プレゼント 書評こぼれ話

  昨日吉田修一さんの『さよなら渓谷』という
  小説を紹介しましたが
  今日は性犯罪報道の意味を問う
  硬質なノンフィクション、
  『性犯罪報道』を紹介します。
  読売新聞大阪本社社会部が新聞の連載企画として
  発表したものに加筆されています。
  書評の中にも何度も書きましたが
  吉田修一さんの作品は小説です。
  レイプ事件の加害者と被害者が一緒に
  暮らすということはないでしょう。
  それほど性犯罪の被害者の心理的な負担は大きいと
  いえます。
  女性だけでなく
  男性にも読んでもらいたい一冊です。
  書評のタイトルは
  性犯罪の被害者の女性の言葉から
  引用しましたが、
  その重さをわかってもらえたらと
  思います。

  じゃあ、読もう。

性犯罪報道 (中公文庫)性犯罪報道 (中公文庫)
(2013/06/22)
読売新聞大阪本社社会部

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sai.wingpen  「私の心はあの日、殺されました。」                   

 吉田修一の『さよなら渓谷』は、レイプ事件の加害者と被害者が事件から何年ものち同棲するというショッキングな設定の問題作である。
 もちろんそれは興味本位に書かれてものではないし、物語の核にあるのは「許し」とは何かを問うたものである。
 実際にはレイプ事件の被害者がその加害者と一緒に住むなどということはない。
 吉田の作品でも被害者の女性は仕合せになろうとするたびにレイプされたことが噂になってしまう。そして遂に自身の居場所さえなくしてしまう。
 一方、加害者の男性はこうつぶやく。「あんな事件を起こした俺を、世間は許してくれるんですよ」。
 物語ではこの男性は幸福な結婚の一歩手前までいた。
 そんな二人が偶然にも出会ったことで、物語は加害者と被害者の同棲へと進んでいく。

 くどいようだが、吉田の作品はフィクションである。
 出会った時に被害者の女性から出る言葉、「許して欲しいなら、死んでよ」は物語的にはありえるが、実際に事件に遭われた女性なら、ただ恐怖で言葉さえ出ないだろう。
 自分たちが被害者にも関わらず、息をひそめ生きていっているという現実を忘れてはいけない。
 本書は、「性暴力の深刻な実情を、もっときちんと社会に伝えたい」という、読売新聞大阪本社社会部の企画記事を一冊にまとめたものだ。
 第1章では被害者たちの悲痛な叫びが、第2章では性暴力の背景と加害者の心理や更生が、第3章ではもっとも弱いといわれる子どもに対する深刻な被害が報告されている。
 性犯罪と加害者のその後の処置を海外ではどのように行っているかを第4章で取り上げている。
 そして、最後の第5章で、裁判員裁判となった現在の法廷での性犯罪の捉え方が報告されている。
 本書に書かれたことが現実で、あるいは刑事事件として告発もされていない多くの性犯罪も含めて、被害者の苦悩は深刻だ。
 これは、小説ではない。

 「私の心はあの日、殺されました。時間を戻して、輝いていたはずの私の未来を返してほしい」。
 これは本書で紹介されている被害者女性が裁判所で訴えた言葉だ。
 性犯罪をなくすことと同じように大事なことは、被害者たちへのいたわりと受け入れを私たちが学ぶことだろう。
  
(2013/07/31 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  真木よう子さんという女優を
  知ったのは、
  一昨年の大河ドラマ「龍馬伝」でした。
  坂本龍馬の妻おりょうを演じていました。
  真木さんの魅力のひとつは
  その少しかすれた声でもあります。
  それと全身で演技をしている感じが
  とても好きです。
  そんな真木よう子さんの最新作が
  今日紹介する吉田修一さん原作の
  『さよなら渓谷』です。
  この小説には賛否両方があると思います。
  やはり初出が「週刊新潮」だったということも
  関連しているのでしょうね。
  物語のきっかけとなる幼児殺人事件は
  2006年に起こった秋田児童連続殺人を
  モデルにしています。
  あの事件からもう7年も経つのかという
  印象です。
  さて、あなたはこの作品で描かれたものを
  どうみるでしょうか。
  書評のタイトルは
  映画の挿入歌「幸先坂」の歌詞から
  とりました。
  歌っているのは、真木よう子さん。

  じゃあ、読もう。

さよなら渓谷 (新潮文庫)さよなら渓谷 (新潮文庫)
(2010/11)
吉田 修一

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sai.wingpen  人はいつも坂の途中                   

 小説を読んで、この主人公ならあの人に演じてもらいたい、このヒロインならあの女優が似合いそうだ、と考えたことは誰にもあるだろう。
 15年前のレイプ事件。その加害者の男と被害者の女が一緒に暮らす、「女は復讐するために、憎悪する男に抱かれることができるのか」という異常な設定。
 あの日を境に悲惨な日々を生きるかなこというヒロインをあなたなら誰に演じてもらいたいか。
 実際先ごろ映画化された作品では、真木よう子さんがヒロインかなこを演じている。いい配役といっていい。
 あふれんばかりの色気がありながらどこか若さを失いかけた身体は真木よう子という女優の肉体を通して見事に実現している。
 この作品を読んだ多くの人が納得したのではないだろうか。

 それにしても、こういう愛は成立するのだろうか。
 15年前、まだ高校生だったかなこをレイプした大学生の俊介。
 加害者の俊介はまっとうな生活をおくりかけたところでかなこを偶然に見つける。被害者だったかなこはあの日のことを忘れようとしながらもいつもその事実に追いつかれてしまう。
 そんな二人が始めた、奇妙な共同生活。
 そこには愛はあったのだろうか。
 隣家で起こった幼女殺害事件をきっかけにして、二人の過去が次第にあばかれていく構造はうまくできている。
 初出の連載誌が「週刊新潮」ということもあるのだろうが、まるで「黒い報告書」のような筋立てである。

 それでいて、著者の吉田修一が問いかけるものは大きいといっていい。
 許すことも許されることもできない、かなこと俊介。二人は「一緒に不幸になる」しかないと約束したからこそ、一緒にいられたのだという。
 ラスト、俊介から黙って立ち去ったかなこに、愛してはいけない人を愛したものの切なさが胸をうつ。
 それを認めるかどうかは読者にゆだねられている。

 物語の最後、俊介に向けられた問いは読者にも突きつけられている。
 余韻の中で、かなこ役の真木よう子さんの淋しげな表情を思い出す。
  
(2013/07/30 投稿)

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  いよいよ中沢啓治さんの『はだしのゲン』の
  最終巻です。
  10巻に及ぶ長編漫画です。
  私はこの漫画を初めて読みました。
  とっても怖かったというのが
  まずの印象です。
  きっと子どもたちにとっては
  もっと怖いかもしれませんね。
  でも、本当に怖かったのは
  あの原爆を体験した人たちです。
  そこから目をそらしては
  いけないのです。
  おそらく、『はだしのゲン』は
  これからも読み継がれていく漫画だと
  思います。
  子どもだけが読むのではなく
  大人の人にもぜひとも読んでもらいたい
  漫画です。
  そして、最後の10巻まで
  読了して下さい。

  じゃあ、読もう。

はだしのゲン 第10巻はだしのゲン 第10巻
(1987/03)
中沢 啓治

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sai.wingpen  中沢啓治さんが渡されたもの                   

 中沢啓治の『はだしのゲン』全10巻を読み終わってつくづく思うことは、「伝える」ことの難しさだ。
 この長編漫画が原爆の悲惨さ、戦争の残酷さ、当時の責任者批判だけでなく、時代に翻弄される普通の市民たちの愚かさを、ゲンという少年とその周辺に生きる人々を描くことで「伝え」ようとしていることはよくわかる。
 しかも、漫画という手法を使って、時にコミカルに時に過剰に表現されていることもよくわかる。
 けれど、中沢が「伝え」ようとしたもののどれだけを私たちは次の世代に「伝える」ことができるだろうか。

