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本 昨日(5.17)の日曜日、さいたま市中央区にある
 与野公園の「ばらまつり」に行ってきました。
ばらまつり1 ここは浦和と大宮のちょうど中間ぐらいにある街ですが、
 昭和52年に整備されたばら園にはたくさんのばらが植えられています。
 そして、毎年この時期に「ばらまつり」が開かれ、にぎわっています。

 ここはもともとは与野市といっていたところで、
 街のいたるところでばらをみかけます。
 写真は橋の欄干。みごとに咲いています。 ばらまつり2


本 ばらといえば、やはり薔薇と漢字表記の方が
 私は好きです。
 あの花のゴウジャスな感じが、薔薇という漢字にはよくでています。
 でも、やっぱり書けない漢字でもありますが。
 ばらまつり3
 ばらといえば、私は北原白秋のこんな詩を思い出します。

  ばらの木にばらの花咲く 何事の不思議なけれど

 どなたかのエッセイに書かれていて、それが記憶になって
 残っています。
 なんの衒(てら)いもない詩ですが、私たちがつい忘れてしまう
 そんな思いがこめれています。

本 あと、ばらといえば、加藤登紀子さんが唄った『百万本のバラ』。
 ある日貧しい絵描きが女優に恋してしまいます。
 それで彼は町中のばらを買って、女優の部屋の窓からみえる
 街の広場にそれを飾ります。
 でも、彼女は彼のそんな気持ちなどわからずに、
 また新しい街へと旅立っていく。
 切ないですよね。
 これなんかも、ばらだから、ドラマになると思うんですよね。
 そういえば、ばらの花言葉って、色によって違うそうです。
 ばらまつり4
例えば、赤は「模範」とか「貞節」。
 黄色は「嫉妬」、ピンクは「愛を待つ」。
 蕾は「愛の告白」だそうですから、
 貧しい絵描きは蕾のばらにすればよかったのかもしれません。

本 向田邦子さんの『夜中の薔薇』というエッセイには
 こんな楽しい話があります。
 向田さんは、シューベルトの『のばら』の一節、
  ♪童は見たり 野中のばら
 の「のなかのばら」をずっと「夜中(よなか)のばら」だと
 勘違いしていたというお話。
 確かに子どもの頃にまちがって覚えてしまった言葉なんかは
 大人になってもそう思い込んでいるところがありますよね。

本 喜劇俳優チャップリンの名作『ライムライト』にはこんなセリフが。

  人生はすべて願望だ。意味じゃない。
  薔薇は薔薇になろうと望んでいる。


 チャップリンとばらというのは、よく似合っています。
 あの名作『街の灯』は浮浪者チャップリンが目の不自由な少女に
 恋する話です。そのラスト。
 視力を回復した少女が今まで親切にしてくれていたのが
 浮浪者チャップリンだと気づく場面。
 チャップリンは一輪のばらの花をもっていました。
 それも、蕾。
 あれって「愛の告白」の意味だったですね。

本 ばらって奥が深い。

 ばらまつり5

 最後に、ばらの句を一句。

  雨の薔薇光の珠を沈めけり