プレゼント 書評こぼれ話

  先日の日曜日(7.11)、
  一冊の本が私に届きました。
  それが今日紹介する、
  重松清さん編著の
  『百年読書会』です。
  たまたま私の感想が掲載されたので、
  ありがたいことに献本されました。
  うふ。
  このブログでも朝日新聞百年読書会」に
  投稿した書評はずっと掲載してきましたので
  もし読まれていない人は
  カテゴリーから「百年読書会」を
  ぜひ読んでみて下さい。
  私の投稿が採用されたのは、
  内田百さんの『ノラや』の回。
  この本でいえば、
  134ページに掲載されています。
  こういう本を読むと、
  まだまだ本好きな人はたくさんいるのだと
  勇気づけられます。
  もっとたくさんの人が本好きになればいい。
  そして、本で豊かな生活が広がればいい。
  そう願わずにはいられません。

  じゃあ、読もう。

百年読書会 (朝日新書)百年読書会 (朝日新書)
(2010/07/13)
重松 清

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sai.wingpen  本でたどる「もう一つの人生」                     矢印 bk1書評ページへ

 朝日新聞日曜書評欄に、一年にわたり掲載されていた読者の「紙上読書会」が一冊に本になりました。
 毎月一冊の課題図書に老若男女の読者がそれぞれの感想を投稿し、それをナビゲーターである作家の重松清さんが巧みにまとめていく、そんな企画です。
 こうして一冊の本になったものを読むとたくさんの読者(投稿の数は一万三千通近くに及び、新聞紙上で紹介されたのはそのうち五七三通だったそうです)がこの「読書会」に参加されているのを実感できますが、活字にはならなかったもっとたくさんの言葉があることに感動します。

 課題図書として選ばれた作品は、太宰治の『斜陽』(ちょうどこの「読書会」があったのが太宰や松本清張の生誕百年の年でもありました)や夏目漱石の『坊っちゃん』、向田邦子の『あ・うん』、開高健の『オーパ!』など十二冊になります。
 この企画に参加した者としてありがたかったのは、大岡昇平の『俘虜記』や内田百の『ノラや』といった名作といわれながら自身読む機会がなかった作品を読むことができたことです。こういったことがきっかけになって、名作を読めたのは貴重な体験でした。

 ひとつの作品でありながら、人それぞれいろんなことを感じ、感想を書く。そういうことを目にすると、あらためて本にはひとつの答えなどないのだと思います。
 それぞれはちがっていてもいい。
 十二歳の少女と九十七歳の女性の思いが重なることはないでしょうが、それでもそれらはどこかでつながっているはずです。あるいは、十代の私が読んだ作品は五十代の今読むとまったくちがう表情をしている。それも不思議ではありません。

 ナビゲーター役の重松清さんは本書の「あとがき」でこう書いています。
 「一編の小説との出会いが「もう一つの人生」との出会いであるとするなら、かつて心に刻んだ小説を年月を経て読み返すことは、「もう一つの人生」をさらにもう一つ増やすことにほかなりません。そして、同じ小説を読んだ別のひとの感想を知ることで、「もう一つの人生」はもっともっと広がっていくでしょう」
 だから、この本のなかに収められているのは、たくさんの人の想いであり、「もう一つの人生」なのです。たった一冊の本を媒介にして。

 私はこの「読書会」でずっと書評句を詠むようにしてきました。
 そして、おそらくこれが「読書会」での最後の一句になります。

  漱石も賢治もありや読書会
  
(2010/07/14 投稿)

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レビュープラス
 朝日新聞日曜読書欄の、
 「百年読書会」(重松清ナビゲーター)が、
 昨日(3.28)の掲載をもって終了しました。
 最後は、ナビゲーターだった重松清さんが
 この1年を振り返るという企画でしたが、
 そのなかにこんな文章がありました。

   感想の文章に「書評句」を添えてくれた人、・・・

 あれ? これって私? ほかにもいたのかもしれませんが、
 少なくともこの「百年読書会」で取り上げられた12冊の本に
 「書評句」を書いてきた一人は(一人かもしれませんが)
 私です。うふふ。
 重松清さん、ずっと読んでいてくれたんだ。
 うれしい。ありがたい。
 そして、こうしてちゃんと書いていてくれて。

 だから、いうのではないですが、
 この企画はよかったですね。
 昔読んだ本、初めて手にした本、さまざまでしたが、
 これがなかったら大岡昇平さんの『俘虜記』や川端康成さんの『雪国』は
 読まずに終わったかもしれません。
 重松清さんも書いていますが、

   本を読むこと、本を読みながら生きるということは、
   未知の世界に足を踏み出すことの繰り返しなのかもしれません。

 ぜひ、またこういう企画をして欲しいものです。
 次は、ぜひ海外文学に挑戦してみたいなぁ。

 なお、この「百年読書会」への投稿総数は12814通。
そのなかで紹介されたのは573通だったそうです。

 この7月には一冊の本になる予定だそうです。
 楽しみにしています。

   さまざまな 本とめぐりて 花遍路  夏の雨

 おつかれさまでした。重松清さん。

   過去の書評句は「朝日新聞 百年読書会」のカテゴリーでお読みいただけます。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日の本は、朝日新聞日曜書評欄の「百年読書会」(重松清ナビゲーター)の、
  3月の課題図書、三島由紀夫の『金閣寺』。
  書評にも書きましたが、これは三島由紀夫の31歳の作品なんですよね。
  年譜を見ると、
  この年には『永すぎた春』も書いています。
  もっとも三島由紀夫が衝撃的な自決で、
  自らの命を絶ったのが45歳の時ですから、
  早熟であったことはわかります。
  もし生きていたら、その後どんな作品を
  発表していたのでしょうね。
  三島由紀夫が亡くなったのは、
  1970年の11月。
  私が15歳のことです。
  高校1年だったかな。
  やはり驚きでしたね。
  その時には、もう『金閣寺』は読んでいたのではないかな。
  今回も書評句つきで
  お楽しみください。