 小さな子どもたちに『はだしのゲン』という漫画があって、それには日本が戦争をしていた時代のことが描かれていて、原爆という恐ろしい兵器によってたくさんの犠牲者が出ていることが描かれていてみたいな、そういう伝え方で中沢の真意が伝わるだろうか。
 投げ出すのではなく、寄り添うようにして、この漫画は読むべきだと思う。
 中沢の漫画を子どもとともに読む。
 戦争を知らない親と子が、中沢の漫画を間において、そのことを語り合うことが大切なような気がする。
 漫画だからといって、この漫画を子どもに任せるのではなく、親も一緒に考えてみる。
 それは、原爆や戦争だけではない。この10巻で描かれる薬物使用の恐怖や暴力についても同じだ。

 『はだしのゲン』は難しい内容だと思う。
 それを漫画という手法で描いたからといって、「伝わる」ことは容易になったかもしれないが、書かれている内容の難しさは変わらない。
 漫画であることに惑わされることなく、「伝える」者がきちんと責任を持って「伝える」のだ。

 『はだしのゲン』はおそらくどこの学校図書館にも所有されているだろう。しかし、この本は漫画だからゆえに、大人がきちんと「伝える」本だということを忘れてはいけない。
  
(2013/07/29 投稿)

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  最近ゲリラ豪雨が多いですね。
  昨夜もすごい雨でしたね。
  隅田川の花火大会も残念ながら
  途中で中止になったようですね。
  ああいう雨をみていると
  私たちはどこかで自然を壊しているのかと
  心配になってきます。
  私たちは本当に進化しているのでしょうか。
  戦争とか人災もそうでうね。
  実はちっとも変っていないではないのかも。
  今日紹介する絵本は
  田島征三さんの『ぼくのこえがきこえますか』。
  やはりこういう絵本は
  読んだ子どもたちと
  対話が必要。
  きちんと向き合うことで
  子どもたちの声が聞こえてきます。

  じゃあ、読もう。

ぼくのこえがきこえますか (日・中・韓平和絵本)ぼくのこえがきこえますか (日・中・韓平和絵本)
(2012/06/20)
田島 征三

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sai.wingpen  耳にとどいている「彼」の声                   

 戦争の話をしよう。
 でも、僕、戦争を知らないよ。
 私だって、知らない。
 この絵本を描いた田島征三さんだって、1940年生まれだから戦争に行ったわけじゃない。でも、こんなにも怖い戦争の絵本を描いた。
 日本と中国と韓国という、互いに戦争をした国の絵本作家が手をつないで、戦争のことを知らない子どもたちにおくる「平和絵本」シリーズの、一冊となるこの作品を描いた。
 だから、戦争を知らなくても、戦争の話はできる。
 想像してみればいい。
 この絵本で描かれている死んでいった兵士の声を聞いてみればいい。

 戦争はなくなった?
 そうじゃない。世界のどこかで、いまでもたくさんの血が流れているし、憎しみや怒り、悲しみや嘆きであふれている。
 赤い絵の具を使うしかない怒りは、水色の絵の具で塗られる悲しみをいっぱい生んでいる。
 この国には戦争はない?
 本当だろうか。
 戦争と同じようなことを、私たちはしていないだろうか。
 「めいれいだから、てっぽうをうった」兵士と同じように、命令だから誰かを虐めていないか。「にくしみが もえあがって」誰かを殴ったりしていないか。
 戦争と呼ばないだけで、実は戦争と同じことをしてはいないだろうか。
 たったひとつ、ひとの声をきけないばっかりに。

 この絵本は戦争はいけないことというものだけれど、戦争だけの話じゃないんだ。
 正確にいえば、戦争という名前がついた話ではないんだ。
 だから、ここに描かれているのは、私たちの、いまの話。私たちの、ここの話。新聞にたくさん載っている話。

 耳をふさぐのではなく、耳にとどいている「彼」の声のことを、もっと話そうよ。
  
(2013/07/28 投稿)

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  先週のNHK大河ドラマ八重の桜」見ましたか。
  とうとう会津城落城で
  涙した人も多かったのではないでしょうか。
  川崎尚之助と八重の別れの場面など
  よかったですよね。
  ああ、もっと「八重の桜」を楽しみたい。
  そんな人のために
  今日は小日向えりさんの『会津に恋して』という本を
  紹介します。
  小日向えりさんは歴史アイドル、
  通称歴ドルを呼ばれる人です。
  つまり、歴史が大好きという
  ちょっと変わった? アイドルです。
  でも、普通のアイドル本ではありません。
  読み応え十分の歴史本です。
  これを読んで
  明日の「八重の桜」を楽しんで下さい。

  じゃあ、読もう。

会津に恋して会津に恋して
(2012/10/20)
小日向 えり

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sai.wingpen  歴ドル、恐るべし。                   

 毎年NHK大河ドラマを楽しみにしている人は多い。
 私などは、今年こそ大河ドラマを最後まで見るぞと決心するものの録画がたまると消化しきれなくなってあえなく頓挫を繰り返してきた。
 ところが、今年の大河ドラマは違う。半年が過ぎても毎週見ずにはいられない。
 「八重の桜」は面白い。

 主人公は幕末の会津で生まれ育った山本八重。後に同志社大学の創立者新島襄の奥さんになる人物だ。綾瀬はるかさんが演じている。
 八重が生きた会津藩そのものが幕末数奇な運命に翻弄される。孝明天皇をたすけ天皇からも全幅の信頼を得ながら、のちに朝敵と呼ばれ、国は亡びる。
 会津藩士たちは、自分たちは朝敵などではないという一心だけで政府軍と戦ったともいえる。
 ドラマではそんな会津藩士たちの思いが八重の凛々しい姿とともに描かれている。

 しかし、柳沢慎吾さんが演じている萱野権兵衛って家老のようだけどどんな人だったの? 
 玉山鉄二さんってイケメンだけど山川大蔵って維新のあとどうなったの? 秋吉久美子さんの山川艶は大蔵のお母さんだよね、で、この兄妹は何人いるの?
 みたいに、役者さんとその演じる役どころが複雑に絡み合うのも、大河ドラマならではといっていい。
 副読本があれば、そういったモヤモヤ感もすっきりするのはまちがいない。
 本書は元祖歴史アイドル(通称歴ドル)と呼ばれた小日向えりさんによる、「幕末を戦い、明治を生きた」会津藩士と女子たち25人の姿をスナッ風に紹介した一冊である。

 紹介されているのは、新島八重はもちろんのこと、八重の兄山本覚馬、最初の夫川崎尚之助、さらには松平容保、西郷頼母、神保修理、佐川官兵衛、もちろん先に名前をあげた萱野権兵衛や山川大蔵もいる。
 これだけ押さえておけば、大河ドラマのキャストがでてきても、おそれることはない。八重との関係、藩での役目、会津落城後の活躍などがよくわかる。
 わかって見れば、大河ドラマはもっと面白くなる。
 参考文献もきちんと紹介されていて信用がおけるし、読みやすくていい歴史書だ。
 歴ドル、恐るべし。
  
(2013/07/27 投稿)

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  今日紹介するのは
  新潮文庫の新しい一冊、
  しかも、夏の文庫フェア、
  新潮文庫の100冊に選ばれている。
  重松清さんの『星のかけら』。
  夏の文庫フェアでは
  「泣ける本」の一冊として
  紹介されています。
  また、オススメの一行は

