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プレゼント 書評こぼれ話

  今日紹介したミタリ・パーキンスさんの
  『リキシャ★ガール』は、
  今年の「青少年読書感想文全国コンクール」の
  課題図書の一冊です。
  小学校高学年向けです。
  ですから、とても読みやすい物語です。
  でも、
  書かれている内容は色々なことを
  考えさせてくれます。
  まず、物語の舞台のバングラデシュですが、
  この国がどこにあるのか
  正直にいうと
  私もよく知りませんでした。
  インドの東側にある北海道の2倍くらいの
  大きさの国です。
  そのほか、貧困に立ち向かう施策など
  大人が読んでも
  充分に面白いし、ためになる一冊です。
  夏休みまではまだ少しありますが、
  ぜひ読んでもらいたい。
  そんな気持ちで書評を書きました。

  じゃあ、読もう。
  
リキシャ★ガール (鈴木出版の海外児童文学―この地球を生きる子どもたち)リキシャ★ガール (鈴木出版の海外児童文学―この地球を生きる子どもたち)
(2009/10)
ミタリ パーキンス

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sai.wingpen  あなたの幸福度は何点?                     矢印 bk1書評ページへ

 物語の舞台はバングラデシュ。書名の「リキシャ」は、そのバングラデシュで利用されている自転車で人を乗せる車をひっぱって移動につかう乗り物のことです。
 明治の頃の日本では人力車という乗り物がありましたが、その自転車版ともいえます。
 この物語では「リキシャ」が重要な役割をしていますが、ここで書かれているのは昔の話ではありません。現代のバングラデシュの物語です。
 今や電気自動車が走ろうかという日本にいて、「リキシャ」を移動手段にしている国のことを想像するのは難しいかもしれません。でも、世界にはまだまだ貧困にあえいでいる国はたくさんあります。また、同じ国のなかで戦争状態に近い国もあります。あるいは、この日本という国もそうです。けっして誰もが裕福ではありません。たくさんの人が歩いているのは大きな都会の話です。小さな地方にいけば、年老いた人たちだけの過疎のような町がいくつもあります。
 ものごとすべてはひとつの視点では判断できません。たくさんのことから、それでも正しいといえること、それを見つけ出さなければなりません。

 物語の主人公はナイマという十歳の少女です。ナイマのお父さんは「リキシャ」の運転手をしています。「リキシャ」を買ったときの借金を返すために毎日毎日働きづめです。
 そんな父親を楽にしてあげたいと優しいナイマは思います。そして、名案が浮かびました。日頃からお母さんに「行動をおこす前に立ちどまって考えなさい」といわれていたことも忘れて、ナイマは思いついた計画を実行してしまいます。このことで、ナイマの一家はさらに苦境においこまれてしまうのです。
 物語はそのあと、ナイマの勇気ある行動で家族に幸せがもどってきますが、ナイマのお父さんは「リキシャ」の運転手であることに変わりはありません。
 でも、ナイマはそのような貧困のなかでも「本当の幸せ」とはどういうものかを手にいれましたし、貧しくても懸命に生きようとしている人とも出会いました。

 「日本人の幸福度は65点」という「幸福度調査」の結果があります。
 残念ながら、これは世界のなかでもけっして高い数字ではありません。豊かさと幸福度はけっして同じではないのです。
 バングラデシュという貧しい国のナイマよりも自分が幸福であるかどうか。そして、それがもし幸福だとしたらどうしてなのでしょう。あるいは、ナイマの方が幸福だと考えたなら、なぜそう思うのか。
 そのようにして問いかけることが大事ではないでしょうか。
  
(2010/06/17 投稿)

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