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プレゼント 書評こぼれ話

  先月の終わり、
  駅の近くの小さな本屋さんが閉店しました。
  降りたシャッターに
  小さな張り紙。
  30年の営業を終わります、という文字。
  帰り道、
  この本屋さんをぶらりと寄るのが
  好きだったのになぁ。
  特に買うわけではなかったけれど、
  それがいけなかったのでしょうが、
  そういうぶらり感は
  本屋さんにはとても大事。
  今日は本屋さんでもある
  松浦弥太郎さんの
  『愛さなくてはいけない ふたつのこと』を
  紹介します。
  やっぱり本屋さんというのは
  今、とっても経営的には
  大変でしょうが、
  街の風景として
  欠かせません。
  私たちは、本屋さんのある風景を
  もっと大切にしないと
  いけないのではないでしょうか。

  じゃあ、読もう。

愛さなくてはいけない ふたつのこと愛さなくてはいけない ふたつのこと
(2011/12/17)
松浦 弥太郎

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sai.wingpen  手のひら                   矢印 bk1書評ページへ

 この本のなかに「手のひら」のことが書かれています。それは、自分と向き合う方法として「手のひらをじっと見つめること」とあります。
 そういえば、「手のひら」をじっと見つめたのはいつのことだったかな。
 石川啄木に「はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざりぢっと手を見る」という有名な歌がありますが、この時啄木は単に困窮を嘆いただけでなく、生活改善できない自分と向き合っていたともいえます。
 著者の松浦弥太郎さんは「手のひら」を見つめていると、「自分の心の中が見えてくる瞬間が訪れます」と書いていますが、じっと見つめる、その時間のゆとりが自分と向き合うことかもしれません。
 忙しさにかまけ、自分の「手のひら」さえ見る余裕がなくなる。そのことに松浦さんは警告を発しているように思います。

 松浦さんのいう「愛さなくてはいけないふたつのこと」とは、「不安」と「寂しさ」です。
 この「ふたつのこと」が私たちを生きにくくさせていると、松浦さんはいいます。それらを排除するのではなく、それらとうまくつきあっていくこと。この本にはそのコツが松浦さんの言葉で語られています。
 そのひとつの方法が冒頭に書いた「手のひらをじっと見つめること」なのですが、自分と向き合うということがたびたび表現は違いますが、出てきます。
 たとえば、「目を背けず、自分という人間に、とことん向き合ってみましょう」といったふうに。

 「不安」と「寂しさ」は自分をなくしてしまう心持ちだといえます。もし、自分がしっかりしていれば、「ふたつのこと」なんか何も気にすることはないのです。
 だから、時には「手のひら」を見たり、鏡の自分と対峙しないといけない。あるいは、この本のような自分を振り向かせる「人生のくすり箱」を開くことで、自分を取り戻さないといけないのです。
 私たちは時に自分を見失うことがあります。そういう時に「ふたつのこと」は心にはいってきます。
 風邪をひいてくすりを飲むのではなく、風邪をひく前にくすりをのむ。それが健康の、ここでは心の健康の、秘訣だといえます。
  
(2012/02/16 投稿)

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