   明日のぼくは今日のぼくとは違う。

  まあ、この本が夏の文庫フェアに選ばれるのも
  わからないわけではないですが
  新潮文庫の100冊の中の1冊かといえば
  うーん、ちょっと違うんじゃないかな。
  だって、重松清さんの新潮文庫のラインナップでも
  読んでもらいたい作品、
  たくさんあるんだけどなぁ。
  しかもこの本、文庫オリジナルで
  初出は2006年。
  評価はこれからだと思うけどなぁ。

  じゃあ、読もう。

星のかけら (新潮文庫)星のかけら (新潮文庫)
(2013/06/26)
重松 清

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sai.wingpen  覚えていてほしいこと                   

 今はどうなのか知らないが、もう半世紀近く前は予約をすれば本屋さんが家まで雑誌を持ってきてくれた。
 小学館の学年別の雑誌、つまり「小学○年生」をそんなふうにして購読していた。
 発売日が楽しみで本屋さんがやってくるのをどんなに待ち望んでいたか、その気分だけは何十年経っても心の底の方に感じるのだが、さて当時どんな内容が載っていたかほとんど覚えていない。
 かすかに手塚治虫の、確かあれは「ロップくん」だったろうか、漫画をうっすらと覚えているだけだ。
 その時どんなに印象に残ったとしても、歳月は残酷だ。
 重松清のこの物語は雑誌「小学六年生」に2006年連載されたものに改稿を加えて、今回初めて書籍化されたものだ。
 連載時小学六年生だった人たちも今では二十歳前の青年たちになっていることになる。果たして彼らはこの物語のことを覚えていただろうか。
 きっと彼らにしても中学高校という、多分彼らにしても激動の日々を経てきたにちがいない。
 もし、小学六年生の時に読んだこの物語のことを覚えていたとしても、きっと現実はもっと厳しかったのではないだろうか。

 交通事故の現場に落ちている、割れて小さくなったフロントガラスの破片がお守りになるという、子供たちの間のうわさ。
 クラスでいじめにあっている主人公のユウキは、この「星のかけら」が見つけられないだろうかと思う。
 そして、出会った不思議な女の子フミちゃん。彼女は何年か前に交通事故で亡くなった少女だった。ユウキは「星のかけら」を手にいれたのだ。
 ファンタジーな物語を通して、重松清は当時小学六年生だった読者に「生きること」の意味を伝えようとしている。
 そのことを当時の読者は覚えているだろうか。

 この文庫本を手にしてそういえばこんな物語があの雑誌に掲載されていたことを思い出した青年も、初めて文庫本でこの物語を読む少女も、物語を覚えることが大事なんて思わなくても構わない。
 ただ、生きていくことは、小学六年生だろうが、二十歳だろうが、還暦前だろうが、いつも困難だけれど、「生きているひとは、みんな、自分の力で歩いていかないといけない」という重松のメッセージだけは忘れないでいれたらどんなにいいだろう。
  
(2013/07/26 投稿)

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  新潮社のHPにこうあります。

   きっと、また会える。
   あの頃、団地は、未来と過去を繋ぐ道だったから。

   ベストセラー『かたみ歌』に続く感涙ホラー。

  なかなか惹きつけられますよね。
  ということで、
  今日紹介するのは
  朱川湊人さんの『なごり歌』。
  感涙となるかどうかは
  読者しだいでしょうか。
  私は正直そこまでいきませんでしたが
  舞台となった昭和40年代が
  懐かしかったですね。
  どうも最近、
  昭和30年代とか40年代のことが
  懐かしくて仕方がありません。
  そんな年なのかなぁ。
  そんな時代を知らない人も
  ここちよい読書の時間を
  過ごせます。

  じゃあ、読もう。

なごり歌なごり歌
(2013/06/28)
朱川 湊人

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sai.wingpen  ゆうらり、そんな時代でした。                   

 この本の前作『かたみ歌』には、「七年越しの恩返し」といわれる美談がある。
 文庫本になってもあまり売れなかったその作品を、担当した編集者が一生懸命知恵を絞ってベストセラーに仕立ててしまいます。文庫本につけられた帯に「涙腺崩壊」などと銘打ったのもその一環です。
 そんな編集者がいて、読んでくれるたくさんの読者がいる。
 作者冥利につきる作品といえます。

 その続編がこの『なごり歌』です。
 続編といっても物語の舞台も登場人物も違います。前作は「アカシア商店街」という下町の古い商店街。この作品は、埼玉と接する東京郊外のマンモス団地、「虹ケ本団地」。
 「アリの巣」と酷評されることもある団地群です。
 時代は前作と同じ昭和40年代。怪奇現象ともいえる不思議なテイストは前作を踏襲しています。
 前作でも本作でもそうですが、過ぎ去った時代の気分が、平成という時代を生きる読者に、少しばかりゆっくりとした時間を与えてくれます。
 この作品の中で、企業戦士として活躍していたものの部下の死によって「速さ」や「高さ」に興味を失った男性がでてきます。
 彼は仕事をやめ、ひたすらゆっくりと飛行する模型飛行機づくりに熱中しています。
 それぞれがさまざまな悩みをもった団地の空に、彼の作った模型飛行機が「ゆうらり」と飛んでいきます。
 朱川湊人が描きたかったのは、そうゆう「ゆうらり」感だったのではないでしょうか。

 ここには7つの短編が収められています。
 それぞれ主人公は違うのですが、それぞれの作品で脇役として描かれた人物が他の作品で重要な役を演じたりしています。
 「バタークリームと三億円」に出てくるマリアという女性は、「そら色のマリア」という作品でタイトルになるほど重要な役で登場しますし、「そら色のマリア」の主人公は冒頭の作品となる「遠くの友だち」でも不思議な魅力を持った青年として出ています。
 団地というのは広いようで狭い。隣人との交わりがないようで、人恋しい。

 核家族や「鍵っ子」と揶揄された時代。少しずつ失くしていったものを、平成の時代になって、この物語は取り返そうとしているかのようです。
 きっと、まだ空の上を、あの模型飛行機が「ゆうらり」と飛んでいるような気がします。
  
(2013/07/25 投稿)

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  少し前に
  団鬼六さんの生涯を描いた
  大崎善生さんの『赦す人』という作品を
  紹介しましたが、
  今日は団鬼六さん自身が「自伝小説」として
  発表した
  『生きかた下手』を紹介します。
  えーっ、また官能SM作家の本か
  なんて言わないで下さいね。
  逆に、官能小説を期待して人も
  これはそんな作品ではありませんので
  気をつけて。
  ひとことでいえば、この作品集は

  傑作!

  大傑作!!

