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 小さな訃報であったが、気がついた人も多かったと思う。
 「人気スパイ映画「007」シリーズのテーマ曲「ジェームズ・ボンドのテーマ」を作曲した、
 英国の作曲家モンティ・ノーマンさんが11日、亡くなった」(日刊スポーツから)
 「007」の冒頭、このテーマに合わせて颯爽と登場するボンドにどんな魅せられたことか。
 それほどに映像と音楽は切り離せられない関係といっていい。
 「「映画音楽」こそ、言い換えれば「映画」そのもの。」と、
 『映画音楽はかく語りき』の著者志田一穂さんはいう。
 誰にだって、耳が覚えている映画はきっとあるはず。
 モンティ・ノーマンさんはそんな耳が覚えた映画音楽を生み出した一人だった。

  

 本は普通「はじめに」から読み始める。
 志田さんのこの本も「はじめに」から読んだ。
 本の構成として1984年当時の14歳の自身(志田さんは1970年生まれ)をタイムマシーンに乗せて
 「映画音楽」の歴史を巡る旅に出ると書かれていて、
 その文体が軽くて、そのノリで読み始めたが、それがどうだろう。
 映画音楽誕生の1895年から実に巧みに映画と映画音楽の歴史をまとめ上げた、
 映画の教科書ともいえる一冊に仕上がっている。

 ヌーベルバーグもアメリカン・ニュー・シネマも、
 そのあとに登場するスピルバーグもルーカスも
 さらには最近のアベンジャーズまで網羅。
 しかも、日本映画にも言及しているのだから、映画論としては完璧。
 もちろん、ページ数に限りがあるからコンパクトではあるが、
 この一冊で映画と映画音楽が歩んできた道がわかるはず。
 もちろん、モンティ・ノーマンさんの名前も載ってる。

 映画のことをもっと知りたいという人には
 オススメの一冊である。

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 ブックガイド本やこの新書のような映画ガイド本がいい本かどうかは、
 紹介されている数や内容ではなく、読者に読みたいとか観たいといかに思わせるかどうかだろう。
 それでも、ガイドの書き手と趣味嗜好が全く同じということはないから、
 全部が全部読みたい観たいということにはならない。
 野球選手の名バッターでも打率が3割を越えればすごいように、
 まずは3割でも読みたい観たいと思ったら、その本は読者にとっては名ガイド本といっていい。

  

 この『定年後に見たい映画130本』の場合、タイトルには130本とあるが、
 それ以外にもオススメ映画とか文章にちょこっと触れられたものも含めれば316本になる。
 その3割だとした90本以上だが、
 さすがにこの本を読んでたちまちTSUTAYAにDVDを借りに行こうと思ったのはそこまでには届かない。
 本を読みながら、TSUTAYAのDVD在庫を確認したのは何本かあったのも事実だが。

 この本の著者勢古浩爾さんは『定年後のリアル』という著作がヒットしたせいで、
 ご自身の意向はどうあれ出版する側からすれば、「定年後」という看板をかけたくなるのはわかる。
 それに、定年後は時間があると思われているから、映画はバンバン観れるはずというのもわかる。
 でも、「定年後」の読者なら自分なりの観たい映画はきっとあるはず。
 その参考のために読んでみるのが、おそらくこの本の一番の活用方法かもしれない。

 「本と映画はわたしの趣味の両輪」という勢古さんと、
 どれだけ嗜好が合うか試してみるのも面白いだろう。
 少なくとも私の場合、「冒険者たち」(1967年)のジョアンナ・シムカスが大好きなのは同じだった。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は二十四節気のひとつ、
  夏至

     地下鉄にかすかな峠ありて夏至       正木 ゆう子

  昼間が一年中で最も長い日と
  誰もが教わったことがあると思います。
  つまり、
  それは同時にこの日を境にして
  昼が短くなってくるということ。
  そうやって
  日日の生活が繰り返し営まれていきます。
  今日は
  国書刊行会から復刻版として刊行されている
  和田誠さんの
  『愛蔵版 お楽しみはこれからだ PART2』を紹介します。
  和田誠さんが映画雑誌「キネマ旬報」に連載していた頃から
  ずいぶん歳月が流れました。
  あの頃は人生の峠を目指して
  えっちらおっちらのぼっていました。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  みんな和田誠さんが大好きだった                   

 2022年1月から刊行が始まった、和田誠さんのこのシリーズは「愛蔵版」とはなっているが、最初に刊行された当時のままの完全復刻本として貴重だ。
 シリーズの2巻めとなるこの本の場合、最初の刊行が1976年だからほぼ半世紀前で古本屋でもなかなか見つけられないのではないだろうか。
 だから、こうして国書刊行会が復刻本で出してくれて、きっと若い読者は喜んでいるに違いない。

