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プレゼント 書評こぼれ話

  最近本屋さんに行って
  目につく本のほとんどが
  女流作家の作品なのは
  どうしてかと、自分でも思う。
  まず、彼女たちの本の装丁がいい。
  本、ここでは紙の本だが
  をファッション感覚で
  こしらえているように思います。
  今日紹介する
  川上未映子さんの『愛の夢とか』の
  表紙のなんとすてきなこと。
  それにタイトルのつけかたのうまさ。
  男性作家ではこうはいきせんね。
  もちろん、
  作品だって、いい。
  大きな声でいえば、
  私は女流作家が好きです。

  じゃあ、読もう。

愛の夢とか愛の夢とか
(2013/03/29)
川上 未映子

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sai.wingpen  アイスクリームのようにとろけさせて                   

 最近女性作家の活躍が著しい。
 川上弘美とかよしもとばなな、小川洋子に角田光代、さらにはこの作品の川上未映子のように、作品がどれもこれも安定している。しかも、彼女たちの人間を視る目や恋愛、これには性愛も含めていいが、についての深みなど、かつて男性作家たちが暗い顔をして描いていたことを、いとも簡単に乗り越えてしまっている。
 彼女たちの特長といえば、まず第一に文章がうまい。
 かつて作家になるためには苦難の修業時代があってみたいなところがあったが、彼女たちもきっと見えないところで苦労しているはずだが、それを感じさせないほどうまい。
 特に、川上未映子はその筆頭の一人だろう。

 恋愛について書かれた7つの短編を収めたこの短編集でも、文章や言葉の巧さにひき込まれる。
 アイスクリームを買いに来る彼にほのかな思いを寄せる少女を描いた「アイスクリーム熱」の書き出しがいい。 「まず冷たいこと。それから、甘いこと。」なんて、まるで川上の文章みたいではないか。
 表題作でもある「愛の夢とか」の書き出し、「ばらの花には何百という種類があるから、このばらの、ほんとうの名前はわからない。」も、いい。
 隣家の初老の女性が弾くピアノ曲に付き合わせられる四十女の「わたし」。終盤、見事に一曲弾き終った初老の女性とかわす「こころのこもったくちづけ」。まるで、映画のような場面である。

 7つの短編の中で一番好きなのは、「お花畑自身」。
 「悪魔がきたかと思いました、と声がしました。」という書き出しは、太宰治を感じさせる。
 そういえば、太宰治もとても文章の巧い作家、あまりに巧みすぎて誰もが一度ははまってしまう、だったが、川上も太宰のような人たらしの面がある。
 つい、聞き惚れてしまうのだ。
 豪奢な家と庭をもっていた主婦が夫の事業の失敗でそれらを手離すことになるのだが、諦めきれずにその庭に舞い戻る物語。狂気のようでありながら、自身はまっとうだと感じる姿は、太宰の作品にも登場する女性像でもある。
 最後の文章、「言いそびれておりましたが、わたしは悪魔ではありません。」も、太宰っぽい。

 この短編集の表紙装画(題字も)は、前田ひさえ。うまく作品の雰囲気を伝えている。
  
(2013/05/08 投稿)

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