  こんなすごい本を
  見過ごしていたのが
  恥ずかしくなるくらいの面白さ。
  私の中で、
  団鬼六という作家の評価が
  うんと変わりました。
  小難しいばかりが小説ではありません。
  こういう物語こそ
  たくさんの人に読んでもらいたい。

  じゃあ、読もう。


生きかた下手生きかた下手
(2004/03/11)
団 鬼六

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sai.wingpen  これを読まずに団鬼六を語るなかれ                   

 団鬼六はそのおどろおどろしい名前と、その名の前につく「官能SM作家」や「変態作家」というさまざまな形容ゆえに、文学の世界ではずっと評価されることはなかった。
 但し、晩年、団の作品は大手出版社が出している大衆小説誌に数多く掲載され、それらの作品は今では文庫本として入手もできるようになった。
 団鬼六の名前は、その名前だけで多くの読者に期待させるものがあったのだろう。そして、晩年の作品がけっして「官能SM」ものでなくても、読者は団の作品を待ち望んだ。
 その理由は簡単だ。
 団の作品がただ面白かったという一点にある。

 「自伝小説集」とあるようにこの本には団の青春期の姿を描いた作品群が収められている。
 鬼プロというエロ専門のプロダクションを立ち上げた頃を描いた「明るさは滅びの姿であろうか」、官能小説を書きながら中学教師として働いていた頃の「仰げば尊し」、今では直木賞という賞名ばかりが有名になった直木三十五とかつてその弟子であった母の姿を描いた「母と直木三十五」、さらには滋賀の彦根で映画館館主の息子として育った団の幼少期までさかのぼる「湖国の春」といったように、ここには団の青春が美しき結晶として再現されている。
 もとより、これらはすべて「小説」である。
 どこまでが事実で、どこからが作り話なのかはわかりようもない。しかし、だからこそ、これはまっとうな小説であるといえる。
 作ることで、事実がさらなる生命をもったことはまちがいない。

 団が中学の英語教師をしながら代表作となった官能SM小説『花と蛇』を書いていたことは有名な逸話だが、「仰げば尊し」に描かれているような教え子たちとの交流がどこまで事実なのかはわからない。
 しかし、団はそれらを描くことで、教師と官能作家の間で揺れる自身の姿を、それを突き抜ける明るさを手にいれたといえる。

 団鬼六とはこんなにも素晴らしい作家だったのかと、あらためて思う。
 こんな作家を「変態SM作家」という冠を載せたまま、文学の片隅に追いやるのはいかがなものか。
 いやいや、俺は所詮、「変態SM作家」だったんだよ。
 彼岸から団の声が聞こえそうだ。
  
(2013/07/24 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  おとといの参議院選挙の結果を
  みてみると、
  やはり安部総理が自信をもって進めている
  経済政策の評価といえるかな。
  生活が良くなるに越したことはなくて
  できれば給料があがって
  いい生活がしたいって考えるのは
  人情だと思います。
  でも、いい生活って何でしょうね。
  いい服を買うこと?
  おいしいものを食べること?
  せめて海外旅行に行きたい?
  「ライオンキング」だって観たい?
  なんてあげれば、
  なんのことはない、
  ワンランク上の贅沢がしたいっていうことじゃないか。
  みたいなことになっていないでしょうか。
  本当のお金の使い方ってなんだろう。
  そこで、今日は
  小宮一慶さんの『35歳までのお金の教室』を
  読んでみました。
  お金の話をするのはなんだか苦手という皆さんも
  この本でしっかりと勉強してみるのも
  いいですよ。

  じゃあ、読もう。

35歳までのお金の教室: No.1コンサルタントが教える「知らないとマズい」常識44 (知的生きかた文庫)35歳までのお金の教室: No.1コンサルタントが教える「知らないとマズい」常識44 (知的生きかた文庫)
(2013/05/22)
小宮 一慶

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sai.wingpen  蟹は甲羅に似せて穴を掘る                   

 「蟹は甲羅に似せて穴を掘る」ということわざがある。
 人はそれぞれ分相応の考えや行いをするということを指すが、お金についても同じことがいえる。
 経営コンサルタントの小宮一慶氏が、書名の通り、できれば「35歳までの」若い人に読んでもらいたいとした「お金」にまつわる「常識」をまとめたこの本にも、このことが書かれている。
 すなわち、「自分が稼ぐ範囲内で生活する習慣をつけること」と、小宮氏は書いている。
 時に人は、自分の稼ぎ以上の贅沢をしようとする。
 人がそうしているから、自分だってできないわけはない。人よりいい暮らしがしていると見せたい。
 気がつけば、甲羅以上の大きな穴をこしらえている。

 本書のウリは、お金を「稼ぐ力」「貯める力」が自然に身につくことと書かれているが、実際に本書を読んで大金持ちになることはないだろう。
 投資の基本や保険の見分け方といった記述がないわけではないが、もしこの本で大金持ちになろうなんて思わないことだ。
 ここでは具体的なお金の貯め方ではなく、「お金を追うな。仕事を追え」みたいなお金に対する考え方が主となっている。
 お金をきっちりと稼ぐあるいは貯めるためには、その考え方をきっちりと持たないと、甲羅以上の穴を掘ってしまう。
 自分の身の丈にあったお金の使い方をして初めて、お金は自分のものになる。

 小宮氏は「35歳」という年齢にこだわった訳を、「人生の分岐点」だからとしている。
 実際大学を卒業して会社で働き出したとして、35歳は入社10年めのこれから伸びる年齢といえる。
 その時までに、お金の常識を身につけているのとそうでないのとは、その後の人生にとって大きな開きが出てくるものだ。
 人生をお金に支配されてしまわないためにも、若い人に読んでもらいたい「お金」の本といっていい。
 自分の甲羅にあった穴ほど棲みやすいものはないはず。
 でも、そのためには本書を読んで「お金」の勉強も欠かせない。
 「お金」を貯めるのは、結構大変なのだから。
(2013/07/23 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  予想どおりというか
  予想以上というか
  昨日の参議院選挙の結果は
  自民党の圧勝でした。
  これでねじれ国会はなくなって
  議会運営はやりやすくなるでしょうが、
  またぞろ横暴、暴挙が横行することのないように
  願いたいものです。
  今日は谷川俊太郎さんの
  『ミライノコドモ』という詩集の紹介。
  政治もまた、未来の子どものために
  政策を実行してもらいたい。
  目先のことにとらわれていると
  この国はちっともよくならないのでは
  ないかな。
  それが未来の子どもにとっても
  評価されるものであること。
  新しい政治勢力でこの国の未来が
  よくなっていくのか
  悪くなっていくのか。
  未来の子どもたちに
  恥じない政治をお願いします。

  じゃあ、読もう。

ミライノコドモミライノコドモ
(2013/06/06)
谷川 俊太郎

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sai.wingpen  こころで読む                   

 詩集を読んでいる自分の姿を思うと妙に恥ずかしいものだ。
 気取ってやがる。
 なんだか青春の尻尾をひきずっているようで、こそばゆい。
 でも、好きだから仕方がない。
 初めて読んだ詩集のことは覚えていないが、中原中也であったか立原道造であったか、言葉の妖精があちこちと翔んだ。
 谷川俊太郎とも長い付き合いだ。谷川の『うつむく青年』(1971年)という詩集に出逢ったのは、もう40年以上も前だ。
 それからも詩集を読んできた。
 詩人は詩をかいてきた。
 それでも、詩集を読む自分に赤面をする。

 この詩集は今年82歳になる詩人谷川俊太郎の新しい作品だ。
 あとがきで「ここ数年、気楽に詩が書けるようになっている」と書く谷川だが、それでも詩およびその批評についての迷いは今もある。
 どんな詩がいい詩なのか。
 谷川は「美味しい不味いで判断していい」と、かねがね思っているという。
 では、どんな詩が美味しいのか。
 それは詩を読む人の主観であろう。
 味の美味しい不味いは舌に秘められた味蕾(みらい)という要素でかなりのものが決められるようだが、でも舌のこの小さな器官に味蕾(みらい)と名づけた人の言葉感覚の素晴らしさには感服する、詩の美味しい不味いはどこで決まるのだろうか。

 心か。
 では、心はどこにある?
 頭脳と呼ばれる器官のことか?
 「キャベツは疲れているはずだが/食卓ではそれは見せない」(「キャベツの疲労」)なんて書かれても、頭脳はそれをどう解釈するだろう。
 やはり、詩はこころで読まれているにちがいない。
 もっとも、そんなことをいえば、詩集を読む以上に恥ずかしくもなるが。

