06/21/2010 絵本処方箋(落合 恵子):書評「おとなだぞってふんぞりかえっているひとに」

今日は24節気にひとつ、夏至。
昼間の時間が一番長い日です。
一番短い冬至からどんどん日が長くなって、
この日を境にまた短くなっていきます。
夏至の日の手足明るく目覚めけり 岡本眸
さて、このブログを楽しんでくれている人は
気がついているかもしれませんが、
最近絵本の紹介をいくつか書いています。
人生の半分を、たぶん、過ぎた大人が
絵本を読んでいるのですから
変わった嗜好かもしれません。
でも、今回紹介する落合恵子さんの
『絵本処方箋』にもあるように
絵本には年齢制限はありません。
気軽に読めて、しかも深く考えさせられる。
大人たちよ。
子供たちから絵本を奪い返せ。
じゃあ、読もう。
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詩人の長田弘さんが『読書からはじまる』という本のなかで、「大人になってからは子どもの本を読まないというのだったら、その本に親しむことのないままになる」 と書いていたが、本書のなかで著者で子どもの本の専門店クレヨンハウスの主宰者である落合恵子さんもよく似たことを書いている。
すなわち、「「子どもの本」と呼ばれるものに、年齢制限はない。完成度の高い「子どもの本」は、子どもから楽しめる本、だといえる」。
本書は絵本の書評集といっていい。ただ普通の書評集とちがって、いろいろな気分にあわせてそのための一冊が選ばれている。
たとえば、「自分の弱さに腹が立ったら」、そんなときには斎藤隆介作、滝平二郎絵の『モチモチの木』はどうだろう、みたいな薦め方である。だから、書名に「処方箋」とはいっている。
「本書は、疲れた大人に向けての絵本入門書とも言えるだろう」と、落合恵子さんは「後書き」に書いているが、このあとにこうつづけている。「本が「あなた」が抱えた問題や悩みをすべて抜本的に解決してくれるものではないにしても、たまには絵本を開いて、「違う景色」の中を遊泳してみないか?」と。
そんな73の「違う世界」を落合恵子さんのわかりやすい書評で「遊泳」すると、絵本の世界とは実に多様だということに気づく。
死の問題、家族の在り方、自分の見つけ方、社会との関わりなど、おとなでも一筋縄ではいかない色々なことが絵本という媒体のなかに描かれている。
おとなたちは子どもの未来をどうのこうのと心配するが、こういう絵本にふれないおとなたちこそ、悩み多きまま、何ひとつ解決できないのではないだろうか。
子どもから一冊といわず、何冊か借りて読んでみたいと思わずにはいられない、おとなのためのすばらしい絵本入門書である。
(2010/06/21 投稿)

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