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プレゼント 書評こぼれ話

  二日間続けて
  「夫婦」のことについての
  本が続きました。
  今日も、題名は『似ない者夫婦』と
  「夫婦」モノみたいになりましたが、
  津村節子さんのエッセイ集です。
  ご存じのとおり、
  津村節子さんのご主人は
  故吉村昭さん。
  お二人の「夫婦」の姿は
  すでにさまざまな形で描かれています。
  もっともこの本を
  吉村昭さんとのお話と勘違いしない方が
  いいですよ。
  タイトルとそのエッセイは
  そうですが、
  ほとんどは津村節子さんのことであったり
  文学の話。
  それでも、吉村昭さんと津村節子さんは
  いい夫婦だったんだろうなと
  思ってしまうのは
  おかしいですが。

  じゃあ、読もう。

似ない者夫婦似ない者夫婦
(2013/04/17)
津村 節子

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sai.wingpen  いい夫婦の見本                   

 男性は奥さんに先立たれると弱きになるといわれる。一方、女性はご亭主が亡くなると一層元気になるとか。
 生前奥さんは有形無形を問わず押さえられていたということだろうか。
 どちらかというと、これも性差だろう。女性の方が生命力があるといっていい。
 故吉村昭さんの奥さん津村節子さんの場合もそうだろうか。

 今回新書版で出版された『似ない者夫婦』は、もともと10年前に刊行されたエッセイ集を加筆したもの。
 このタイトルだけ見れば吉村昭さんとの思い出集のように思うが、吉村さんが亡くなったのは2006年だから、特に吉村さんのことが描かれているわけではない。
 もちろん表題作の「似ない者夫婦」は吉村さんとのおかしな生活ぶりを巧みに描いた短いエッセイだ。
 この中で、つき合っていた時は趣味が同じかと思ったが、夫婦となって実際に暮らしを同じにするとまったく違うことに驚き、呆れる様子がコミカルに描かれている。
 「似ない者夫婦」と諦めているものの、それでも吉村さんを労わる妻の心情が伝わってくる。
 吉村さんと津村さんはこんな「夫婦」だったのか。
 趣味や性格が異であっても、「夫婦」をうまくやっていくコツがここにはある。
 押さえつけられているようでいて、実はうまくかわしている。こういう巧さを持った女性には、強い生命力があるのだろうか。

 この本はそんな津村さんの作家としての魅力だけでなく、女性としての強さ、そしてそれは人間としての輝きでもあるが、を綴った短いエッセイをまとめたものだ。
 エッセイについて、津村さんは「随筆は自分をそのまま曝しているわけで、私の暦とも言える」と書いているが、もちろんその暦には吉村さんとの日々が含まれている。
 表題には津村さん自身「いささか抵抗した」らしいが、吉村さんが亡くなった今となっては「似ない者夫婦」もまたよかったという思いがあるのではないだろうか。
 だから、こうして新しい形で出版されたのだろう。

 「似ない者夫婦」は、似ないからこそ長続きする、いい「夫婦」の形なのだろう。
 ここに見本がある。
  
(2013/05/23 投稿)

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