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プレゼント 書評こぼれ話

  今日紹介するのは
  映画監督の是枝裕和さんが
  樹木希林さんにインタビューしたものを集めた
  『希林さんといっしょに。』です。
  表紙の樹木希林さんの写真がいいですね。
  中に、樹木希林さんが
  向田邦子さんについて語っている箇所が
  随所にあって
  若い時は随分仲がよかったそうです。
  それが向田邦子さんがシリアスになっていくと
  交際が途絶えていく。
  そのあたりの経緯をもう少し聞きたかったですが
  大人の微妙な関係があるのかな。
  是枝裕和さんが樹木希林さんにこだわったのは
  母親の姿を重ねたからかもしれません。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  「女優」樹木希林さんを読む                   

 令和という新しい元号に変わった2019年の出版界において、「樹木希林」というワードは特筆すべきだった。
 一体どれだけの関連本が出たのだろう。その中には思った程売れなかったものもあっただろうが、すべての総数でいえばすごい数になったことは間違いない。
 そんな中、関連本としてはなんとも遅い出版(初版は2019年9月)となった本書であるが、女優樹木希林としてのインタビューを集めた点では他にはない「樹木希林」を読めるだろう。

 聞き手は晩年の樹木希林の主要な作品のメガホンを撮り続けた映画監督の是枝裕和氏。
 是枝氏が2007年に希林さんと初めて出会ってから2018年に亡くなるまでの間に雑誌「SWITCH」で行ったインタビューをまとめたもので、樹木希林さんが信頼を寄せていたということもあるだろうが、二人の会話が生き生きと弾むようである。
 中でも第5章「出会いと別れと」と題された2016年3月のインタビューでは希林さんの怪演技のもととなった森繫久彌さんや長い間コンビを組んだ久世光彦さんとの楽しい時間、そして向田邦子さんとの思い出などとても興味深かった。
 早い晩年を迎えた向田さんは最終幕では希林さんが登場するドラマを書いていない。
 もし向田さんがもっと生きていたら、晩年の希林さんが登場するドラマを書いていたかもしれない。
 そんな想像さえ許される、いいイタンビューだと思う。

 この本には多くの「註」がついていて、それも読ませる。こんなに楽しく「註」を読んだことはない。
 そして、最後には是枝氏が記した「弔辞」も掲載されている。
  
(2020/01/14 投稿)

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  今日は紹介するのは
  和田誠さんの『ブラウン管の映画館』。
  「ブラウン管」というのが
  時代を感じさせます。
  1991年に出た本。
  さらに驚いたのは
  最後に載っている著者略歴の欄。
  「1936年生まれ。多摩美術大学卒業。」から始まり
  「中学の頃から映画ファンであった。
  1960年代から映画に関する絵入りエッセイを書き始める。」と
  至って丁寧。
  その最後に、
  なんと住所が載っている。
  1991年頃にはまだ住所なんか載せていたんだと
  ちょっと驚きました。
  それはともかく
  素敵な言葉をこの本で見つけたので
  書き留めておきます。

    人間、必ず齢をとるし、やがて死ぬと決まっている。
    しかし人は仕事を残す。

  まさに和田誠さんのよう。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  お楽しみはこの本もだ                   

 今年(2019年)10月に83歳で亡くなったイラストレーター和田誠さんが1991年にダイヤモンド社から刊行したのが、この本。
 あの名著『お楽しみはこれからだ』は1975年に出て、この時点では4冊揃っていたようだ。
 表紙や裏表紙の装幀はなんだか『お楽しみはこれからだ』に似ているが、あちらが一本の映画から名セリフを抜き出して紹介しているのに対して、こちらの方は当時のテレビで放映される予定の作品を和田さんが紹介していくというものになっている。

 もともとは1987年9月から1990年10月まで,当時出ていたテレビ番組紹介雑誌「テレビ・ステーション」に80回連載されていたものだ。
 今や「ブラウン管」のテレビなど見なくなったから、このタイトルだけでも理解できない人もいるだろうし、最近地上波テレビではあまり映画の放映をしなくなってもいる。
 もっぱらBSCSで映画が堪能できる。(私なんかはこれだけずっと映画を放映されていても絶対全部観られないなと思っているのだが)
 なので、「心配なのは、TVで放映される映画のカットの問題」なんて書かれても、今の人には理解できないだろうが、映画ファンには当時結構深刻な問題でもあった。
 それと吹き替え。今では字幕放送は当たり前、あるいは逆に吹き替えの方がちゃんと伝えているということもあったりする。
 そんなことを思うと、たくさんの水はやっぱり橋の下を流れていったのだ。

