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プレゼント 書評こぼれ話

  先日紹介しました
  丸谷才一さんの『人魚はア・カペラで歌ふ』に
  戦後の出版界の偉業が載っていて、
  その何位かに
  文庫と新書のことが挙げられています。
  丸谷才一さんはこのふたつが両立したのは
  「おもしろい現象」と書いていて
  その理由は「日本人の手が小さいから」と
  推測しています。
  なるほど。
  いい推理かもしれません。
  本屋さんに行くと
  必ず文庫本の新刊のコーナーに
  寄ります。
  最近これはっていう文庫本を見つけていないのですが
  松浦弥太郎さんの『今日もていねいに。』に
  思わずひかれました。
  PHP文庫です。
  思わず買いそうになってしまいました。
  待てよ。
  この本、持っているよ。
  それぐらい、
  文庫本としても魅力があります。
  そこで、
  今日は再録として
  紹介します。

  じゃあ、読もう。

今日もていねいに。 (PHP文庫)今日もていねいに。 (PHP文庫)
(2012/02/03)
松浦 弥太郎

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sai.wingpen  白いハンカチ                     矢印 bk1書評ページへ

 雑誌「暮しの手帖」の最後のページに「編集者の手帖」というコーナーがあります。いわゆる編集後記と呼ばれるものでしょう。その文章の最後が、本書のタイトルにもなっている「今日もていねいに。」。
 はじめてその一文を目にしたとき、はっとなって、前の号はどうだったのかと既刊号を何冊も開いてみました。そこにも、「今日もていねいに。」とあります。
 わずか九文字なのに、なんて美しい言葉なんだろう、と打たれました。
 「今日もていねいに」につづく文章とは何でしょう。
 編集者としては、おそらく「読んでもらってありがとう」でしょうが、それだけではない、作り手の思いが、最後の「。」に込められているように感じます。
 書いているのは「暮しの手帖」の編集長、松浦弥太郎さんでした。

 本書には、そんな松浦弥太郎さんの「暮らしの中のひとつひとつの出来事と向き合い、じっくりと考え、頭だけでなく自分という存在すべてで取り組むためのやり方」、毎日の「暮らしのなかの工夫と発見」がたくさん紹介されています。
 書かれていることは難しいことではありません。
 たとえば、「とことん話すのは無理な相手でも、自分から「おはよう」と言ってみましょう。相手ばかりか自分まで気持ちが変わり、朝がすてきになるはずです」(20頁)みたいな、あたりまえのような工夫。
 そのことを松浦さんはこんなふうに書かれています。
 「慌しい世の中や人間関係でブレてしまった心の矛先を、そっと自分自身に向けなおす」と。

 「ブレてしまった心の矛先」。この時、「ブレて」いるかどうかの判断は自分自身です。この本のなかに書かれているようなことを知らなかったら、「ブレて」いるかどうかさえ、わからないかもしれません。あるいは、自身の生き方の指針のようなものがまったく違えば、ブレようがありません。
 それは間違っているかもしれませんし、ただしいかもしれません。
 それを判断するのは、自分自身です。

 松浦さんは、「間違ったことをしたら潔く謝り、失敗はちゃんと認め、決して嘘をつかず、いつも正直・親切を心がける。これが心の清潔を保つ方法です」(43頁)といいます。
 清潔な真っ白いハンカチでなくても手は拭けるでしょう。
 でも、私ならやはりそんなきれいなハンカチをもっていたい。持つように心がけたい。
 「今日もていねいに。」といえる、生き方をしたい、と思います。 
  
(2010/05/25 投稿)

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