プレゼント 書評こぼれ話

  株価が好調です。
  時あたかも衆議院選挙の真っただ中、
  ここにきてまるでアベノミクスの成果にように
  20年ぶりの高値水準ですから
  与党の鼻息は荒くもなります。
  でもですよ、
  問題はそういう好景気が
  日本全国津々浦々にいきわたっていないこと。
  景気がいいという実感あります?
  そんなことを思うのも
  この本を読んだからかも。
  今日は
  山田真哉さんの『平成のビジネス書』という
  本を紹介します。
  平成といっても
  今から10年くらい前の平成期。
  その頃
  どんなビジネス書が読まれていたでしょう。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  ビジネス書は何故衰退したのか                   

 自分が定年を迎える年齢になるとそれまで読んできた本のジャンルの中で「ビジネス本」の割合が減っていると思っていたが、実は「ビジネス本」そのものがあまり売れなくなっているという。
 出版業界は今や構造的な不況産業といわれて久しいが、それでも2000年代は「ビジネス本」が盛んに読まれていた黄金期であった。
 そんな時代の「ビジネス本」を自身『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』というベストセラーを書いた山田真哉氏が黄金期だった頃に書いた書評と、何故今衰退したのかという考察をまとめたのが、この本である。

 書評には『金持ち父さん貧乏父さん』『年収300万円時代を生き抜く経済学』といった懐かしい書名が並んで、山田氏の文章もそれなりに時代を感じさせる。これはこれで「黄金期」の「ビジネス本」の雰囲気を感じ取れればいい。
 ただ「黄金期」にはもっと「自己啓発本」もあったように思うが、あまり触れられていないのは、当時発表された媒体の性格によるのだろうか。

 さて、もう一方の「考察編」である。
 山田氏は「ビジネス本」が「黄金期」を2000年代に迎えた理由を、「出版不況を何とか克服しようとあがいた出版社側の努力と、「失われた20年」から脱出するヒントを本に求めようとした人々の需給がマッチ」したことで生まれたものとしている。
 では、それが何故崩壊したのか、山田氏は諸説ある中で「人口減少」と「ネットに負けた」説をとっている。
 特に「人口減少」の問題は「ビジネス本」衰退の問題にとどまらないと思われる。
 今後おそらく多くの産業にこれは影響するだろう。
 案外「ビジネス本」衰退要因を分析することはそのさきがけかもしれない。
  
(2017/10/17 投稿)

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  今日紹介する
  『信じる覚悟』は
  副題に「超訳 西郷隆盛」とあるように
  西郷隆盛の言葉を「超訳」したもの。
  著者は鈴木博毅さん。
  そして、この本も鈴木博毅さんから
  献本頂きました。
  先日献本のお礼のメールを差し上げたところ
  こんな返信を頂きました。

    集中して良い書籍を書ける時期は、
    人生の中で極めて限られていると
    私自身が考えており、
    できるあいだに頑張ってみたいと思っています。


  今のってるんでしょうね。
  今回の本は
  今までとは系統が違いますが
  私は好きですね。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  西郷ブームが来そうな予感                   

 上野公園の西郷隆盛像は今でも人気スポットだ。
 像の周辺には今でも大勢の人で賑わっている。
 この銅像が出来たのは、西郷が西南戦争で敗れて亡くなったあと、21年も経った明治31年で、その除幕式の際、夫人の糸子は「西郷はそんな人ではなかった」と言ったといわれる。
 葉室麟さんによれば、これは西郷という人間は浴衣姿で人前に出るようなだらしない人物ではなかったと糸子夫人は言いたかったのではないかという。
 いずれにしても西郷ほど、いつまでも人気の高い人物も少ない。
 そして、今また2018年のNHK大河ドラマは西郷が描かれる。
 この本はそんな西郷が残した言葉の数々を「超訳」で紹介するものだ

 本のタイトル「信じる覚悟」には、少し言葉が足されて本文では紹介されている。
 それが「未来」。
 つまり、「未来を信じる覚悟」。
 この言葉に添えられた文章にこうある。
 「未来は常にあります。あなたが信じる覚悟を決めたなら。」
 実際の西郷の言葉がどのようなものであったのかはわかりませんが、西郷という幕末から明治にかけて生きた人間のことを思うと、西郷は「信じる覚悟」を持って、倒幕にも向かっていったでしょうし、新政府樹立後下野もしたのでしょう。

