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プレゼント 書評こぼれ話

  大人になるということは
  素敵なことにも出会いますが
  大きな悲しみも見てしまうことです。
  今回の東日本大震災の
  たくさんの犠牲者の多くは
  高齢者の人たちでした。
  何十年もすてきな暮らしをしてきて
  それでも今回のような大きな悲しみに
  出会うということ。
  大人になるということは
  そういうことなのだと思います。
  今日紹介した本は
  柳田邦男さんの『雨の降る日は考える日にしよう』は
  大人のための絵本ガイドです。
  大人にだって、
  あるいは大人だからこそ
  心が殺伐とすることがあります。
  だから、絵本の力が必要だと
  柳田邦男さんは書いています。
  大人の皆さん、
  ぜひ絵本にふれてみて下さい。

  じゃあ、読もう。

雨の降る日は考える日にしよう ([絵本は人生に三度]手帖?)雨の降る日は考える日にしよう ([絵本は人生に三度]手帖?)
(2011/03/18)
柳田 邦男

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sai.wingpen  母の手のぬくもり                 矢印 bk1書評ページへ

 ノンフィクション作家柳田邦男さんは近年精力的に絵本についてたくさんの著作を書いています。そこには「乾いた心に潤いを」といったねらいがあり、「大人こそ絵本を」と呼びかけられています。
 そんな柳田さんが看護職にいる人を対象とした雑誌に「大人のための絵本-ケアする人、ケアされる人のために」というテーマで絵本を紹介したエッセイを連載しました。この本はそのエッセイを集めたものです。
 ここにはたくさんの絵本が紹介されています。ですから、絵本のガイドでもあるのですが、それは子供たちへの案内ではありません。
 大人の皆さんが道に迷ったり、困難な状況にあったりしたときに、癒すためにつけられた道案内なのです。

 柳田さんは絵本には「簡単な物語のように見えていて、実はとても大事なメッセージがちりばめられている」といいます。人は困難にあったとき、どこかで心を休めたいと願います。派手な描写や過激な表現は受け付けないでしょう。そんな時、オアシスのように絵本は心を助けてくれます。
 しかもただの憩いだけではなく、明日への命の道筋を指ししめしてくれます。それはどうしてでしょう。
 もともと絵本は子供たちに向けて書かれてものです。子供たちの心はとても柔らかくてほんわかしていて、そこに刺々しい言葉や絵はふさわしくありません。子供たちの心は成長し、やがて厳しい現実と向き合うようになります。
 絵本はそういう成長をうながす効果もあるのでしょう。そういう柔らかな心にふれあうには、絵本もまた柔らかでなければなりません。しかも、大事なメッセージが必要です。

 絵本は母親の手に似ています。どこかほっとさせ、勇気づけてくれるぬくもり。大人にだって、そんな手のぬくもりが必要な時があります。
 大人はみえっぱりですから、なかなか弱いところをみせません。でも、ぬくもりを求めて恥ずかしいことなんかないのです。柳田さんがいわれる「大人こそ絵本を」は、そういうことをいっているのだと思います。

 柳田さんも絵本に親しむようになったのは人生の後半にはいってからでした。だから、恥ずかしがらずに堂々と絵本にふれてみてください。
 柳田さんは夜、「ひとり静かに新たに見つけた絵本をゆっくりと声に出して読む」そうです。そんな毎日を過ごせたら、どんなに命がゆるやかにながれることでしょう。
  
(2011/04/30 投稿)

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