昨日届いた
 西城秀樹さんの訃報に
 驚き、そして涙した人は多かったのではないでしょうか。
 何しろ63歳での逝去は
 あまりにも早い。
 私と同い年じゃないか。
 人気CMのフレーズをもじって
 「ヒデキ、カンレキ(還暦)!」と
 笑わせてくれたのは
 少し前のことだ。

 多くの人に
 西城秀樹さんの思い出が
 あるのではないだろうか。
 私が東京の大学に進んで
 生活を始めた学生寮の同期に
 西城秀樹さんの「傷だらけのローラ」を
 いつも唄う奴がいた。
 多分女性だけでなく
 男性にも
 彼の唄う歌は愛された。
 それほどに彼は歌がうまかった。

 俳優としては
 向田邦子さん脚本の『寺内貫太郎一家』での
 小林亜星さん扮する親父さんとの
 大げんかなど印象に残っている。

  

 梶原一騎さん原作の映画「愛と誠」(1974年)では
 主人公の大賀誠を演じた。

  

 まさにこの頃
 歌でもドラマ映画でも
 絶頂期にあったのだろう。

 しかし、
 西城秀樹さんは2003年と2011年に脳梗塞を発症するが
 麻痺が残った体で
 それでも懸命に
 歌い生きようとする姿に
 勇気をもらった人は
 多かったのではないだろうか。

 西城秀樹さんを応援し、
 歌に合わせて
 「ヒデキ!!」と叫んでいた女性たちは
 今どんなに悲嘆にくれているだろうか。
 それでも
 私たちの青春期に
 あんなに素晴らしい歌を届けてくれた
 西城秀樹さんに
 出合えてよかったのだと思う。

 ご冥福をお祈りします。

 ありがとう、
 西城秀樹さん。

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プレゼント 書評こぼれ話

  かこさとしさんの絵本が
  すごいと思ったのは
  この『からすのパンやさん』が
  最初でした。
  この絵本には
  何十羽というからすが登場するのですが
  かこさとしさんは
  それを一羽一羽描き分けたというのです。
  ドラマでいう端役まで
  それぞれの個性があることを
  かこさとしさんは
  教えてくれました。
  かこさとしさんはいなくなりましたが
  かこさとしさんが残してくれたたくさんの絵本は
  これからも
  子どもたちに愛されつづけることだと
  信じています。

  ありがとうございました、かこさとしさん。

  

sai.wingpen  この絵本は時間をかけてお読み下さい                   

 『どんな絵本を読んできた?』とか『昭和こども図書館』といった絵本とか児童書の読書ガイドを最近読んできて、気になった作家がいた。
 加古里子(かこさとし)さんである。
絵本「だるまちゃん」シリーズで人気の高い絵本作家だが、これら児童書のブックガイドで紹介されていたのは「だるまちゃん」では なく、この『からすのパンやさん』だ。
 読んだことのない読者にはどんな絵本だろうか気になるところだし、「だるまちゃん」シリースのテイストの作品かと思ってしまうが、まったく違う作品に、驚きだし、かこさとしという絵本作家は、こういう作品も描くのだと、心が改まる感じさえした。

 この絵本には「あとがき」があって、その中でかこさんは「個々の生きた人物描写と全体への総合化の大事なこと」と、絵本の「あとがき」にしては難しい文章を書いている。
 簡単にいえば、この絵本ではたくさんのからすを描いているが、それぞれに特性があって自分としてはそれを描きわけているということをいいたいのだと思う。
 この「あとがき」のあと、再度絵本に戻ると、確かに一羽一羽のからすが見事に描きわかれていて、もしかしたらこの絵本を楽しみには何時間あっても足りないのではないだろうかと思ってしまう。

 同じようにからすたちが焼くパンの面白さといったらない。
 この絵本が最初に刊行されたのが1973年だが、その時にパンダパンを焼いていたパン屋さんなどほとんどなかっただろう。
 かこさとしという絵本作家の想像力にただただ脱帽する。
  
(2017/10/22 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日、絵本作家のかこさとし(加古里子)さんが
  5月2日に亡くなったという訃報が
  届きました。
  92歳でした。
  かこさとしさんといえば
  『だるまちゃんとてんぐちゃん』や『からすのパンやさん』で
  子どもたちから長年にわたって愛されてきた
  絵本作家です。
  私は昨年ようやくかこさとしさんに
  感銘を受けた
  とっても晩生(おくて)のかこさとしファンですが
  それでも
  なんとか間に合ったんだと
  今では感謝しかありません。
  今日と明日、
  かこさとしさんの本を
  再録書評
  ふりかえります。
  今日は、『未来のだるまちゃんへ』。
  その中のこの一節が印象に残ります。

