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プレゼント 書評こぼれ話

  年末に本棚の片づけをしていると
  2009年4月に発行された
  「岩波ジュニア新書読書ガイドブック」なる
  小冊子がでてきました。
  この時創刊30年だったそうで
  だったら昨年2019年は
  岩波ジュニア新書創刊40年だったわけです。
  30年記念のキャッチコピーは

    これからも、キホン

  きっとこれは40年になっても
  変わらないと思います。
  今日は
  そんな岩波ジュニア新書から
  2019年11月に出た
  佐藤郁良さんの
  『俳句を楽しむ』を
  紹介します。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  岩波ジュニア新書で俳句入門                   

 人間、どんなきっかけで変われるかわからない。
 岩波ジュニア新書ということであるから中高生向きの新書だから、著者が現役の高校の先生であっても問題はないが、この新書の著者である開成高校の国語の先生である佐藤先生は俳人の顔も持っている。
 しかも、俳人になったきっかけというのは、先生になって10年めの2001年、「俳句甲子園」のイベントに生徒たちを引率したところからだという。
 「俳句甲子園」は今ではすっかり有名になった高校生の俳句イベントだが、2001年当時はそれほどでもなかったようで、佐藤先生が勤務している開成高校の生徒なら俳句がつくれるだろうほどのお誘いではなかったか。
 結果、この時の大会は準優勝。さすが開成と誰もが認める成績を残します。
 しかし、彼らはそれで満足しなかった。
 そんな生徒たちの熱意に動かされて、佐藤先生もまた俳句にのめり込んで、やがて俳人となって、この新書のように中高生向きの俳句入門書まで執筆するようになる。

 そんな佐藤先生が書いた俳句入門書だが、実にわかりやすい。
 第1章では開成高校俳句部の活動などを紹介し、第2章の「俳句を鑑賞する」から俳句の基本である「切れ字」や「取り合わせ」や「表現技巧」を解説し、第3章では「季語の世界」をじっくりと綴っている。
 そして、第4章「実作への一歩」からいよいよ作句、最後の第5章で「句会」や「吟行」などで「俳句を楽しむ」と世界を広げる。

 岩波ジュニア新書ならではのわかりやすさ。
 俳句入門にはうってつけの一冊だ。
  
(2020/01/11 投稿)

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  昨日まで
  轡田隆史さんの『100歳まで読書』の話を書いていましたが
  そもそもあれは
  人生100年時代を見すえた本で
  今日紹介する
  吉竹純さんの『日曜俳句入門』も
  それに関係するかも。
  というのも、
  この本は岩波新書ですが
  その表紙見返しにこの本の概要が短く載っているのですが
  その終りにこうあります。

    人生を百年生きて、俳句あり。

  これからもっと人生100年関連本が
  出て来るのでしょうね。
  いやいや、読んでいる私が
  そのフレーズに関心を持つ年齢になったのかも。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  「日曜俳句」で人生100年を楽しもう                   

 俳句を上達させるには結社とか句会に参加し、先生の指導のもと切磋琢磨するのがいいのだろうが、いかんせん敷居が高い。
 そこで、「日曜俳句」はどうだろう、と勧めているのが、この新書である。
 では、そもそも「日曜俳句」とは何か。
 この本でもまずそこが第1章のタイトルになっているぐらいだから、まさに入門書といえる構成になっている。
 それによると、新聞や雑誌といった「メディアなどへの投句を端的にあらわす言葉がなかった」ので、著者が考えついたのが「日曜俳句」。
 各新聞には「俳壇」「歌壇」が付き物で、今は各紙ばらばらなようだが、昔は日曜の新聞に掲載されていたからついたネーミング。
 なんといっても、著者の吉竹純氏は元電通マンのコピーライター。そういう才には長けている。

 吉竹氏は「日曜俳句」の魅力として「俳壇の大御所が、手にとって見てくれる」ことを挙げている。
 名前の通った俳人に自らの句を審査してもらうことなどめったにないから確かにそれは魅力なのだが、なんといっても競争率が半端ない。
 朝日新聞の「朝日俳壇」の場合、投句の数はおよそ5千というからすごい。
 採用されて紙面に載るには、この競争を勝ち取ることが必要だ。

