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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は今話題の本
  本橋信宏さんの
  『全裸監督 村西とおる伝』を紹介します。
  村西とおるさんといえば
  黒木香さんが主演した
  「SMぽいの好き」というアダルトビデオが有名。
  この作品が出たのが
  1986年.
  ビデオだって一家に一台という時代に
  まだなっていなかったかも。
  アダルトビデオの監督の半生を描いた作品が
  話題になっているのは
  これもNetflixという
  新しい媒体のせいともいえる。
  時代は常に新しいものを
  求めています。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  なんともナイスなタイトルです                   

 我が家にある「広辞苑(第五版)」の厚さはおよさ8㎝。
 AV監督村西とおるの波乱にとんだ半生を描いたこの本の厚さはおよそ4㎝。
 ナイスです。
 「広辞苑」が枕なら、こちらは昼寝用かも。
 ファンタスティックな夢が見れそう。

 この作品は最近山田孝之さんの主演でNetflixで映画化された話題作の原作。
 若い読者にはその方がわかりやすいが、ビデオ創生期にアダルトビデオに触れた読者なら当時「AVの帝王」と呼ばれた村西とおるの作品を一度は見たのではないだろうか。
 ベーカムという重い業務用の撮影カメラを自ら担ぎ、BVDの白いパンツ姿で、あの独特なセリフ回しで女優たちに迫る男。
 まさにこのタイトルそのものである「全裸監督」。
 なんとインパクトのあるタイトルをつけたものか。

 村西とおるは1948年福島で生まれた。いわゆる団塊世代の一人である。
 団塊世代の多くがこの国の高度成長を牽引したように、村西もある意味時代を引っ張った一人であることは間違いない。
 ビニ本、裏本、で何億というお金を稼ぎ、摘発されるや出始めたばかりのアダルトビデオの監督になり、ここでも荒稼ぎをする。
 しかし、度重なる逮捕で前科7犯、さらには放漫経営の果てに50億円の負債を抱えることになる。
 まさにジェットコースターのような人生を歩んだ男だからこそ、読んでいる方からすればドラマのように面白い。

 作者の本橋信宏氏は1956年生まれ。
 一時期村西とおるとの接点もあり、間近で村西の狂気ともいえる生活を見てきた。
 そんな本橋氏は「保存されざる文化こそ私が活字で残しておかなければ」と綴る。
 村西とおるの半生もまた「保存されざる文化」なのだろう。
  
(2020/03/25 投稿)

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  今日は昨日の朝ドラつながりで。
  現在放映中の朝ドラ「スカーレット」も
  いよいよ終盤で
  感動の回が続いています。
  そして、次の102作めの朝ドラは「エール」。
  そのモデルが今日紹介する
  五十嵐佳子さんの
  『金子と裕而』の古関裕而さん。
  なので
  この本は朝ドラのための
  予習のようなものです。
  といっても
  私は予習本はすでに2冊めですね。
  早くも
  次の朝ドラが楽しみで
  しょうがありません。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  こんな素敵な名前だからこそ                   

 最近は減っているようだが、一頃子どもに「キラキラネーム」をつけるのが流行っていた。そういう名前は小さい頃はよく似合っているが、年を重ねていくと違和感が出てくるのではないかと懸念していたがどうだろう。
 「金子」(きんこと読む)といい名前はよく見るとこれ以上の「キラキラネーム」はないような気がする。何しろ「金」、ゴールドだもの。
 そんな名前がついた女性が、愛知県豊橋にいた。明治45年に生まれた女の子だ。
 幼い頃は「かねかね、コガネムシ」や「金庫番」などとからかわれたという。
 ただ中国の人からは「高貴で縁起が良くて素晴らしい」と褒められたらしい。
 そんな金子さんは成長して後、まさに金のような男性と結婚することになる。
 それが裕而さん。
 夏の高校野球の定番「栄冠は君に輝く」や1964年の東京オリンピックの行進曲など数々の名曲を作曲した、古関裕而である。

