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プレゼント 書評こぼれ話

  秋も深まると思い出す短編が
  あります。
  O.ヘンリーの『最後の一葉』です。
  病気の少女は
  窓からみえる木々の、最後の一葉が落ちれば
  自分も死んでしまうと
  信じています。
  ところが、その一枚の葉は
  散ることはありませんでした。
  何故なら、それは
  同じアパートに住む老画家の絵だったのです。
  命の尊さを描いた名作です。
  絵描きというのは
  そういう尊厳さを絵に込めています。
  今日紹介する
  いせひでこさんの『絵描き』という絵本も
  そんな画家の心のありようを
  描いた絵本です。
  秋にぴったりの一冊。

  じゃあ、読もう。
  
絵描き絵描き
(2004/11)
いせ ひでこ

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sai.wingpen  ふっと、風を感じる                   

 いせひでこさんの絵本を、ときに、たまらなく読みたくなる時があります。
 絵本はさまざまな個性をもった作家たちによって作られています。絵は特に個性が強くでます。子どもたちの個性を絵筆で揺り動かします。
 絵の基準、それはうまいとかへたとか、構図がいいとか悪いとか。でいっても千差万別ですが、いせさんの絵はとっても心を静かにさせてくれます。
 たとえるなら、春の花びら、夏の風鈴、秋のひとひら、冬の音。
 小枝のざわめき、風の声、枯葉の涙、沈黙。
 宮沢賢治とゴッホと、風が大好きな画家。「風の又三郎」と「ひまわり」と、木々を愛する絵本作家。
 そんないせひでこさんの作品を存分に楽しめる絵本です。

 一人の若い絵描きが主人公。月を盗み、山焼けの赤をもらって、彼が描こうとしているのは、人生。
 白いキャンパスに描くのは、何?
 描きすぎてわからくなったり、音をきくように色がかけたらと祈ったりする。
 それは誰?
 若い絵描きは、いせひでこでもあり、読者(私も)でもあるでしょう。
 このページの向こうにあるのは、きのうかもしれないし、明日かもしれない。
 いせひでこかもしれないし、あなたかもしれない。

 いい作品はとどまらない。たくさんの「?」をもっています。
 断定ではなく、いうならば、「希望」。
 白いキャンパスのようなものです。
 きっと時々いせひでこさんの絵本が無性に読みたくなるのは、そんなものに出会いたいからかもしれません。
 もっと広くいうなら、絵本を読みたくなるのも、そんなものに出会いたいからかもしれません。

 ふっと、風を感じる、絵本です。
  
(2012/11/18 投稿)

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