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 2019年10月に亡くなったイラストレーターの和田誠さんのたくさんの仕事の一つに
 「絵本」があります。
 絵本での大切なこととして、
 「まず絵がいいこと。上手じゃなくてもいいから、魅力的な絵。
 面白い流れがあること。物語であっても、感覚的なものであっても、
 あとは展開させるデザイン」と話しています。
 『ぬすまれた月』は、そんな和田さんが初めて手がけた自作絵本です。
 1963年のこと。

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 その時のことを和田さんは後年こう語っています。
 「画家がお話も作るというのが条件でした。ぼくはまだ駆け出しのイラストレーター。
 作と絵の両方をやるのは初めてで自信もなく(中略)ドキドキしながら参加した」と。
 本人はそう言いますが、そんなことはありません。
 この絵本はとてもうまく出来ていて、
 和田さんの言葉を借りるなら「展開させるデザイン」がずば抜けています。

 柱になるのが、空から月をとってきたお話。
 そんな大事な月がある時盗まれて、さまざまな人の手にわたります。
 ご存じのように月は時々で姿かたちを変えるので、
 そのあたりが物語を面白くさせています。
 こんな物語の前後に、月のかたちであったり変化がどのように起こるのかを
 巧みなイラストで説明していきます。
 そのバランスがとてもいい。

 最初の刊行以来、何度かリニューアルされながら読み継がれているのも、
 絵本としても魅力があるからです。
 そう考えると、和田さんにとって「絵本」はとっても大切な仕事だったに違いありません。

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プレゼント 書評こぼれ話

  私が暮らしているあたりでは
  明日8日に小学校も中学校も入学式のようです。
  遅れていた桜もちょうど満開でしょう。

    入学児手つなぎはなしまたつなぐ      右城 暮石

  そんな子供たちに今日は贈りましょう。
  谷川俊太郎さんが文を書き、
  和田誠さんが絵を描いた、
  絵本『ともだち』。
  この季節必ず読みたくなる一冊です。
  この春もまた読みました。
  このブログでも何度か紹介してきました。
  今日は2021年4月に書いたものの
  再録書評で紹介します。

  じゃあ、読もう。

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sai.wingpen  ともだちって何だろう                   

 この絵本は2002年11月に出版されています。
 てっきり新学期が始まる頃に作られたとばかり思っていました。
 それでもやっぱりこの絵本は、入学式や新学期のある春にぴったりだと思います。
 そんな子供たちにそっと読んであげたい一冊です。

 文を書いたのは詩人の谷川俊太郎さん。
 なので、詩を読むように読むのがいい。
 最初に「ともだちって」とあります。
 谷川さんの文を読む前に、少し自分で考えてみましょう。
 「ともだちって」どんな人のことをいうのかな。
 谷川さんが書いたなかに「いっしょにかえりたくなるひと。」とあります。
 あなたも。そうですか。
 谷川さんの文を読んだら、もう一度「ともだちって」何だろうと考えてみるといい。
 その次に出てくるのは「ともだちなら」。次が「ひとりでは」、そして「どんなきもちかな」と続きます。
 この「どんなきもちかな」は、こんな時ともだちはどんな気持ちになっているか、考える問いです。
 「けんか」というのもあります。ともだちだから、いつも仲良しとは限らない。時にはけんかもします。
 「ともだちはともだち」では、「ことばがつうじなくてもともだちはともだち」とあります。
 このあたりから、絵本の世界はぐんと広がってきます。
 最後の「あったことがなくても」で綴られる文は、いろんなことを考えさせてくれます。
 だって、あったことのない世界で生きている人たちのことを考えるのですから。

 和田誠さんの絵がすばらしい。
 話もしたこともないし、もうなくなってしまいましたが、和田誠さんはわたしにとって片思いの「ともだち」みたいな人でした。
  
(2021/04/11 投稿)

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レビュープラス
 東京の桜がやっと咲きました。
 先日の29日の金曜、東京で桜の開花宣言がありました。
 平年より5日遅く、去年からは15日も遅かったとか。
 2月が暖かだったので、今年も開花は早いだろうと誰もが思っていたのに
 3月になってから寒の戻りがあったりして
 当初の予測から随分と遅くなりました。

