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プレゼント 書評こぼれ話

  今年もあと2日。
  明日の大晦日に対して
  その前日の今日は小晦日
  冗談のようだが
  ちゃんと歳時記にも載っています。

    さし来る日かくも斜めや小晦日        岩田 由美

  なので、
  こちらも大急ぎで今年の大河ドラマ「いだてん」について
  書いておきます。
  オリンピック前年にあたる今年
  かつて日本人が始めて参加したオリンピックや
  前回の東京オリンピックの話などを描いた作品だけに
  興味しんしんで
  毎回楽しませてもらいました。
  視聴率は今までも大河ドラマで最低となる不名誉な記録となりましたが
  どうも来年のオリンピックへの関心が低いのではと
  心配になります。
  昭和39年の前年の暮れの紅白歌合戦には
  渥美清さんが聖火ランナーに扮して会場入りしたそうです。
  そして、最後には「東京五輪音頭」を全員で歌ったとか。
  今年の紅白はどうなるのかな。
  そんなことを泉麻人さんの
  『1964 前の東京オリンピックのころを回想してみた。』を読んで
  考えさせられました。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  あれから56年                   

 書名の「1964」とは、副題にあるように「前の東京オリンピック」が開催された1964年、つまり昭和39年のことである。
 著者の泉麻人さんといえば、東京とかサブカルチャーをテーマに長年書き続けているエッセイストで、泉さんが生まれたのが1956年ということで私とほぼ同じ年代ということもあって経験していることも近似値なので、いつもアルバムをひっくり返すように楽しませてもらっている。
 もちろん泉さんは東京生まれで、私が生まれた大阪近郊の街とはかなり環境も違うが、昭和30年代後半はちょうどテレビが普及してきて、そういう点では全国どこであっても同じ経験をした少年少女が多いのではないだろうか。

 1964年の社会や世相を回顧しているこの本を開けば、例えばNHKで放送していた「なんでも考え、なんでも知って、なんでもかんでもやってみよう」の「ものしり博士」とかこの年の6月に始まった「少年忍者 風のフジ丸」とか「忍者部隊月光」の話など、もっともっとせがみたくなる話題ばかりだ。
 あるいは相撲中継でよくあった「分解写真」のこと。「”分解写真の相撲”のマネを弟とよくやったもの」というのは、そっくり私にも当てはまる。

 この当時のことを描いたNHKの大河ドラマ「いだてん」でも描かれていたが、この年の東京は日照り続きで深刻な水不足だったようだが、私にはその記憶はまったくないのは大阪ではそんなことはなかったのだろうか。
 あるいは、10月10日に全校体育があったともあるが、これも記憶にない。
 この日は土曜日で、テレビ観戦したことは記憶にあるが。
  
(2019/12/30 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  グルメというのは
  食通とか美食家という意味です。
  今日紹介する
  『かきバターは神田で』の著者
  平松洋子さんは
  この本を読めばわかるように
  まちがいなくグルメですが
  そういう気どった言葉ではなく
  おいしんぼという方が
  ふさわしい気がします。
  それに
  美食家でもありますが
  美文家でもあって
  その文章のおいしいことといったら
  たまりません。
  おいしい料理をどのように
  おいしく表現するか
  かなりの腕がないとできません。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  平松洋子さんのおいしさの秘密                   

 本作は「週刊文春」に2016年8月から2018年4月まで連載されていて、つまりは好評連載で、それでいていきなり文春文庫オリジナルという、なんとも贅沢な食べ物エッセイである。
 平松洋子さんといえば、今や女東海林さだおともいえる存在であるが、東海林さんのように毎回「丸かじり」ではなく、上品さに時々ガブリと戴く豪快さを合わせもった筆力に、ファンは多い。
 平松さんの味にはずれは少ない。