     この世界は多様であり、自分はそのどこか端っこにいる。
     (中略)
     真ん中だけがエライんじゃない、端っこで一生懸命に生きている者もいるんだよ。


  ご冥福をお祈りします。

  ありがとうございました、かこさとしさん。

  

sai.wingpen  この本と出合えてよかった                   

 正直にいうと、わたしはかこさとしさんの絵本が苦手でした。
 代表作である「だるまちゃん」シリーズを読んでも、絵もあまりうまくみえないし、だるまとかてんぐとかふるそうだし、第一お名前を漢字で書けば加古里子ってまるで女性みたいだし。だから、たくさんの人がかこさんの絵本を褒めるのもわからなかった。
 ところがもう一つの代表作である「からすのパンやさん」を読んで、たくさんのパンやからす一羽一羽描き分けていて、これはすごい、と感心した訳です。
 その絵本に載っていた著者略歴で、かこさんが東大工学部という理系の出身というのにも驚き、さらには高校時代の恩師に俳人の中村草田男がいて、里子というペンネームは俳号によくある形だとわかりました。
 もっとかこさんのことが知りたいと、見つけたのが2014年に刊行されたこの本だったのです。

 この本にはかこさんの子供時代の姿や父親との確執、軍人にあこがれた少年期、そこに挫折し大学生の時に学んだこと、その延長としてセツルメント活動で子どもたちと接して感じたこと、そして絵本という果実が生まれた経緯がすべて書かれています。
 かこさとしという絵本作家がわかるだけではありません。
 かこさんを通して、子どもを理解することができるのではないでしょうか。その点では、先生を目指す若い人だけでなく、現役の先生にも読んでもらいたいと思います。

 たくさんの名言がこの本にはありますが、もっとも素晴らしいのをひとつ書き留めておきましょう。
 「生きるということは、本当は、喜びです。生きていくというのは、本当はとても、うんと面白いこと、楽しいことです」。
  
(2017/11/01 投稿)

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  先日の葉室麟さんの訃報には
  たいへんびっくりしましたが
  そういえば
  今月2日には
  元ザ ・フォーク・クルセダーズ
  はしだのりひこさんが72歳で亡くなったのも
  私には驚きでした。
  はしだのりひこさんといえば
  「」とか「花嫁」とか
  私たちの世代には欠かせない名曲が多い。
  そんなはしだのりひこさんももういない。
  まさに

    何かをもとめて振り返っても
    そこにはただ風が吹いているだけ

  だ。
  そういえば、
  今年亡くなった人の中に
  漫画家の谷口ジローさんもいた。
  今年の2月11日でした。
  谷口ジローさんもまだ69歳。
  とっても端正な絵を描く漫画家でした。
  谷口ジローさんの絵が好きでした。
  もっとたくさんの作品が描けたでしょうに。

    そこにはただ風が吹いているだけ

  ご冥福をお祈りします

  

sai.wingpen  終焉した明治から続く坂道                   

  「『坊っちゃん』の時代」と題された、関川夏央と谷口ジロー共作による漫画文庫の最終巻である。
 第一部(『坊っちゃん』の時代)で漱石を、第二部(秋の舞姫)で鴎外を、第三部(かの蒼空に)で啄木を、第四部(明治流星群)で秋水を描き、最終巻である第五部(不機嫌亭漱石)でもう一度漱石を描いた。
 青年漫画誌に連載が始まったのが一九八五年。関口によると「当時もっとも同時代的な表現分野であったマンガ」で、確かに二人は見事に、明治という青春群像を描ききったといえる。

 司馬遼太郎が「坂の上の雲」執筆に際し四〇歳台の多くの歳月をその作品に注いだように、関川も谷口もこの五部作を描ききるにあたり十二年かかったという。(関川はかなり司馬を意識してあとがきにそう書いたのだろう) そして、司馬の作品と遜色ない、漫画表現の最高峰ともいえる作品に仕上げた(第二回手塚治虫文化賞受賞作)。
 それは、漫画という表現分野をもった、私たち同時代人の幸福な果実である。

 さて、最終巻であるこの作品(不機嫌亭漱石)は、漱石の修善寺での吐血事件を描きながら、何分間は死んでいたという漱石の挿話を上手く使って、前作までの登場人物を織り交ぜた「明治の終焉」を描いている。
 司馬の「坂の上の雲」が明治の青春の光を活写した小説ならば、この「『坊っちゃん』の時代」はまさに登りつめた坂の上からの転落の始まりを描いた暗い物語といえる。

