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プレゼント 書評こぼれ話

  今日から10月です。
  新しい月に変わるのは、
  いつだって新鮮でいいものです。
  先月のことはおいといて、
  これから頑張るぞ、って気持ちになる。
  しかも、気候もよろしい。
  心なしか、空気もおいしい。
  今日紹介するのは、
  そんな日にふさわしい一冊。
  林望さんの『帰宅の時代』。
  今日から、
  私も493日の「無所属の時間」を終えて、
  新しい靴をはくことになりました。
  はたして、その靴にどんな翼がはえているのか
  楽しみです。
  今回の書評のタイトルのように、
  人生は常に「これから」。
  新しい世界へ。

帰宅の時代 (新潮文庫)帰宅の時代 (新潮文庫)
(2009/08/28)
林 望

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sai.wingpen  人生は常に「これから」             矢印 bk1書評ページへ

 世界同時金融不況の、シンボリティックな始まりとされるリーマン・ショックから一年。いまだ私たちは新たな出口を見つけられないでいる。
 「この景気が低迷した不安定な世の中は」という文章ではじまる、書誌学者リンボウ先生の四年前の作品(2005年6月に単行本として刊行)が今回文庫本化された。
 ここでいう「不安定な世の中」とは今回の未曾有の不況のことでなく、それ以前のバブル崩壊から抜け出せない時代のことで、あらためて、私たちはなんど同じような失敗を繰り返しても、けっして学ぶことができないものたちであることに嘆息する。
 あるいは、四年前に「自分にとって本当に必要で大事なもの」を見つけた人は、今回の不況にあって、大きな声を発することもなく、淡々と日々を過ごしているのであろうか。

 本書は「自分らしく」生きるための提言書である。そして、その中心としてリンボウ先生は会社に隷属されない「家」の重要性をあげていて、それが書名の「帰宅の時代」につながっている。
 もし、四年前にリンボウ先生がいうように「会社がどうなろうと、自分で自分の面倒をみられるだけの、個人としての実力をつける方向に努力」した人は、今回の不況のなかでもおそらく生き残ったにちがいない。それは国の施策でもそうであろう。もし、四年前に不況時の救済施策などを充実させる努力をしていたならば、またちがった様相があったと思える。
 残念ながら、時計の針を四年前に戻しても、個人は不況のなかでどう会社を建て直すかに知恵をしぼり、国は経済復興に軸足をおいたままであった。
 だから、四年経った今でも本書が有効な提言書であるのは、皮肉なことだ。

 冒頭に「新しい出口」と書いた。これは失速する前と同じ経済の発展を求めるものを指したものではない。そういうものに依存しない「生き方」を求める、出口である。
 これからも拝金主義に翻弄される人たちや社会があらわれるであろう。それを全否定はしないけれど、そのことだけに巻き込まれるのではない、「自分」の生き方を確立することが望まれる。
 そして、それは、リンボウ先生がいうように、いつであれ「手遅れ」ではない。
 「やると決めたら直ちに実行に移すべし」。
 これがリンボウ家の家訓でもあるらしい。
  
(2009/10/01 投稿)

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