08/15/2023 雑誌を歩く - 「文藝春秋」9月特別号:沢木耕太郎さんのエッセイは絶品でした

寝苦しく夜、睡眠不足になりがちのところ
昼寝で帳尻を合わせている。
昼寝は夏の季語にもなっているぐらいだから、
そう感じている人も多いのだろう。
何はともあれと昼寝の枕出す 島谷 征良
そういえば、「金魚の昼寝」という童謡もあった。
「赤いべべ着た 可愛い金魚」という歌詞。
その二番に「昼寝うとうと 夢から覚めた」と
昼寝の気分そのままの歌詞がいい。

今月発売された「文藝春秋」9月特別号に載った
沢木耕太郎さんの「特別エッセイ」を読んだ時。
ご存じのように
この号の「文藝春秋」は芥川賞受賞作の全文掲載の特別号で
第169回芥川賞受賞作、市川沙央さんの『ハンチバック』が載っている。
この作品の場合は2段組みで活字が組まれているが、
「文藝春秋」のほとんどの記事は3段組となっている。
ところが、今回沢木さんのエッセイは
普通の書籍のような活字の組み方、つまり段組みではなく、
しかも活字のポイントも他の記事より大きい。

沢木さんが暮らす街の商店街から本屋さんがなくなっていく姿を描いて、
では自分なら商店街にどんな店舗を置くだろうかと夢想する。
私の夢の商店街には、新刊の書店と古書店が存在してほしい ―
わずか9ページの短いエッセイながら、
分厚い「文藝春秋」のたくさんの記事の中で
もっとも目をひいた作品だった。
まるで夏の日の短い昼寝に見た夢のようであった。
このエッセイを読めただけでも、
「文藝春秋」を購入した価値があるかも。
はるかまで旅してゐたり昼寝覚 森 澄雄

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05/09/2023 雑誌を歩く - 「[月刊モエ」MOE」6月号:今、らんまんな牧野富太郎の大特集です

植物学者牧野富太郎博士をモデルにした作品ですが、
高知篇から活躍の舞台が東京へと移っていくところです。
ちなみに「らんまん」という言葉、
漢字で書くと「爛漫」、
意味は「花の咲き乱れるさま」と『広辞苑』に出ています。
「らんまん」なのは朝ドラのタイトルだけではありません。
本屋さんに行くと、牧野富太郎博士の関連本が
それこそ、らんまん。
そんな中、先日発売になった「絵本のある暮らし[月刊モエ]MOE」6月号も
表紙にドーンと
らんまんな人生をドラマと楽しむ 牧野富太郎
とあります。
さっそく「[月刊モエ]MOE」6月号(930円)を歩いてみましょう。

何しろ、「草木が好きであることが私の一生涯の幸福であった」と
語ったくらいの牧野博士ですから。
まず登場するのが、朝ドラ「らんまん」で主人公の槙野万太郎を演じている
神木隆之介さんのインタビュー。
のっけから読ませます。
牧野富太郎という人物についてよく知らないという人には、
「キーワードで知りたい牧野富太郎のAtoZ」が役に立ちます。
例えば、「B」の項目では朝ドラに出てきた「バイカオウレン」という花のことだったり、
「D」では「Drawing 植物図」といったように
各項目ごとに図版がついてよくわかります。
「植物図」に関していえば、
牧野博士の偉業のひとつが「正確で緻密な植物図を描く」ですから
見ごたえがあります。

簡単な略歴を紹介しています。
94歳まで生きた牧野博士の波乱万丈な人生を辿ることができます。

牧野植物園のある「高知の旅」と
先日私も訪れた東京・練馬の「牧野記念庭園」が紹介されています。

「牧野富太郎の植物図クリアファイル」が付録として付いています。
しかも、このクリアファイルの裏面は
牧野博士が少年時代につくった15の勉強心得が載っています。
例えば、こんなふう。
一 忍耐を要す 忍耐強くあること
二 精密を要す 正確であること
三 草木の博覧を要す 草や木をたくさん観察すること
といったように、15ヵ条になっています。

今月号の「[月刊モエ]MOE」は、絶対お買い得です。

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02/14/2023 雑誌を歩く - 「文藝春秋」3月特別号:芥川賞受賞号ですが、あえて「巻頭随筆」で

さまざまな記事で世の中の動きを伝えてきた雑誌ですが、
忘れてはならないのが、
創刊から続く企画「巻頭随筆」。
名文は、時を越えていく。
これは、先ごろ出版された『巻頭随筆 百年の百選』の
キャッチコピー。
さすがに、うまいなぁ。

