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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日紹介しました
  石倉欣二さんの『海をわたった折り鶴』は
  佐々木禎子さんという
  一人の少女の
  短くも悲しい生涯を
  描いた絵本でした。
  サダコさんは広島の少女。
  原爆による被害者でした。
  今日紹介する
  中沢啓治さんの『はだしのゲン』シリーズも
  原爆の悲惨さを描いている漫画。
  文学だけでなく
  さまざまなジャンルで
  原爆の悲劇は描かれてきました。
  それでも、
  この地球から核の脅威は
  消えることはありません。
  だから、
  いえ、だからこそ
  『はだしのゲン』は
  読みつがれないといけない
  漫画だと思います。

  じゃあ、読もう。

はだしのゲン 第8巻はだしのゲン 第8巻
(1984/01)
中沢 啓治

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sai.wingpen  変わらないものと変わっていくもの                   

 東日本大震災から2年が過ぎて、その時間の経過というのは一体どんな思いとして人は感じているのだろうか。
 時間が身体的に、あるいは精神的に及ぼすものを、どう表現できるのか、私はうまくいえない。
 『はだしのゲン』第8巻は、終戦、この物語では原爆投下から5年が過ぎた昭和25年(1950年)6月から始まる。
 主人公の中岡元ももう中学生である。壊滅的な被害を受けた広島の街も活気を取り戻しつつある。
 たった5年。けれど、5年。
 ゲンにとってはあの悲しみは癒えるものではない。しかし、多くの人にとってはすでに過ぎ去った日々。
 曳きずるものの重さではなく、これは時間という不思議。
 そのことを私たちは今でもうまく説明できないような気がする。

 「赤」(共産主義者のことをこう呼んだ)だと教員の職を追われた担任を慕うゲン。朝鮮戦争であぶく銭を手にした成金に怒るゲン。原爆症で治る傷も癒えない友人夏子を励ますゲン。
 彼の中では5年という時間を清算するには生々しすぎる。
 いつまでもこだわるなという声もあるだろう。
 しかし、誰も他人のもっている時間をとやかくいうことはできない。

 『はだしのゲン』シリーズは、戦争や原爆の悲惨さを訴える漫画であるが、その一方で人間にとっての時間の意味を問う漫画でもある。
 ゲンの行動や思いを読者がどこまで理解できるか。もしくは、ゲンの気持ちをそのままに変わっていく風景や社会をどこまでわかるだろうか。
 そういうことでいえば、原爆ドームはゲンそのものだ。
 変わらないものと変わっていくもの。
 変わらないことがいいことでもないし、変わっていくことが正しいのでもない。
 13歳にして完全な自立をめざして歩きはじめたゲンは、どんな道を歩んでいくのだろうか。
  
(2013/05/13 投稿)

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