 谷川はいう。「詩が好きな人は日本語のグルメだ」と。
 きっとたくさんの日本語を食べてきた人だけがなりえるものだ。
 今夜もおいしい詩を召し上がれ。
  
(2013/07/22 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  さあ、今日は参議院選挙
  選挙権をもっている皆さん、
  投票には行かなあきまへんで。
  あれ、なんやけったいな大阪弁に
  なってもろた。
  なんでやねん。
  そうや、そうや。
  今日紹介する絵本、
  ジョン・クラッセンさんの『どこいったん』なんやけど
  訳してるのが長谷川義史さんで
  大阪弁で訳してはるから、
  うつってもろた。
  あかん、あかん。
  はよ、戻さんと抜けへんなるんとちゃうやろか。
  わて、あ、これは私という意味でんな、
  東京に出てきてもうかれこれ40年近こうなるんやけど
  大阪弁が抜けへんで
  困ってますねん。
  なんでやろな。
  きしょくがええんやね、ほんま。
  そやから、今日の絵本、
  好きやねん。

  ほな、読もか。
  

どこいったんどこいったん
(2011/11/25)
ジョン・クラッセン

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sai.wingpen  大阪弁がええ味だしてまっせ                   

 大阪弁というのは方言のようであって、方言以上のものである。
 普通方言とは地元での使用という限定のものであることが多いが、大阪弁に限っていえば、それが東京であれ鹿児島であれ、大阪弁を変えようとする思いがまったく感じられない。
 どころか、どこであっても大阪弁で通すのだというこだわりさえ感じる。
 ましてそれが東京であれば一層強い。
 大阪弁で、なんで、あかんの?

 アメリカの絵本作家ジョン・クラッセンさんが描いた素敵な絵本の翻訳を担当しているのは、大阪生まれ、大阪育ちの長谷川義史さん。
 長谷川さんといえば、吉本興業ばりのおやじダジャレ満載の絵本を作るぐらいですから、このおしゃれな画風の絵本でも、大阪弁で通します。
 それがまたいいねんな。
 大阪弁にいささか抵抗がある人にとっては、抵抗があるかもしれませんが、この作品に限っていえば、ええ味、出してまっせ。

 お気に入りの赤い帽子をなくしたくまが森の動物たちに聞いてまわります。
 「ぼくのぼうし どこいったん?」
 誰に聞いても、「みてへんで」。くまは、「そうか、おおきに」って具合で、また次の動物に。
 このくまも、どちらかといえば、吉本風のとぼけた感じをだしていて、あきらかに赤い帽子を持っていると思われる動物を見事にスルーしてしまうのです。
 そのあと、そういえばと思い出すのですが、こういう時間差によるギャグの構成はしばしばお笑い番組などで目にするところ。
 ほんま、笑わせるわ。

 もし、この絵本が大阪弁でなかったらどうなっていたか。
 きっとまったくちがった絵本になっていたにちがいありません。
 海外の絵本を読むのは、翻訳でどんなふうに訳されているかで大きくイメージがちがいのではないでしょうか。
 この絵本は、大阪弁だから大成功。
 そう思っているのは、大阪弁にこだわる大阪人だけやろか。
  
(2013/07/21 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  いよいよ明日のNHK大河ドラマ八重の桜」では
  会津鶴ヶ城の落城の様子が
  描かれるようです。
  そこで、今日は
  またまた星亮一さんの『新島八重と戊辰戦争』という
  本を紹介しますね。
  明日までの読んで下さい、
  なんて無理な話はいいませんが、
  3時間あれば読めるので挑戦してみるのも
  いいかもしれませんね。
  今日の書評のタイトルは
  八重がお城を出る際に詠んだという歌から
  とりました。
  全文はこうです。

    明日の夜はいづこの誰かながむらん
               なれし大城にのこす月影

  さて、この歌、
  大河ドラマ「八重の桜」では
  どんな風に紹介されるのでしょうか。

  じゃあ、読もう。

新島八重と戊辰戦争 (ベスト新書)新島八重と戊辰戦争 (ベスト新書)
(2012/11/09)
星 亮一

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sai.wingpen  大城にのこす月影                   

 ドラマや時代小説は決して正確に事件なり人間関係を描くものではない。視聴者や読者を楽しませるという要素を持っているがゆえに、そのことで批判するにあたらない。
 今年の大河ドラマ「八重の桜」においても、主人公の八重と家老である西郷頼母の関係などは実際には考えにくい。まして、西郷頼母という人物は歴史上の評価がわかれるところだという。
 ドラマと史実との間の溝をどう埋めるか。最近の出版界では放送が決まった時点からさまざまな関連本が刊行される習慣がある。それらでもって、埋めていく。
 ドラマで描かれなかった史実を知ることで、さらに面白さが増していくにちがいない。

 本書はこれまでにも何冊も幕末の会津藩を描いてきた作家星亮一による作品で、刊行時点では「八重の桜」の放映も決まっていたから、それに合わせた企画本である。
 新島八重に重点をあてたような書名になっているが、実際には「戦闘に参加、自刃、籠城など、さまざまな形で戦禍の悲惨を味わった女性たちの姿」を描いたものとなっている。
 鶴ヶ城に籠城した女性たちは約600人ほどだったという。もちろん、八重もそのなかの一人だ。
 ドラマの中でも描かれていたように籠城した女性たちは炊事や介護、弾薬の製造に従事していたという。

 本書には西郷頼母一族の自刃や中野竹子の戦闘での死などドラマにも描かれて有名な場面も紹介されているが、入城できずに城外に逃れた女性たちの苦難の日々も描かれている。
 どんな時代の戦争であれ、女性たちが男たちの餌食になることはよくある。会津戦争でもその悲劇はあったから、女性たちは自刃せざるをえなかったともいえる。
 女性たちすべてが八重のようにたくましくはない。

星氏はさまざまな資料を駆使し、会津戦争における女性たちの勇敢な姿や悲惨な姿を描いているのだろうが、残念ながらこの新書では参考文献の紹介がない。
 やはり歴史書であれば、創作でないかぎり、参考文献の紹介をいれるべきだろう。
 新島八重について、落城から何年間の記録がないという。そのあたりをドラマではどう描いていくのだろうか。それもまた楽しみだ。
  
(2013/07/20 投稿)

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  昨日関川夏央さんの『昭和三十年代演習』という本を
  紹介しましたが
  今日紹介する
  川本三郎さんの『それぞれの東京』も
  副題に「昭和の町に生きた作家たち」とあるように
  昭和という時代を描いた
  作家論です。
  どうも私も昭和という時代が好きなようで
  その理由を真剣に考えたことはありませんが
  やはり一種のノスタルジーでしょうか。
  だとしたら、
  若い人には若い人の平成という時代があるでしょうし
  いずれそんな時代のことを書く人も
  現れてくるでしょうね。
  表紙に写っているのは
  建設中の東京スカイツリー。
  そんなに時間は経っていないはずなのに
  何故か懐かしさを感じます。

  じゃあ、読もう。

それぞれの東京―昭和の町に生きた作家たちそれぞれの東京―昭和の町に生きた作家たち
(2010/12/21)
川本 三郎

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sai.wingpen  人は町によって育まれていく。                   

 東京で暮らして、40年近くなる。といっても、住んだのがほとんど埼玉なのだが。
 最初に暮らしたのは世田谷の池尻の学生寮。まだ地下鉄は通っていなかった昭和40年代の終わり。
 その次は、西武新宿沿線の新井薬師。
 この二つの街に最近出かけたがすっかり様子が変わっていて、しかも池尻の学生寮はなくなっていたし、よく通った焼き鳥屋もない。新井薬師の下宿屋もなかった。
 バブル経済期をはさんで、東京の街も変容した。

