05/16/2011 ゆで卵の丸かじり(東海林さだお):書評「「丸かじり」の真打」

幸せってなんだろうって
時々考えないわけではない。
確か村上春樹さんが
「小確幸」(小さくても確かな幸せ)と
いうようなことを書いていたはずだが、
私にとって東海林さだおさんの「丸かじり」シリーズは
幸せの見本のようなものです。
毎年新しい「丸かじり」を
抱きしめ(!)ことができる幸せよ。
今回は最新刊の『ゆで卵の丸かじり』。
多田進さんの手になる表紙の
女性の幸せそうな表情をみよ。
(このあと、彼女がどうなるかを想像するのも楽しい)
とにかく今年も夏がきた!
「丸かじり」と夏との関係は定かではないが。
じゃあ、食べよう。
![]() | ゆで卵の丸かじり (丸かじりシリーズ 33) (2011/04/07) 東海林さだお 商品詳細を見る |


おなじみ東海林さだおさんの食べ物エッセイ「丸かじり」シリーズの最新刊です。
今回は「ゆで卵」の丸かじりと、丸かじりの歴史の中にあっても上位に位置する「丸かじり」なのです。
何しろ歴代の「丸かじり」をみても、「タコ」「キャベツ」「トンカツ」とどうみても「丸かじり」に適さない食材が書名となって、そのたびに多くの犠牲者がでてしまったという惨状は見るも無残。「ワニ」が「丸かじり」できますか。「ワニ」に「丸かじり」されてしまった勇気ある人もいたとか、聞いたことがあります(空耳かも)。「タヌキ」も「ブタ」も「丸かじり」などできやしない。
長い「丸かじり」史にあって、本当の「丸かじり」といえるのは「タクアン」「鯛ヤキ」「マツタケ」「どぜう」「コロッケ」「おにぎり」と、そう多くはない。
そんな中、「丸かじり」の真打といいましょうか、大御所といいましょうか、「ゆで卵」の登場です。
その形状といい大きさといい、「ゆで卵」が今まで「丸かじり」されなかったのが不思議なくらい。
新人にしていきなりヒットチャートにのし上がったアイドルみたいで、これで今年の紅白も安泰です。
ところが、です。「一口丸ごとパクリ」を「日本人でやったことのある人はいないと思う」というのが東海林さんの見解であって、どうしてあの形状、あの大きさにして「丸かじり」がなされないかという高尚な研究成果が本書には書かれて…いたはず…???
まあ、高尚でなくても楽しければ、それもまたよし、としないと。
東海林さだおさんは、衰えをしらぬ、健啖家であります。
(2011/05/13 投稿)

応援よろしくお願いします。
(↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)


レビュープラス
| Home |