 80回分にはそれぞれ1枚、和田さんの素敵なイラストがついていて、それだけ見てても楽しい一冊だ。
  
(2019/11/29 投稿)

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  今日は
  ちょっと前紹介しました
  『町山智浩・春日太一の日本映画講義 戦争・パニック映画編』に続いて
  『町山智浩・春日太一の日本映画講義 時代劇編』を
  紹介します。
  実はこの本で紹介されている
  五社英雄監督の「人斬り」(1969年)を最近CS放送で
  観たばかりでしたので
  この本ではまずその章から読みました。
  この映画には
  あの三島由紀夫が結構重要な役どころで出ていて、
  切腹のシーンなんかもあったりします。
  動く、あるいは演じる三島由紀夫を見られる
  貴重な時代劇でもあります。
  主人公の岡田以蔵を勝新太郎が演じているのですが
  どうも岡田以蔵っぽくなかったな。

  じゃあ、読もう。



sai.wingpen  あなたは『七人の侍』を観たか                   

 最近本格的な時代劇映画を見かけなくなった。
 目につくのは「決算!忠臣蔵」(中村義洋監督)とか「超高速!参勤交代」(本木克英監督)といったような現代風の視点を取り入れた時代劇が多く、かつて黒澤明監督や内田吐夢監督が描いたような作品は少なくなった。
 その理由はいくつかあるだろうが、かつての三船敏郎や勝新太郎、萬屋錦之助といったちょんまげが似合う俳優が減ったこともあるだろうし、舞台設定などにお金がかかるせいもあるだろう。
 今やTVの世界ではNHKぐらいでしか時代劇を見ることはほとんどない。

 そんなことは十分承知しながら、やはり熱く時代劇を語る男たちがいる。
 映画評論家の町山智浩さんと時代劇研究家(!)の春日太一さん二人による、この本は丁々発止の時代劇映画賛歌なのだ。
 ここで取り上げられているのは、なんといってもまずは黒澤明の『七人の侍』。つづいて、内田吐夢監督の『宮本武蔵』五部作、三隅研次監督の『剣』三部作、映画版『子連れ狼』シリーズ(映画で主役を演じたのは若山富三郎)、原田芳雄が出演した異色の時代劇『竜馬暗殺』ほか。そして最後は五社英雄の『御用金』『人斬り』。

 お二人が語れば、単に作品論ではなく監督論でもあり俳優論でもあり、あるいは照明やカメラマンといったスタッフ論でもあり、裏話あり歴史の真実ありと、映画を二重三重にも面白くさせてくれること間違いない。
 きっと三船敏郎や勝新太郎を知らない世代の読者であっても、時代劇の面白さは伝わるにちがいない。
 まずはレンタルショップに走ろう。
  
(2019/11/28 投稿)

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  昨日野村正昭さんの
  『デビュー作の風景』という本を
  紹介しましたが
  そこにも書きましたが
  その頃の「キネマ旬報」の
  「読者の映画評」で活躍していたのは
  野村正昭さんと
  寺脇研さん。
  そこで
  今日は
  寺脇研さんの『ロマンポルノの時代』を
  再録書評で紹介します。
  2012年の書評ですが
  思いっきり
  当時のことを書いていますね。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  青春時代のまん中は道に迷っているばかり                   

 私にとって、本書の著者寺脇研さんは思い入れのある映画評論家です。
 私が高校生の頃、かれこれ40年も前のことです、いっぱしの映画青年きどりで映画専門誌「キネマ旬報」を愛読し、その「読者の映画評」コーナーにせっせと投稿していた頃、そのコーナーの常連が寺脇研さんでした。
 当時寺脇さんもまだ高校生だったのではないかなぁ。しばしば掲載されていましたから、私のような投稿者とは随分質のしっかりした内容だったような気がします。(本書にはその当時の投稿記事も掲載されています)
 社会人になり私はあまり映画を観なくなって寺脇さんのことも忘れていたのですが、偶然にも文部省の役人になったあとの寺脇さんの講演を聴く機会がありました。
 小さな会でしたので、そのあと懇話みたいな会があって、寺脇さん本人と話す機会があって投稿時代の話をしましたが、もちろん寺脇さんは数回しか採用されなかった私のことなど知りませんでした。
 私にはあの頃のことがただただ懐かしく、あの頃はまさに「映画の時代」であり、「ロマンポルノの時代」だったのです。そう、1971年からの数年間は私にとって「青春時代」そのものでした。

