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プレゼント 書評こぼれ話

  今日から5月
  1日の今日はメーデー。
  毎年近所の公園で集会が開催されていたりします。
  5月といって思い出すのは、歌人であり俳人でもあった寺山修司のこと。
  寺山修司が亡くなったのは1983年5月4日。
  その忌日は「修司忌」として、季語にもなっています

     修司忌の五月の森の暗さかな       遠藤 若狭男

  今日は月はじめなので、
  『星新一ショートショートセレクション14』、
  「ボタン星からの贈り物」を紹介します。

  じゃあ、読もう。

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sai.wingpen  星新一は本の妖精?                   

  『星新一ショートショートセレクション14』(理論社)。
 表題作である「ボタン星からの贈り物」をはじめとして、13篇の「ショートショート」が収められた、児童書。
 装幀・挿絵(それぞれの作品にひとつ挿絵がついています)は、和田誠さん。

 いままでの巻より収められている作品が少ないのは、「午後の恐竜」という作品がちょっと長めのショートショートになっているから。
 これはある日突然世界中に恐竜が現れるのですが、実態がなく、その不思議な現象に誰もが首をひねります。その一方で、水爆を積んだ潜水艦が行方不明となっていて、もしかすると世界中で起こっている現象は、人が死の直面に過去の人生を見るというものではないか、つまり人類は滅んで…。
 ショートショート超えた、一級のSF作品として楽しめます。

 また、表題作の「ボタン星からの贈り物」もうまいオチがついていて、ショートショートというのは物語の設定の巧拙もありますが、オチの切れの良さとも関係しているように思います。
 思わずニヤリとするオチがあると、とても満足できます。
 星新一さんがいつまでも人気があるのは、そういったオチの巧さにあるといえます。

 この巻にある「友だち」という作品もいい。
 小さい娘がどうも妖精と遊んでいるようだと心配する父親。父親には妖精なんかつくりごとだと思っている。相談を受けた医者の言葉。
 「われわれは本を読み、そこから限りない知識と創造力を得ています。しかし、自分でその楽しみを味わう方法を、幼いころ、最初に手ほどきしてくれたのは、だれでしょう。」
 誰のところにも、妖精はやってきていたのかもしれません。
(2024/05/01 投稿)

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  4月になりました。
 
    大学にポスター多き四月かな       宇佐美 敏夫

  この俳句のような光景は今もあるでしょうね。
  新しいことが始まる高揚感が4月にはあります。
  と書きながら、今日この本の紹介どうしようかと思いました。
  何しろ、タイトルが『クリスマスイブの出来事』。
  なんとも季節に合わない本を選んだものと恨まないで下さい。
  月初めなので、いつものように
  星新一さんのショートショート本を
  紹介するのですが
  その13巻めのタイトルなのでがまんして下さい。
  ということで今日は
  「クリスマスイブの出来事」というタイトルの『星新一ショートショートセレクション13』を
  紹介します。
  ああ、春なのに…。

  じゃあ、読もう。

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  sai.wingpen  星新一と和田誠の怪しい?関係                   

 『星新一ショートショートセレクション13』(理論社)。
 表題作である「クリスマスイブの出来事」をはじめとして、21篇の「ショートショート」が収められた、児童書。
 装幀・挿絵(それぞれの作品にひとつ挿絵がついています)は、和田誠さん。

 表紙の和田誠さんのイラストが笑わせてくれる。
 大きなトナカイがサンタクロースをまるで飼い犬のように持っている絵。星新一さんのショートショートをイラストにしたものかと思うだろうが、表題作「クリスマスイブの出来事」はこのイラストとはまったく違うので、ご注意あれ。
 では、どんな話かというと、クリスマスイブの夜に贈り物を届けていたサンタクロースが泥棒と間違えられるコント風のもの。
 ストーリーをじゃましない和田さんのイラストを、星さんは気に入っていたようだ。

