fc2ブログ
 歌人でもあり作家でもある東直子さんの名前を
 近頃書店の店頭でよく見かける。
 つまりは、多くのファンがいる歌人・作家ということだろう。
 そんな東さんが自身で観て、心を揺さぶられた映画やドラマについて
 自身によるイラストと短歌、そしてエッセイを収録したのが
 本書『魚を抱いて 私の中の映画とドラマ』である。

   9784394980087_1_3_convert_20240410164320.jpg

 エッセイが綴られた作品は21篇。
 例えば、こんな作品。
 「2001年宇宙の旅」「ビッグ・フィッシュ」「トニー滝谷」「いつか読書する日」、
 ドラマでは「火の魚」「あまちゃん」「平清盛」(大河です!)など。
 そんな映画やドラマに誘発されて詠まれた短歌はどんなものか。
 朝ドラで人気が高い「あまちゃん」でいえば、
 「何度でも生まれかわって海になる棘を育てて咽喉を鍛えて」とある。
 紹介されている作品と短歌の、この距離感がなんともいえない。
 それはイラストでもそうだ。
 むしろ、一番わかりやすいのがエッセイともいえる。
 そのあたりのことを、東さんは
 「それぞれの作業は脳の使いどころが違うようで」と書いている。

 東さんはまた映画館で過ごした時間をこう表現している。
 「映画館独特の、少し甘い匂いのするあたたかな薄闇は、非日常へ誘われる心の旅」だと。
 映画好きならではの同じ匂いがする、こんな言葉がうれしいエッセイ集だ。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 この本は、2023年12月12日から2024年3月24日にかけて
 国立映画アーカイブで開催された「和田誠 映画の仕事」の展覧会図録だ。
 昔は展覧会図録は会場で購入しないと買う機会を逃したものだが、
 最近は展覧会終了後であっても、
 書店で購入したり図書館で読むことができたりするから、うれしい。

   9784336075796_1_2_convert_20240316201257.jpg

 この展覧会は実際会場に足を運んだが、
 こうしてあらためて図録を開くと、
 やはり和田誠さんの凄さを実感できる。
 和田さんは「映画評論家」ではなく、「映画ファン」であることを標ぼうしてきたが、
 この図録に収められた俳優たちの似顔絵や映画のワンシーンのイラストは
 「ファン」ゆえの愛がつまっているように思える。
 だから、和田さんの映画に関するイラストやポスター、さらには装丁を見ていると
 映画好きの人とまるで会話を楽しむような気分になる。
 さらに、和田さんが作った映画だって、
 映画ファンならではの魅力にあふれた作品になっている。

 和田誠さんが亡くなったのは2019年。
 時の経つのは早いもので、
 それでもこうして和田さんが描いた数々の映画タイトルがあるのはうれしいが、
 和田さんが亡くなって以降の新しい作品を
 和田さんのイラストで見れないのが残念だ。
 今回アカデミー賞作品賞を受賞した「オッペンハイマー」なんかは
 和田さんのイラストに似合いそうだが。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 この本、タイトルは『18歳までに子どもにみせたい映画100』だが、
 決して「子どもにみせたい」だけではない。
 むしろ、「100歳までにおとなにも子どもにもみせたい」の方が合っている。
 それほどに、この本に紹介されている映画は多彩で、
 思わず次観なくちゃと控えたくなる。
 しかも、タイトルには「100」とあるが、
 紹介された作品に関連した映画が「おまけ」としてタイトル2本ついているから、
 実質的には300本の映画が紹介されていることになる。

  9784048976497_1_2_convert_20240202201242.jpg

 著者の有坂塁さんは移動映画館の館長でもあり、
 自身小さなお子さんがおられるとのこと。
 そんなお子さんを見ていて、
 「次の時代を作っていく人にとって“道標”となるような映画本を作ろう」と決意し、
 できたのがこの本。
 だから、この本を読んで、面白そうだと感じた映画こそ、
 自分の道を示す「道標」にちがいない。

