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プレゼント 書評こぼれ話

  東日本大震災から
  今日で1年8ヶ月
  あの日、84人という大きな犠牲者を出した
  石巻市の大川小学校の悲劇は
  依然原因究明がなされていません。
  11月3日、やっと文科省が主導となって
  原因究明を行うことを表明するということが
  発表されました。
  その遅さにあきれます。
  さらに最終報告は来年12月だということです。
  今年ではありません。
  来年。
  真実の究明とは
  なんと時間のかかるものでしょう。
  悲しくなります。
  あの時、
  今日の絵本『津波 TSUNAMI!』にでてくるような
  じじさまがいれば
  多くの命が救われたかもしれません。
  大声で
  「高台へ走れ!」と叫んでいたら。

  じゃあ、読もう。

津波 TSUNAMI!津波 TSUNAMI!
(2011/12)
小泉 八雲、キミコ カジカワ 他

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sai.wingpen  高台へ走れ!                   

 小泉八雲、ラフカディオ・ハーンは日本の近代史の中でももっとも有名な外国人かもしれません。
 「耳なし芳一」などを収めた『怪談』は読んだ人も多いでしょう。
 この絵本は、そんな八雲が書いた「生神様」という作品を米国在住のキミコ・カジカワさんが再話化した作品で、初版が2011年10月ですから、当然東日本大震災のあと、企画されたのではないでしょうか。
 再話の時期はともかく、八雲が書いてのは明治の時代ですから、この時代には津波の恐ろしさは人々の知るところだったのでしょう。
 今回の東日本大震災と比べられることの多い明治三陸地震が起こったのは1896年(明治29年)6月ですから、八雲はその地震のあと、この作品を書いたのかもしれません。
 明治の人々にも「高台に走れ」と叫んだ、村一番の古老の知恵に感銘するところが大きかったのだと思います。

 それから、百年という時間が経って、老人の知恵も八雲の話も遠く追いやられていたことが悔やまれます。あの日、迫りくる津波にもかかわらず、歩みを早めなかった人たち、車という文明の利器を信じきった人たちがいます。
 「高台へ走れ」と、この絵本の中のじじさまは収穫のなった稲むらに火をつけ、村人に逃げることを知らしめます。それは自身の生活を犠牲にする行為でもありました。それでも、じじさまは村人全員を救けます。
 文明は私たちに多くのものをもたらしました。文明のおかげで私たちの生活は楽になりました。しかし、反面じじさまがとった行動を私たちは忘れてしまったともいえます。
 歩く人や車がゆえに立ち往生した人たちを高台へと走らす知恵を失くしてしまったのです。

 それは原発についてもいえます。
 原発のおかげで私たちの生活のあかりは維持されてきたともいえます。深夜でも煌々とつくあかりでどれだけ安心したことでしょう。その一方で、原発の危険性はすべて封印されてきました。
 東日本大震災は、不幸にも東北沿岸の街をなぎ倒し、海へと連れ去っていきました。同時に私たちにもう一度、津波の怖ろしさ、原発の危険性をあらわにしてくれたともいえます。
 そのことをこれからもつなげていかなければなりません。
 絵本にもその力があります。この絵本のように。
  
(2012/11/11 投稿)

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