 食べ物エッセイというだけあって、人を描く際にも食べ物の話題は欠かせられない。
 しかもそれが不自然でないのだから、平松さんの筆の巧さという以外にない。
 例えば、石牟礼道子さんのことを綴った文章。
 おそらく石牟礼さんが亡くなったあとの追悼の意味を込めてのコラムだろうが(この文庫で唯一残念なのが、連載時の日付がないこと)、そこでも生前石牟礼さんからご馳走になった炊きこみごはんのことが綴られている。
 石牟礼さんの食べ物の随筆を読みながら、最後には「あきれたことに、読みながら猛烈におなかが空いてくるのだ」となる。
 平松さんの食い意地がはっているのではない。
 石牟礼さんの文章のおいしさを表現するのに、こんなすばらしい褒め言葉はないだろう。
 平松さんにとって、食べ物はこの世界を語るのに欠かせない思いなのだ。

 「ぬるい味噌汁」というエッセイがいい。
 町のちいさな定食屋で体験した話。注文した定食についていた味噌汁のぬるいこと。文句のひとつもいえばいいのだが、忙しく働く店の人の姿に何もいえない平松さん。
 平松さんの文章がおいしいのは、こんな優しさが隠し味になっているからだ。
  
(2019/12/20 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日森下典子さんの
  『日日是好日』を紹介しましたが
  今日も森下典子さんの本です。
  『いとしいたべもの』という
  食べ物エッセイ。
  以前、森下典子さんの『こいしいたべもの』という本を
  紹介しましたが、
  実はこちらの方が先に出た本です。
  今回も
  おいしい文章と
  森下典子さん自身のイラストが
  堪能できます。
  きっとこの中に
  みなさんの思い出の一品も
  見つかるかもしれません。
  私なら、
  ハウスバーモンドカレーかな。
  
  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  文章もイラストもおいしそうなのがいい                   

 食べ物は食べてしまうとそれでおしまいと思っている人は多いかもしれない。私もその一人だったが。
 けれど、エッセイストの森下典子さんのこの食べ物エッセイを読むと、そうではないことに気づかされる。
 例えば、この本の最初に登場するオムライス。
 その食べ物にどれだけの人が思い出を抱えていることか。森下さんがいうように「昭和三十年から四十年代に子供時代を過ごした人にとって、オムライスは特別なたべものではないだろうか」ということになる。
 ちなみに、森下さんは昭和31年(19956年)生まれ。
 読む人の忘れていた思い出を、森下さんは絶妙な文章で掘り起こしてくれる。

 それにここで書かれている文章の、なんとおいしいそうなことか。
 再びオムライスに登場願えば、こんな感じ。
 「丸い薄焼き卵の真ん中に、さっきのケチャップライスをこんもりと楕円状に盛り、菜箸で薄焼き卵の両端を折ってライスを包む。」
 もうたまらなく、オムライスが食べたくなる。

 このエッセイに登場するのは、オムライスでわかるように、決して高級な食べ物ではない。
 くさや、サッポロ一番みそラーメン、カステラ、ハウスバーモンドカレー、日清のどん兵衛、鯛焼き、カレーパン、崎陽軒のシウマイ弁当……。
 ほら、どこにでもある食べ物にだって、人に感動させてしまうくらい想いが詰まっているものなのです。

 森下さんのこのエッセイ、文章もいいけれど、森下さんの手によるイラストもいい。
 なんといっても、おいしそうなのがいい。
  
(2019/12/06 投稿)

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  昨日
  樹木希林さんが出演した
  映画「日日是好日」の話を書きましたが
  今日はその原作となった
  森下典子さんの『日日是好日』を
  紹介します。
  この作品をこれから読もうという人に
  オススメなのは
  新潮文庫版。
  どうしてかというと
  新潮文庫に載っている解説が
  とってもいいのです。
  書いたのは
  落語家の柳家小三治師匠。
  森下典子さんの作品もいいから
  二度得した気分になります。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  人生を深く考える一冊                   

