プレゼント 書評こぼれ話

  日本の企業は
  まだ60歳定年というところが多い。
  ただ今は社会保障の問題もあって
  その後の「再雇用制度」が広がって
  定年後もそのまま同じところで働くという人も多い。
  「再雇用」のいいところは
  自分を周囲に認めさせる努力をする必要がないということだと
  この『定年女子』の中で
  岸本裕紀子さんが書いている。
  確かに新たに仕事を探すとなれば
  大変な努力がいる。
  一方で
  以前と同じ日常に区切りをつけたい人もいる。
  男性であっても
  女性であっても
  それは同じこと。
  若い人にだって
  きっと訪れる課題ではある。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  人それぞれの「定年後」                   

 「定年」というのは、「ある一定の年齢に達したら仕事を退職する場合のその年齢 のこと」とある。 だから、男性だけにある訳でなく、もちろん女性にだってある。
 それをあえて、「定年女子」とすると、女性独自の「定年後」があるのかと思ってしまうが、決してそんなことはない。
 定年後、どういう生活を選ぶかは男性と同じだし、定年後の悩みややりがいだって男性と変わりはしない。
 2015年に刊行されたこの本の中で著者の岸本裕紀子さんが取材した女性たちの「定年後」は男性のそれと変わらない。
 女性であっても、定年まで勤めた女性の定年後の居場所づくりは大変だろうが、男性とちがって案外簡単に作ってしまうのが、女性ならではだろう。

 「定年後」の「おばちゃん化」を薦めている本もあるが、もし人生もうまくやっていきたいと思うなら、それも悪くない。いや、むしろ積極的に学んでいくべきだろう。
 考えるべきは、「定年後」亡くなるまでも膨大な時間に何をしたいかということだ。
 この本で岸本さんは「幕の内弁当式リタイア後の生活」が、バランスのいい生活としている。
 つまり、週何日か働いたりジムに通ったり、習い事をしたりといったそういったバランスが大事だとある。
 手あたり次第になんでも手を出すというのもどうかと思うが、「定年後」あなたならどんなおかずをそろえることができるだろう。

 いずれにしても「定年後」というやっかいな時間は、神様から今までがんばってきたご褒美としてもらう大切なものだと考えれば、おろそかにはできない。
  
(2017/08/10 投稿)

  芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス
プレゼント 書評こぼれ話

  すでに
  NHKEテレで放送されている「ヨーコさんの”言葉”」の
  書籍化された既刊3冊のうち
  2冊は紹介しましたが
  今日はその最初の巻である
  『ヨーコさんの”言葉”』を紹介します。
  全50話ある番組には
  私がいいなと思うものがいくつかありますが
  この巻でも
  「段々畑を上がっていった家にお嫁にいった」など
  好きな話があります。
  2017年も半分を過ぎましたが
  上半期読んだ本で
  この『ヨーコさんの”言葉”』シリーズは
  私の中のベスト本です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  5分間の至福                   

 絵本作家の佐野洋子さんはたくさんのエッセイも書いた。
 そのエッセイは佐野さん独自の視点から書かれているものが多く、愛読者も多い。
 それを紙芝居風の、5分の番組に仕上げてしまおうと考えついた人がいるのだから、さすがNHKは人材が豊富だ。
 文章が佐野洋子さん、絵が北村裕花さん、語りが上村典子さん。
 番組として全50話となっている。

 それが本になった。
 すでに3冊が出ているが、これはその最初の巻。
 番組の第一話である「才能ってものね」をはじめ、愛犬が柴犬にダックスの血がまざっていておかしな短足犬になっている姿を描いた「あ、これはダックスがお父さんだ」、人間の孤独をじっと見つめる「こんぐらがったまま、墓の中まで」、そして夫婦の愛の深さを静かに描いた「段々畑を上がっていった家にお嫁にいった」など、9篇が収められている。
 もとのエッセイ集でいえば、『ふつうがえらい』や『私はそうは思わない』など。

