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プレゼント 書評こぼれ話

  今日と明日は
  シリーズものの紹介となります。
  『絵本作家のアトリエ』という本。
  今日は、その1
  書名でわかるとおり、
  絵本作家の皆さんの
  アトリエがきれいなカラーで紹介されていて
  それに絵本作家の皆さんから
  インタビューをうけたものが
  文章で紹介されています。
  その一方で
  ある意味日本の絵本の歴史を
  読むような感じもあります。
  絵本というのは
  実はとっても息の長い作品だということが
  この本を読めば
  わかると思います。
  絵本作家に興味のある人だけでなく
  絵本に興味のある人にも
  最適の一冊、
  いや、明日もいれて
  最適の二冊といえます。

  じゃあ、読もう。

絵本作家のアトリエ1 (福音館の単行本)絵本作家のアトリエ1 (福音館の単行本)
(2012/06/06)
福音館書店母の友編集部

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sai.wingpen  十人十色というのは絵本作家にふさわしい言葉                   

 イメージです。
 図鑑などでよく目にする、脳の図。形は柿の種のようであって、しかも柔らかい。ぐじゅぐじゅした固まり。
おそらく、どんな人でもそのイメージは変わらないのではないでしょうか。
 それでも、例えば科学者とか自分がまったく理解できない分野を得意とする人では、その形はちがうのではないかしら、と思ってしまう。
 それと同じようなことが、絵本作家にもいえるのです。彼らの頭の中はどういう脳をしているのでしょうか。
 たやすく、脳を見ることはできないのですが、きっと見てもその違いはわからないでしょうが、絵本作家のアトリエを覗けば、彼らの頭の構造の幾分かかわかるかもしれません。

 本書は絵本作家の創造の現場から彼ら自身の口を通して、絵本作家とは何かをさぐる作家小論といっていいと思います。
 名作『おおきなかぶ』を描いた佐藤忠良さん、『だるまちゃんとてんぐちゃん』の加古里子(さとし)さん、念のために書き添えておくと加古さんは女性ではなくれっきとした男性です、乗り物絵本を得意とした山本忠敬さん、『ぐりとぐら』だけで通じてしまう大村(山脇)百合子さん、たくさんのファンがいる田島征三さんなど、紹介されているのは10人の絵本作家たち。
 本書によれば、「戦後の日本で新しい絵本の礎を築いた十人」です。

 戦後まもないこの国では、まだ絵だけでは食べていけないといわれました。
 本書で紹介されている作家たちも事情は同じで、それでも絵に対する熱意は変わらず、やがて絵本という表現世界にはいっていくのです。
 そのきっかけはさまざまですが、まさに十人十色というのは絵本作家にふさわしい言葉です、児童文学者で福音館書店の創業にたずさわり、「母の友」「こどものとも」の編集長でもあった松居直(ただし)さんとの出会いが大きく影響しています。
 絵本作家たちがいう松居さんとの出会いもまたさまざまですが、いずれの場合であっても、松居さんは褒めているのがわかります。褒めることで、絵本作家の可能性を引き出すのが、松居さんの手法だったのではないでしょうか。

 たくさんの絵本が並んだ書棚、さまざなな絵筆が立つ机、そして、あふれんばかりの色、色、色。
 こんな人たちから、私たちを楽しませてくれる絵本が生まれたのかと思うだけで、うれしくなります。
  
(2013/06/14 投稿)

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