 和田さんのイラストで今回秀逸だったのは、「協力的な男」という作品につけられた挿絵。ほかの作品でもそうだが、作品ひとつに和田さんの挿絵が一枚、一ページ分つく。
 この「協力的な男」の場合、和田さんは一ページを使って、何の変哲もない男の上半身を描いただけ。
 この絵から、強奪事件の犯人だと自首してきた男とその男の嘘に騙される警察の話を想像できる人はいないだろう。
 それでいて、星さんが作品で書いた自首をしてきた男はきっとこんな風貌だろうと思わせるものが、和田さんのイラストにあるのが不思議だ。

 星新一さんと和田誠さん。
 二人の力が合わさって、星新一ワールドはうんと広がったといえる。
  
(2024/04/02 投稿)

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  今日から三月
  旧暦の呼び方でいえば、弥生
  春のように耳障りのいい、名称です。

    近づいて声なつかしき弥生かな       廣瀬 直人

  月初めなので、いつものように
  星新一さんのショートショート本を
  紹介します。
  今日はその12巻め、
  「盗賊会社」というタイトルの『星新一ショートショートセレクション12』を
  紹介します。
  12巻めとなると、一年間にわたって紹介してきたことになります。
  このシリーズもこの巻含めて残すところ、あと4冊。
  その頃には季節も夏になってますね。

  じゃあ、読もう。

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sai.wingpen  発想は少し視点を変えるだけで                   

 『星新一ショートショートセレクション12』(理論社)。
 表題作である「盗賊会社」をはじめとして、18篇の「ショートショート」が収められた、児童書。
 装幀・挿絵(それぞれの作品にひとつ挿絵がついています)は、和田誠さん。

 表題作の「盗賊会社」の主人公は、「盗賊株式会社」の社員。泥棒が営業というから、変わっているが、もしかしたうらやましがる人もいたりするのでは、と主人公は思っている。
 何故なら、平凡な日常にあきあきしている人も多いだろうから。
 ところが、この社員、つらつらと自社のことを書きつらねるのだが、なんだかどこにでもあるような会社組織で、結局は「平凡で退屈で、面白くない」ので転職を考えているという、オチのお話。
 もし、あなたがこの会社の人事担当であれば、転職希望のこの社員をどう引き留めるだろうか。
 こんなふうに星新一さんのお話から少し視点を変えてみると、面白くなるし、新しいお話がうまれる。
 
 星さんのショートショートもそんなふうにして出来上がっている作品もあって、例えばこの巻でいえば浦島太郎伝説を星さん流のお話に作り込んだ「時の人」なんかがそう。
 昔話のように竜宮城から故郷に戻ってきた浦島太郎を待ち構えていたのは、テレビとかマスコミとか大衆の興味。あげくの果てにはスパイ疑惑も。
 誰もが知っている話ながら、視点を少し変えるだけで、星さん流のショートショートが作れるかもしれない。

 発想の着想は無限にあるのかもしれない。
  
(2024/03/01 投稿)

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  今日から二月
 
    竹林の月の奥より二月来る      飯田 龍太

  年が明けてすぐ、石川県能登で起こった大きな地震から一か月。
  いまだに多くの人が不自由な避難所生活を送っておられます。
  被災者の皆さんに早く心温まる春が来ることを
  祈らずにはおられません。
  月初めなので、いつものように
  星新一さんのショートショート本を
  紹介しています。
  今日はその11巻め、
  「ピーターパンの島」というタイトルの『星新一ショートショートセレクション11』を
  紹介します。
  書評の最後に少し書いた表題作のことですが、
  話を膨らませたら、とっても面白いSF映画になると思います。
  それほど物語として面白いし、ダーク感がとても効いていて
  読みようによってはとても怖い話です。
  和田誠さんのかわいいイラストにだまされてはいけません。

  じゃあ、読もう。

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sai.wingpen  未来人の資格が私たちにあるのだろうか                   

