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プレゼント 書評こぼれ話

  新型コロナウイルス感染が広がった時
  「不要不急」という言葉が
  しきりにいわれました。
  意味は
  「重要ではなく、急ぎでもないこと」ということで
  博物館、美術館の休館が
  早い段階で実施されました。
  緊急事態宣言が解除されて
  ようやく再開されたようですが
  休館のために
  見られなかった企画展なんかも
  多かったと思います。
  でも、本当にこれらの施設は
  「不要」でしょうか。
  人が人として心の豊かさを求める時
  これらの施設はとても大切な場所だと
  思います。
  そのことは
  今日紹介する
  原田マハさんの短編集
  『<あの絵>のまえで』を読めばよくわかると思います。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  ジンとくるアートと小説                   

 日本は47都道府県に必ず美術館がある美術館大国だそうだ。
 だから、ごく普通の生活の中で美術品に触れあう機会は多い。
 原田マハさんのこの短編集は「アート小説」というよりは、そのアートと出会うごく普通の人々の物語が編まれている。
 6つの短編にそれぞれアートが登場する。
 しかも、それらのアートが登場人物たちに寄り添い、時に励まし、時に慰める。
 それはこれらの登場人物だけでなく、私たちもまたそういうアートを持っているかもしれないと思わせられる。

 6つの短編に描かれるアートの画家たちの名前をあげておこう。(かっこ内は短編のタイトル)
 ゴッホ(「ハッピー・バースデー」)、ピエソ(「窓辺の小鳥たち」)、セザンヌ(「檸檬」)、クリムト(「豊饒」)、東山魁夷(「聖夜」)、モネ(「さざなみ」)。
 そして、どの作品にもそれらアートが収められている美術館が重要な舞台となっている。
 例えば、「ハッピー・バースデー」の場合はひろしま美術館だし、「窓辺の小鳥たち」の場合は大原美術館といったように。

 6つの作品はどれを読んでも感動するが、中でも心に深く迫ってきたのが、「聖夜」だ。
 この作品は、息子を亡くした夫婦の物語だ。
 心臓に疾患を持って生まれた息子誠也。誕生日がクリスマスイブだったので、「聖夜」からその名前をつけた夫婦。
 息子はすくすくと育ち、登山に夢中になる大学生になる。そして、初めての冬山登山に挑戦し、命をなくしてしまう。山から戻ったら、彼女を紹介するという約束を残して。
 その息子が好きだったのが東山魁夷の「白馬の森」という絵画。
 ラスト、夫婦が訪れたのはその絵が収められている長野県信濃美術館・東山魁夷館。
 そこで、夫婦が出会うのは…。

 ジンとくる作品です。
  
(2020/06/02 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  アガサ・クリスティー
  『青列車の秘密』。
  エルキュール・ポアロものです。
  ポアロっていう人物は
  名探偵で有名ですが
  実際会ったら
  ちょっと嫌な男かもしれません。
  何しろ
  自慢ばかりしている、
  そんな鼻もちならないところが
  ありますから。
  この作品でも
  随所にポアロの自画自賛が
  出てきます。
  いつもの
  霜月蒼さんの
  『アガサ・クリスティー完全攻略』では
  この作品の評価は
  ★★★
  うーん、私はもう少し高いかな。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  ポアロの登場シーンが素敵                   

 この作品は1928年に発表された、エルキュール・ポアロものの一作。
 原題は「The Mystery of the Blue Train」で、版によっては『青列車の秘密』とか『ブルートレイン殺人事件』とかいくつかのタイトルが混在しているようだ。
 間違って別々の作品だと手を出さないようにしないと。
 「Mystery」を「殺人事件」と訳すのはかなり意訳だと思うが、気分的にはこちらの方が判りやすい。
 リヴィエラ行きの豪華特急列車「ブルートレイン」の車中で「殺人事件」が起き、それを偶然乗り合わせていたポアロがその犯人を見つけるという「Mystery」には違いないのだから。

 事件はこうだ。
 アメリカの大富豪の娘ルースは結婚が破綻し、離婚をしようとしている。
 その彼女が「ブルートレイン」で殺されてしまう。しかも、父親があげた大きなルビーも盗まれてしまう。
 その列車にはルースの夫だけでなく、彼の愛人であるダンサーも乗っていた。
 さらに、ルースが向かっていたのは彼女の愛人というから、怪しい人ばかりだ。
 ルースが殺される直前に彼女の悩みを聞いていたキャサリンという女性だけがまっとうで、ポアロは彼女と組んで事件を解決することになる。

 キャサリンとポアロが初めて出会った時、彼女は探偵小説を読んでいた。
 ポアロ、「探偵小説はなぜ、読まれるのでしょう?」
 キャサリン、「探偵小説を読むと、平凡な人間でも刺激に富んだ生活をしているような気がする」
 さて、あなたならなんと答えるでしょうか。
  
(2020/05/28 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は昨日のつづき。
  原田マハさんの『風神雷神』の下巻
  紹介します。
  この長い物語は
  あまりにも奇想天外すぎて
  納得がいかない人も多いかもしれません。
  俵屋宗達が天正遣欧使節の少年たちと一緒に
  ローマに渡ったということは
  なかったと思います。
  ですが、これは原田マハさんのファンタジーです。
  ファンタジーなら
  うさぎがしゃべったり
  トランプが駆けたりしても
  おかしくはないでしょう。
  そういうように
  読むのがいいのではないかと思います。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  アートというタイムカプセルに乗って                   

 上下巻に分かれた長い物語はもともとは2016年11月から2019年1月にわたって、京都新聞などの連載された新聞小説である。
 そのほとんど終り近くに、原田マハさんはこんな文章を綴っている。
 「美術(アート)は、歴史という大河が過去から現在へと運んでくれたタイムカプセルのようなものだ」と。
 原田さんは今や「アート小説」の旗手として多くの作品を発表してくれたおかげで、私たちは絵とともにもっと素敵な旅をすることができているように思う。