 番組とちがうのは上村典子さんの語りがないところ。
 だから、そこは読みながら読者自身が埋めなければならない。
 番組をよく見ている読者ならきっと心の中の読み方は上村典子さん風になるのであろう。
 もし、佐野洋子さんの話し方を知っている人がいれば、佐野さん風の読み方だっていい。
 残念ながら私は知らない。
 だから、上村典子さんの語りが私には佐野洋子さんである。
 ややこしい、が。

 もちろん、5分の番組にするために佐野洋子さんのエッセイは加工されている。
 できたら、原典のエッセイ集も読んでみたいものだ。
  
(2017/07/19 投稿)

  芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス
プレゼント 書評こぼれ話

  今日は、夏至

    地下鉄にかすかな峠ありて夏至     正木 ゆう子

  昼間が一年中で一番長い日。
  ということは
  この日を境に日は短くなっていきます。
  夏が来て、
  そのどこかにもう冬の気配がある。
  宇宙の不思議です。
  今日は
  そんな不思議パワー全開の
  佐野洋子さんの『役にたたない日々』という
  エッセイ集を
  紹介します。
  役にたちますよ、きっと。

  じゃあ、読もう。



sai.wingpen  役にたつ本                   

 NHKEテレの、わずか5分の絵本風の番組「ヨーコさんの”言葉”」の第34話「二〇〇八年冬」に思わずジーンとして、ならば原作を読んでみようと手にとった。
 「ヨーコさんの”言葉”」は絵本作家佐野洋子さんのたくさんのエッセイから、これはという作品が選択され、北村裕花さんが絵本風の絵を描き、上村典子さんの読み聞かせが入る。
 この「二〇〇八年冬」は、乳ガンになった自身を痛快に描いたエッセイだ。痛快だけど、しみじみとしてしまうのは上村さんの読み聞かせの巧さだろうか。

 佐野洋子さんは2010年11月に亡くなった。
 72歳の生涯を短かったというのは簡単だけど、佐野さん自身はどう思っていただろう。
 亡くなる2年前のこのエッセイでは、病気が判明したあとの気持ちをこう綴っている。
 「人生が急に充実して来た。毎日がとても楽しくて仕方ない。死ぬとわかるのは、自由の獲得と同じだと思う。」
 佐野さんの作品が人気の高いのは、この突き抜けたような剛毅さだろう。
 佐野さんはさまざまなところで、男性と女性の違いを書いているが、こういう強さも女性ならではかもしれない。

 この短いエッセイにはどうしても書き留めておきたい、名言がある。
 「私は死ぬのは平気だけど、親しい好きな友達には絶対死んで欲しくない。死の意味は自分の死ではなく他人の死なのだ」
 この「二〇〇八年冬」だけではない。
 この本のページを開くと、書き留めておきたい名言があちらにもこちらにも。
 佐野洋子さんのファンが減らないはずだ。
  
(2017/06/21 投稿)

  芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス
プレゼント 書評こぼれ話

  そろそろまた夏の文庫まつり
  本屋さんで展開される頃です。
  毎年書いていますが
  新潮文庫の100冊から
  井上ひさしさんが消えて久しい。
  これは絶対いけません。
  少なくとも
  井上ひさしさんの『父と暮せば』は
  途切れさせてはいけないと
  思います。
  今年はどうでしょうか。
  やっぱり期待できないのかな。
  今日は井上ひさしさんと
  次女の井上綾さんの往復書簡
  『井上ひさしから、娘へ』を
  紹介します。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  井上ひさしさんの本が消えませんように                   