 この本の中で紹介されている西郷の言葉は176。
 きっと読者一人ひとり心に刺さる言葉は違うでしょうが、リーダーへの言葉として残された数々は、きっといろんな場面で役立つことでしょう。
  
(2017/08/09 投稿)

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  昨日
  新谷学さんの『「週刊文春」編集長の仕事術』を紹介して
  リーダーの在り方に触れましたが
  今日もリーダーのための
  『3000年の英知に学ぶリーダーの教科書』という本を
  紹介します。
  著者は鈴木博毅さん。
  鈴木博毅さんにはいつも上梓のつど
  献本頂くのですが
  これもその一冊。
  鈴木博毅さん、いつもありがとうございます。
  この本の中で紹介されている一冊で
  アウレリウスの『自省録』は
  岩波文庫創刊90年記念の「図書」で
  この本を「私の三冊」に選んだ人が
  たくさんいます。
  純粋古典ですが
  挑戦しますか。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  リーダー必読の名著がズラリ                   

 最近数多くのビジネス本を執筆しているコンサルタントの鈴木博毅氏が古今東西の書物からリーダーに必携の書を選んで紹介した本書の冒頭にこう記されている。
 「リーダーは困難の中で輝きを発する」と。
 これには説明がいる。そうでないとどこかの国の総理大臣のように自身の困難で輝かれても困るから。ここでいう「困難」とはリーダーが導く集団が危機や問題に直面する時で、真のリーダーはそういう時こそ真価を発揮するものだと、鈴木氏はいう。
 今リーダーである人、いずれリーダーになりたいと願っている人、さまざまだろうが、リーダーはおのずとなる訳ではない。
 『出世の極意』を書いたマーク・ウエバーのように、自身がリーダーになるために動くことが大事である。
 この本にはもちろんマーク・ウエバーの『出世の極意』が紹介されている。

 この本には30冊の古今東西の名著が紹介されている。
 ホメロスの『イリアス』に始まって、チャーチルの『第二次世界大戦』、アウレリウスの『自省録』、カーネギーの自伝であったり、さまざまなリーダーを論じた城山三郎の『少しだけ、無理をして生きる』なんていうのもある。
 『孫子』や『商子』といった中国の古典があれば、稲盛和夫や永守重信といった日本の経営者の著作もある。
 実に幅広い。
 ラインナップをみて思うのは、この本で紹介されているのは、やはり名著ばかりということだ。

 名著はどのような時代であって読む価値を持っている。
 そして、それがどのような価値であるかを、この本はうまく紹介している。
  
(2017/07/22 投稿)

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  今日は
  ビジネス本の紹介です。
  仕事をやめても
  ビジネス本というのは
  結構自分のモチベーションを高めてくれるものです。
  「週刊文春」編集著新谷学さんの
  『「週刊文春」編集長の仕事術』。
  モチベーションを高めるということについていえば
  いくつか書き留めておきたい文章が
  あります。

    大切なのは、思いつきをそのままにしておかないということ

  あるいは

    「どうすればいいかな」などとウジウジ考えるより
    「やる」ことだ。

  仕事を退いたんだったら
  しゃかりきにやることないのではと
  思うかもしれませんが
  まだまだですよ、人生は。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  スクープ記事だけではありません                   

 週刊誌の新聞広告なり吊り広告を見るのは楽しい。
 広告だけで仲間内の話が盛り上がったりするくらい面白い。
 特に「文春砲」とまで言われる「週刊文春」と「週刊新潮」。
 発売日によって両誌の広告が並ぶと、「文春」頑張ってるな、「新潮」やるなと、つい比べてしまう。
 「週刊文春」の場合、右側の大見出しを「右トップ」、左側を「左トップ」と呼んで、右は政治などの硬めの記事、左は芸能などの軟らかめの記事だという。
 それがわかるだけで、あの広告も見る楽しさが倍増する。

 これだけで「週刊文春」の編集長が書いた本を読んだ価値がありそうだが、滅相もない。
 この本はタイトルに「仕事術」とあるとおり、仕事に向かうモチーベーションとか組織のあり方、何よりもリーダー論として優れた一冊になっている。
 だから、単に「週刊文春」のスクープ記事がどのように生まれているのかといった下世話な本ではなく、純粋に良質なビジネス本として読むことをオススメする。

