04/02/2011 やわらかなレタス(江國 香織):書評「鯛の目玉」

今日紹介した江國香織さんの
『やわらかなレタス』というタイトルは
ポターの名作『ピーターラビット』にでてくるらしい。
書評にも書きましたが、
この本には江國香織さんの
大好きな童話や絵本のことも
たくさん書かれています。
それにしても
江國香織さんの文章は気持ちいいというか
美しい日本語ですよね。
読んでいて気持ちがいい。
こういう文章で
食べ物の話を読むと
食べ物までおいしく感じます。
やはりお父さんである
江國滋さんの教育が大きかったのでしょうか。
じゃあ、読もう。
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先日母の一周忌を済ませた。大阪の実家に帰って兄としばし母の思い出を話して、母の料理が話題になった。実家が小さい商いを営んでいたから父も母も忙しく、母の料理といってもこれというものが出てこない。
兄と共通していたのは、中学生の頃のお弁当のことだった。よく、弁当箱から汁が染みでていたということで一致した。当時は新聞紙に包んで弁当を持っていった。お昼には染みでた汁で新聞紙の隅もぬれていたことがよくあった。牛肉の甘く煮たおかずをいれていた時によく染みた。
牛肉を甘く煮たもの。あれはそもそも何という料理だったのだろう。
本書は江國香織の食べ物エッセイである。そのなかにしばしば家族(それは小さかった頃の家族であったり、成長して新しくつくった家族であったりするが)の話が登場する。
「薄い牛肉を炒めたときの、フリル状になった白い脂身のことを、子供のころ「ぷりぷり」と呼んでいた」という文章で始まる「「ぷりぷり」のこと」には江國の幼少の頃の食べ物とともに父(もちろん、江國滋である)や母、妹との温かい団欒が描かれている。
家族からそういった食べる時間を奪いとればどういう思い出が残るのだろう。家族と一緒に食べることの大切なことが声高ではなく、語られていく。
そういえば、この「「ぷりぷり」のこと」には妹が大好きだった「鯛の目玉」の話もでてくるが、私の亡くなった弟もこの「鯛の目玉」が好きだった。江國のように本当に妹がそれを好きだったか「今度訊いてみ」ることができないのが残念だが。
本書にはそういった食べ物とあわせて江國の好きな童話や絵本の話もふんだんにあって、童話好きの人にも興味をひく一冊でもある。
(2011/04/2投稿)

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