 作家であり劇作家でもあった井上ひさしさんが亡くなったのは2010年4月ですから、かなりの歳月が過ぎたことになります。
 それでもこうして生前次女と、雑誌「月刊いちかわ」の連載とはいえ、交わした往復書簡が単行本化されるのですから、まだまだ人気が高い作家でもあります。
 しかし、井上さんと往復書簡を交わした次女の綾さんが「あとがきにかえて」という巻末の文章で「父の本が、本屋さんから消えませんように。」と切実に書いているように、直木賞作家とはいえ井上さんの本が本屋さんから消えてしまうということがないわけでもない。
 こういう本を契機に、もう一度井上さんの小説なり戯曲なりが読まれたら、どんなにいいでしょう。

 さて、この本ですが、なかなか読者には難しいものがあります。
 それは往復書簡の一方の相手である娘の綾さんのことがよくわからないことです。
 読んでいくと井上家でも問題児だったのだろうとか精神的に弱いところがある女性だとかがなんとなくわかるのですが、この父娘の書簡が互いに響きあっているようには思えません。
 綾さんには井上さんは甘えられるたった一人の父親だったのでしょう。しかも、かなり有名で、忙しくて、家庭のいざこざを一身でしょい込んでいるような。

 一方の井上さんの書簡の方も次女を気遣いながらもあまり父娘の関係に深入りするようなことはありません。
 昔の思い出とか井上さんの母親のこととかを記しています。
 そのあたりから井上ひさしという作家の像が浮かびあがってきます。
  
(2017/06/20 投稿)

  芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス
プレゼント 書評こぼれ話

  児童文学者の石井桃子さんの
  晩年のメッセージに

    おとなになってから、老人になってから、あなたを支えてくれるのは
    子ども時代の「あなた」です。

  というものがある。
  もしかして、このメッセージは
  定年後の過ごし方をどうするかという課題を説いた
  楠木新さんの『定年後』にある、
  「子どもの頃の自分を呼び戻す」ということと
  どこかつながっているように感じた。
  この本は
  「定年後」の過ごし方に悩んでいる人には絶対読んでもらいたい。
  きっと行くべき道が見つかるのではないだろうか。
  最後にこの本の中から引用しておきます。

    何をやってもよく、何をやらなくてもいい。
    自らの個性にあった働き方、生き方をすればよいのだ。
    大切なのは退職後の一日一日を
    気持ちよく「いい顔」で過ごせることだ。

  じゃあ、読もう。  

  

sai.wingpen  「いい顔」になろう。                   

 Amazonでこの本のタイトルである「定年後」をキーワードにして検索すると3000件近い商品がヒットした。近くの公共図書館だと、230件近い本が出てきた。
 そのことからわかることは、「定年後」は多くの人にとって興味深い問題なのだろう。
 この本の著者の楠木新氏は「戦争のない平和で豊かな時代に会社員という一つの仕事に従事してきたこと、および雇用者の全体の人数が増加して人口に占める割合が急激に高まって」、定年後の過ごし方は重要な社会的な課題になっているとしている。

 ただ一口に「定年後」といっても、その過ごし方は様々だし、ましてや各人の経済的な事情もあるから、一様ではない。
 楠木氏も実に多くの定年退職者と接触を持って、この本が出来上がっているが、だからといってあるべき答えが提示されているわけではない。
 「声高に自分のやっていることを説明」したり、忙しくもないのに「時間がなくて」と言ったりする、定年退職者のある程度の姿は括られていて、同類相憐れむれむ的な読み方にもなるのだが、憐れむこともないはず。
 要はまだまだ新しい社会的な課題であるから、自分たちでその答えを見つけていくしかない。

 そのヒントがこの本にはたくさん書かれている。
 例えば、地域や家庭で私的な人間関係をどう築いていくかの課題では「大阪のおばちゃん」化を推薦したり、集団の中では「煩わしいこと」をやらないと居心地はよくならないとか、
 もし今「定年後」の過ごし方に悩んでいるなら、この本は欠かせない。
 別に他人と同じである必要はない。
 ただ著者がいうように、「定年後は「いい顔」になること」が一番大切なのだ。
  
(2017/06/15 投稿)

  芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス