プレゼント 書評こぼれ話

  講談社の文芸誌を読んでいて
  池田晶子さんの新しい本が
  2017年5月に出ていたことを
  知りました。
  それが今日の本、
  『絶望を生きる哲学 池田晶子の言葉』です。
  久しぶりに池田晶子さんの言葉にふれて
  頭がすっきりしました。
  でも、池田晶子さんが亡くなって
  もう10年になるなんて
  もし、生きていても
  まだ私よりも若い池田晶子さんなら
  どれだけの言葉を
  のこしていたでしょう。
  本の最後に掲載されていた
  池田晶子さんの写真を見ながら
  残念で仕方がありません。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  哲学に励まされることもある                   

 時々難しい本が読みたくなる。
 人はどのように生きるべきかだとか、社会の正義とは何だろうかとか、きっと読んでもあまりよくわからないだろうが、そういう種類の本である。
 ジャンルでいえば、「哲学」あたりだろうか。
 それでもソクラテスとかプラトンや西田幾多郎といった哲学者の本は手強すぎて、やはり池田晶子さんあたりがちょうどいい。
 それは池田晶子さんの「哲学」が軽すぎるというのではなく、わかりにくいことをできるだけ平易に(それでも難しいだが)表現しようとしたのが池田晶子さんだということだ。

 それにしても、池田晶子さんはあまりにも早く逝ってしまった。
 池田さんが亡くなったのが2007年2月、まだ40代の若さだ。
 それでいて、池田晶子さんはたくさんの言葉を「哲学エッセイ」の形で遺された。そして、没後10年経っても、まだこうして新しい本が出版されて(この本の刊行は2017年5月)いるのだから、池田さんの言葉を生きる指針にしている人が多いという証だろう。

 この本は池田さんの著作の中から今を生きる人のためにえりすぐった言葉をまとめたものだが、どこから読みだしても構わない。
 難しければ読みとばしてもいいだろうし、気になった言葉は何度も読んでもいい。
 読み方は自由だ。ただし、自分の頭で考えながら読めたら、きっといい。
 私は、「先が見えないのは当たり前」というタイトルの文章が気に入った。人生は先が見えないのが当たり前で、それでも萎えずに生き抜くことに「人生の価値」があると、池田さんは教える。
 そういう励ましが、時に欲しくなる。
  
(2018/04/11 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  私には東海林さだおさんの本が出ると
  うれしくなる傾向があって
  これってパブロフの犬みたいな
  肉を見たら涎がでますの
  条件反射かもしれません。
  今日は
  東海林さだおさんの新刊
  『オッパイ入門』を紹介します。
  この「オッパイ」という言葉もまた
  パブロフの犬で
  まさに涎が出てしまう言葉の
  筆頭かもしれません。
  東海林さだおさん、
  よくぞ書いてくれました。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  東海林さだお氏、がんばってます                   

 東海林さだお氏は辞書が好きである。
 どのくらい好きかといえば、雑誌「オール讀物」の好評連載「男の分別学」(つまりはこの本の初出誌)で「辞書をいじめる」というタイトルのエッセイを書いているぐらい。
 まだ、ある。
 例の一躍有名になった「忖度」についても、「広辞苑」の漫画まで登場させたエッセイ「忖度がいっぱい」を書いたぐらいだから、好きといっても並みの好きではない。
 もしかしたら、東海林氏は食べ物よりも辞書の方が好きなのではないか。

 そこで「オッパイ」である。
 こういう恥ずかしい! 名詞をエッセイのタイトルに使うとは何事かと、きっと「オール讀物」の読者はいうはずはない。
 しかし、それを単行本のタイトルにしていいのか。
 この本には「欠伸のすすめ」とか「遠ざかる青春」とか「挨拶は必要か」といった、まともな? タイトルのエッセイも収められているのに、「オッパイ入門」である。
 本当にこれでいいのか!?。
 きっと文藝春秋には抗議の電話なんかが殺到しているのではないか。
 いや、もしかしたら、タイトルにひかれて、あるいは和田誠画伯の装幀に魅了されて本を手にしたものの、ちっともアレではないではないかというお叱りの電話ばかりかもしれない。

 しかしですよ、書き手が東海林さだお氏でどんなエロチックなものができあがると思います?
 期待する方が無理。
 いやいやこの入門書こそ東海林さだお的ワールドのような気がしますが。
  
(2018/03/02 投稿)

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  平昌五輪も終わりましたね。
  すっかりはまった訳ではありませんが
  それでもスピードスケートの小平選手や高木姉妹とか
  カーリング娘、
  もちろんフィギアスケートのメンバーとか
  今回も見どころ満載のオリンピックでした。
  期待以上の成績をあげた人、
  残念ながら結果が出なかった人、
  さまざまですが
  やはりこういう時は
  ニッポンガンバレ! という気分になってしまいます。
  そんな私たちの国ってどんな歴史をもっているのか
  今日はそんなエッセイ集、
  門井慶喜さんの『にっぽんの履歴書』を
  紹介します。
  メダリストの皆さん、
  アスリートの皆さん、
  お疲れさまでした。
  たくさんの感動をありがとう。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  直木賞受賞までには歴史があります                   

 『銀河鉄道の父』で第158回直木賞を受賞した門井慶喜さんの、日本経済新聞夕刊に連載されていたものを中心に編まれた、歴史エッセイ集。
 新聞の記事の多くは斜め読みで済ますことが多いが、門井さんのこのエッセイは割と真面目に読んでいた記憶がある。
 門井さんの文体は歴史を扱っていても古臭くなく、おしゃれな感じがする。そのあたりが好きなのかもしれない。