 この本は昭和の東京の町とともに生きた作家たちの姿を描きながら、変容を続ける東京の町そのもののスケッチ集といっていい。
 平成23年の刊行だから、表紙の東京スカイツリーもまだ建設中だ。いつかこういう写真もある種の懐かしさをもって見られる日がくるのだろう。
 著者の川本三郎氏は「近代の東京は時間の流れが速」く、そのせいで「消えてしまったついこのあいだのこと、近過去へのノスタルジーが普通以上に強くなる」という。
 映画『ALWAYS 三丁目の夕日』のヒットはそんなところにも要因があるのだろう。

 この本で紹介されている作家たちは、芝木好子、池波正太郎、沢村貞子といった下町派から山口瞳、向田邦子といった郊外派(もっとも今では郊外ではなくなったが)、さらには野口冨士男、鈴木真砂女という銀座・玉の井派まで、23人の作家や俳人、映画監督といった人たちである。
 池波正太郎や沢村貞子などは町がこの人たちを育てたことが実感できるし、玉の井に通ったという野口冨士男なども自分との相性のいい町があったことで慰安されたことだろう。
 この著者が得意とする永井荷風や林芙美子がはいっていないのは、その他の著作で描いてきたからだろうか。

 これはよくいわれることだが、東京は関東大震災、東京大空襲、そして東京オリンピックで大きく姿を変えてきた。そして、そこに住む人々の心情もそれによって変化してきた。
 町は人によって活性化し、人は町によって育まれていく。
 東京が魅力的なのは、その変化が常に時代に先駆けていたからだろう。

 この本は小さな作家論でもあり、また、都市小論でもある。
  
(2013/07/19 投稿)

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  昨日紹介しました「ウルトラマン」の前身
  「ウルトラQ」が初めてTVに登場したのは
  昭和41年です。
  昭和30年代と昭和40年代の大きな違いは
  怪獣映画が映画館でしか見れない時代と
  TVで毎週怪獣たちに出会えた時代の差とも
  いえます。
  そういう観点で
  昭和30年代を読み解くのも
  面白いかも。
  今日紹介するのは
  関川夏央さんの『昭和三十年代 演習』という本。
  昭和30年生まれとしては
  ぜひとも読んでおきたい一冊ですね。
  関川夏央さんはこれまでにも
  昭和に関する本をたくさん書いていて
  私の中では川本三郎さんと双璧ですね。
  松本清張三島由紀夫の話など
  興味深々。
  二人の作品をじっくり読みたくなりました。

  じゃあ、読もう。

昭和三十年代 演習昭和三十年代 演習
(2013/05/29)
関川 夏央

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sai.wingpen  コロッケばかり食べていた時代                   

 私は昭和30年の、早生まれ。
 だから、同級生のほとんどは昭和29年ということになる。同級生でありながら、「もはや戦後ではない」と経済白書に明記された昭和30年生まれとしては優越感が少しある。
 昭和30年代といえば、その年に生まれたものにとって少年期と同じくする10年といえる。

 これまでにもさまざまな昭和の姿を描いてきたノンフィクション作家関川夏央は、昭和30年代を「貧乏くさくて、可憐で、恨みがましい、そんな複雑でおもしろい時代」と、本書の中に書いている。
 関川は本書の中でかつて大ヒットとなった映画『ALWAYS 三丁目の夕日』や石原裕次郎や吉永小百合のいた全盛期の日活映画、あるいは松本清張、三島由紀夫の文学、サガンに代表されるフランス文学の読解などを駆使して、昭和30年代を辿ろうとしている。

 子どもながら、私の印象としても貧しい時代だった。コロッケだけのおかず、ひどい時にはご飯に味の素をかけただけといった食生活。バナナも高級果物だった。
 冷蔵庫も映画『ALWAYS 三丁目の夕日』に出てきた氷の片を上部に入れ置き冷やすタイプ。洗濯機の脱水はローラー式だった。
 トイレは水洗などほど遠く、近くの田畑には肥え溜めが至るところにあった。
 クレージーキャッツの歌う「スーダラ節」が大ヒットしたのは小学1年の時だ。

 当然三島由紀夫は知らなかったが、松本清張は知っていた。というか、松本清張を読んでいる同級生がいた。
 あれは『点と線』だったろうか、すごいやつだと正直思った。その一方で、怪獣のことにはめっぽう詳しい「怪獣博士」もいて、それはそれで豊かな「教養」の時代だったといえる。
 関川もこの時代を「不便さと「教養」が共存した時代」としていて、当時の作家たちの生活が過剰なほど豊かだったと、少し妬ましげに書いている。

 昭和30年代が面白いのはその掉尾を飾る昭和39年に東京オリンピックが開催されたことかもしれない。
 本書でも最後の章でそのことに触れている。
 この時男子マラソンで3位となった円谷幸吉がその後、「もう走れません」と自死したのは、昭和43年。
 もしかしたら、苦しげにそれでも必死に走った円谷のあの時の姿こそ、昭和30年代の終わりに、もっとも似合っていたともいえる。
  
(2013/07/18 投稿)

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  今日、7月17日
  ウルトラマンが初めて地球にやってきた日です。
  つまり、TV放映が始まったのが
  1966年の今日。
  そんな記念の日に
  小谷野敦さんの『ウルトラマンがいた時代』という本を
  紹介できるなんて。
  うれしい。
  それほど、ウルトラマンは大ヒーロー。
  世の中には
  ウルトラマン派と仮面ライダー派がいるそうですが
  私はウルトラマン派。
  ちなみにいえば、
  手塚治虫さん原作の実写版「マグマ大使」はもっと好き。
  先日NHKBSで「マグマ大使」の初回と最終回を放映したのですが
  見落しをしてしまったのが
  残念で、残念で。
  ところで、「ウルトラマン」と「ウルトラセブン」は
  どちらが好きか、
  これも好みがあるようですが
  私は「ウルトラセブン」。
  その理由はアンヌ隊員というのが
  いかにも少年ですよね。

  じゃあ、読もう。
  

ウルトラマンがいた時代 (ベスト新書)ウルトラマンがいた時代 (ベスト新書)
(2013/04/09)
小谷野 敦

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sai.wingpen  7月17日、ウルトラマンがやってきた                   

 「ウルトラマン」がTVで初めて放映されたのは、1966年(昭和41年)の7月17日。
 ちなみに「ウルトラマンの日」というのがあって、こちらは7月10日。どうして一週間の差があるかというと、番組開始の前にその宣伝として初お目見えしたのが7月10日だったからだそうだ。
 この時、私は11歳で、この本の著者小谷野敦氏はわずか4歳。
 少年期のこの年の違いは大きい。
 私にとっては「ウルトラマン」の前番組だった「ウルトラQ」から夢中になっていた分、そこから連綿と続く「ウルトラマン」シリーズの卒業は早い。
 小谷野氏はシリーズ三作めとなる「帰ってきたウルトラマン」(1971年)を中心に本書を書いているが、私にとってはいささか熱が冷めてきた年頃の作品である。
 同世代というくくりに入りそうで、若干違う。

 それでも「特撮ものが好き」だという小谷野氏は丁寧に初代「ウルトラマン」から「ウルトラセブン」、そして「帰ってきたウルトラマン」にいたる作品をその周辺にあった特撮ものやアニメといった昭和40年代の子どもたちが夢中になった作品を取り上げ、面白い論に仕上がっている。
 小谷野氏は、これまでも数多く論じられてきた、「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」の脚本を担当した沖縄出身の金城哲夫の作品が差別や沖縄問題をテーマにしたものであるという、「特撮ものを道徳で論じること」に異議を唱えている。
 「子供だった私は、そんな視点から怪獣ものを楽しんでいただろうか」という疑問は至極もっともだ。
 本書が面白いのはそういう過去を振り返って理屈をつけるものから離れて、まるで友達と懐かしいTV番組を語っているという気分があるからだ。
 まるで、小学校の同窓会で、「そういえば、あの頃のウルトラマンって・・・」というノリである。