 国宝「風神雷神図屏風」を描いた俵屋宗達、天正遣欧使節としてローマに渡った四人の少年、実際には何ほどのつながりもない。ただいえることは、彼らは同じ時代を生きていたということ。
 しかも、日本という小さな島国で。
 だとしたら、宗達と四人の少年にまったく接点がなかったと誰がいえよう。
 宗達の生涯だってほとんどわかっていないのだから。

 この下巻では、宗達が天正遣欧使節の一員としてローマ教皇グレゴリウス13世に謁見するまでの旅の姿が描かれていく。
 旅の途中で宗達が目にする、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロといった西洋絵画の数々。このあたりは原田さんの独壇場。ゆっくりアートを堪能されるといい。
 そして、宗達たちが最後に出会うのが、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ。
 のちにバロッグ絵画の巨匠となった人物の少年期。
 彼らが16世紀末に、同じ時代を生きたというそれだけで、原田さんは実に豪華絢爛の西洋と日本をつなぐ大きな世界を表出せしめたといえる。
  
(2020/05/23 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日と明日、
  原田マハさんの新作
  『風神雷神』上下巻を二日に分けて
  紹介します。
  まずは、上巻から。
  この本を本屋さんで見つけた時は
  やっぱり目を惹きました。
  誰もが知っているだろう
  日本美術の名品。
  しかも、作者が原田マハさん。
  さらにこれ、歴史小説なんですよね。
  三拍子揃ったというところ。
  これを読んでいると
  大河ドラマになったら面白いだろうにと
  思いました。
  やるなら4Kで。
  美術鑑賞もできます。
  明日は下巻です。
  お楽しみに。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  想像の翼が広がりすぎるくらい                   

 国宝「風神雷神図屏風」は誰もが一度は目にしたことがあるに違いない。
 美術の教科書かもしれないし、日本史かもしれない。
 描いたのは俵屋宗達。戦国時代から江戸初期の画家だが、その詳細はよくわかっていない。
 そんな宗達を主人公にして、「アート小説の旗手」原田マハが歴史小説に挑戦したというのだから、読む前から心が躍る。
 ちなみに上巻の表紙に描かれているのが「雷神」で、裏表紙は「風神」である。下巻はその逆。上下巻2冊並べると、宗達の絵になる。

 その生涯の詳細がわからないから、作家の想像力の翼は大いに広がる。
 宗達の絵に歴史上の別の出来事が合わさる。
 一つは、天正10年(1582年)にローマに派遣された4人の少年たち、すなわち「天正遣欧少年使節」の話。彼らに随行して、俵屋宗達がローマに渡ったという物語。
 もう一つが、狩野永徳が描いたとされる「洛中洛外図」を宗達もともに描いたという物語。
 このエピソードが上巻のメインになっている。

 生年がわかっていない宗達を「天才少年絵師」として描き、そこにあの織田信長を絡ませ、その信長の命により永徳に宗達の絵の技術を添わせる。
 識者にはあまりに大胆な話であろうが、原田さんはあるインタビューで「99.9%、そんなことはなかったに違いないのですが、歴史のなかには必ず0.1%の可能性が残されていますし、そこがフィクションを作る面白さ」と語っている。

 私には原田マハさんの途轍もないファンタジーに思えた。
 下巻はいよいよローマです。
  
(2020/05/22投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日紹介するのは
  アガサ・クリスティー
  『メソポタミアの殺人』。
  エルキュール・ポアロものの一篇です。
  いつもの
  霜月蒼さんの
  『アガサ・クリスティー完全攻略』によれば
  評価は★★★で、
  「読んで損なし」でした。
  私は結構面白かったですが、
  こんなにうまく殺人が実行できるかなとは
  思いました。
  つまり事件が作られ過ぎているようには
  思いました。
  途中で
  もしかしたらこの人が犯人ではと思った人が
  犯人でした。
  何故わかったかというと
  なんとなくというしかありませんが。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  「オリエント急行殺人事件」の予告もあります                   

 「ミステリの女王」アガサ・クリスティーが1936年に発表した、エルキュール・ポアロが主人公の長編ミステリー。
 タイトルでもわかるようにこの作品の舞台は中近東。そこで古代遺跡の調査をしているチームに事件が起きる。
 チームの隊長の美貌の妻が殺されてしまった。
 疑われたのは、チームのメンバー。美貌の女性だけあって、怪しい男たちに、彼女に敵意を持つ女たち。
 しかも殺された妻には別れたかつての夫から脅迫状も届いていたという。
 そこに偶然来合わせたのが、ポアロ氏。
 いつもながら、ポアロ氏の推理は冴えている。

 この作品を発表する6年前、アガサは若きイギリスの考古学者マックス・マローワンと再婚している。
 マローワンは実際中近東で遺跡の発掘などに携わっているし、彼の影響が色濃くこの作品に反映しているといわれる。
 アガサとマローワンはかなり年の離れた夫婦で、アガサの方が年上であるから、彼女が強く彼に魅かれたのかもしれない。
 そういうエピソードを聞くと、作品は作品独自の評価をすべきだろうが、どうしても作家のプライベートと密接に関わっているということだろう。

 この作品でもっとも面白かったのは、ポアロ氏がこの事件のあと、「シリアに戻り、一週間ほどして、オリエンタル急行で帰国する途中、忽ちまた別の殺人事件に巻きこまれてしまった」と、まるで映画のよくあるような予告がちらりと入るところだ。
 こういうやり方もまた、読者を惹きつけてやまない理由かもしれない。
  
(2020/05/15 投稿)

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