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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日の川上未映子さんに続いて
  今日も女流作家の作品の紹介です。
  今日は江國香織さん。
  この人も巧いですよね。
  どうして
  こんなにも物語をつくるのが
  巧いのか、
  今回は長編小説ですが
  ほとんど破たんがありません。
  川上未映子さんの時にも書きましたが
  この作品でも
  表紙絵がいいですね。
  タイトルの『はだかんぼうたち』もいい。
  こういう感覚は
  男性ではちょっとでないかも。
  ところで、今日の作品は
  ほんとうにオススメ。
  母と娘の感覚は
  私にはわかりませんが、
  なんとなくこんな感じなのでしょうか。

  じゃあ、読もう。

はだかんぼうたちはだかんぼうたち
(2013/03/27)
江國 香織

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sai.wingpen  あやとり                   

 あやとり、というのは不思議な遊びだ。
 たった一本の紐さえあれば、遊べてしまう。紐を輪にして、両手に指にかけて、はずしたりひっかけたりして形を作っていく。右手の親指と左手の小指、あるいは逆の手の中指と薬指。
 時には、もう一人の手も加わって、さらに複雑になる。
 ほうきができたとか、梯子ができたとか、たわいもない。
 それでも、指と指の間にかかる紐の関係の複雑さといったら、ない。
 「みんな一体何を求めて、あっちとくっついたりこっちとくっついたりするのだろう」、この長編物語の登場人物の一人、42歳で独身をつらぬく女性陽の言葉は、まるであやとりのことを言っているように聞こえる。
 陽たちの関係は、どんな図柄をこしらえただろう。
 人間関係というあやとりで。

 歯科医の桃は陽の妹。36歳になる彼女もまた未婚。最近結婚間近だった男と別れて、9歳年下の鯖崎と付き合い始めた。性交渉はあるが、結婚の意志はない。
 二人の両親は仲のよい夫婦だ。妻の由紀は夫との生活に満足している。だからだろうか、自由きままな娘二人の生活に理解できないでいる。
 娘たち二人も、父親にべったり寄り添う母親のことが理解できない。
 親子だから、すべてわかりあえるというものではない。特に、母と娘の関係は微妙にもつれてしまう。
 桃の学生時代からの友人響子もまた小学生の娘のことがだんだんわからなくなっている。
 独身のままの桃と違って、響子には四人の子どもがいる。そんな響子に、桃と付き合っている鯖崎がひかれていく。

 彼らとつながる人たちはまだいる。
 響子の母和枝の恋人山口。二人はインターネットの出会い系サイトで出会った。しかも山口には妻子がいる。和枝と出会った山口は、妻子と別れようとしている矢先、和枝が突然亡くなってしまう。
 和枝の家に一人残された山口に、下宿人の安寿美が実家の農業の手伝いを紹介したり、さらに紐はこんがらがってくる。

 それでも、一人ひとりは、みんな「はだかんぼう」なのだ。
 あやとりの指が「はだかんぼう」のように。
 しかし、人は一人では生きていけない。どんな関係にしろ、さまざまな人とのつながりで生きていくしかない。
桃や陽、響子たちのそれぞれの思いが、あっちへつながり、こっちで捩れる。
 できあがった模様こそ、その人の人生そのものなのだ。
 江國香織の巧さは、この作品でもみごとだ。

 表紙装画は、庄野ナホコの作品。不思議な感覚の絵だが、これもまた、いい。
  
(2013/05/09 投稿)

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