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プレゼント 書評こぼれ話

  朝日新聞日曜書評欄の「百年読書会」(重松清ナビゲーター)の、
  10月の課題図書は、松本清張さんの『砂の器』。
  まったく重松清さんは毎回重量級の本を課題図書にしますね。
  今回も500ページ近い文庫本が上下2冊。
  こりゃあ大変だと早めに読み始めたのですが、
  さすがに推理小説で、中断するのが困難なくらい、
  あっという間に読めてしまいました。
  今回、きっと感想を書く人のなかには、
  野村芳太郎監督で映画化された作品(1974年)との比較を
  書く人が多いと思います。
  それほどあの映画の印象は強い。
  先に映画を観た人は、
  原作を読むとかなり違和感を感じるのではないでしょうか。
  今年、松本清張さんは太宰治と同じく、
  生誕100年ということで、何かと話題になっていますが、
  たくさんの作品がありますから、
  それぞれの人の好みがあるんでしょうね。
  私はやっぱり『点と線』かな。
  今回も書評句つきで、お楽しみください。

砂の器〈上〉 (新潮文庫)砂の器〈上〉 (新潮文庫)
(1973/03)
松本 清張

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砂の器〈下〉 (新潮文庫)砂の器〈下〉 (新潮文庫)
(1973/03)
松本 清張

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sai.wingpen  失った風景            

 秋ふかし 犯人を追ふ 読者かな

 いくら作品の評価が決まっているとはいえ、さすがに推理小説の場合、犯人であるとか結末とかを書くのは控えたい。今年生誕100年を迎えた松本清張の代表作といえども、未読の読者はこれからも増えつづけるだろうから、同じことだ。
 東京蒲田駅の操車場で殺された一人の男が残した言葉の特徴、東北弁と「カメダ」という言葉。この謎ときが面白い。刑事たちもこれに振り回されるのであるが、この作品が発表された昭和36年はまだ日本の言葉が地方ごとにくっきりと色分けできる特色をもっていた時代でもあったのだろう。TVの発展で言葉の景色そのものも変わってしまった風がある。その点でも、この作品は推理小説でありながら、新進芸術家たちの発言や地方の風景、刑事たちの移動手段など時代が様変わりする過渡期を描いているとみていい。
 そして、それは過去を切り捨てたいと願った犯人の心象風景とも似ている。
  
(2009/10/04 投稿)

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