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プレゼント 書評こぼれ話

  今年も残り少なくなってきました。
  今年もたくさんの有名人が
  亡くなりました。
  なんといっても残念なのが
  イラストレーターの和田誠さん。
  私にとっては大きな人でした。
  政治家でいえば
  11月29日101歳で亡くなった
  中曽根康弘さん。
  現役の頃はタカ派のイメージが強かったですが
  亡くなったあとのコメントでは
  概ねいい政治家だったというものが多かったように
  思います。
  今日紹介する
  『打たれ強く生きる』を書いた
  城山三郎さんが亡くなった際のお別れの会にも
  中曽根康弘さんは出席しています。
  中曽根康弘さんの魅力とは
  そういうところにあったのかもしれません。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  城山三郎という「羅針盤」                   

 経済小説の開拓者ともいわれる城山三郎が『輸出』で文学界新人賞を受賞したのは1957年で、79歳で亡くなったのが2007年であるから、作家人生はほぼ半世紀といっていい。
 「日経流通新聞」に1983年に連載された、このビジネスマン向けのエッセイはほぼ城山の大きな作品が上梓されて経済小説の作家としての地位がほぼ確立していた時期であろう。
 決して堅苦しい文章でなく、読みやすく、時には厳しい視線ながらそれでいて温かく包みこんでくれるエッセイに、どれだけ多くのビジネスマンが勇気づけられたことだろう。

 このエッセイが連載されていた1983年は城山を愛してやまなかった中曽根康弘内閣の頃で、戦後最長と当時いわれた不況がようやく終わりを告げた年でもある。
 あの人気朝ドラ「おしん」が放映されたのもこの年である。
 時代はまちがいなく上向きであっただろうが、城山のこれらのエッセイから感じるのは単に鼓舞するだけではないということだ。
 例えば、城山が描いた『黄金の日日』のルソン助左衛門の生きる姿をこう表現している。
 「彼は、人生には第三の道があることを信じ、第三の道に生きた男でもあった」。
 そして、「どんな事態にも、第三の道がある」のだから、「人生にも新しい風がふぃてくるのではないか」と結んでいる。

 城山はあの時代の「羅針盤」で間違いなくあったはずなのに、城山のいう「第三の道」を選ぶことなく、日本はバブル経済の道を突進していくことになる。
  
(2019/12/19 投稿)

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  斎藤孝さんといえば
  『声に出して読みたい日本語』を皮切りに
  次々とベストセラーを出している先生ですが
  今日紹介する
  『本は読んだらすぐアウトプットする!』の
  著者略歴に
  「著書発行部数は1000万部を超える」とあって
  驚きました。
  斎藤孝さんの著作をきっかけに
  古典や文学
  あるいは本全般が好きになったという
  読者も多いのでしょうね。
  この本も

    「書く」「話す」「伝える」力が
    いっきにつく55の読書の技法


  という副題がついているくらいですから
  参考になる技法が盛りだくさん。
  さっそく「アウトプット」してみては。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  これは「ビジネス本」に入るかな                   

 講演する人に昔聞いた話ですがが、聴衆が老若男女幅広い層というのが一番やりにくいといいます。
 同じ志向の人であればそちらの方向で話ができるが、志向が違えば話が多方面になって収拾がつきにくいのでしょう。
 本をどう読むか、さらには副題にあるように「書く」「話す」「伝える」力がいっきにつくというこの本の場合、著者は読者をどう設定したのだろう。
 その答えは冒頭に出てきます。
 よく読む本の傾向を尋ねるページが最初にあって、「ビジネス本」をよく読む人は「自分の能力を伸ばして仕事に役立てよう」とするタイプで読んだ本をスキルに変えることを、「小説・漫画」をよく読む人には、読んだ内容を忘れない方法を学べるとあります。
 つまりは、どちらのタイプでも大丈夫だというわけですが、文章のトーンはどちらかといえばビジネス志向。文章の端々に「仕事でうまくいくには」的な書き方があります。
 なので、この本は本好きの人というよりは「ビジネス本」に近いように思います。

 目次を読むと、さらによくわかります。
 「伝える力」「引用力」「雑談力」「文章力」「スキルアップ」「リーダーシップ」などの項目名が並んで、「ビジネス本」でよく見かけるような構成になっています。
 斎藤孝さんが親切なのはそれらの項目の時々で、本の紹介が入ること。それらの本のほとんどが古典というのもいいし、「ビジネス本」もカバーしているのも、想定した読者向けの選択です。

 読書をどう仕事に生かすか、そんな「ビジネス本」と割り切って読むのがいいと思います。
  
(2019/09/05 投稿)

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  稲盛和夫さんの名著
  『生き方』は国内で130万部、
  中国では300万部を突破した超ロングセラーだが、
  その本の出版社がサンマーク出版
  この本の後、よく似た三文字の本
  『働き方』『考え方』が出ているが
  これらはそれぞれ別の出版社での刊行。
  そして、満を持して
  サンマーク出版が6月に刊行したのが
  この本、
  『心。』です。
  稲盛和夫さんの教え(って書くと宗教臭くなりますが)は
  とてもわかりやすいのがいい。
  あまりにもスッと心に入ってしまうから
  だから何度でも読むのがいい読み方。
  もうすぐお盆休みという人も多いでしょうが
  その機会に読んでみるのもいいですよ。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  何度でも読んで、何度でも心揺さぶられる                   