 小谷野氏は70年代に始まる「帰ってきたウルトラマン」は「暗い」時代の雰囲気を体現した作品だと書いている。
 漫画の世界では「巨人の星」や「あしたのジョー」のようなスポ根マンガが圧倒的に人気を集めていた時代だったことを思えば、単なるヒーローものでは満足しなくなった時代の始まりであったともいえる。
 もっとも、「ウルトラマンがいた時代」はだからこそわかりやすい、明朗な時代だったといえるような気がする。
  
(2013/07/17 投稿)

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  今日紹介する
  中城健雄さんの『昭和少年70’s』は
  先日の東京国際ブックフェア
  購入した一冊です。
  その際に、中城健雄さんの講演も聞いたのですが
  この本を先に読んでいたら
  永島慎二さんという漫画家のことも
  聞いてみたかったと残念でなりません。
  昭和30年生まれの私にとって
  永島慎二さんの漫画は特別なものでした。
  あの漫画と太宰治がなかったら
  またちがった青春だったのではないかと
  思うぐらいです。
  ですから、書評の最後にも書きましたが
  昭和40~50年代の漫画家たちの姿を知る上で
  この本は貴重な一冊になると思います。
  それもこれも
  漫画の神様手塚治虫という求心力が
  あったゆえかもしれませんが。

  じゃあ、読もう。

昭和少年70’s昭和少年70’s
(2013/07)
中城 健雄

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sai.wingpen  昭和の漫画家たちの青春物語として                   

 中城健雄さんを知っているだろうか。
 漫画の神様手塚治虫さんに師事し、アシスタントをし、その後梶原一騎さんと組んで数々の人気漫画を発表した漫画家である。しかも、30年もの漫画家生活を捨て、現在天理教の教会長という、変わった経歴の持ち主である。
 昭和13年(1938年)生まれだから、今年75歳になる。
 自身、「昭和少年」というぐらいで、この本は中城さんが70歳になってから書きとめた、「昭和」の、そして自身の青春物語だ。

 現在天理教教会長だからその関係の話も書かれているが、ここでは漫画家として活躍していた頃の話を主に書きたいと思う。
 中城さんが漫画家として活躍していた昭和40~50年代は、中城けんたろう、あるいは中城健というペンネームを使っていた。
 代表作は『四角いジャングル』(少年マガジン)『ボディガード牙』『カラテ地獄篇』(ともに週刊サンケイ)で、梶原一騎さんとの呼吸があったことがわかる。
 本書を読んで意外だったのは、昭和40年代「青春漫画の教祖」ともいわれた永島慎二さんとの交流である。
 永島さんたちとともに漫画家集団を立ち上げた話など、永島さんとの思い出は本書にいくつも描かれている。
 その中のひとつ、「俺たちの青春」の結びにはこうある。「七十歳だって青春。しかし、永島さんとの青春の日々は帰ってこない」。

 その文章と呼応するような話がもう一つ、「一輪の黄梅」という題で描かれている。
 これは平成17年に67歳で亡くなった永島慎二さんのお墓をたずねる話だ。
 中城さんは永島さんの漫画家としての才能を高く評価し、「長生きしていたら、どんな絵を描いたのだろう」と悔やむ。そして、永島さんのお墓に「又、会いに来ます」とメモ書きをした名刺を残したという。

 中城さんと永島さんはまったく異質な漫画家だった。けれど、ともに昭和の時代を生きた永島慎二さんへの尽きない友情を感じる。
 それは、この本の「あとがき」を書いた石川球太さんにも通じる思いだろう。(ちなみに石川球太さんは動物漫画で一世を風靡した漫画家だ)
 この本はさまざまな読み方ができるが、昭和の漫画家たちの青春物語として、貴重な一冊にもなっている。
  
(2013/07/16 投稿)

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 今日は海の日
 お休みの方も多いでしょうね。
 夏休みも間近ということで、
 本屋さんに行けばこの時期恒例の
 文庫まつりが華やかなに開催されています。

 今年、アレッと足をとめたのが
 新潮文庫の100冊
 いままでのパンダものから
 今年は、「ワタシの一行」。
 キャッチコピーの一節を紹介すると

   本を読んでいると、ふと、
   ある一行に心をつかまれることがある。
   (中略)
   今年の夏は、言葉の森へ。言葉の海へ。

   新潮文庫の100冊から、
   あなたの一行に出会おう。

 これはいい企画だなぁ、感心しちゃった。
 どうして今まで出てこなかったのかしらん。
 と、思ったくらい。
 本好きの方なら
 ぜひ新潮文庫の100冊の小冊子をゲットしましょう。
 100冊の、これはという一行を読むことができます。
 有名なところでは、
 太宰治の『晩年』の、こんな一行。

    死のうと思っていた。

 これは爆笑問題の太田光さんオススメの一行。
 たった一行。されど一行。
 そんな一行に出逢うために、言葉の海に乗り出すのも素敵。

 つづいては、集英社文庫のナツイチ
 今年のキャッチコピーは

    文学、始めました。

 そして、キャラクターにAKB48のメンバーを持ってきました。
 しかも、彼女たちに読書感想文を書かそうというのですから
 これも斬新な企画。
 ちなみに先日の総選挙で見事に第一位に輝いた指原莉乃さんの課題図書は
 東野圭吾さんの『白夜行』。
 さて、どんな感想文を書くのでしょうか。
 AKB48ファンなら、このナツイチの小冊子はゲットしましょうね。
 アイドルたちと読む文庫本も、いいですね。

 最後は、角川文庫
 名作大漁、なんて大きく打ち出していますが
 少し地味かな。
 20130714_155406_convert_20130714164500.jpg
 和柄のスペシャルカバーにはぐっと惹かれますが
 総じて元気がない。
 以前の角川文庫らしさが影をひそめた感じ。

 さあ、あなたならどの文庫で
 この夏の一冊を選びますか。
 もちろん、一冊なんて遠慮しないで
 何冊でもいいんですよ。
 読書で暑い夏を乗り切って下さい。


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プレゼント 書評こぼれ話

  いよいよ参議院選挙も終盤戦。
  はたして、どの候補者にだるまの目が
  はいるのか。
  こじつけのようですが
  今日紹介するのは
  加古里子さんの『だるまちゃんとてんぐちゃん』。
  日本の絵本の中でも
  名作中の名作。
  ずっと気になっていたのですが
  どうも古くさく感じて
  敬遠していたのですが
  やはり名作はおさえておかないとというわけで
  紹介しますね。
  読んで思ったのですが
  ちっとも古くない。
  むしろ新鮮さを感じたくらい。
  おじいちゃんおばあちゃん
  お父さんお母さん
  そして、子どもたち。
  3代の世代に愛され続けて
  絵本です。

  じゃあ、読もう。

だるまちゃんとてんぐちゃん(こどものとも絵本)だるまちゃんとてんぐちゃん(こどものとも絵本)
(1967/11/20)
加古 里子

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sai.wingpen  だるまちゃんは選挙でも大活躍                   

 今の子どもたちは、てんぐってわかるのだろうか。
 だるまってどうだろう。
 見たことあるような、ないような。
 だるまさん転んだ、なんていう遊びは知らないだろうけど、お正月の初もうでなんかに行けば山積みされただるまは見たことがあるかも。
 そうだ、そうだ。大人たちの選挙で大活躍するから、だるまを知らない子どもに教えてあげるといい。
 「ほら、だるまちゃん、がんばっているわよ」って。

