02/21/2012 なぜ人妻はそそるのか? 「よろめき」の現代史(本橋信宏):書評

今日は
どちらかといえば、
大人向けの一冊。
どちらかといえば、と
あいまいになったのは
この本を読もうと思えば
本屋さんでパラパラと読むことは
誰でも可能だし、
色々旺盛な男の子たちに
あまり禁止しても
それはそれで
旺盛さは増すという
経験則もあるので、
どちらかといえば、に
とどめました。
刺激的かといえば
そうでもありませんが、
世の奥様たちがみんな、この本
本橋信宏さんの『なぜ人妻はそそるのか?』に書かれている
人妻たちではないと
念をおしておかないと。
暴走はよくない。
うーむ。
でも、誰もそんなふうに思わないかな。
じゃあ、読もう。
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最近はインターネットや電子辞書の普及で辞書をひくということをあまりしなくなりました。言葉をたずねるということが容易になったことはうれしいですが、もう少し言葉を楽しむことがあってもいいのではないかと思います。
今回「よろめき」を調べるにあたっては本箱の中から分厚く重い広辞苑を取り出して、ちゃんと正統的に言葉をたずねました。
広辞苑には「よろめき」という名詞は出ていません。動詞の「よろめく」だけ。一つめの意味として、「足どりが確かでなく、よろよろする」とあります。
もちろん、本書でいう「よろめき」はこの意味ではありません。もっとも性的に爆発させてよろよろすることはあるでしょうが、私は経験ありません。
二つめの意味、「俗に、誘惑にのる。うわきする」とあります。本書はこのことを指しています。
だったら、「人妻」でなくても「よろめく」ことはあるのでしょうが、「よろめき」は「人妻」でないといけない。というのも、どうも「よろめき」というのは昭和32年に発表された三島由紀夫の、純朴な人妻の姦通物語である『美徳のよろめき』からきているようなのです。
著者はここから「人妻が夫以外の男に強い関心を示す」ことを「よろめき」と表現するようになったと推測しています。
本書はアダルトな世界で今や大人気となっている「人妻」を、先ほどの三島由紀夫のような小説や映画、それにテレビドラマといった媒体からその変遷を解き明かそうとする、まじめな本ですが、それでも大学の先生が書いた社会論でも風俗論でもないのでそこは適当に柔らかい、面白い一冊です。
ついでに「人妻」という言葉を広辞苑でひくと、「他人の妻、または夫」と「結婚して妻となった女」とありますが、どうもあまりおもしろくありません。
もう少し、よろめく感じを漂わせるのがいいような気がします。例えば、「結婚して妻となったが、女の色気がぷんぷん香りたつような女」とか。
あんまりうまくない、か。
言葉がもつ雰囲気はいろんな文脈で使われてこそ生きるもの。
「人妻」にしろ「よろめく」にしろ、辞書だけでは伝わらないものは、この本を読めば実感できます。
(2012/02/21 投稿)

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