08/08/2009 読書からはじまる:書評

本には、特に文庫本や新書には、
よく見ると、いろいろなシンボルマークがついていて、

それはそれで、面白いテーマかもしれません。
今日紹介した長田弘さんの『読書からはじまる』は、
「NHKライブラリー」というシリーズ出版からの一冊ですが、
このシンボルマークは、何だと思います?
写真で大きくしておきましたが、
実はこれ、
夏目漱石の『道草』の草稿に落ちたインクの染み、
なんだそうです。
それだけで、うれしくなってしまいました。
そういうものをシンボルにしている本だから、
思わず頬すりすりしたくなります。
それに、たくさんの本のお話を書かれている
詩人長田弘さんの本でもあって、
二重の喜びです。
本好きな人ならこういう気持ち、わかってもらえると思いますが、
村上春樹さん風にいうなら、「小確幸」。
小さいけれど、確かな、幸せ。
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![]() | 読書からはじまる (NHKライブラリー) (2006/10) 長田 弘 商品詳細を見る |


この本は、詩人長田弘さんの、いくつかの講演草稿をもとにして書き下ろされた、読書についての論考集です。
この本の最後で長田さんは「自分の心のなかに失いたくない言葉の蓄え場所をつくりだすのが、読書です」(214頁)と書いています。そういう豊かな言葉がさししめすとおり、この本のなかには読書だけでなく、言葉の問題、生活のなかにある時間や場所、私たちの記憶のことどもが、八篇の論考として収められています。
特に心をひかれたのは、子どもの本に関しての、「子どもの本のちから」と題された一篇でした。
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