 だから、「日曜俳句」は不採用の連続という試練をいかに乗り越えるかということが大事になってくる。
 この本では第3章の「日曜俳句の続け方」が参考になるだろう。
 その中で俳人の正木ゆう子さんの言葉を著者は引用している。
 「たゆまず作って出して、結果に頓着しないこと。人の良い句を楽しむこと。それこそが俳句の心」。
 「日曜俳句」も大変なのだ。
  
(2019/12/28 投稿)

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  今日は
  二十四節気のひとつ、小雪

     小雪といふ野のかげり田のひかり    市村 究一郎

  この節気、
  「歳時記」にはほとんど内容が書かれていなくて
  ただ「二十四節気の一つで、11月22日ごろにあたる」とだけ。
  実にそっけない。
  まあ字を読めばわかるでしょ、ぐらいな。
  そう雪がちらつくそんな候。
  今日は「俳句絵本」を
  紹介します。
  俳句を詠んだのはねじめ正一さん。
  絵を描いたのは五味太郎さん。
  クレヨンハウスが出版しています。
  タイトルは『みどりとなずな』。
  これは俳句の気分で読むのが
  いいのかな。
  それとも絵本を開くようにかな。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  俳句だって絵本になる                   

 「俳句絵本」です。
 書かれているのは俳句ですが、句集ではなく「俳句絵本」です。
 俳句が絵本になることよりも、俳句さえ絵本にしてしまう絵本の懐の深さに驚いてしまいます。
 俳句を詠んだのは詩人で『高円寺純情商店街』で第101回直木賞を受賞した作家でもある、ねじめ正一さん。
 絵を描いたのは絵本作家の五味太郎さん。
 五味さんといえば独特のタッチで数多くの絵本を描いてきた有名な絵本作家ですが、この絵本はそんな五味さんのタッチではなく、ねじめさんの俳句をじゃますることなく、それでいて俳句と寄り添いながら、絵だけ見てても俳句の世界に入れる、そんな世界観になっています。

 この絵本で詠まれている俳句は全部で30句。
 ねじめさんのお母さんの看護のさまが詠まれています。
 例えば、こんな句。「病院の母と二人の雛祭り」。
 ベッドで酸素マスクをつけている母を見るのは息子として辛いでしょうが、こうして俳句になればどこか突き抜けた感じがします。
看護の甲斐空しくお母さんは2017年9月に亡くなります。
 その時詠んだ句。「九月の酸素マスクの母が逝く」。
 こんな句が続きます。「みどりの名酸素マスクの紐に書く」。
 タイトルの「みどり」はお母さんの名前だったのです。

 では、「なずな」。
 お母さんが逝ったあと、ねじめさんに孫娘が生まれます。
 その子の名前が「なずな」。
 詠んだ句が「母逝ってなずな生まれる宇宙あり」。
 そんないのちの句に五味さんは色と形だけで応えている、そんな「俳句絵本」です。
  
(2019/11/22 投稿)

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  今日は立冬
  北の方からは初雪の便りも
  届くようになりました。

     立冬や昨日につづく朝かな     稲畑 汀子

  今日はこの句の作者稲畑汀子さんの
  『俳句を愛するならば』を
  紹介します。
  書評に書いた「俳句の作り方 十のないないづくし」を
  せっかくなので書き留めておきます。

    ① 上手に作ろうとしない。
    ② 難しい表現をしない。
    ③ 言いたいことを全部言わない。
    ④ 季題を重ねない。
    ⑤ 言葉に酔わない。
    ⑥ 人真似をしない。
    ⑦ 切字を重ねない。
    ⑧ 作りっ放しはいけない。
    ⑨ 頭の中で作りあげない。
    ⑩ 一面からのみ物を見ない。