 この小説は裕而の妻となった金子の視点で描かれた二人の物語である。
 二人が結婚するまでの経緯が現代とかなり違って面白い。
 裕而は明治42年福島に生まれた。
 若い頃から作曲家を目指していた福島の裕而の元にある日会ったこともない愛知の女性から手紙が届く。裕而があるコンクールで入賞した、それを祝う内容だった。
 名前は金子。さぞかし裕而は驚いたに違いない。
 しかし、彼は律儀に返事を返す。
 それをきっかけにして、二人は何度も文通を重ね、それが恋になり、ついには結婚にまで至るのであるからすごい。

 戦中戦後と古関裕而の曲にどれだけ多くの日本人が癒されたことだろう。
 まさに彼女は名前の通りの人生を歩んだ女性なのだ。
  
(2020/03/13 投稿)

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  「ゲゲゲの女房」は
  2010年上半期に放送された
  NHKの朝ドラです。
  漫画家水木しげるさんの奥さん武良布枝さんの
  同名エッセイを原案に作られたもので
  それまで低迷していた朝ドラ復活の
  きっかけとなった作品です。
  そのドラマを見ていなかったのですが
  秋から冬にかけて
  再放送がされて
  やっと見ることがことができました。
  そこで
  あらためて水木しげるさんの人生が気になって
  手にしたのがこの本。
  『ねぼけ人生』。
  いやあ、なんともうらやましい生き方でしょう。
  こんな時代だから
  余計にそう感じるのかもしれません。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  落ちこぼれは別の世界の優等生かも                   

 漫画家水木しげるさんが亡くなったのが2015年秋。93歳のご長寿の全うだった
 自身がその半生を綴ったこの本の初版は1982年ですから、1922年生まれの水木さんが60歳の時。
 水木さん自身の中にもそろそろ半生を振り返ってみてもいいかと思う気持ちがあったのかもしれない。

 それにしても、なんと面白い人生でしょう。
 小さい頃からずっとはみだし者で、働きだしても役に立たず。軍隊に行ってもやっぱりダメで、しかも片腕さえも失ってしまう。
 漫画家になっても売れず、売れ出したと思えば冴えないアシスタントの世話もする。
 読みながら何度笑ったことでしょう。
 それでもそんなアホでねぼけた人生を、水木さん自身が楽しんでいるのですから、そこがすごい。
 普通なら落ち込んだりするのでしょうが、そうでないのが水木さんのすごさです。
 そして、そんな水木さんをまわりの家族、両親であったり兄弟であったり、奥さんであったりお子さんさんだったりがちっとも蔑んでいないというのもすごい。
 この親にしてこの子ありかもしれないが、なんとも大らかな家族である。

 水木作品は妖怪まんがと言われますが、実は単に怖いだけのホラーではなく、もっと人間の根幹のようなものが描かれているような気がする。
 だから、一時的な流行ではなく、水木さんが亡くなっても鬼太郎は新しくアニメとなって復活したりする。
 そういう人間のおおもとにあるものを水木さんは学校とか職場とか軍隊といった組織ではなく、そこからはみだした世界から学んでいたにちがいない。
  
(2020/03/12 投稿)

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  NHK大河ドラマ「麒麟がくる」
  楽しく見ています。
  関連本がたくさん出ていますが、
  関連本というには
  随分前に刊行された本を
  今日は紹介します。
  吉川弘文館「人物叢書」の最初の巻でもある
  高柳光寿さんの『明智光秀』。
  ドラマの中で
  明智光秀が鉄砲について詳しそうな姿が
  描かれていますが
  実際にもそうだったようで
  この本にも
  そのようなことが
  書かれています。
  かなり以前の本ですが
  読み応え十分の
  好著です。

