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プレゼント 書評こぼれ話

  今回紹介した『だれでも詩人になれる本』の著者は、
  ほとんどの人がご存知の、やなせたかしさん。
  言うまでもなく、『アンパンマン』の著者です。
  『アンパンマン』があまりにも有名になりすぎて、
  そのほかのやなせさんの作品が小さくなるのも
  どうかと、私は思っています。
  私の娘たちがまだほんの子供だった頃、
  やなせさんの『やさしいライオン』をよく読んだことを
  覚えています。
  今、思い出しましたが、
  上の娘が幼稚園の頃、「アンパンマン音頭」というのを
  習っていましたね。
  もう20年以上、昔のことです。
  そのほかにもやなせさんは作詞もされていて、
  あの『手のひらを太陽に』もそうです。
  これは私が小学6年の時の運動会の時、
  団体で踊って記憶があります。
  こういう記憶っていつまでも残りますね。
  今回の書評詩の書き出しは、この本の中にでてきます。
  引用しますね。

  もしも、なんにもかけなくなったら、動物園にいくか、ちいさな子供たちを
  ぼんやりと眺めなさい。なにかをかならず教えてくれます 
(35頁)

  そこから、浮かんだ書評詩です。

あなたも詩人 だれでも詩人になれる本あなたも詩人 だれでも詩人になれる本
(2009/02)
やなせ たかし

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sai.wingpen  もしも、なんにもかけなくなったら              矢印 bk1書評ページへ

  もしも、なんにもかけなくなったら、
  動物園に行こう

  檻に閉じ込められたライオンを哀れむのではなく
  堀に仕切られたサルを蔑むのでもなく
  野生はなくても
  勝手きままに 吼え
  食べ 小便してる
  動物たちを ぼんやり眺めていよう

  もしも、なんにもかけなくなったら、
  小学校に行こう

  校門の固く閉ざされた門の前で
  うろうろしてたら 怪しまれるから
  校庭を見下ろす丘に登ろう
  規則正しい子供たちの行列に
  あくびがでても
  きっと誰かが いまに 駆けだすだろう

  もしも、なんにもかけなくなったら、
  詩集を読もう

  すでにかかれた たくさんのことに
  げっぷがでたら
  それが
  わたしの 詩
  自分だけの 詩

 本書は今年(2009年)九十歳になるやなせたかしさんが、三十年以上前に書かれた『詩とメルヘンの世界 もしも良い詩がかきたいなら』(1977年)を再編改訂したものです。
 氏の『アンパンマン』が国民的人気を経た今も、基本的には「詩に対する考え方は変わっていない」とやなせさんは「あとがき」に書かれています。
 やなせさんのいう詩とは「こころのありよう」です。
 そうだとしたら、書名のように「だれでも詩人になれる」かもしれません。ただ自分をごまかさなければ。
  
(2009/05/07 投稿)