 この本が素敵なのは、有坂さんの解説が読みやすいだけでなく、
 映画のシーンが描き下ろしイラストとして出ていること。
 描いたのは、タイ在住のイラストレーター・Eaowenさん。
 この人のイラストを見ているだけでも、
 映画が観たくなるくらい。
 あなたなら、この本からどんな映画を選びだすでしょう?
 「いやあ、映画って本当に良いもんですね」、って
 映画評論家水野晴郎さんの名セリフは、いまも使える。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 初めて洋画と呼ばれた外国映画を繁華街の大きな映画館で観たのは、
 1970年4月公開の、バーバラ・ハーシー主演の「去年の夏」という映画だった。
 それほど高い評価を受けていない青春映画だが、
 この映画が自分にとっての映画への入り口となったことは間違いない。
 15歳。高校に入学して間もない、春のことだ。
 「世界の見え方が変わる100本」と副題のついたこの本のタイトルが
 『14歳からの映画ガイド』で、
 私もちょうどこの頃映画に魅了されていったことを思うと、
 14歳や15歳という多感な時期だからこそ、映画から受ける影響は大きいのかもしれない。

  9784309617541_1_5_convert_20231223091431.jpg

 この本ではさまざまな分野で活躍する25名の人たちが
 「14歳に観てほしい映画」を紹介し、さらにプラス3本が載っている。
 例えば、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーは
 1979年の「リトル・ロマンス」(ジョージ・ロイ・ヒル監督)を紹介し、
 プラス3本として「マリアンの友だち」「シベールの日曜日」「罠にかかったパパとママ」が
 一行書きのコメントとともに載っている。

 紹介してくれる人は、作家の朝井リョウさんや桜庭一樹さん、
 映画監督の岩井俊二さん西川美和さんや犬童一心さんなど
 もしかした14歳の人たちにとっては知らない人も多いかもしれないが、
 書かれた映画の紹介などを読んでこれはと感じた一本ぐらいは
 実際に観てみることをオススメする。
 もしかしたら、それがきっかけとなって映画にはまってしまうかもしれない。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 この『仁義なきヤクザ映画史』にある著者伊藤彰彦氏の肩書を見ると、
 「映画史家」とあって映画評論家とはなっていない。
 個々の作品の鑑賞を主眼としてではなく、
 歴史のなかの大きな潮流として「ヤクザ映画」が論じられている。

  

 概要で示せば、
 1910年代に江戸後期に実在した国定忠治などを題材に作られはじめ、
 1930年代には長谷川伸原作の股旅ものは多く撮られる。
 戦争を挟んで、1950年代にヤクザ映画も復活。
 そして、1960年代空前のヤクザ映画ブームとなる。
 おそらく初期の頃のヤクザ映画は時代劇の流れの中で作られたもので、
 実際私たちがヤクザ映画ですぐさま頭に浮かぶのは
 鶴田浩二高倉健の二大スターを輩出した東映任侠映画だろう。
 世代でいえば、戦後の団塊の人たちが熱狂したといえる。
 ただ、このブームも10年ほどで終焉を向かえ、
 1970年代に「仁義なき戦い」(1973年)が作られ、「実録ヤクザ映画」へと
 シフトしていく。
 しかし、社会はヤクザを排除する動きを強め、
 映画のジャンルとしてのヤクザ映画もかつてのようなブームは影をひそめる。

 伊藤氏はそんな100年余と続いたヤクザ映画を丹念に見ていく。
 ヤクザ映画を否定するのではなく、存在した意味を評価する姿勢がうかがえる。
 惜しむらくは、藤純子江波杏子、あるいは「極道の妻たち」シリーズなど、
 女性が活躍したヤクザ映画の考察があってもよかったように思うし、
 これだけの労作であるから主な作品を年表形式で俯瞰したかった。

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