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 絵本を書く人は、絵本作家と呼ばれますが、
 最近ではそうではない、異業種の人の参入が多くあります。
 そういう人たちの絵本は、文のみの提供で、
 絵は専門の人が描いていることがほとんどです。
 この『あんまりすてきだったから』は、
 『氷柱の声』で第165回芥川賞候補になったくどうれいんさんが
 文を書いています。
 くどうさんは作家ですが、俳人でも歌人でもあったりしますから、
 言葉に対しての感性がとても高いのだと思います。

   

 この絵本でも、物語の途中とちゅうに、おもしろい言葉がはさまっています。
 例えば、テレビで見た歌手の歌声が「あんまりすてきだったから」、
 こんちゃんという女の子は歌手に手紙を書きます。
 ポストまで歩く女の子についた言葉が、
 「てってこてこ てってこてこ たててととっ!」です。
 意味があるような、ないような。
 そんな言葉が、物語の進行とともに、たくさん出てきます。
 物語は前へ前へ動いていくから、面白い。
 この絵本では、こんちゃんの手紙とともに、前に進みます。
 くどうさんは、そういう物語の面白さをよく心得ています。

 絵は、みやざきひろかずさんが描いています。
 絵のタッチから、あ、この人、『ワニくんのおおきなあし』を描いた人だと
 気がついた人は、
 かなり絵本通です。

 文のプロと絵のプロがあわさって、いい絵本ができました。

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 絵本が描く世界は、とても広い。
 メルヘンもあれば、コミックのような表現もある。
 怪談もあれば、神話の世界も、落語噺もある。
 赤ちゃんの視線で描かれることもあれば、老人問題だってある。
 そして、この絵本『ぼく』は、子どもたちの自殺を描いた作品だ。

    

 「ぼくは しんだ」という、一文から始まる。
 文を書いたのは、詩人の谷川俊太郎さん。
 「じぶんで しんだ/ひとりで しんだ」と、続く。
 男の子がひとりで夜空を見ている絵に、この文がついている。
 絵は合田里美さんが描いている。
 激しい絵ではない。むしろ、淡い色合いが男の子の感情のようで、切ない。

 この男の子「ぼく」にも、夢があったはずだけど、死を選んでしまう。
 絵本の巻末に「編集部より」という一文がついていて、そこにはこうある。
 「「ぼく」がなぜこのような選択をしてしまったのか。どうしたら、生きることができたのか。
 それを考えることが「ぼく」がどう生きたかを、そして、どう生きたかったかを考えることでもあります。

 子どもたちの自殺の問題は難しい。
 まして、それを絵本で表現するのは難しい。
 絵本を読む前に、まず巻末の「編集部より」で制作者の意図を理解し、本文を読み、
 そしてもう一度巻末の文を読む。
 ひとりでなく、みんなと読んで、意見を交換する読み方もいいかもしれない。

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プレゼント 書評こぼれ話

  明日9月19日は敬老の日

    敬老の日のわが周囲みな老ゆる        山口 青邨

  この山口青邨の俳句はしみじみ感じる年齢に
  私自身がなりました。
  やっぱり高齢者ともなれば
  敬老の日の対象なのでしょうか。
  穏やかな老人になりたいものですね。
  今日は、そんな高齢者の人にも読んでもらいたい絵本を
  紹介しましょう。
  ミーシャ・アーチャーさんの『いい一日ってなあに?』。
  私のいい一日は
  こんないい絵本を読めたり
  天気のいい日に畑で農作業をしたり
  そんな日でしょうか。

  じゃあ、今日もいい一日を。

   

sai.wingpen  素敵な絵本を読んだ日は、いい一日                   

 世界は同じではありません。
 国の大きさも違うし、肌の色、話す言葉も違います。
 年をとった人たちもいれば、生まれたばかりの赤ん坊もいます。
 男の人もいれば女の人もいます。そういう性にとらわれない人もいます。
 好みだって違います。
 犬を好きな人、猫が好きな人、小鳥が好きな人もいれば、とかげやへびが大好きだっていう人もいます。
 世界は、そんなふうにまったく違うなかで出来上がっているのです。