  なるほど。
  納得の十条でした。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  俳句は新しい発見                   

 雑誌「ホトトギス」といえば、今では俳誌として有名だが、明治の時代愛媛松山で創刊されたそれを東京で引き継ぎ、編集に携わったのが高浜虚子だ。
 夏目漱石の名を一躍有名にした『吾輩は猫である』が載ったのも「ホトトギス」であったように初期の頃は文芸誌のような構成であった。というのも、虚子が一旦俳句の世界から遠ざかったことが要因でもある。
 そんな虚子が俳壇に戻ったのが大正になってからで、以降「ホトトギス」は俳壇で大きな位置を占めることになる。

 稲畑汀子さんは高浜虚子の孫にあたる。
 父親が虚子の子年尾で、虚子のあとを継いで「ホトトギス」主宰となり、汀子さんはその父のあとを継いで主宰、そして現在は汀子さんの息子である稲畑廣太郎さんが次の主宰となっている。
 稲畑汀子さんは名誉主宰である。
 こうして名前だけを連ねても虚子の世界がいかに大きかったかわかるし、「ホトトギス」の影響の深さも想像できる。
 汀子さんはかつて「NHK俳壇」の選者でもあり、そのテキストにも連載記事を綴っていた。
 それがこの本の「選句という大事」と「句会の力」で、これに「ホトトギス」に綴った「俳句随想」が合わさって編まれている。
 そういうことでいえば、これこそ「ホトトギス」の本髄といえるかもしれない。

 汀子さんは「俳句は理屈ではない」という。
 「興味を持って物を見る心をいつも若々しくしていなければ俳句はできないだろう」と続ける。
 この本にはそんな汀子さんが作った「俳句の作り方 十のないないづくし」が載っている。
 きっと作句の参考になるに違いない。
  
(2019/11/08 投稿)

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  昨日は猛暑も一段落して
  二十四節気の処暑
  納得いったという人も多かったのでは。
  雨があがって
  蝉の鳴き声がやかましいくらい。

     たちまちに蜩の声揃ふなり     中村 汀女

  この俳句の季語は「蜩(ひぐらし)」。
  秋の季語。
  単に「蝉」だと夏の季語になるので
  気をつけないといけません。
  こういうように
  季節をよく見、感じるところに
  俳句の面白さがあるように思います。
  今日は堀本裕樹さんの
  『ひぐらし先生、俳句おしえてください』という
  俳句入門書を
  紹介します。

  じゃあ、読もう。

  
sai.wingpen  小説仕立てだが、いたって真面目な俳句入門書                   

 俳句の入門書は多い。
 有名な俳人がそれぞれの観点から入門書を手がけている。
 そんな中でも、この本は異色かもしれない。
 まずは小説仕立てになっている。次に俳句雑誌(「NHK俳句」)に連載されていたので各単元が短いこと、それに季節がうまく取り込まれている。
 著者の堀本裕樹さんは1974年生まれで、俳句結社の主宰でもある。さらには小説家又吉直樹さんや歌人の穂村弘との共著もあって、気鋭の俳人だ。

 物語には二人の人物が登場する。
 一人は萩谷ひぐらしという俳句の先生。もう一人が山吹もずく君という、ひぐらし先生のところに押しかけた弟子志望の若者。(実はこの二人の名前が俳句の世界でいう、季重なりという季語が二つはいっているという珍しい名前)
 ひぐらし先生のところに俳句の勉強に来るもずく君は料理が得意で、先生のところに来るたびに季節の料理をこしらえるのも、この入門書の「おいしい」ところ。
 どんな料理が書かれているかといえば、栄螺のつぼ焼きに始まり、鮎の塩焼き、牡丹鍋、田楽、鱚の天婦羅、といった具合。
 どれもがお酒との相性がいい料理というのもおかしい。

 もちろん俳句の入門書であるから、歳時記とはどんなものかに始まって「切れ」や「写生」。「一物仕立て」に「取り合わせ」といった俳句特有のもの、「地名の活かし方」「間違いやすい文法」「比喩表現」など細かいところにまで目が届いている。
 最後は句会、吟行まで描かれる。
 たくさんの名句も場面場面で紹介されていて、読みやすさ勉強の楽しさ、どれをとっても秀逸だ。
  
(2019/08/24 投稿)

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