03/17/2009 雨後の竹の子新書

みたいなことになってしまうので、急いで書き留めておきます。
3月12日の「朝日新聞」の「文化欄」に出てた記事のことです。
タイトルが「新書ブーム市場沸騰」。
結構、今の新書ブームがわかりやすくまとまっていました。

「本屋を歩けば嫌でも目につく新書の山。点数は膨大で、内容も
ルポものや歴史本、経済本からタレント本まで、フィクション以外なら
何でもあり、の状態だ」
とあります。
これ、実感としてあります。
最近本屋さんに行くと、新刊書の棚よりも新書の棚の方に
じっくり時間をかけています。
では、本当にどれだけ出版されているのかというと、
記事によれば年間1500点以上というからすごいものです。
しかも、「新書」とついたレーベルが40以上あるというのですから、
これまたすごい。
みなさん、いくつ言えます?
岩波新書、中公新書、講談社現代新書(これら三つが新書御三家です)、
ちくま新書に新潮新潮、PHP新書、文春新書、・・・
いやあ、すごい。
記事の中で「中央公論」の間宮編集長の言葉として紹介されていたのが、
「雨後の竹の子新書」。
「形は新書だが著者も中身もタイトルも何でもありの新書」
という現状を皮肉った命名。
にょきにょき。
それはそれで現代の出版事情と関係しているようで、
本が売れないので、廉価な本(ここでいえば新書)を量産するしかない、
ということらしい。
読み手側からすると、廉価である程度の知識欲が満たされ、しかも
持ち運びな新書は魅力ではありますが。

書いたのは、1997年5月31日、もう10年以上前の記述ですが。
岩波新書が創刊2000点に達した。1938年11月に斎藤茂吉や寺田寅彦ら
20点から始まって、綿々60年にしてこの数字になった。岩波書店によると、
「永遠の生命をもつことをめざす文庫とはちがい、何よりもそのときどきの
現代的な課題にこたえたいというのが、出発時からの方針」だったという。
僕が初めて岩波新書を読んだのは、中学の終わりか高校生の頃だ。確か
日高六郎の「昭和史」だったと思う。あの当時岩波文化はかなり進歩的、
左翼的と見られていた節があって、新書を読んでいるだけで少し高尚な
気分になれたものだ。その新書も、ある時期(赤版だったと思う)からぐっと
印象が変わる。(中略)それでも「現代的な課題にこたえたい」というので
あれば、それも十分に理解できる。社会主義は崩壊し、事件・事故は極めて
個人的な領域に限定されるとすれば、テーマは常に流動せざるをえない。
いやあ、すごくまともな97年の私です。
この文章から12年、新書はまったく新しい世界にはいっています。
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