08/06/2009 夕凪の街 桜の国:書評

今日、8月6日は広島に原子爆弾が落とされた日。
そのあと、9日には長崎にも。
いろいろな主義、主張があるでしょうが、
やはりああいう悲惨なことは二度とあってはいけないと思います。
そして、そういうことは、
きちんと次の世代に伝えていくことが必要です。
今日紹介したこうの史代さんの『夕凪の街 桜の国』は漫画です。
漫画ですが、心が震える作品です。
映画にもなりました。(原作の方がずっといいです)
若い人たちが、そのようにして、きちんと平和を描くことが大事だし、
そういう本があることもやはり伝えていくべきだと思います。
この本は今は文庫(双葉文庫)にもなって、
手にはいりやすいですから、読んでみて下さい。
今日の書評は2005年の蔵出しですが、
これをきっかけにして、みなさんのなかの、
ヒロシマ、ナガサキを考える、きっかけになれば
いいと思います。
折り鶴に込めし鎮魂原爆忌 (本田幸吉)
◆「ブログランキング」に参加しています。
下の「バナー」をクリックすると、このブログの順位がわかりますよ。


![]() | 夕凪の街桜の国 (2004/10) こうの 史代 商品詳細を見る |


大江健三郎が『夏の花』の作家原民喜を紹介する短文の中で、原が文体について書いたこのような文章を紹介している。(「原民喜と若い人々との橋のために」1973年)
《明るく静かに澄んで懐かしい文体、少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のようにたしかな文体…私はこんな文体に憧れている。だが結局、文体はそれをつくりだす心の反映でしかないのだろう》
原はヒロシマで原爆に被災し、その中で彼でしか描けなかった小説を書いてきた作家である。
大江はこの短文で原のことを「若い読者がめぐりあうべき、現代日本文学の、もっとも美しい散文家のひとり」と書いた。
その時から三十年以上経って、私たちは「若い読者がめぐりあうべき、現代日本マンガの、もっとも美しい」作品を持つことになった。
| Home |