04/08/2010 高村光太郎詩集 道程:書評

岩崎書店の「豊かなことば 現代日本の詩」シリーズの
これが第一巻めです。
このシリーズに高村光太郎がはいるのは
どうかと思いたくなるほど、
高村光太郎という詩人は
私が子どもの頃から有名な人でした。
多くの人に愛された詩をたくさん書いています。
今回の書評のなかにも
何編かの詩の一節を載せていますが、
そのほかにも
「あれが阿多多羅山、/あの光るのが阿武隈川。」(『樹下の二人』)
も、よく口にしました。
二年ほど前に福島に暮らしていたことがあって、
この詩の気分のまま、
この一節がなんどもリフレインしました。
この詩のままの風景でした。
じゃあ、読もう。
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小学生から読めるように漢字にふりがなのついた、「豊かなことば 現代日本の詩」シリーズの一冊。最愛の妻智恵子のことをうたった『レモン哀歌』や子どもの頃に一度は出会う『道程』などで有名な高村光太郎の詩集です。
まず、表題作ともなった『道程』について。学校の授業で習ったことがあると思いますが、あの「僕の前に道はない/僕の後ろに道は出来る」という有名な一節ではじまる詩です。ここぐらいまでなら、いまでも空(そら)でいえます。愛唱歌ということではないですが、詩とはそもそもこの詩のようにいくつになってもふと口について出てくる、そういうものだったのではないでしょうか。
記憶することで、詩人の魂と共鳴しあえるもの。
それは、妻智恵子のことを詠んだいくつもの詩についてもいえます。「智恵子は東京に空が無いといふ、/ほんとの空が見たいといふ。」の『あどけない話』にしても、多くの人がこの詩のはじまりを知っていると思います。何度もなんども耳にし、目で見、そして自分の口でうたったから。
繰り返すことで、詩は自分のうたになります。
あるいは、有名な『レモン哀歌』。「そんなにもあなたはレモンを待ってゐた」で始まるこの詩を何度読んだことでしょう。レモンを齧りながら、一瞬意識を取りもどす智恵子の姿にどれほど胸うたれたことか。そういう心のさまが、今も私にはあります。
久しぶりに読んだ高村光太郎ですが、あらためて詩の魅力を感じた一冊となりました。
(2010/04/08 投稿)

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