 『星新一ショートショートセレクション11』(理論社)。
 表題作である「ピーターパンの島」をはじめとして、18篇の「ショートショート」が収められた、児童書。
 装幀・挿絵(それぞれの作品にひとつ挿絵がついています)は、和田誠さん。

 星新一さんではないが、時々こんなことを考えることがある。
 もし、本当にタイムマシンが実現して、例えば江戸時代にタイムスリップしたとしましょう。江戸時代の人たちは未来から来た人と大歓迎してくれるでしょうが、果たして私は彼らの期待に応えることができるのかと。
 未来には自動車という便利な乗り物があって、と言ったところで自動車が作れるわけでもなく、インターネットで世界中の情報を知ることができると説明してもパソコンもスマホも持っていなければ何もできない。
 傘張りの浪人はまだ傘が張れるが、未来人の当方はそれすら危うい。
 つまり、未来人といっても、単に高度な文明を享受しているに過ぎないのだ。
 この巻には、これとよく似たショートショートが収められている。
 タイトルは「高度な文明」。
 ある時、地球にやってきた宇宙船。そこに乗船していた宇宙人はとても高度な文明を持っているようであったが、しばらくすると乗ってきた宇宙船が壊れてしまう。でも、宇宙人がいれば、すぐに作り直せると思ったが、実は宇宙船自体に文明が設置されていて宇宙人には何ひとつできない。
 この作品の最後に、星さんはこう書く。
 「きみに一本のマッチが作れるか。(中略)文明とは、そういうものなのだろうな」

 表題作の「ピーターパンの島」はダーク・ファンタジーとして面白かった。
  
(2024/02/01 投稿)

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  1月になりました。

    一月や日のよくあたる家ばかり       久保田 万太郎

  気がつかれている人もいるかと思いますが、
  最近月のはじめには星新一さんのショートショート本を
  紹介しています。
  今日はその10巻め、
  「重要な任務」というタイトルの『星新一ショートショートセレクション10』を
  紹介します。
  この「ショートショートセレクション」は全部で15巻、
  そのほかに『星新一ちょっと長めのショートショート』が10巻ありますから、
  これを全部読むと、
  来年2025年になります。
  早くも鬼が笑ってますね、きっと。
  ところで、今回の表紙のイラスト、
  竜に乗った男の図で、
  辰年にぴったりの本の選択だったと我ながらびっくりです。

  じゃあ、読もう。

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sai.wingpen  星新一さんは預言者?!                   

  『星新一ショートショートセレクション10』(理論社)。
 表題作である「重要な任務」をはじめとして、15篇の「ショートショート」が収められた、児童書。
 装幀・挿絵(それぞれの作品にひとつ挿絵がついています)は、和田誠さん。

 いつもの巻より作品数がいささか少ないのは、ショートショートとはいえ少し長めの作品が入っているからだろう。
 表題作の「重要な任務」が13ページである一方で、「過渡期の混乱」は21ページ、「出口」という作品は22ページある。
 20ページを超えたからといって長くはないはずだが、「ホンを求めて」などはわずか5ページだから、収められた順に読んでいくと、あれ?長いなと感じてしまうのは奇妙だ。
 ただ、やはり長いと(といっても20ページほどだが)読み応えはある。

 今回の巻でなんといっても「過渡期の混乱」がいい。
 これは未来に登場するキャンディー売りロボットをめぐる話。
 このロボットから税金を取るべきかとか傷害事故が起こった時の責任とか、最後にはこのロボットに選挙権を与えるべきかと人間たちは右往左往する。その一方で、ロボットに向けて商売を始める人間も現れる。
 物語のおしまいで、星さんはこう書く。
 「ずるさという、人間だけの持つ天与の能力。これある限り、ロボットなど恐るるにたらずだ。」
 最近何かと話題となる「生成AI」のことを思わず考えてしまう。
 まさかこの作品のように「生成AI」に選挙権を与えるべきかなんてことにはならないだろうが、星新一さんがまるで預言者のように思えてきたりする。
  
(2024/01/03 投稿)

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