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プレゼント 書評こぼれ話

  今日紹介するのは
  正岡子規の俳句を日付ごとに
  紹介する、
  『子規に学ぶ 俳句365日』です。
  もちろん正岡子規の俳句すべてに
  日付があるわけではありませんから
  選者たちがこの日にこの句が似合いそうだと
  選んだものです。
  ちなみに、今日2月13日でいえば
  こんな句が選ばれています。

   君行かばわれとどまらば冴返る

  この句の「冴返る」は春の季語。
  暖かくなりかけてまた寒さがぶり返すことをいいます。
  この本を読むと
  いかに正岡子規がわかりやすい俳句を
  詠んだかがわかります。
  作句とはきどることではないのです。
  普段のままに
  じっと見ること。
  それこそ、
  俳句の極意でしょう。

  じゃあ、読もう。

子規に学ぶ 俳句365日子規に学ぶ 俳句365日
(2011/12/09)
週刊俳句 編

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sai.wingpen  俳句を若い人へ                 矢印 bk1書評ページへ

 俳句という短詩文芸はなんとなく年寄り好みのものと思われがちです。花鳥風月を愛で、という風流が、時間に余裕のあるお年寄りめいて見えるのでしょうか。あるいは俳聖と呼ばれた松尾芭蕉の印象でしょうか。
 俳句を趣味に、なんていうと、定年後の時間を楽しんでいるように思われます。
 確かに長い文章を書いたり読んだりするのは体力がいります。その点わずか十七文ですから、年を重ねていくとなじみのいい文芸です。 
 しかし、俳句は決してお年寄りのものではありません。
 若い人の瞬間に込める力こそ大切なのです。

 明治の俳人正岡子規はその生涯をわずか34年で閉じました。子規は現代の俳句の礎を築いた人ですが、彼が俳句を始めたのは20代の終わりでした。子規に続く高浜虚子たちも皆若い人たちでした。
 つまり俳句がお年寄りの趣味みたいに思われるのは明らかに間違いなのです。
 俳句は若い人たちが夢中になる文芸なのです。

 本書は正岡子規が生前詠んだ句から一年365日、一日一句ずつ選んで、句の紹介とその解説をまとめたものですが、選者は若い新進の俳人の人たちです。その中には1986年生まれのまだ20代の若者もいます。
 そういう若い人たちが子規の多くの俳句から選句したというのがいいですね。
 若い感性と、今から100年以上も前に亡くなった子規の感性が共鳴しあうというところに子規俳句のすごさを感じますし、それを評価する若い俳人たちの新しい息吹に圧倒されます。

 若い人にとって正岡子規の俳句はけっして古びていないのでしょう。
 それは1961年生まれの上田信治が書いているように、「子規の俳句革新は、いったん爛熟したのち低落してしまった文化に、明治の若々しく単純な精神を接ぎ木するもの」だったからこそ、現代の若者たちにも通じるものがあるのです。

 子規はきっともっともっと生きたかったにちがいありません。
 でも、子規の寿命が長かったとして、彼がいつまでも俳句を詠んだかどうかはわかりません。
 もしかすると、年老いた子規なら、俳句は若いうちこそ面白いぞなもし、とつぶやいたかもしれません。
  
(2012/02/13 投稿)

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