    人はみななにかにはげみ初桜       深見 けん二

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 こんな季節にぴったりの絵本を見つけました。
 村上康成さんの『そらはさくらいろ』。
 最初のページは、見開きで若草萌ゆる丘に大きな桜の木が三本。
 女の子が地面に寝転がって、空をみています。
 そして、書かれた文章は「さいた さいた、さくらが さいた。」
 そこから、女の子が見ている青空が次々と描かれていきます。
 犬やチョウやカエルたちが女の子に何をしているのと尋ねます。
 女の子はいつも「そらを みてるの。」とこたえます。
 その空にいつのまにやら、たくさんの桜の花びらが舞い始めます。
 青空はそんな桜の花びらで「さくらいろ」になっています。
 村上康成さんの素朴な絵にふっと春の夢を見るようです

 桜は咲き始めたばかりの一輪二輪もいいけれど、
 やっぱり桜は満開がいい。
 咲くのが遅かった今年の桜、どんな光景を見せてくれるだろうか。
 どんな思い出を残してくれるだろうか。

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 何事も前向きにとらえることができる人っているもので
 そんな人に出会うと羨ましくなる。
 自分の性格がポジティブ(前向き)なのかネガティブ(うしろ向き)なのか
 いくつになっても、やはりつい考えてしまう。
 その都度、もっと前を向かないといけないと反省する。
 アメリカの作家リチャード・ジャクソンさんが書いた
 絵本『なんていいひ』(絵は韓国生まれのスージー・リーさん)を読んで、
 ついそんなことを思った。

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 だって、空が真っ黒で、しかも外に出かけることもできないくらいの大雨。
 そんな日に部屋にいる三人のきょうだいは、それでも
 「なんて いいひ」と楽し気に踊っている。
 これってどうみても、ポジティブでしょう。
 しかも、三人は大雨にも関わらず、外に飛び出してスキップまでしちゃう。
 映画「雨に唄えば」のジーン・ケリーみたいに。

 そんな三人の気分そのままに、空はどんどん明るくなって、
 たくさんの子供たちが野原にやってきます。
 世界はいつのまにか躍動感にあふれかえります。
 大雨が降っても、ポジティブに向き合うと、
 この絵本の子供たちのような命にあふれた生き方ができる。
 子供向けの絵本だけど、
 もしあなたが今大雨に閉じこめられているとしても
 前を向けるそんな一冊。

 日本語訳は、歌人の東直子さんです。

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 今日は春分の日
 彼岸の中日でもあって、暑さ寒さも彼岸までとよく言われるように
 このあたりから春の暖かを感じます。
 その一方で、この有名な俳句。

   毎年よ彼岸の入に寒いのは      正岡 子規

 季節の変わり目を実感できる、いい俳句です。

 そんな日だからこそ、読みたい絵本を紹介しましょう。
 甲斐信枝さんの『ちょうちょ はやくこないかな』です。
 甲斐さんは2023年11月30日に93歳で亡くなっていますが、
 晩年NHKのテレビで自然と向き合う姿を紹介されて、
 たくさんの賛辞を得た絵本作家です。
 その時のドキュメンタリーのタイトルに「足元の小宇宙」とあったように
 甲斐さんの視線はいつも足許をやさしくとらえています。

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 この絵本でもそうで、野の花に集まってくる幾種類もの蝶や
 野の花の数々。
 それらの名前をすべていえないのが残念で、
 きっとまだまだ甲斐さんの絵本に教えられることがいっぱいあったのにと思うと、
 やはり残念でなりません。

 春になって、きれいに咲いたからちょうちょが飛んでこないかと待ちわびる野の花。
 でも、ちょうちょはきまって違う花のところにいってしまいます。
 そんな野の花のさびしさがとてもうまく描かれています。
 だからこそ、最後にやっとちょうちょがとまってくれた喜びが
 あふれんばかりです。

 春。
 足元で小さな命の営みが満ちているのを感じたいものです。
 甲斐信枝さんのように。

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