 唯一当時の仕様と違うとすれば、今回の出版では付録の「栞」がついていることだ。
 「PART2」では、音楽プロデューサーでもあるミュージシャン小西康陽(やすはる)さんが一文を寄せている。
 小西さんのプロフィールをみると、音楽活動がメインだが、実は大学卒業時には日活の助監督試験を受験したほどの映画ファンでもあって、学生時代は名画座を見まくって年間200本ほどの映画を観ていたらしい。
 1959年生まれの小西さんだから、リアルタイムで「キネマ旬報」に連載されていた和田誠さんのこのシリーズを読んでいたと推測し たりする。
 残念ながら、今回の「栞」にはそんなことは書かれていない。
 書かれているのは、、和田誠さんばりの小西康陽版の「お楽しみはこれからだ」で、川島雄三監督作品からの「名セリフ」が多いのも、なんだか当時の映画青年ぽくて、微笑ましい。
 ここにも、和田誠さんの教え子(!)が一人いた。
  
(2022/06/21 投稿)

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  映画の長いエンドロール。
  映画館などで途中で退場していく人もいるようです。
  昔の映画は
  スタッフや配役などは本編が始まる前に
  流れていたものですが
  最近はほとんど最後。
  しかも、その人数はすごい。
  映画は総合芸術と言われますが、
  あの長いエンドロールに登場する皆さんの
  知恵と努力で出来上がっているのです。
  今日紹介する森下典子さんの
  『青嵐の庭にすわる 「日日是好日」物語』は
  映画化された「日日是好日」の原作者である
  森下典子さんが体験された
  映画製作の現場の記録です。
  映画に匹敵する面白さです。
  明日は映画「日日是好日」の話をしましょう。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  「モテ期」は嵐のように                   

 「モテ期」という言葉があります。異性から愛されることが多くなる時期のことを指すようで、人生には2度か3度「モテ期」があるそうです。
 相手が異性とは限らなくて、もしかしたらそれは長い人生にもあって、誰にでも人生の「モテ期」と思われる事柄があるように思えます。
 森下典子さんの場合も、還暦を迎えて、まさに人生の「モテ期」になったのではないでしょうか。
 そして、本書はベストセラーとなった森下さんのエッセイ『日日是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』の映画ができあがるまでのメイキング・エッセイですが、読みようによっては「モテ期」の幸福な時間の記録ともいえます。

 そもそもエッセイ『日日是好日』が最初に出版されたのは2002年。それから6年経って文庫にはいったものの、大きな話題になったわけではない。
 文庫化から10年めの2018年秋に大森立嗣監督による映画化で、映画も書籍も大ブレークとなります。
 森下エッセイの中でお茶の先生役を樹木希林さんが演じ、公開前にして亡くなられたことももしかしたら時の運なのでしょうか。
 樹木希林さんの最後の演技に誰もがほおっと吐息をついたことでしょう。

 森下さんにとって、子供時代にテレビで見知った女優さんと交流をもつことも考えなかったでしょう。
 まして、自身のエッセイの映画化が高い評価を得たことも。
 本作の「青嵐」は、森下さんにとって映画製作現場を表現したものですが、それは「モテ期」という嵐の中にいることでもあります。 
  
(2022/04/22 投稿)

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  本を処分するのは
  難しい。
  古紙回収で出すのはちょっと気がひけるが
  それでも随分多くの本を
  古本屋さんとかに持っていったものです。
  それでも、
  この本だけは持っていたいと手放さずに
  書棚でけっこう日に焼けて
  それでもずっと持ち続けている本があります。
  そんな本のひとつが
  和田誠さんの『お楽しみはこれからだ』シリーズ。
  2022年1月に
  国書刊行会から愛蔵版として
  復刊されました。
  今日はその本の紹介です。
  いい本に再び光があたるのは
  やっぱりうれしい。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  ちょっとしたささやかな記憶                   

 出版社の事情は読者にはわからないもので、いつの間にか本屋さんの店頭に消えていたり、つまりは絶版になっていたりする。
 イラストレーターで大の映画ファンでもあった和田誠さんが、1973年から23年という長い期間、時々はお休みもあったが、映画雑誌「キネマ旬報」に連載していた「映画の名セリフ」を和田さん独特のイラストレーションとともに紹介した映画エッセイ全7巻の、最初の巻が出版されたのが1975年。
 この時の出版社が文藝春秋。
 この本がどれだけ売れたかわからないが、その後文庫に入ることもなかったのはどういった事情だったのだろう。
 けれど、このエッセイ集が文庫にはなじまないというのもあって、イラストの魅力が半減するとか注釈の文字が小さくなるだろうとか、それもまたいいように思っていた。

 ところが、この名作が、だってあの当時映画青年だった多くの若者が和田さんのこのシリーズでさらに映画にはまりこんだはずで、いつの間にか世の中の本屋さんから消えていたなんて。
 それが、今回うれしいことに、オリジナルのまま復刊されることになったのが本書。
 出版社は国書刊行会。
 各巻に書きおろしとなるエッセイが栞の形ではいっている。
 第一巻めの栞エッセイは、村上春樹さん。
 和田さんとは自身の著作の装丁など関係の深かった村上さんだから、どんな面白い話が読めるか楽しみにしていた。
 「ちょっとしたささやかな記憶」の話。
 まるで、この本そのものがそうであったと、今は思える。
  
(2022/03/25 投稿)

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