 身も書いているが慶喜という名前は歴史が好きだった父親が徳川慶喜にちなんでつけた本名で、名前は体を表すとよくいうが、門井さんの場合、まさにそうなった風である。
 門井さんは単に名前がりっぱなだけではない。
 多くの本を読んできた実績が作家門井慶喜を生んだような気がする。
 そう思ったエッセイが、この本の中に二つ収められている。

 一つが「一読者にも書評の奥義を」と題されてもの。
 そこには二十代のサラリーマン時代に書評家になりたくて名書評家丸谷才一に自作の書評を送ったというエピソードが描かれている。
 エッセイのタイトルのとおり、この時丸谷才一は門井さんに返事をくれたそうで、そこには「書評の奥義」が綴られていたそうだ。
 もう一つが「はじめての文豪」というエッセイ。
 これは学生時代に24万円も出して幸田露伴の全集44巻を古書店で買った話。
 食事を減らしながらも露伴全集を読むことで読解力を高めていったという門井青年は、着々と作家への道を積んでいっていたのだと思う。
  
(2018/02/27 投稿)

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  図書館で新しい本を借りようとすると
  何百人も予約が入っていて
  なかなか読むことができないことがある。
  そのことで
  不満や不平をいう人がいるが
  図書館は新刊の貸出を主としているわけではない。
  むしろ、本屋さんでなかなか手にはいらない
  旧刊本などを読みたい時は
  図書館に頼るのがいい。
  そんな本なら待っている人もほとんどいない。
  花房観音さんの『くちびる遊び』を読んで
  その装幀画が気にいって
  図書館の蔵書を調べて見つけたのが
  今日紹介する
  池永康晟さんの
  『君想ふ 百夜の幸福』。
  こんな時に図書館ほどありがたいところはない。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  官能とは                   

 「ジャケ買い」という言葉がある。
 その中身を知らずにCDや本などを店頭で見かけたジャケットが気に入って購入してしまうことで、本なども表紙の装幀を見て思わず手がのびるということはよくある。
 最近でいえば、新潮文庫の花房観音の『くちびる遊び』の装幀がよかった。元々花房観音のファンだから、作品は読むつもりであったが、それ以上にその装幀画が目をひいた。
 それを描いたのが。池永康晟(やすなり)。
 裸婦でもないのに、そこに描かれた女性のなまめかしさに、花房観音の官能小説がよく似合った。

 この本はその池永康晟の画集である。
 画集であるから、あの文庫本の装幀に描かれた女性の姿が全ページに描かれている。
 ここには一人の女性だけではない。
 複数の女性が描かれているが、一人として裸体はない。
 裸体はないが、どの女性も濡れるような瞳でこちらを見つめてくる。何かを求めるように。何かを隠すかのように。

 もしかしたら、この女性たちの魅力を言葉にすることができれば、官能の秘密を暴くこともできるのではないかと思ってしまうが、私にはそんな語彙はない。
 ただただ呆然と彼女たちを見つめるだけだ。

 池永康晟の略年が巻末に掲載されている。
 1965年に大分に生まれ、最初の個展を2003年に開いている。そのあとの展覧会の事績はわかるが、彼がどのようにして彼女たちと出会い、どのように接していったのかわかるはずもない。
 そういう秘密を池永の絵は見る側と共有しようとする。

 官能とは秘密の共有のことか。
  
(2018/02/07 投稿)

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  さあいよいよ明日から
  NHK大河ドラマ西郷(せご)どん」が
  始まります。
  昔とちがって
  大河ドラマといっても
  なかなか視聴率がとれなくなっていますが
  見ている側からすれば
  視聴率よりも
  面白ければよくて
  1年という長い放送期間を考えれば
  視聴率が低いのも
  仕方がないような気がします。
  けれど、今回はなんといっても
  人気者西郷隆盛が主人公ですから
  期待も膨らみます。
  その前に
  歴史を楽しめるよう
  磯田道史先生の『日本史の内幕』を読んでおきましょう。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  古文書が読めたらどんなに楽しいだろう                   

 今や大人気の歴史学者磯田道史先生は、古文書が大好き。
 日本史の内幕を知りたいなら、古文書を読むしかないとまでいう。
 ただ古文書を読むのは至難の業だ。まずもって、みみずがのたくったような字が読めない。まして文語体の「候」なんて書かれていてもわからない。
 だとしたら、磯田先生の本を読むしかないでしょ。
 「細部にこだわると、(中略)歴史観に関わる大きな問いかけの答えにも近づける」と、磯田先生はおっしゃっている。

 その磯田先生は今年のNHKの大河ドラマ「西郷(せご)どん」の時代考証を担当している。
 ちなみにこの本は「読売新聞」に2012年から2017年にかけて連載していた「古今をちこち」が基本の収録になっているので、これらの年度の大河ドラマの主人公についての古文書裏ばなしも多く収録されている。
 例えば、井伊直虎や「花燃ゆ」の吉田松陰、あるいは「真田丸」の真田幸村とか。
 面白かったのは「秀吉は秀頼の実父か」という話で、磯田先生の説は「違う」というもの。では、実父は誰かという詮索は、残念ながら、ここでは書かれていない。

 西郷隆盛のことだが、彼の書いた書状のことはこの本でも紹介されている。
 ただ磯田先生は維新の頃の京都の民衆が訴えた書きつけを紹介した話(「維新の京都、民衆の肉声」)で、こんな風に書いている。
 「維新史から「民衆」の視点が抜け落ちてはいけない」と。
 歴史には多くの偉人や巨人が登場するが、磯田先生のいうように、本当に歴史を動かしたのは名もない民衆だったにちがいない。
 だからこそ、歴史は面白いのだから。
  
(2018/01/06 投稿)

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