  じゃあ、読もう。  

  

sai.wingpen  信長の夢、光秀の夢                   

 昭和33年(1958年)に刊行されたこの本は今2つの点で注目を集めている。
 一つめはなんといってもこの本が今年のNHK大河ドラマの主人公明智光秀の伝記であるということ。 
 そして、もう一つが伝記シリーズである吉川弘文館「人物叢書」が2020年1月に通巻300巻という偉業を達成したということである。
 実に60年以上にわたって、日本史に影響を与えてきた人物を読み物ではなく至って真面目な歴史書かつ伝記物として刊行してきたのだから敬服する。
 その第一巻がこの『明智光秀』で、記念の300巻めに取り上げられているのが『徳川家康』というのも何か不思議な感じがする。
 普通考えれば、『徳川家康』の方が偉人としては一般的であろうに、裏切り者の象徴でもある明智光秀を一番に持ってきたところなど、なかなかセンスがいい。

 この本の冒頭にまず「光秀の出自はどうもはっきりしない」と書かれている。
 それは現在でもそうらしい。いくつかの説があるとか聞く。
 はっきりしてくるのが、織田信長に仕えたあたり。永禄11年(1568年)頃からだという。
 信長に仕え、高い地位も得る。でありながら、光秀が本能寺の変で信長を討つのは天正10年(1582年)だから、異能の主人に仕えてわずか14年ばかりだ。
 何故光秀は信長を討ったか、この本でもさまざまな説が記述されているが、案外あまりに近くにいたことで信長の魅力もその逆も見え過ぎたのかもしれない。

 著者は最後に光秀が「信長の部下として行った為事(しごと)は信長の為事の一部分」と記している。
 光秀は夢見たものは、信長もまた見た夢だったのだろうか。
  
(2020/02/25 投稿)

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  昨日
  高橋一清さんの『芥川賞直木賞秘話』という本を
  紹介しました。
  高橋一清さんは
  もともと文藝春秋社の編集者で、
  その関係から多くの作家とのつながりがありましたが
  今日紹介する
  櫻井秀勲さんもまた
  カッパブックスで有名な光文社の編集者で
  松本清張さんの担当でした。
  そんな櫻井秀勲さんが見た松本清張さんを描いたのが
  『誰も見ていない書斎の松本清張』です。
  編集者は自身で作品を書くわけではありませんが
  こうして作家のそばにいることで
  作品の何パーセントかは
  生み出しているのかもしれません。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  清張ファンなら見逃せない一冊                   

 作家にとって編集者はよく伴走者に喩えられることがある。
 傍にいて、時に褒め、時に叱咤し、時にはともに涙することもあるだろう。
 だから、伴走者である編集者しか知らない貌がある。この本のタイトルでいえば「誰も見ていない書斎」の貌だ。
 もちろん、担当の編集者はあまたいる。作家が超一流であればあるほど編集者は多いだろう。
 この本の著者櫻井秀勲(ひでのり)氏の場合、光文社という出版社の編集者で、1953年に第28回芥川賞を受賞したばかりの松本清張の担当編集者であるが、その接点をこう記している。
 「どんなに親しい編集者でも、その作家の一生をすぐ側で見ているわけにはいかない。何人もの編集者がいるからだ」と。

 編集者側にも事情がある。出版社という組織の枠組みの中で人事異動もある。櫻井氏は31歳で女性週刊誌「女性自身」の編集長に抜擢されていて、そこには松本清張の作品も掲載されたが、もはや書斎の作家を傍で見る立場ではない。
 ただ、櫻井氏が「誰も見ていない」松本清張を語れるのは、死後もなお絶大な人気を誇る大作家の新人時代の貌を見てきたからだともいえる。

 松本清張ほどの巨匠が年下の若い編集者に「面白いかね?」と訊ねる姿など誰が想像できるだろう。
 あるいは芥川賞作家に娯楽誌の編集者だった櫻井氏が接触しなければ、清張文学もまた大きく違ったかもしれない。
 どんなに偉大な作家であっても、そんな伴走者たる編集者がいるものなのだ。
  
(2020/02/21 投稿)

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