 関口と谷口がこの作品を書き始めた八五年からの十二年間は、日本という国そのものが明治以後もっとも華やかな時代とそこからの転落を経験した年月だった。
 最終章で幸徳秋水らの死刑の報を聞いた石川啄木が唇を噛みしめながら「日本は…駄目だ」とつぶやく場面は、バブル崩壊後の関川たちの苦々しい述懐だったに違いない。
 今という時代は、終焉した明治から続くとてつもなく長い下り坂の途中なのかもしれない。
 漫画は、そんな苦渋まで表現できる文化となったのだ。
  
(2003/02/23 投稿)

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 昼のNHKニュースを見ていて
 葉室麟さんの突然の訃報
 思わず腰が浮きました。
 えっ! と声が出たかもしれません。
 間違いかと思いました。
 でも、NHKが間違うはずもなく
 どうもその時自分がどうこの感情と向き合えばいいのか
 わからなくなりました。

 葉室麟さんが亡くなったのは
 昨日12月23日。
 66歳でした。
 葉室麟さんが『乾山晩愁』でデビューしたのが2005年。
 54歳の遅いデビューでした。
 その後、『蜩ノ記』で第146回直木賞を受賞したのが2012年。
 以降、意欲的に作品を発表し続けました。
 デビューが遅かった分、
 どんどん書かないと残されて時間は多くないと
 葉室麟さん自身が思っていたのでしょう。

 『蜩ノ記』以降
 葉室麟さんの作品をずっと読み続けてきました。
 その多くの作品で胸うたれ
 小説の面白さを堪能させてもらいました。
 2012年7月に書いた
 『蜩ノ記』の書評には作品に接した喜びが
 あふれています。

 ご冥福をお祈りします。

 ありがとうございました、
 葉室麟さん。



sai.wingpen  追悼・葉室麟さん - 再録書評「武士(もののふ)の心」                   

 第146回直木賞受賞作(2012年)。
 あれはバブル経済がはじけた頃だったでしょうか、企業再生の弁護士から「自動車産業が日本経済の牽引者になるとは思わなかった」ということを聞いたことがあります。それによく似た感想ですが、時代小説がここまで日本文学を席巻するとは私は思いませんでした。
 ちょんまげ、刀、侍、そのような道具立てはいずれ廃れていくとみていました。
 何しろ着物を着るという風俗さえ今ではほとんど見かけなくなっています。そういう若い世代にとって時代小説とは時代錯誤も甚だしい文学になると思っていたのです。ところが意外にも、時代小説は今大層な人気を誇るジャンルとなっています。
 直木賞でも定期的に時代小説の新人が受賞します。やはり日本人の血が時代小説を求めるのでしょうか、それとも現代の日本があまりにもぎすぎすしているのでしょうか。
 少なくとも時代小説に人間の魅力を、そしてそれはもしかすると日本人の美点ともいえるかもしれませんが、そういうものを21世紀に生きる私たちは求めている証しのような気さえします。

 葉室麟の直木賞受賞作となったこの作品は、羽根藩という架空の藩を舞台に藩の家譜(藩の歴史書)の作成を任じられた戸田秋谷という人物の生きざまを描いた時代小説です。
 秋谷という人物はかつて評判のいい郡奉行でその後江戸表の中老格用人にものぼりつめた、藩では優秀な逸材でした。ところが、江戸表でのある事件をきっかけにして今は蟄居の身、しかも家譜完成後には切腹を逃れられません。秋谷が起こした事件には何やら陰謀の影がちらつきます。
 そんな秋谷の動向をさぐるべく、庄三郎という若い武士が彼の家に配されます。しかし、その庄三郎は秋谷の振る舞いにいつしか感化されていきます。

 選考委員の一人阿刀田高はこの作品を「姿のよい作品」と評しました。
 時代小説には「腕ききの船頭の操る舟に乗るときみたいに、読者はゆったりと身を委ねて小説を読む楽しみに没頭できる」ものがいいと阿刀田はいいます。現代の時代小説のブームは、読者を心地よくさせるそういう腕ききの船頭のような書き手が現代文学で少なくなったということでもあります。
 この作品における葉室麟の書き手としての姿は、物語の主人公秋谷のように凛としています。
 それこそが「武士(もののふ)の心」というものかと思います。
 重厚な気品のある書き手が時代小説のジャンルにまた誕生したことを喜びたいと思います。
  
(2012/07/07 投稿)

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