02/14/2023 雑誌を歩く - 「文藝春秋」3月特別号:芥川賞受賞号ですが、あえて「巻頭随筆」で

さまざまな記事で世の中の動きを伝えてきた雑誌ですが、
忘れてはならないのが、
創刊から続く企画「巻頭随筆」。
名文は、時を越えていく。
これは、先ごろ出版された『巻頭随筆 百年の百選』の
キャッチコピー。
さすがに、うまいなぁ。

「文藝春秋」三月特別号(1300円)の「巻頭随筆」も
読み応え十分。
私の興味のあるものが多かったということでもあるのですが。
先日の2月12日が司馬遼太郎さんの忌日だった菜の花忌でしたが、
司馬遼太郎記念館館長上村洋行さんが書いた
「司馬遼太郎生誕100年からの連想」。
この随筆の中で、昨年の秋に行われた「私の好きな司馬作品」の
アンケート結果に触れられています。
1位が『坂の上の雲』、2位が『竜馬がゆく』、3位が『燃えよ剣』。

元「週刊朝日」編集長の森下香枝さんの「「週刊朝日」休刊に寄せて」。
「週刊朝日」が今年5月に休刊というニュースに
驚いたばかりですので
まさにズバッときた一篇でした。
それにしても、「週刊朝日」の東海林さだおさんの連載がどうなるのか、
気にかかります。

写真家立木義浩さんの「矢崎泰久さんの思い出」。
先日亡くなった矢崎泰久さんは、和田誠さんとともに
雑誌「話の特集」を創刊させた編集者。

大下栄治さんの随筆や
『拾われた男』で話題となった俳優松尾諭さんの随筆など
芥川賞もいいけれど、
「巻頭随筆」だけで語れてしまう「文藝春秋」って
やっぱり、すごい。

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苦手というより、単純に、読むのがヘタだと思う。
単行本とか文庫本の場合だと、最初のページから順に読んでいくのが普通だが、
多分雑誌の場合、そんなにきちんと読む必要がないんだと思う。
なのに、なんだか悪いような気がして(雑誌に)
順ぐりに読もうとするが、
雑誌は多分そんな読み方をしなくてもいい。
もっと自由に読めばいい。
そんな私が多分今まで生きてきて(今日は私の68歳の誕生日だが)、
もしかしたら一番購入して読んでいた雑誌が
映画専門誌「キネマ旬報」ではないだろうか。

出るたびに購入していたお気に入りの雑誌だった。
旬報ということで月2回出るのだが、
当時は毎号映画のシナリオなんかが載っていたり
和田誠さんのエッセイ「お楽しみはこれからだ」があったりして
かなりマメに読んでいたように思う。
少し映画から遠ざかってからも
2月のはじめにでる「ベストテン発表号」だけは買っていたものだ。
残念ながら、持っていた「キネマ旬報」は全部処分して、
今はない。

「キネマ旬報2023年2月下旬キネマ旬報ベスト・テン発表特別号」の話。
つまり、2022年度のベストテンと個人賞の発表がわかる一冊。
日本映画の第1位は、「ケイコ 目を澄ませて」(三宅唱監督)。
これは聴覚障害の女性ボクサーの姿を描いた作品で
主人公を演じた岸井ゆきのさんは
主演女優賞も受賞している。
岸井ゆきのさんは最近の女優として小柄ながら
とても存在感のある女優さん。
ちなみに主演男優賞は沢田研二さん。
主演をつとめた「土を喰らう十二ヵ月」(中江裕司監督)の演技で。
外国映画の1位は「リコリス・ピザ」(ポール・トーマス・アンダーソン監督)。
2022年に話題となった
「トップガン マーヴェリック」は惜しくも2位。

96回。
だとしたら、私が知っているのは
半分以上ということになる。
人生、まだまだ続きます。

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01/03/2023 雑誌を歩く - NHKテキスト「読書の森へ 本の道しるべ:あの本も読みたい!

そんな惹句が書かれているのが
「読書の森へ 本の道しるべ」という
NHKテキスト「趣味どきっ!」の表紙。
この番組は
2022年12月から2023年1月の毎週火曜日に放送されていて
ちょうど半分が過ぎたところ。

「進めば進むほど奥深く、
何を読めばいいのか迷うこともある」。
「そこで道しるべになってくれるのが、8人の「本好き」たち」。
ということで、
番組では8人の「本好き」たちの本棚を見ながら
心に残った本のあれこれを聞くというもの。
ナビゲーターは俳優・モデルの菊池亜希子さん。

