02/16/2012 愛さなくてはいけない ふたつのこと(松浦 弥太郎):書評「手のひら」

先月の終わり、
駅の近くの小さな本屋さんが閉店しました。
降りたシャッターに
小さな張り紙。
30年の営業を終わります、という文字。
帰り道、
この本屋さんをぶらりと寄るのが
好きだったのになぁ。
特に買うわけではなかったけれど、
それがいけなかったのでしょうが、
そういうぶらり感は
本屋さんにはとても大事。
今日は本屋さんでもある
松浦弥太郎さんの
『愛さなくてはいけない ふたつのこと』を
紹介します。
やっぱり本屋さんというのは
今、とっても経営的には
大変でしょうが、
街の風景として
欠かせません。
私たちは、本屋さんのある風景を
もっと大切にしないと
いけないのではないでしょうか。
じゃあ、読もう。
![]() | 愛さなくてはいけない ふたつのこと (2011/12/17) 松浦 弥太郎 商品詳細を見る |


この本のなかに「手のひら」のことが書かれています。それは、自分と向き合う方法として「手のひらをじっと見つめること」とあります。
そういえば、「手のひら」をじっと見つめたのはいつのことだったかな。
石川啄木に「はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざりぢっと手を見る」という有名な歌がありますが、この時啄木は単に困窮を嘆いただけでなく、生活改善できない自分と向き合っていたともいえます。
著者の松浦弥太郎さんは「手のひら」を見つめていると、「自分の心の中が見えてくる瞬間が訪れます」と書いていますが、じっと見つめる、その時間のゆとりが自分と向き合うことかもしれません。
忙しさにかまけ、自分の「手のひら」さえ見る余裕がなくなる。そのことに松浦さんは警告を発しているように思います。
松浦さんのいう「愛さなくてはいけないふたつのこと」とは、「不安」と「寂しさ」です。
この「ふたつのこと」が私たちを生きにくくさせていると、松浦さんはいいます。それらを排除するのではなく、それらとうまくつきあっていくこと。この本にはそのコツが松浦さんの言葉で語られています。
そのひとつの方法が冒頭に書いた「手のひらをじっと見つめること」なのですが、自分と向き合うということがたびたび表現は違いますが、出てきます。
たとえば、「目を背けず、自分という人間に、とことん向き合ってみましょう」といったふうに。
「不安」と「寂しさ」は自分をなくしてしまう心持ちだといえます。もし、自分がしっかりしていれば、「ふたつのこと」なんか何も気にすることはないのです。
だから、時には「手のひら」を見たり、鏡の自分と対峙しないといけない。あるいは、この本のような自分を振り向かせる「人生のくすり箱」を開くことで、自分を取り戻さないといけないのです。
私たちは時に自分を見失うことがあります。そういう時に「ふたつのこと」は心にはいってきます。
風邪をひいてくすりを飲むのではなく、風邪をひく前にくすりをのむ。それが健康の、ここでは心の健康の、秘訣だといえます。
(2012/02/16 投稿)

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