 なかにこんな一文がある。
 「自分に異論を言う人に冷たく当たるのは絶対にダメだ」。
 まさか今の政治リーダーの言論を見越して書かれていた訳ではないだろうが、まさにここに書かれているそのことが国民にそっぽを向かれることになっている。
 リーダーとしての権力が停滞するとどうしてもそうなる。
 もちろん、これは政治だけの話ではない。大企業の不祥事の多くも同じような構造で起きているように思う。

 就活中の人たちにも読んでもらいたい一冊であることを書き加えておく。
  
(2017/07/21 投稿)

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  PHP研究所の「日本の企業家」シリーズから
  石井淳蔵さんの『中内功』を
  紹介しましたが、
  中内さんが亡くなったのは
  2005年9月19日。
  その年の12月5日東京で「お別れの会」が
  行われた。
  その時挨拶に立った清水信次日本スーパーマーケット協会会長は
  その中でこう述べた一節がある。

    首都東京においては氏を追慕する機会がない。
    本来の母体であるダイエーさんが、産業再生機構の厳しい管理下にあって
    諸事困難な事情にある。


  ダイエーがどのようにして
  産業再生機構の厳しい管理下にはいったかを描いたのが
  今日再録する
  日本経済新聞社編の『ダイエー落城』である。
  昨日につづく今日として
  紹介します。

  じゃあ、読もう。

ドキュメント ダイエー落城ドキュメント ダイエー落城
(2004/12/07)
日本経済新聞社

商品詳細を見る

sai.wingpen  For the Customers                   

 2004年の年の瀬も押し迫った12月28日、株式会社産業再生機構は大手流通業株式会社ダイエーへの支援を決定した。
 本書はそれに先立つ数ヶ月前、まだ猛暑の余熱が続く秋の初めの日本で多くの人々の耳目を集めたダイエーの支援要請をめぐる経済ドキュメントである。
 自主再建を模索するダイエー、再生機構による支援によりダイエー向け債権を正常化したい金融機関、不良債権の象徴といえるダイエーを再建することによって構造改革を一挙に進めたい行政機関。
 支援要請に至るまでに何があったのか、実は本書を読んだ後でも、答えは「藪の中」である。

 産業再生機構のホームページにダイエーの支援申込みに至った経緯が記載されている。
 それによると、依然として巨額な債務を抱えながら小売業の抜本的な収益力の回復力に至っていない状況にあって「過剰債務を解消するとともに、事業の見直しを行い事業の再生を図るべく、産業再生機構に支援申込をするに至った」とある。当事者たちの思惑がどうあったにしろ、またそれが官主導のものでも民主導のものであっても、ダイエーという城が「落城」した背景には小売業が立ち直らなかったという「お家事情」がある。

 そのことについて、産業再生機構は四つの窮境原因を挙げている。
 「自社保有方式」「全国展開へのこだわり」「事業多角化・拡大路線」「低価格路線への過度の依存」。
 ダイエーが戦後の日本経済の歴史の中で果たした役割は大きい。
 そして会社が拡大していくうちに、ダイエーは本来小売業が目指すべき道を少しずつ踏みはずしていく。
 それが機構がいう四つの窮境原因に集約されている。
 創業者中内が当初目指したものは顧客の視点に立ったものだった。
 だから、多くの人々は「流通革命」を支持した。だが、顧客のための視点がいつの間にか自分たちの会社の視点にすりかわっていたことにダイエーは気がつかなかった。

 ダイエーのお店に行くと店員たちの胸に名札がついている。
 そこにはダイエーの企業理念である「For the Customers」という言葉がはいっている。
 しかし、顧客のためにとこだわったはずの低価格路線がいつの間にかそれに見合うコスト削減で買い物をするという顧客の心理的満足をそいでいったことに気がつかなかったことにダイエーが「落城」に至る本当の原因があるように思う。
 今後ダイエーという城が再建できるとすれば、ダイエー自身が真の(そしてそれは新にもつながるだろう)「For the Customers」を見つけられた時にちがいない。
  
(2005/01/30 投稿)

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