「文藝春秋」三月特別号(1300円)の「巻頭随筆」も
読み応え十分。
私の興味のあるものが多かったということでもあるのですが。
先日の2月12日が司馬遼太郎さんの忌日だった菜の花忌でしたが、
司馬遼太郎記念館館長上村洋行さんが書いた
「司馬遼太郎生誕100年からの連想」。
この随筆の中で、昨年の秋に行われた「私の好きな司馬作品」の
アンケート結果に触れられています。
1位が『坂の上の雲』、2位が『竜馬がゆく』、3位が『燃えよ剣』。

元「週刊朝日」編集長の森下香枝さんの「「週刊朝日」休刊に寄せて」。
「週刊朝日」が今年5月に休刊というニュースに
驚いたばかりですので
まさにズバッときた一篇でした。
それにしても、「週刊朝日」の東海林さだおさんの連載がどうなるのか、
気にかかります。

写真家立木義浩さんの「矢崎泰久さんの思い出」。
先日亡くなった矢崎泰久さんは、和田誠さんとともに
雑誌「話の特集」を創刊させた編集者。

大下栄治さんの随筆や
『拾われた男』で話題となった俳優松尾諭さんの随筆など
芥川賞もいいけれど、
「巻頭随筆」だけで語れてしまう「文藝春秋」って
やっぱり、すごい。

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苦手というより、単純に、読むのがヘタだと思う。
単行本とか文庫本の場合だと、最初のページから順に読んでいくのが普通だが、
多分雑誌の場合、そんなにきちんと読む必要がないんだと思う。
なのに、なんだか悪いような気がして(雑誌に)
順ぐりに読もうとするが、
雑誌は多分そんな読み方をしなくてもいい。
もっと自由に読めばいい。
そんな私が多分今まで生きてきて(今日は私の68歳の誕生日だが)、
もしかしたら一番購入して読んでいた雑誌が
映画専門誌「キネマ旬報」ではないだろうか。

出るたびに購入していたお気に入りの雑誌だった。
旬報ということで月2回出るのだが、
当時は毎号映画のシナリオなんかが載っていたり
和田誠さんのエッセイ「お楽しみはこれからだ」があったりして
かなりマメに読んでいたように思う。
少し映画から遠ざかってからも
2月のはじめにでる「ベストテン発表号」だけは買っていたものだ。
残念ながら、持っていた「キネマ旬報」は全部処分して、
今はない。

「キネマ旬報2023年2月下旬キネマ旬報ベスト・テン発表特別号」の話。
つまり、2022年度のベストテンと個人賞の発表がわかる一冊。
日本映画の第1位は、「ケイコ 目を澄ませて」(三宅唱監督)。
これは聴覚障害の女性ボクサーの姿を描いた作品で
主人公を演じた岸井ゆきのさんは
主演女優賞も受賞している。
岸井ゆきのさんは最近の女優として小柄ながら
とても存在感のある女優さん。
ちなみに主演男優賞は沢田研二さん。
主演をつとめた「土を喰らう十二ヵ月」(中江裕司監督)の演技で。
外国映画の1位は「リコリス・ピザ」(ポール・トーマス・アンダーソン監督)。
2022年に話題となった
「トップガン マーヴェリック」は惜しくも2位。

96回。
だとしたら、私が知っているのは
半分以上ということになる。
人生、まだまだ続きます。

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01/03/2023 雑誌を歩く - NHKテキスト「読書の森へ 本の道しるべ:あの本も読みたい!

そんな惹句が書かれているのが
「読書の森へ 本の道しるべ」という
NHKテキスト「趣味どきっ!」の表紙。
この番組は
2022年12月から2023年1月の毎週火曜日に放送されていて
ちょうど半分が過ぎたところ。

「進めば進むほど奥深く、
何を読めばいいのか迷うこともある」。
「そこで道しるべになってくれるのが、8人の「本好き」たち」。
ということで、
番組では8人の「本好き」たちの本棚を見ながら
心に残った本のあれこれを聞くというもの。
ナビゲーターは俳優・モデルの菊池亜希子さん。

角田光代、福岡伸一、ヤマザキマリ、町田樹、(ここまでがすでに放送済)
平野レミ、堀川理万子、鹿島茂、Aマッソ・加納
他人の本棚を見るのは何故かとってもワクワクするし、
その薦める本に驚いたりする。
例えば、角田光代さんが開高健の『輝ける闇』を薦めていたのも
ちょっと意外だったし、
ヤマザキマリさんが安部公房の『砂の女』を何度も読んだというのも
驚いた。

まだまだ読みたい本がわんさと出てくる。
あるいは、わが本棚を眺め、
読み返したい本もたくさんある。
そんなこと思いつつ、
そういえばこのテキストの表紙の惹句は
「いつも本がそばにある。」ではなく、
「いつも本がそばにいる」と、まるで恋人かのようなのに気がつく。

平野レミさん。
2019年に亡くなった和田誠さんの本も
いっぱい紹介されるのか、今から楽しみ。
放送は1月10日火曜夜9時30分から。
NHKEテレですよ。

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