 この本は2002年1月に最初に刊行された。今から15年以上前になる。
 それが新潮文庫にラインナップされたのが2008年。
 2018年には黒木華さん樹木希林さん出演で映画化もされている。
 年を重ねるごとに作品に艶が増していく見本のような作品だ。

 エッセイスト森下典子さんが20歳の時から始めたお茶のお稽古。そこからの25年間を描いた自伝風エッセイである。
 ここには生きることの喜び、不安、ためらい、後悔、ときめきなどが静かに描かれている。
 結婚寸前までいきながら相手の裏切りで破談になった著者に心を寄せる人もいるだろうし、自立した娘を訪ねようとする父をちょっとした用事で断り、その後突然亡くなったしまう父を想う著者の悲しみに同じ色の涙を流した人もいるかもしれない。
 またいつまでもお茶の作法がうまくなれなく、あとからお稽古を始めて若い人に追い越されて落ち込む姿に共感する人もいるだろう。
 この本は、その時々の読者の気持ちに寄り添うことができる稀有な作品だ。

 なんといってもお茶の武田先生が素敵だ。(映画では樹木希林さんが演じている)
 最初はおじきがきれいな「武田のおばさん」として著者の前に現れる。
 おばさんはお茶を教えているという。そのおばさんのところお稽古に通うようになる著者。
 やがて、「おばさん」は「先生」となり、著者の人生にそっと心を寄せる存在になっていく。
 それはまるで静かに煮えたぎるお湯のように、存在そのもので何かを語りかけている。

 この本を読めたのも「日日是好日」のなせる業なのだろうか。
  
(2019/12/05 投稿)

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  今日紹介するのは
  絵本と呼ぶべきなのか
  一般書と呼ぶべきなのか
  どちらがいいのかわかりませんが
  私の中では一般書かな。
  何しろ、ここに書かれているのは
  「うつ病」をテーマにしたものなのですから。
  デビ・グリオリさんの
  『よるなんて……』という作品。
  作品の中では
  「うつ病」という言葉は出てきませんが
  作者はそこから
  夜の現れるドラゴンを描き出しています。
 怖さを絵にするのって
  難しい。
  人それぞれ「うつ病」に対する捉え方が違うでしょうが、
  ドラゴンに匹敵すると
  作者は考えているのだと思います。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  わたしにもそんな<よる>があった                   

 絵本というのは「テキスト(ことば・文章)とイラストレーション(図像・絵)で、さまざまな「情報」を伝達する表現媒体」だという。(『ベーシック 絵本入門』から)
 つまり、受け手である読者を幼年期の子どもたちに特定しているわけではない。もちろん、実際はその多くの読者は子どもたちであるのは間違いないが。
 巻末にある作者略歴によれば、「動物を主人公にした温かい絵本」もたくさん描かれているから作者を絵本作家といっていいだろう。
 それに、この本の判型は絵本版といってもいい。
 ただ、この作品は「若い人に向けたうつ病」をテーマにした作品でアマゾンでもランキング上位だという。
 これこそ、「さまざまな「情報」を伝達する表現媒体」という絵本の定義に合致している「絵本」といっていい。

 描かれているのは、白と黒の世界。
 「きりみたい」などよんとしたよるの世界。
 主人公の女の子はそんな夜に襲われて、「むねがどきどきして、おなかもいたくて、」自分ではなくなっていく。
 絵本ではそんな夜がドラゴン<竜>として描かれている。
 女の子はそんなドラゴンから必死で逃げようと試みる。
 「よるなんてこわくない……」
 女の子はそんなよるが「いつかはおわるはず」だとどこかでわかっている。けれど、負けそうになる。
 けれど、彼女は負けない。

 巻末の「作者あとがき」にデビ・グリオリは「私の絵から5人にひとりはいるという、うつ病経験者がどのように苦しんでいるのか」を感じ取ってもらえたらと書いている。
 そんな苦しい夜は「いつかおわる」のだからというメッセージとともに。
  
(2019/11/16 投稿)

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