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プレゼント 書評こぼれ話

  今日紹介した絵本『エイミーとルイス』は
  bk1書店さんから献本頂きました。
  新しい絵本です。
  リビー・グリーソンという人が文を書いています。
  そして、今『八日目の蝉』が大人気の
  角田光代さんが訳されています。
  とっても心あたたまる絵本です。
  でも、これは心あたたまるだけではないかもしれません。
  人を愛することとはどういうことかを
  教えてくれる一冊かもしれません。
  書評にも書きましたが、
  大人になって
  しかもとっても大人になって
  一冊の絵本に教えられることが
  たくさんあります。
  それでも、知らないより
  すっといいのではないでしょうか。

  じゃあ、読もう。

エイミーとルイスエイミーとルイス
(2011/04/29)
リビー・グリーソン

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sai.wingpen  あの時おおきな声で呼んでいたら              矢印 bk1書評ページへ

 好きだった女の子が高校三年の卒業式を待たずに突然引っ越していきました。その年、大学受験に失敗して、故郷の町で浪人生活をおくりましたが、その子のことがいつまでも気になっていました。元気にしているだろうか。さびしくないだろうか。
 次の春、その子を追いかけるように東京の大学にはいりました。なんとか連絡をつけて会ってはみたものの、社会人として働きだしていた彼女はもうずっと先を歩き出していました。
 青春というものがあるとした、苦い、それでいて今でも甘酸っぱい思い出です。友達がひっこしをしてしまう、しかも大好きだった友達が遠くに行ってしまった経験は、この時のことばかりです。

 この絵本の、エイミーとルイスは幼馴染の友達で、「いつもいっしょ」にいます。互いに特別な言葉で呼び合えば、いつもどちらかがかけつけてくれるのです。
 「けれどあるひ、エイミーいっかは、とおくに ひっこすことになりました」。それは「ちきゅうの うらがわくらい、とおいところに」です。
 エイミーがいなくなって、いろんな遊びがつまらなくなります。ルイスは「まいにち まいばん」エイミーのことを考えています。ひっこした町でエイミーも同じように「まいにち まいばん」ルイスにことを考えています。
 ルイスはある日ママにたずねます。「ねえ、ママ。もしぼくが、ものすごく おおきなこえでよんだら、エイミーにとどくかな?」って。ママは首をふります。パパもそうです。おばあちゃんだけは「やってみるしかないわね」って答えてくれました。
 だから、ルイスは大きな声で、あの日のように特別な言葉で、エイミーをよびます。
 愛した人が遠くに行ってしまったら、ルイスのように大きな声で呼べばいいのです。彼の声は雲になり、海を越え、海のずっと向こうのエイミーのいる町へ流れていきます。

 大切な人。もし、本当に大切だったら、たとえその人が遠くにいっても大きな声で呼ぶこと。愛するってそういうことです。
 もちろん、ルイスの声はエイミーに届きました。朝、彼女はこんなふうにつぶやきます。「すてきな ゆめをみたわ。ルイスのゆめ。ルイスが わたしをよんでいる ゆめ」。

 彼女が突然引っ越していってからもう40年近い日々が過ぎました。
 あの時、私が大きな声で呼んでいたら、きっと彼女にも届いたかもしれません。この絵本でようやく気づきました。
 でも、それは人生の、きっとまた別の物語なのでしょう。
  
(2011/05/23 投稿)

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