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 2001年9月11日、その日起こった事件のことはよく覚えています。
 事件を伝えるTV中継のその最中に、また一機の航空機が
 背の高いビルに突っ込んで、ビルは崩壊します。
 3000人近い人が亡くなり、25000人以上が負傷した
 世界を揺るがす大事件です。
 のちにアメリカ同時多発テロと呼ばれます。
 この時崩壊したのが、
 ニューヨークにあったワールドトレードセンターの高層ビル2棟でした。
 今はこの二つのビルを見ることはありません。

  

 2つのビルが完成間近の、1974年8月7日の朝、
 2つのビルの間に張られた一本のロープを
 綱渡りで渡った男がいました。
 この絵本『綱渡りの男』(作 モーディカイ・ガースティン)は、
 その青年フランスの大道芸人フィリップ・プティ
 どのように綱を張って、
 綱の上でどんなパフォーマンスをしたかを描いた作品です。
 翻訳をしているのは、映画評論家の川本三郎さん。
 川本さんが絵本の翻訳(この絵本は2005年刊行)をしているのは知りませんでしたが、
 そういえば、この絵本はまるで映画を観ているような
 大胆な構図と大きな画面が伝わるように工夫されています。

 この絵本は単に綱渡りという大道芸を描いた作品ではありません。
 今はなくなった2つのビルのことを思い出し、
 ビルがなくなった原因に思いをはせることです。
 そして、そのあとに起こる憎しみの連鎖のことも考えてみましょう。
 同時多発テロを知らない多くの若者たちに
 この絵本は静かに問いかけているように感じます。

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 絵本『11ぴきのねこ』シリーズは、作者馬場のぼるさんの代表作でもあるし、
 絵本の世界でも長く愛されてきた名作でもある。
 馬場のぼるさんは1927年生まれで、
 戦後まもなく手塚治虫福井英一ととも「児童漫画界の三羽ガラス」と呼ばれたという。
 ただ、児童漫画が次第に過激になっていくのを嫌った馬場さんは
 やがて絵本の世界に魅了されていくことになる。
 そして、誕生したのが『11ぴきのねこ』シリーズだ。

  

 この『11ぴきのねことぶた』はシリーズ3作めの作品として
 1976年に発表された。
 いくら人気のシリーズといえ、
 そんな昔の絵本をどうして手にしたかというと、
 この物語に「台風」がでてくるからだ。
 絵本は四季折々の魅力を楽しめる媒体でもあって、
 季節に合った物語を楽しめる出版物でもある。
 季節は9月。
 9月といえば、「台風」。
 図書館の司書の方に「台風」が出てくる絵本を訊ねて
 出してくれたのが、この絵本だった。

 旅の途中で、壊れかけの古い家を見つけた11ぴきのねこたち。
 誰も住んでいないのをいいことに、
 ここに泊まろうと、みんなできれいに片づけます。
 そこにぶたさんがやってきて、おじさんの家を訊ねます。
 この古い家がそうだったんですね。
 ねこたちは、ここは自分の家といいはります。
 ぶたさんは仕方がないので、近くの丘の上に家を建て始めます。
 あまりにきれいにできたので、ねこたちは今度はそこが自分たちの家だと言いだして。
 ひどいねこたちですが、そこに台風がやってきて…。

 身勝手なねこたちですが、
 憎めないのは馬場さんの絵だからこそでしょう。

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 9月に入りました。
 今週金曜日は二十四節気のひとつ白露
 暦の上では季節がしっかりまわっています。

    姿見に一樹映りて白露かな       古賀 まり子

 そうはいっても
 まだ残暑はきつくて、夏気分から抜けきれません。
 ということで、急いで紹介したいのが
 あべ弘士さんの『』という絵本。
 2023年7月に出た新しい一冊です。

  

