09/08/2012 すーちゃん(益田 ミリ):書評「おそろしや、二本の線」
書評こぼれ話
以前このブログで
益田ミリさんの本を取り上げた時
友人から『すーちゃん』は
知ってたんですが、と
言われたことがあります。
益田ミリさんと『すーちゃん』。
そんな有名な関係なんだと
名作『すーちゃん』を
読んでみることにしました。
なるほど、
女性なら気になる主人公ですね。
益田ミリさんの漫画は
どこか哲学的なところがあって
女性に人気なのもわかります。
世の男性は
益田ミリさんの『すーちやん』を読んで
もっと女性心を
勉強しないと。
じゃあ、読もう。
おそろしや、二本の線
頬に二本の線を書きくわえると、ある程度の年を表現できる。ほうれい線だ。
益田ミリさんがそんなことを何かの文章で書いていたのを読んだことがある。益田さんのイラストもついていたような気がする。なるほど。さすがイラストラレーター、うまいことをいう。
たった二本のなんということもない線。それだけで年を表現できるなんて。
鏡をのぞくと、確かに自分の頬にも口元にかけて、みごとなほうれい線。ちょっと顔の皮をひっぱると、消える。たった二本の線が消えるだけで、顔の表情が若くなる。
おそろしや、二本の線。
この漫画の主人公34歳、未婚のすーちゃんにはまだほうれい線はない。
酒井順子の『負け犬の遠吠え』を読んで元気になるが、しばらくすると「負け犬の中のさらに負け犬」とめげたりする。
「今のままの自分では嫌だけど、なりたい自分もわからない」と悩むすーちゃんに共感する同年代の女性は多いにちがいない。もっとも、そんなすーちゃんの悩みはいくつになってもあるような気がする。
すーちゃんにはバリバリのキャリアガールのまいちゃんという友達がいる。不倫中で、仕事に充実しているようで疲れてもいる。すーちゃんとは違うタイプながら、彼女に共感する人もいるだろう。
大げさな話が展開するわけではないが、益田の漫画はそんな二人を描かれることで女性に支持されている。
生きていくことはいつも何か事件があるわけでない。友だちと食事をしたり、小さなキッチンでおならをしたり、大きなあくびをしたりで過ぎていく。気がつけば、ほうれい線がでているのが、生きていくことだ。
益田の漫画には等身大の女性が描かれている。そんな女性を描かれるイラストラーターを同時代に共有できた今の女性たちはなんて幸せだろう。
最後に「違う誰かになりたいと思わないのは、いい気分だ。あたしも悪くない感じ」と背をのばす、すーちゃんの笑顔がとても素敵だ。
すーちゃんに二本の線がはいるのは、まだ、もう少し先だ。
(2012/09/08 投稿)
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もっと女性心を
勉強しないと。
じゃあ、読もう。
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おそろしや、二本の線
頬に二本の線を書きくわえると、ある程度の年を表現できる。ほうれい線だ。
益田ミリさんがそんなことを何かの文章で書いていたのを読んだことがある。益田さんのイラストもついていたような気がする。なるほど。さすがイラストラレーター、うまいことをいう。
たった二本のなんということもない線。それだけで年を表現できるなんて。
鏡をのぞくと、確かに自分の頬にも口元にかけて、みごとなほうれい線。ちょっと顔の皮をひっぱると、消える。たった二本の線が消えるだけで、顔の表情が若くなる。
おそろしや、二本の線。
この漫画の主人公34歳、未婚のすーちゃんにはまだほうれい線はない。
酒井順子の『負け犬の遠吠え』を読んで元気になるが、しばらくすると「負け犬の中のさらに負け犬」とめげたりする。
「今のままの自分では嫌だけど、なりたい自分もわからない」と悩むすーちゃんに共感する同年代の女性は多いにちがいない。もっとも、そんなすーちゃんの悩みはいくつになってもあるような気がする。
すーちゃんにはバリバリのキャリアガールのまいちゃんという友達がいる。不倫中で、仕事に充実しているようで疲れてもいる。すーちゃんとは違うタイプながら、彼女に共感する人もいるだろう。
大げさな話が展開するわけではないが、益田の漫画はそんな二人を描かれることで女性に支持されている。
生きていくことはいつも何か事件があるわけでない。友だちと食事をしたり、小さなキッチンでおならをしたり、大きなあくびをしたりで過ぎていく。気がつけば、ほうれい線がでているのが、生きていくことだ。
益田の漫画には等身大の女性が描かれている。そんな女性を描かれるイラストラーターを同時代に共有できた今の女性たちはなんて幸せだろう。
最後に「違う誰かになりたいと思わないのは、いい気分だ。あたしも悪くない感じ」と背をのばす、すーちゃんの笑顔がとても素敵だ。
すーちゃんに二本の線がはいるのは、まだ、もう少し先だ。
(2012/09/08 投稿)
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