 アメリカのミーシャ・アーチャーさんという女性が書いた『いい一日ってなあに?』(原題は『Daniel’s Good Day』)を読んで、そんなことを思いました。
 近所の人たちの仲良しの小さな男の子ダニエル君は、おばあちゃんのおうちに向かう道すがら、みんなにこう声をかけて歩きます。
 「いい一日って、なあに?」
 屋根のペンキをぬっている人は、「はれわたった空」と答えます。
 凧あげをしている人は、「おだやかな風が吹いている日」といいました。
 お隣の老人夫婦は、「公園のこかげのベンチで休む時」と教えてくれます。
 訊く人みんな、どれひとつ同じ答えはありません。
 ダニエル君と一緒に街を歩くと、よくわかります。
 この世界は、みんな違ってもいいんだと。

 絵本のおしまい近く、おかあさんに「どんな一日だった?」と訊かれて、「すっごく いい一日だったよ!」と答えた時のダニエル君の、笑顔がとってもかわいかった。
  
(2022/09/18 投稿)

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 「はだし」という言葉で思いだすのは
 1964年の東京オリンピックのマラソンで金メダルをとった、
 エチオピアのアベベ選手
 その前回大会のローマで「裸足のランナー」として有名になった。
 アベベをまねしたわけではないだろうが、
 昭和30年代の小学校では、
 運動会の徒競走になると、はだしで走る子が何人もいたものだ。

 さすがに今ではそういう子どもも見かけなくなったし、
 そもそも屋外ではだしになることも
 海水浴とか水遊びぐらいしかないのではないか。
 現代人は裸足で土を楽しむことを忘れてしまっている。

    

 村中李衣(りえ)さん文、石川えりこさん絵の
 絵本『はだしであるく』は、
 裸足で歩くことを忘れた私たちに
 裸足で歩くことの楽しさを思い出させてくれる。

 畑ですいかを盗み食いしていたカラスを追いかけているうちに
 はだしになった女の子。
 雨あがりの畑の土はぐにゃりとしている。
 はだしのまま、アスファルトの道へと追いかけて、
 ちがった地面の感じはおもしろい。
 公園の土や川のなかの感触、みなそれぞれちがう。
 やがて、女の子は風の気持ちになったようにもなる。
 大きく描かれた、女の子の顔の表情がいい。
 絵本の魅力を感じとれる瞬間といっていい。

 こんな絵本を読んだあとは、
 そっとはだしになって、地球にふれたい気分になる。

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プレゼント 書評こぼれ話

  先日絵本作家の長谷川義史さんの展覧会の図録でもある
  『とびだせ!長谷川義史』という本を
  紹介しました。
  その中に「著作リスト」があって
  絵本だけでなく
  長谷川義史さんが翻訳された絵本も
  紹介されています。
  今日紹介する
  韓国の絵本作家ペク・ヒナさんの『ピヤキのママ』も
  長谷川義史さん訳の絵本ですが、
  2022年5月に出たばかりなので
  そこには出てきません。
  長谷川義史さんの一番新しい
  翻訳絵本ということになります。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  ペク・ヒナさんには珍しい手描き絵本                   

 絵本作家長谷川義史さんは、絵本だけでなく絵本の翻訳も多く手掛けています。
 しかも、長谷川さんの翻訳絵本は、大阪弁まるだしの翻訳になっていて、そんなことあらへんと思いながら、結構ハマります。
 ジョン・クラッセンさんの絵本のとぼけた味も、長谷川さんの大阪弁によく合います。
 韓国の絵本作家ペク・ヒナさんの、ちょっと驚くような展開も、長谷川さんならでは翻訳と相性抜群です。

 この『ピヤキのママ』は、2011年の韓国で出版されたペク・ヒナさんの絵本です。
 ペク・ヒナさんといえば、自称「人形いたずら作家」と呼んでいるように、人形のさまざまな表情の瞬間でとらえた奇抜な絵本作家として有名です。
 代表作に『あめだま』や『天女銭湯』などがあります。
 ただ、この『ピヤキのママ』はちょっと雰囲気がちがいます。
 この作品はちょんとした(もちろん、人形を使った絵本もちゃんとしていますよ)手書きの絵でできています。
 この絵本の作者紹介の中にも「本書は珍しく手描き作品。」と説明されています。

 でも、話の展開は、ペク・ヒナさんの世界。
 何しろ嫌われ者のふとっちょ猫「ニャンイ」がたまごを食べたら、ひよこになって生まれてきたという、とんでもないお話。
 そのひよこの名前は「ピヤキ」。
 いつの間にか「ニャンイ」は「ピヤキのママ」と呼ばれるようになる、いいお話なんです。
 なので、この作品の長谷川義史さんの訳は、とってもまじめ。
 それも、またいいんです。
  
(2022/09/04 投稿)

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