうですが
 私はわかるような気がします。
 きっと
 大石静さんのような人たちが
 向田邦子さんたちがつくった基盤のようなものを
 さらに進化させ
 守ってきたのではないかしらん。

  死ぬまで現役でいたい。

 大石静さんの自信を感じました。

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 学びの機会というのは
 探してみれば
 たくさんあるものです。
 本を読んだり映画を観たりテレビを見たりするのも
 純粋に楽しむという一面もありますが
 学びの手段としては
 有効です。
 講演会もそうで
 しかも講演会では講演者の生の声、生の表情で
 聴くことになりますから
 学びとしては
 とても面白い。
 ライブ感がなんともいえずにいい。

 そんな講演会を
 2月18日と19日の土日
 連続で聴いてきました。
 ひとつが経済の話、
 もうひとつが文学ですから
 かなり違うような感じもしますが
 よくよく考えると
 大きな水脈はつながっているような感じがします。

 まず18日は
 川越市のウエスト川越という会場で行われた
 テレビのコメンテーターとして最近よく出ている
 岸博幸さんの経済の講演です。
 演題は「これからの日本経済とくらしへの影響」。

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 岸博幸さんは元通産省の役人で
 今では慶応大学の先生だけでなく
 政治のさまざまなブレーンでもあるようです。
 岸博幸さんは
 最近の報道はアメリカの大統領関連のものが多いが
 日本は今他国の心配をしているような状況ではないのではないと
 問題提起していました。
 やはり将来不安があるので
 それを早急に払拭させる政策を準備実行しないといけない。
 それは国家だけでなく
 個人も同じで
 自分の稼ぐ力を高めることが大切と話していました。

 同じようなことではありませんが
 大きな水の流れは同じだと思いますが
 その次の日20日に
 埼玉桶川市にあるさいたま文学館で行われた
 さいたま文学館特別講演会
 第153回芥川賞作家羽田圭介さんの話は
 羽田圭介さんの稼ぐ力の向上だったと思います。

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 演題こそ
 「洗練と他者性」という何やら意味不明のものですが
 芥川賞を受賞してからの
 メディアへの露出度は
 31歳の若者である羽田圭介さんの将来に向けた
 稼ぐ力の種まきであったということです。
 さまざまな経験が
 羽田圭介さんの作家としての意識を高めていったという話で
 岸博幸さんが言いたかったことの
 まさに実践をしているのでしょう。

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 やはり日本という国、
 日本民族と呼ばれる私たちは
 高度成長からバブルを経て
 失われた何十年かで
 まったく新しい人類を生み出したのかもしれません。
 かつて
 新人類と呼ばれた人たちがいましたが
 そういう断層を明確に感じない訳ではありません。
 そんなことを
 考えさせられた2つの講演会でした。

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 キネマ旬報という映画雑誌に
 夢中になった時期があります。
 高校生の頃ですから
 ちょうど映画に一番のめり込んだ時期です。
 そのキネマ旬報が選ぶ
 年間ベストテンは日本の映画界では
 もっとも権威ある賞ともいわれ
 ニュースになるぐらい。
 その表彰式に行きたい行きたいと
 思い続けて
 およそ半世紀。
 ついに念願叶って
 「第90回 キネマ旬報ベストテン 第1位映画鑑賞会と表彰式」に
 行ってきました。

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 場所は東京・文京区にあるシビック大ホール
 開場30分前に着いたのですが
 もうすでにずらーりと列ができています。
 そばで並んでいた人曰く、
 去年は嵐の二宮和也さんが男優賞だったので
 もっとすごかったそうです。
 この日は
 文化映画・外国映画・日本映画の第1位作品の上映もあるので
 昼ごはん持参でがんばりました。

  文化映画  ふたりの桃源郷     87分
   外国映画  ハドソン川の奇跡   96分
   日本映画  この世界の片隅に   126分
 となります。
 映画3本立てのような感じで
 そんな映画の見方も
 学生の頃以来です。
 どの作品もよかったので
 3本続けて観ても
 疲れもしませんでした。
 なかでもよかったのは
 文化映画の『ふたりの桃源郷』だったかな。
 この映画は山での自給自足の暮らしをしている老夫婦の姿を
 20年以上追い続けたドキュメンタリー映画で
 親の介護の問題等
 現代に鋭く、けれど優しい視点で問いかけてくる作品でした。
 こういう映画が
 もっとたくさんの劇場で上映されたらいいのに。

 会場のロビーでは
 歴代のベストテン号の表紙が
 展示されていました。
 記憶に強く残っているのが
 1972年の第46回ベストテン。
 私が17歳の時。
 写真でいうと
 左下のスティーブ・マックイーンが表紙のもの。

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 日本映画の第1位が「忍ぶ川」でした。
 それからたくさんの水が橋の下を流れ、
 今回の90回のベストテン号の表紙が
 こちら。
 主演女優賞宮沢りえさん、
 主演男優賞柳楽優弥さんの写真です。

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 横にあるのが
 記念のトロフィー。
 アップにするとこんな感じ。

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 実はこのトロフィー、
 実際に手にすることができました。
 結構重量があります。
 手にしたら
 すっかり男優賞気分? だったりして。

3作品の映画の上映が終了して
 いよいよ表彰式。

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 今回はなんと
 「この世界の片隅に」で主人公すずの声を演じた
 のんさんがゲストで登場。
 最後にすずの声で
 「ありがとうね」って言ってくれました。
 助演女優賞を獲った杉咲花さんもかわいかった。
 でも、仕事の関係で遅れて入ってきた
 宮沢りえさんが登場してきた時は
 さすがに大輪の花が咲いたように
 しびれました。
 賞の最後は
 読者賞を獲った川本三郎さん。
 川本三郎さんはすでにこの賞を何度も獲られている
 常連受賞者。
 きっと川本三郎さんの映画文章で
 映画が好きになった人も
 たくさんいると思います。

 夢のような一日でした。
 いやあ、映画って
 やっぱりいいですね。

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