05/07/2009 だれでも詩人になれる本:書評詩

今回紹介した『だれでも詩人になれる本』の著者は、
ほとんどの人がご存知の、やなせたかしさん。
言うまでもなく、『アンパンマン』の著者です。
『アンパンマン』があまりにも有名になりすぎて、
そのほかのやなせさんの作品が小さくなるのも
どうかと、私は思っています。
私の娘たちがまだほんの子供だった頃、
やなせさんの『やさしいライオン』をよく読んだことを
覚えています。
今、思い出しましたが、
上の娘が幼稚園の頃、「アンパンマン音頭」というのを
習っていましたね。
もう20年以上、昔のことです。
そのほかにもやなせさんは作詞もされていて、
あの『手のひらを太陽に』もそうです。
これは私が小学6年の時の運動会の時、
団体で踊って記憶があります。
こういう記憶っていつまでも残りますね。
今回の書評詩の書き出しは、この本の中にでてきます。
引用しますね。
もしも、なんにもかけなくなったら、動物園にいくか、ちいさな子供たちを
ぼんやりと眺めなさい。なにかをかならず教えてくれます (35頁)
そこから、浮かんだ書評詩です。
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もしも、なんにもかけなくなったら、
動物園に行こう
檻に閉じ込められたライオンを哀れむのではなく
堀に仕切られたサルを蔑むのでもなく
野生はなくても
勝手きままに 吼え
食べ 小便してる
動物たちを ぼんやり眺めていよう
もしも、なんにもかけなくなったら、
小学校に行こう
校門の固く閉ざされた門の前で
うろうろしてたら 怪しまれるから
校庭を見下ろす丘に登ろう
規則正しい子供たちの行列に
あくびがでても
きっと誰かが いまに 駆けだすだろう
もしも、なんにもかけなくなったら、
詩集を読もう
すでにかかれた たくさんのことに
げっぷがでたら
それが
わたしの 詩
自分だけの 詩
本書は今年(2009年)九十歳になるやなせたかしさんが、三十年以上前に書かれた『詩とメルヘンの世界 もしも良い詩がかきたいなら』(1977年)を再編改訂したものです。
氏の『アンパンマン』が国民的人気を経た今も、基本的には「詩に対する考え方は変わっていない」とやなせさんは「あとがき」に書かれています。
やなせさんのいう詩とは「こころのありよう」です。
そうだとしたら、書名のように「だれでも詩人になれる」かもしれません。ただ自分をごまかさなければ。
(2009/05/07 投稿)
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