 最近理不尽な事件が多い。
 何の罪もない人や子供たちが犠牲になる。そのことにやりきれない思いを感じる。
 一方、事件を起こした人の心の闇の深さに呆然となる。一体どのようにしてその心の闇は生まれたのだろうか。
 そんな時、京セラの創業者で現在名誉会長である稲盛和夫氏のこの本を読んだ。
 その冒頭にこうある。
 「人生で起こってくるあらゆる出来事は、自らの心が引き寄せたものです。」
 だから、「心に何を描くのか。どんな思いをもち、どんな姿勢で生きるのか。それこそが、人生を決めるもっとも大切なファクターとなる。」
 生きていくことは一筋縄ではいかない。
 稲盛和夫氏も今でこそ多くの賛辞を得ているが、そこに至るまでには多くの波乱があったことは、稲盛氏は多くの著作の中で書いている。
 そうして、たどりついた思いは、心が持っている強い力。
 誰もが稲盛氏になれるわけではないということはわかっているが、少なくとも稲盛氏が教えることを素直に聞くことが、人生を意味あるものにするのではないだろうか。

 稲盛氏はこの本で「人生の目的」をこう語っている。
 一つは「心を高めること」、これは魂を磨くことだという、そしてもう一つが「利他の心」で生きることだという。
 稲盛氏の著作は一度読んでそれで終わりではない。
 人は時に傲慢になり、怒り、欺こうとする。だから、何度も稲盛氏の著作を読んで、心をきれいに保つしかない。

 稲盛氏は最後に「いまどんなにつらい境遇にあるとしても、それにめげることなく、気負うこともなく、ただ前向きに歩んでいってほしい」と書いている。
 きっと多くの人の心に届く言葉であるだろう。
  
(2019/08/02 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日
  北康利さんの『思い邪なし 京セラ創業者稲盛和夫』という評伝を
  紹介したので
  せっかくの機会だから
  稲盛和夫さんの『生き方』を
  再読しようと
  本棚からひっぱり出しました。
  書評にも書きましたが
  新しい感動がやっぱりあって
  今回はこんな言葉に
  魅かれました。

    今日一日をないがしろにせず、
    懸命、真剣に生きていけば、
    明日は自然に見えてきます。

  いい言葉ですよね。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  常に新しい感動に出会う                   

 この本の初版が刊行されたのが2004年の8月。
 それから10年経った版の帯に「刊行10年目で100万部突破!!」とある。
 それが今、刊行から15年経って「120万部突!!」とさらに増えている。海外での翻訳も今は13か国で、これもまだまだ増えつつある。
 こうして何年も読み継がれて、新しい読者を増やしている一方で、何度も読み返している人も多いのではないだろうか。
 この本の読み方としては、再読、それも何度も繰り返し読むのがふさわしいような気がする。

 この本の著者稲盛和夫氏はいうまでもなく京セラという大きな会社の創業者で、この本はそんな稲盛氏が教える人生訓である。
 その中に、氏が幼い頃に教えられた教えが出て来る。
 それが「なんまん、なんまん、ありがとう」だ。
 氏にこの言葉を教えたのはお坊さんで、これから毎日この言葉を唱えなさいと、諭したという。
 氏がえらいのは、この言葉を忘れなかったことだ。
 どんなにいい教えであっても、人はつい、忘れてしまうことが多々ある。
 忘れないようにするためには、何度も何度も繰り返すことだろう。
 それが「なんまん、なんまん、ありがとう」のような言葉であればいいが、本の中で出会った言葉や文章などはどうしても忘れてしまう、
 しっかり身につくためには、何度も読み返すしかない。

 読み返せば、また新しいことにも出会う。
 そういう発見もうれしい。
 この本の魅力はそんなところにあるように思う。
  
(2019/06/15 投稿)

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  朝日新聞が実施した全国世論調査で
  「何歳ぐらいまで働くのがいいか」という質問に
  「65歳」が36%ともっとも高かったという。
  ただ、生活のためには「70歳まで」が最高になる。
  「老後の不安」が
  「病気やケガ」をおさえて
  「お金」がもっとも高いのが反映されている。
  もっともこれには
  若い世代の回答も入っているだろうから
  シニア前段階の世代はどうなのだろうか。
  今日紹介する本は
  集英社という出版社一筋で働いてきた
  鈴木耕さんの
  現役時代を振り返った回顧録
  『私説 集英社放浪記』。
  面白いですよ。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  そこにいたから書けること                   

 毎年元旦の新聞に各出版社の年頭の広告が出る。
 今年(2019年)の集英社のそれに、集英社新書は今年創刊20年になることが書かれていた。そのあとに「世の中に対する多様な視点や思考の手がかりを届け、読者の「学びたい」という気持ちに応えつづけています」とある。
 なかなかいい広告だった。
 では、20年前、集英社の内部では新書として先行していた岩波や中公や講談社を追いかけ、どのようなコンセプトで新書を作ろうとしていたのか。
 この本は当時集英社の中でその責任編集者でもあった著者が、新書創刊の裏事情を語っている、興味深い内容になっている。

 そもそも著者は25歳から定年となる61歳までの36年間を、集英社一筋で勤務した人物だ。しかも、雑誌、単行本、文庫、新書と最後まで現場で編集に携わってきたという。
 業界の内部事情はよくわからないが、やはりこれだけのキャリアがあれば、その経歴をぜひ残して下さいとすすめる人もあったのだろう。
 この本はそうして出来上がっている。
 だから、新入社員として配属された「月刊明星」時代や油ののってきた「プレイボーイ」の編集時代も面白いが、なんといっても著者が転々と異動していく姿の方に興味がいく。
 人事異動の季節でもなく、しかも度々異動があるのは何か事情があるのだろうが、そこのあたりはなんとなくベールに包まれているというか、やはり著者本人でもわからないのかしれない。

 ところで、集英社新書の創刊裏事情だが、あの「イミダス」という現代用語の事典と関係あったなんて、やっぱり面白い。
  
(2019/01/08 投稿)

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