08/04/2009 Black Jack 17 (秋田文庫):書評

漫画の書評ってあるかといえば、
もちろん、これはやっぱりあります。
今日は2003年の蔵出しですが、
手塚治虫さんの『Black Jack(ブラック・ジャック)』の書評です。
書評というのは、
別に文字で書かれた散文だけでなく、
絵本だって書けますし、詩文でも書けます。
そして、漫画も。
読んだものが心にどう響いたか、
それを誰かに伝えたい、あるいは自分の中で残しておきたいと思えば、
表現手段として、それは可能だと思います。
だから、本当は「漫画ばかり見て」というのは正しくはありません。
漫画を読んで、何を思ったのかということを引き出してあげれば
いいのではないでしょうか。
ちなみに、今週の「bk1書店」の<書評フェア>は、
「書評を通じて、天才・手塚治虫の全貌に迫る」という企画です。
一度、のぞいてみてはいかが。
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![]() | Black Jack―The best 11 stories by Osamu Tezuka (17) (秋田文庫) (2003/08) 手塚 治虫 商品詳細を見る |


手塚漫画の魅力を、この巻の解説者である里中満智子さんは「社会性」「ストーリー性」「あぶないお色気」「暗さ」「重さ」「キャラクターの多彩さ」と分析している。
里中さんは、一ページあたりのストーリー展開のスピードに言及して、それが手塚治虫の本来のリズムだと感嘆する。自身が漫画家であるだけに、手塚の文体の魅力がよく見えているのだろう。
里中さんはそんな職業的な専門的解説の中で、さりげなくこんな一文を書いている。「ピノコのあぶないお色気も、手塚作品の底に流れる主旋律の一本だ」(259頁)そのさりげなさの中に、里中さんのピノコに対する愛情のようなものを感じる。
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