 あべさんは北海道旭川市に生れた、いわゆる道産子のひとり。
 この絵本は少年時代のあべさんが見た「夏」が描かれています。
 セミが鳴き、チョウが飛ぶ。
 機関車が行ったり来たりしている。
 畑の中の一本道を自転車で行く少年は、あべさん自身だろうか。
 虫に夢中の少年の夏休みももうすぐおわる。
 彼にはこの夏にどうしても見ておきたいチョウがいる。
 オオヒカゲチョウ。

 どんなチョウなのか、
 読者はあべさんが描く姿で知ることになる。
 少年が見たのは、羽一面の地図。
 少年が住む町。あるいはやがて、少年がでていくだろう広い世界。
 一瞬垣間見える、少年が見た夏の日の夢。
 なんと多くの色に満ち溢れた世界だろう。
 誰もが経験する「夏」。
 あべさんはそんな経験を一冊の絵本に仕上げてくれました。

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 犬や猫、小鳥といったペット類は私たちの身近にいる動物です。
 牛や馬、鶏といった家畜類も、私たちの生活に欠かせない動物です。
 では、動物園で飼育されている動物たちはどうでしょう。
 やっぱり私たちの生活を潤わしてくれる動物たちに間違いありません。
 そんな動物園の動物たちが時にとてもひどい仕打ちを受けることがあります。
 それは、戦争の時。
 動物園にいるライオンなどの猛獣は処分された悲しい体験があります。
 日本で6番めに開園した古い動物園である熊本市動物園(現在は「熊本市動植物園」でも、
 戦争中に同じことがありました。
 そして、戦争以外にも地震などの大きな災害の時、
 動物園は休園しなくてはいけない時があります。

  

 絵本『あしたの動物園』(作 野沢悦子/絵 いたやさとし)は
 2016年4月14日と16日に起こった熊本地震で休園を余儀なくされた
 熊本市動植物園がどう動き、どう再開していったかを描いた物語です。
 そして、動物たちを一時的に避難させた際に
 戦時中の悲しい話も描かれていて、
 動物園と私たちの関係性がきちんと描かれていきます。

 野坂さんの文章は丁寧な取材と熊本市動植物園の協力もあってとてもわかりやすく、
 それでいてきちんと物語となっています。
 そして、いたやさんの絵は動物たちの姿だけでなく、
 動物園の飼育員の皆さんや来園客の楽しそうな表情もほのぼのとして
 物語ととてもよく合っています。

 たくさんの時を経て、動物園の姿も動物たちとのかかわりも変化しています。
 この絵本から「あしたの動物園」を夢見るものいいかもしれません。

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 今年の夏休みも終盤になりました。
 宿題がおわった子も、まだ終わっていない子も、
 早く学校に行きたいと思っている子も
 もっと夏休みがあればと思っている子も、
 それでも夏休みはやっぱり終わってしまいます。
 今年の夏休みはどうでしたか。
 お盆の帰省の時期に台風がやってきて、
 大変だったという子もあれば、
 コロナ禍で会えなかったおじいちゃんとかおばあちゃんに会えて
 楽しかったという子もいるでしょう。

  

 楽しかった、そんな夏休みの思い出を
 麻生知子さんの『なつやすみ』という絵本で追体験してみてはどうかな。
 この絵本では
 こうたくんの家にいとこのゆうこちゃんととしのぶくんの家族がやってくる
 そんな場面から始まります。
 こうたくんの家にはおばあちゃんも一緒に住んでいるから
 ゆうこちゃんの家族は帰省してきたのです。
 3人の子供たちは服の色のちがいで描かれています。
 見開きで描かれる家の中とか広いプール、近所の神社のおまつりで
 子供たちやその家族のみんなを探すのも面白い仕掛けのようになっています。
 色使いや視点の違いで、楽しみが倍増されるのが実感できます。

 いとこのゆうこちゃんたちがやってきて
 楽しんだこうたくん、
 ちゃんとそのことを絵日記に書いています。
 裏表紙を見たら、こっそり読めますよ。

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