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プレゼント 書評こぼれ話

  私は、男性と女性の性差はある、と思っています。
  これはどうしようもない事実です。
  基本的には男性は女性になれないし、
  女性は男性になれません。
  では、どうすればいいか。
  それは互いの理解だと思います。
  そして、理解のために、
  今回紹介する、工藤美代子さんの『炎情』のような
  作品も読んでおくのはいいことだと思っています。
  多分この本の主要な読者層は、
  熟年の女性でしょうが、
  ぜひ男性の方も読んでみるといいです。
  女性がどのような感情をもっているか、
  それを知ること、理解することは、
  とても大切なことではないでしょうか。
  でも、こういうことは男性ももっと積極的に
  発言してもいいのにな、と
  思わないでもありません。
  
炎情―熟年離婚と性炎情―熟年離婚と性
(2009/06)
工藤 美代子

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sai.wingpen  心の奥底の炎                     矢印 bk1書評ページへ

 ノンフィクション作家工藤美代子さんの、熟年離婚をテーマにした、ノンフィクション作品である。
 熟年というあいまいでもっともらしい世代用語に違和感をおぼえるが、ここでは年齢が四十代から六十代の男女の、結婚して二十年以上を経た夫婦の離婚模様を描いている。
 発表誌が主婦層が読者の『婦人公論』であったこともあるだろうが、ほとんどの逸話の主語は女性である。夫の、浮気、無理解、いびつな嗜好癖、暴力。どうも男性の旗色はよくない。
 もちろん、わがまま、身勝手、貪欲、といった女性の姿も描かれているが、やはり熟年離婚というのは、未成熟な男性側に原因が多いのかもしれない。というよりも、著者が書いているように「高齢化社会となった現代において、女性の生き方の選択肢が増え」、夫や家庭に耐えずとも女性の生活が成立する社会的な背景が大きいのだろう。

 しかし、耐えるという意味であれば、夫である男性側にも言い分はあろう。それでも、男性が主語になりにくいのは、離婚後の生活不安が男性の場合大きいといえる。家事ができない、となれば、外部での経済活動以上に自立できないということである。
 男性側の誤解は、外部での経済活動がすべてに優先していると考えている点にある。
 炊事、洗濯、掃除、といった家庭内部での生活活動ができないということは、つまりはそれらをこなす妻に依存をせざるをえない体質をもったままであるということだ。そのことに夫たる男性はなかなか気がつかない。

 本書には多くの性の事例も掲載されている。性そのものがすべてではないにしろ、少なくとも女性の多くは「愛のある性」を求めているのであろう。もっとやわらかくいえば、「ぬくもりのある性」だろうか。その点でも男性は大きな間違いをおかしているかもしれない。「子孫繁栄のための性」「快楽としての性」であれば、妻たちの心の奥底の炎はみえてこない。
 性の営みは本来豊かなものでありながら、ここでの事例はなんとも殺伐としている。だから、離婚にいたったともいえるが、どうもそうではない温みがみえてこないのはどうしてだろう。あまりに性の情報が豊かになりすぎたせいだろうか。

 長寿社会がもたらしたもの、あるいはこれからもたらすだろうものに、男も女も真摯に向き合わないと互いに不幸である。そして、その解決の道はけっして離婚ばかりではないと思うのだが。
  
(2009/10/16 投稿)

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