角田光代、福岡伸一、ヤマザキマリ、町田樹、(ここまでがすでに放送済)
平野レミ、堀川理万子、鹿島茂、Aマッソ・加納
他人の本棚を見るのは何故かとってもワクワクするし、
その薦める本に驚いたりする。
例えば、角田光代さんが開高健の『輝ける闇』を薦めていたのも
ちょっと意外だったし、
ヤマザキマリさんが安部公房の『砂の女』を何度も読んだというのも
驚いた。

まだまだ読みたい本がわんさと出てくる。
あるいは、わが本棚を眺め、
読み返したい本もたくさんある。
そんなこと思いつつ、
そういえばこのテキストの表紙の惹句は
「いつも本がそばにある。」ではなく、
「いつも本がそばにいる」と、まるで恋人かのようなのに気がつく。

平野レミさん。
2019年に亡くなった和田誠さんの本も
いっぱい紹介されるのか、今から楽しみ。
放送は1月10日火曜夜9時30分から。
NHKEテレですよ。

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08/30/2022 芥川賞選評を読む - 雑誌を歩く 「文藝春秋」9月特別号

第167回芥川賞は
候補作5作が全員女性という初めてのことで
話題になっていましたが、
発表のあった際にも
選考委員の川上弘美さんに「女性」と「時代の変化」といった答えを
ひきだそうとしたテレビ局があったと
問題にもなりました。
その際の川上弘美さんの答えは
「女性です、男性ですって一言で言っちゃうところがもう小説的でないような気がするんで…。」と
戸惑っているふうでした。

今月出た「文藝春秋」9月特別号の
受賞作の全文掲載と選評の発表で
なにかそのことに対し、
選考委員からコメントがあるかと期待(?)していたら、
ありました、ありました、
山田詠美選考委員がのっけからズバッと
某報道番組をバッサリ。
題して「世相と時代の怪」。
選評から抜粋すると、
「今回の女性候補者たちは「男女機会均等法枠」で選ばれたのではなく、
小説作品の質が高いから最終的に残ったのである。
小説の出来に「均等」なんてないよ! そこ、ヨロシク。」と、
小気味いい。

今回の事件をスルーして、
選評には一言も書いていない。
そのうえで、今回の受賞作について
「この小説の中の人たちは、生きているのです。
生きているから、矛盾するし、ゆらぐし、へんな時もすっきりした時もある。」と
高評価です。
あの時、川上弘美さんに質問したTV局の人は
もしかしたら小説に登場する人たちよりも生きていないかも。
『おいしいごはんが食べられますように』をしっかり読むといい。

松浦寿輝選考委員の評で
受賞作を「これはほとんど恐怖小説」と讃えている。
なるほど、あの作品をそう読んだか。
だから、小説は面白いんだ。

ほかにも高瀬隼子さんの「受賞者インタビュー」や
「受賞のことば」も載っています。
子どもの頃に通っていた地元の小さな本屋さんとの思い出をからませた
「受賞のことば」は心がホッとする、
いい文章でした。

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08/12/2022 雑誌を歩く - 「文藝春秋」9月特別号:どこから読もうかと迷ってしまう

37年前に520人の犠牲者を出した
日本航空のジャンボ機が墜落した
追悼の日。
1985年のこの日の夕刻、
ジャンボ機が消息を絶ったというニュースは
よく記憶しています。
当時大阪の実家に住んでいて、
実家のテレビでニュースを知ったことまで覚えています。
水曜日に発売されたばかりの
「文藝春秋」9月特別号(1200円)に
ノンフィクション作家の柳田邦男さんの
「悲しみでつながりあう人たちの物語 御巣鷹「和解の山」」という
記事が載っています。
日航機事故の遺族と2011年の東日本大震災の遺族との交流を
柳田邦男さんは綴っています。
その中で、日航機事故の遺族美谷島邦子さんのこんな言葉が
紹介されています。
悲しみでつながる縁というのもあるのよ。
そういうつながりのほうが、
ほんとうに深いつながりかもしれないと思うの。

「文藝春秋」9月特別号は
第167回芥川賞発表号で
受賞した高瀬隼子さんの
『おいしいごはんが食べられますように』が
全文掲載されています。
さらには、
緊急特集と銘打って
7月8日に起こった
安倍晋三元総理の暗殺事件関連の記事が
大きくページを割いています。
今さらながらに
この元総理の毀誉褒貶が激しいですが
そんな中、
作家で数学者の藤原正彦氏の巻頭随筆が
ずばり言い切っています。
タイトルが「内と外では大違い」。
その文末の一節を抜粋。
彼(安倍晋三)の国内での成果は高く評価できないが、
(中略)
安倍晋三は世界の宰相として尊敬されたばかりか、
その温かで思いやりのある人柄が愛された。
日本の政治家として恐らく不出世だろう。

「文藝春秋」9月特別号は特に
読みごたえ十分である。

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