  じゃあ、読もう。
  

金閣寺 (新潮文庫)金閣寺 (新潮文庫)
(1960/09)
三島 由紀夫

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sai.wingpen  天才が残したもの                
  
   金閣や ますぐのびたる 天の河

 この作品は、当時(昭和25年)日本中を驚愕させた実際の国宝金閣寺の放火事件をモデルとしている。事件からわずか五年余りの期間でこれほどに完成度の高い文学作品として発表した三島の、並々ならない筆力と才能に感服する。これは時代におもねる興味本位の物語ではない。事件はあくまでも背景である。三島が描こうとしたのは主人公の心の奥底にある青春の苦悩であり、成長への葛藤である。そして、美と認識についての根源的な問いかけである。
 久々に再読したが、こういう作品を読むと、物語があるだけの現代の作品の薄っぺらさを痛感せずにはいられない。文学を取り巻く事情だけでなく、この作品を書いた時まだ31歳だった三島の天才を称賛すべきなのかもしれないが、私たちは何か重要なものを失ってきたような気がする。似非(えせ)の輝きではなく、主人公の心までも支配した金閣寺の煌きのような、現代の物語が読みたくなる。
  
(2010/02/26 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  先日の「さいたまブッククラブ」で私が紹介したのが
  今日紹介する、開高健さんの『オーパ !』。
  この本は、朝日新聞日曜書評欄の「百年読書会」(重松清ナビゲーター)の、
  2月の課題図書でもあります。
  新聞の予告で『オーパ!』を見つけたときは、
  思わずやったー! って、地上から3センチは浮きましたね。
  大好き開高健さんの代表作ですからね。
  久しぶりに本棚から昔買った文庫本を取り出したての再読ですが、
  こんなに活字が小さかったのかと感じました。
  今、本屋さんで売っている文庫本はどうかわかりませんが
  私がもっている版はとても小さい。
  この本を買ってから、
  たくさんの水が橋の下を流れたので、
  私の視力はすっかり老眼仕様ですからね。
  久しぶりの再読いかがでしたかと、
  先日のさいたまブッククラブで聞かれたのですが、
  それが一番の感想だったかもしれません。
  今回も書評句つきで、お楽しみください。

  じゃあ、読もう。


オーパ (集英社文庫 122-A)オーパ (集英社文庫 122-A)
(1981/01)
開高 健

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sai.wingpen  本はここに完結する                

  この河の 主人はだれぞ 雨蛙

 『オーパ!』は開高健の代表作のひとつでもちろん全集にも収録されているが、できれば高橋の写真がはいった本で読みたい。さらにいえば、文庫本よりも大型本で読むのが最適だろう。
 開高の文章は本作においてもアマゾンのようにどろりとした養分をたたえ、豊穣でかつ俊敏であり、過大ながらも細部を怠らないのであるが、ピラーニャの鋭利な牙はやはり一見に如かず、ドラドの跳躍はその一瞬をとどめえない。
 高橋の写真は開高の文章にあくまでも寄り添い、でしゃばることはない。
 そんなパートナーはもっと評価されていい。だとしたら、読み手の礼儀として、やはり写真付きの本で読んで、感じて、放熱したいところである。そういう読書のありようとして、この作品は稀有な宝石のような作品であるし、開高健の作品ではあるが、すでに作者の手を離れて、これは作品として見事に完結している。
 ひたすら「オーパ!」というしかない。
  
(2010/01/22 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  朝日新聞日曜書評欄の「百年読書会」(重松清ナビゲーター)の、
  新年1月の課題図書は、
  ノーベル賞作家川端康成の『雪国』です。
  冒頭の書き出しはあまり本を読まない人でも知っているほど有名。

   国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。

  この文章のようにあまり有名になると、
  その一行だけで読んだ気分になってしまいます。
  そういう作品は本当は作品として少し可哀想ですよね。
  やはり全文を読んでこそ、
  作品としての価値がでるというもの。
  ぜひ、みなさんもこの機会に
  一度読んでみてはいかが。
  今回も書評句とともにお楽しみください。

  じゃあ、読もう。

雪国 (岩波文庫)雪国 (岩波文庫)
(2003/03)
川端 康成

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sai.wingpen  日本語の見本帖                

  雪国に 居わす男や 天の河
 
 冒頭の有名な書き出しは知っていたが、全文を読むのは初めてだった。駒子、葉子、島村という登場人物の名前は知っていたが、三人の関係を読むのも初めてであった。にもかかわらず、この物語をどのように説明すればいいのだろうか。この三人の関係をどう伝えればよいのか。雪国へと至る国境の長いトンネルが、いつまでも続いている。出口のない、長いトンネルである。
 それでも本作が日本文学屈指の名作と評価されるとすれば、それは美しい情景の描写を措いて他にない。雪国の細やかな風景、かそけき光の内にある闇、夜の帷に燃えさかる火事、そして降りそそぐばかりの天の河。それらが幾重にも縒れ鮮やかな織り糸となり、人の情痴の激しさをも織り込んでいく。それはもはや夢幻の世界である。
 日本語の美しさの見本帖のような作品といっていい。
  
(2010/01/03 投稿)

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