08/05/2009 終の住処(芥川賞受賞作):書評

先日発表された第141回芥川賞を受賞したのが、
今日紹介しました、磯崎憲一郎さんの『終の住処』(ついのすみか)です。
私はいつも、芥川賞作品は「文藝春秋」に掲載されたものを、
その「選評」とともに読むのを基本にしているのですが、
今回は先に単行本がでましたので、「文藝春秋」発売前に
読んでしまいました。
「文藝春秋」がでたら、またその「選評」の感想を
書こうと思います。
今回の受賞者磯崎憲一郎さんは、
44歳の商社マンということで久しぶりの大人の作品と
話題になっていますが、
作品自体に明るさがあるかというと、けっしてそうではなく、
いまひとつとっつきにくさを感じました。
むしろ、作品の中の主人公の仕事についての描写の方に
活力があります。
案外この作者は「経済小説」などを書けば、
面白いかもしれません。
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文学は時代の風見鶏であるのか。
著者が意図しようとしまいと、時代はしばしば文学に風見鶏であることを強いることがある。それが芥川賞というこの国でもっとも有名な文学賞であればなおさらで、作品がすでに強く時代の風を受けている場合もあるし、掲げられて初めて時代の風を感じることもある。
第141回芥川賞を受賞した磯崎憲一郎の『終の住処』を読み終わった時に感じた、ある種の徒労感もまた、風見鶏が指し示す時代の風なのだろうか。
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