04/19/2010 長田弘詩集 はじめに・・・・・・:書評

詩集をこんなにも集中的に
読んだのは
ほんとうに久しぶりのことです。
今回紹介する『長田弘詩集』で、
岩崎書店から刊行されている
「豊かなことば 現代日本の詩」全10巻は
すべて読み終えました。
詩集なんかはなかなか読む機会が
少ないと思います。
でも、詩はあらゆる文芸の原点に
あるものではないでしょうか。
言葉がこの世界にはじめて
生まれたとき、
きっと人々が最初に作り出したのは
詩だったように思います。
疲れたとき、
悩んでいるとき、
そっと包みこんでくれるような
詩を読んでみるのも
いいと思います。
今回の10冊の詩集たちが
そんなきっかけになればと思って、
書評を書いてきました。
じゃあ、読もう。
![]() | 長田弘詩集 はじめに・・・・・・ (豊かなことば 現代日本の詩 10) (豊かなことば現代日本の詩 10) (2010/02/26) 長田 弘 商品詳細を見る |


小学生から読めるように漢字にふりがなのついた、「豊かなことば 現代日本の詩」シリーズの最後の一冊。本のエッセーもたくさん書いている大好きな詩人、長田弘の詩集です。
好きな詩人はなんとなく安心します。新しい発見もあるのですが、帰郷をした気分が安心を生みます。
いつかみた風景、いつか聴いた音。ふるさと。学生時代の親友。そして、昔読んだ一冊の本。
この詩集の冒頭の詩。『アイということば』。「アイ/ひとが最初におぼえることば/(中略)/アイ/愛ということば」。そんなことをずっと昔に考えていたことを思い出させてくれる詩です。きっと私だけではない、たくさんの若者たちが「アイということば」にひかれ、悩み、傷つき、喜んだことでしょう。そのことを詩人はみごとに表現しています。
有名な『世界は一冊の本』という詩。冒頭の「本を読もう。/もっと本を読もう。/もっともっと本を読もう。」という一節に、心の芯がふれます。
詩人が詠う本は、私たちが手にする印刷物の本をいうのではないでしょう。この世界にあるものすべてが、本だというのです。
表紙があって、ページがつづいて、それが綴じられているもの、栞があって、ルビがあって、挿絵があって、裏表紙でとじられるもの。それらがすべて、本だというのです。
「人生という本を、人は胸に抱いている。/一個の人間は一冊の本なのだ。/記憶をなくした老人の表情も、本だ。」と。
だから、長田弘という詩人もまた一冊の、そして未完の、本です。『最初の友人』や『記憶』、『父の死』といった詩は、長田弘という本の最初のページに書かれた詩、あるいは最初のページに刻印された記憶をたどって書かれた詩です。誰もがそんなページをもっているはずなのに、そのことを忘れています。
詩を詠むように、詩にいざなわれながら、そんなページを開いてみるのもいいかもしれません。わたしという一冊の本の。
(2010/04/19 投稿)

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