 日活ロマンポルノがスタートしたのは、1971年11月。
 経営に行き詰った日活が苦肉の策としてはじめた企画でした。
 たくさんのスターを輩出し、数多くの名作を生み出した日活が低予算でしかもエロ映画まがいの作品をつくるということで、所属のスターだけでなく多くの人材が外部に流出してしまいます。皮肉にもそのことがロマンポルノに勢いをつけました。白川和子、片桐夕子、山科ゆり、宮下順子といった女優だけでなく、神代辰巳や田中登といった名監督が誕生しました。
 映画作りの若いエネルギーは映画にも力を与えましたし、若い映画ファンや映画評論家は喝采をもって迎えました。当時の「キネマ旬報」がそれに大いに貢献したことは、本書でつぶさに検証されています。

 また、この本では従来あまり評価されていないロマンポルノの後期の作品にも光をあてています。現在の日本映画を支える監督たちがロマンポルノを契機として誕生している事実は、日本映画史にとってロマンポルノは特筆すべき作品群であったことを証明しています。
 また寺脇さんはポルノ作品では裏方でもある男優や脚本家にも目をそそいでいます。
 「ロマンポルノの時代」を生きたものにとっては青春の思い出のような、一冊です。
  
(2012/08/30 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日の書評にも
  ちょこっと書きましたが、
  私も70年代前半の映画雑誌「キネマ旬報」の
  「読者の映画評」への投稿者でした。
  なので、
  今日紹介する『デビュー作の風景』の著者
  野村正昭さんの名前は
  とても印象に残っています。
  私にとって
  青春の一ページのような投稿記事ですが
  野村正昭さんは
  それを職業にしたのですから
  すごいことだと思います。
  この本の絵は
  やはり「キネマ旬報」の投稿者だった
  宮崎祐治さん。
  映画監督の素敵な似顔絵がいっぱい見られます。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  青春のしっぽをひきづって                   

 今年(2019年)創刊100周年を迎えた映画専門誌「キネマ旬報」は、映画監督大森一樹に言わせれば「あの頃のキネ旬は僕らの映画の学校だったなあ」ということになるらしい。
 1952年生まれの大森監督が言う「あの頃」とは1970年代の頃だろう。
 73年の「キネマ旬報」の「読者の映画評」に投稿していた大森青年は20歳、そしてこの本の執筆者である野村正昭氏は18歳。
 野村正昭氏は「あの頃」の「読者の映画評」の常連採用者の一人だった。当時「キネ旬」を愛読していた私にとって、野村正昭という名前は憧れで、もう一人の常連採用者が寺脇研氏で、お二人が今でも映画評論家として活躍されていることに羨望の思いがある。

 野村氏の紹介プロフィールに「年間鑑賞映画本数1000本を超え、日本で一番映画を観ている映画評論家」とある。
 映画は邦画洋画合わせて年間1200本近く封切られているそうだが、さすがの野村氏も完全制覇とまではいかないにしても、映画が好きで好きでたまらないのに違いない。
 そんな野村氏だからこそ描かれたといえる、「日本映画監督77人の青春」。
 そもそもが「キネマ旬報」での連載だったそうで、残念ながら100人には足りなかったが、この本では紹介されなかった監督も多いことだし、続編を期待したいところ。

 勝手をいえば、やはり今や日本映画を牽引しているともいえる是枝裕和監督が入っていないのはもったいない。
 さらに今人気絶頂の白石和彌監督も知りたい。
 もちろん、野村氏も書いているように藤田敏八監督や若松孝二監督にも登場願いたかった。

 「映画監督の青春」は映画に夢中になっていた私たちの青春につながっている。
  
(2019/11/05 投稿)

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