02/05/2012 あさになったのでまどをあけますよ(荒井 良二):書評「朝の匂いにみたされて」

この絵本、好きだな。
そんな気持ちで
書評を書きました。
荒井良二さんの
『あさになったのでまどをあけますよ』です。
タイトルも素敵です。
よく、朝の来ない夜はない、なんて
いいますよね。
しかも、この絵本は
窓を開けて、気分を変えてくれます。
窓を開けることで
朝の光景に
生まれ変われるような感じがします。
父が亡くなって
ややもすれば沈みがちな気分でしたが
この絵本ですっきりしました。
せっかくの日曜の朝、
窓をあけますよ。

じゃあ、あけよう。
![]() | あさになったのでまどをあけますよ (2011/12/02) 荒井 良二 商品詳細を見る |


絵本作家にはそれぞれ個性ある描き方があります。林明子さんのように丁寧に写実される人もいるし、いせひでこさんのように水彩で風のように描く人もいます。
長谷川義史さんはうまいのかへたなのかわかりにくい絵を描きますが、生きる力を感じます。
この絵本の作者荒井良二さんも長谷川さんの描き方によく似ていますが、もっとおしゃれな感じがします。色づかい、筆づかいが何物にもとらわれない、自由な感じです。
生きているっていう気分。
私たちにもし翼があったら、荒井さんの絵本のように、どこでも飛んでいけるのに。
はじめのページ。
山の中の小さなおうち。「あさになったので まどをあけますよ」と、あります。その言葉のとおり、その小さなおうちの窓が全開して、男の姿が見えます。
その次のページで、多分その子の目に飛びこんでくる光景でしょう。「やまはやっぱりそこにいて きはやっぱりここにいる」と言葉がついています。
そして、「だから ぼくはここがすき」と続きます。
自然に囲まれた土地だけではありません。都会に住む女の子は、やっぱりにぎやかなその街が大好きだし、河口で暮らす兄弟はさかながきっとはねているところが好きなのです。
誰もが自分たちが住んでいるところが大好きです。
この絵本の魅力はまるで動くカメラレンズから見ている気分でしょうか。
ページを開くたびに、光景が変わります。
朝になって、窓を大きく開けて、その土地土地の空気を大きく深呼吸するような感じで読んでいました。
思わず開いたページに鼻をこすりつけたくなります。
ページの奥から、清々しい朝の匂いが立ち上がってくるようです。
(2012/02/05 投稿)

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