 この絵本はとにかく古い。
 奥付を見ると、1967年ってある。それって昭和ですよ、昭和42年。子どもたちが夕方遅くまで遊んでいると、天狗に連れていかれるぞ、って言ってもおかしくない時代。
 お話も絵もとってもシンプル。それでも今でも、なにしろ平成ですよ、21世紀ですよ、子どもたちの人気が高い名作絵本です。
 親たちが安心できるからかな。でも、親といっても、今の若いお父さんやお母さんはバブルも知らない世代じゃないかな。直前にはてんぐちゃんのうちわのようなものをもって踊っていたバブル娘たちがたくさんいましたが。
 どんな世代にも愛されてきたのが、この絵本といっていいでしょう。

 描いたのは加古里子さん。かこさとしって読みます。ひらがなにするとわかりますが、男性です。私はずっと女性だとばかり思っていましたが。
 加古さんがこの絵本を描いてくれたおかげで、だるまであれてんぐであれ、いつまでも日本の文化として生き続けることができます。
 そうでないと、ドラえもんやワンピースばかりが日本の文化になってしまいますものね。
 新しい人気者は子どもたちに愛されやすいけれど、古くからある人気者も捨てたものではありません。だって、加古さんが描く、だるまちゃんもてんぐちゃんも憎めないほど、かわいいと思いませんか。

 こういうように文化を伝承する力も、絵本にはあるのです。
  
(2013/07/14 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  先週のNHK大河ドラマ「八重の桜」、いかがでしたか。
  いよいよ藩主容保と家老西郷頼母の確執が
  激しくなってきました。
  今日紹介する星亮一さんの
  『会津落城―戊辰戦争最大の悲劇』では
  西郷頼母はそれほど評価されていません。
  一方、先週彼岸獅子を装って
  無事鶴ヶ城に帰還した
  山川大蔵については
  高く評価しています。
  家族とともに城で戦った山川家、
  家族の惨劇を黙認した頼母。
  このあたり、
  それぞれの評価があるでしょうが、
  西郷頼母役の西田敏行さんが
  やはりいい俳優ですから
  どうしても加担したくなるのも
  仕方のないところですよね。
  さて、明日はどんな展開になるでしょう。

  じゃあ、読もう。

会津落城―戊辰戦争最大の悲劇 (中公新書)会津落城―戊辰戦争最大の悲劇 (中公新書)
(2003/12)
星 亮一

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sai.wingpen  ドラマでの「会津落城」前に読みたい一冊                   

 毎年その年のNHK大河ドラマの舞台になった土地に行く知り合いがいい。
 いい趣味だ。
 ドラマでその土地に愛着が生まれ、土地や触れ合う人々を見る視点が身近なものになる。食べ物だってそんな気分で食すればおいしさが一層際立つ。
 そもそもNHK大河ドラマを見る習慣がなかったから、酔狂な趣味のように思っていたが、今年の「八重の桜」にはまったものとしては、会津の街に行ってみるのもきっといいと思う。
 もっとも何年か前、仕事の関係で会津にはよく出かけた。その縁で生前父と母を連れて鶴ヶ城に登ったこともある。あれは雪の頃だった。
 二本松少年隊の悲劇として伝わる二本松城にも行った。これは菊人形の季節。
 その頃、山本八重のことも知らなかったし、戊辰戦争についても詳しくは知らなかった。きっと知っていたら、もっと違った風景だったろう。

 NHK大河ドラマをより楽しむためには、こうして関連の本を読むこともお薦めする。
 ドラマではどうしても主人公が中心になるから、周辺の登場人物たちの名前やどういう役割を担ったなどはなかなか追えないが、関連本でおさらいをするとよくわかる。
 本書は数多くの会津藩ものを書いている星亮一氏の著作の一つで、ドラマでも山場となる「会津落城」に焦点を絞って描かれている。
 星氏は会津戦争を「悲しみの戦争」と表現しているが、本書では従来言われるような白虎隊や婦女子の殉国を賛美するのではなく、会津藩による「避難態勢の不徹底」や会津藩軍事局の「手落ち」などを明らかにしている。
 その上で、この戦争は「人災の部分が濃厚」としている。

 もちろん大河ドラマはよくできている。しかし、主人公の視点に偏りすぎるのではなく、本書のような関連本を読むことでドラマに深みと幅が増すのはまちがいない。
 たぶん今回の大河ドラマと関係なく刊行(2003年)されたが、図版に「入城する山本八重子像」が図版として紹介されていたりする。
 ドラマでの「会津落城」前に読みたい一冊である。
  
(2013/07/13 投稿)

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  今日紹介するのは
  重松清さんの『きみの町で』という
  短編集です。
  書評にも書きましたが、
  この本は「こども哲学」の付録として書かれた
  短い物語をまとめたものです。
  ただ、この本の真ん中に
  『あの町で』という東日本大震災の悲しみを
  描いた短編もはいっています。
  2013年4月の「小説新潮」に発表されたものです。
  重松清さんは震災の直後から
  震災で被災された人たちを描く作品を
  書き続けています。
  重松清さんという作家の中で
  東日本大震災で被災された人たちへの思いが
  どう変わってきているか
  それとも変わっていないのかを
  読みくらべるのも
  いいかもしれませんね。

  じゃあ、読もう。

きみの町できみの町で
(2013/05/31)
重松 清

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sai.wingpen  みんなちがって、みんないい。                   

 重松清さんはメッセージ性の強い作家です。
 いじめの問題、中年男性の問題、家族の問題、現代のこの国が抱えるさまざまな問題を物語という形を通して、読者に問いかけてくる作家です。
 この本に収録されている短い物語は『こども哲学』というシリーズに付録として書かれたものです。
 裏話のようなそんな話が「自由って、なに?」という作品の冒頭に書かれています。
 この本には東日本大震災で被害のあった東北の街を四季の風景とともに描いた『あの町で』という作品も収録されていますが、その他の7つの作品は先ほどの「自由って、なに?」といったように、「よいこととわるいことって、なに?」とか「きもちって、なに?」「知るって、なに?」というようなタイトルがついています。

 「哲学」の定義はおとなでも難しいと思いますが、重松さんは「生きることを好きになるためのヒント」だと書いています。
 今、おとなだけでなく子どもも生きることが大変過ぎて少しばかり好きではなくなっているような気がします。
 それは生活のありかたとか人間同士のふれあいとかの変化かもしれませんが、ある意味では子どもたちの人生の先輩であるおとなたちの自信のなさかもしれません。
 重松さん自身、これらの作品を書くことで、それぞれのテーマについて考えていったと書いています。
 おとなたちこそ「人生って、なに?」という問いに答えられないかもしれません。
 子ども向けに書かれていますが、おとなたちにも読んでもらいたいと重松さんは思っているのではないでしょうか。

 この短い物語に描かれている子どもたちは特別な存在ではありません。
 もしかしたら、電車の中で隣に座っている子どもだって、「いっしょにいきるって、なに?」と考えているかもしれません。
 生きることに答えがひとつなんてないでしょう。
 人はそれぞれ顔や姿が違うように、考えていることも違います。それでいいのです。
 違うことを否定するのではなく、違うことを認めあうところから始めるのです。
 金子みすずさんの「わたしと小鳥とすずと」という詩のおわりにはこう書かれています。
 「みんなちがって、みんないい。」

 ミロコマチコさんの装画がとても印象に残ります。
  
(2013/07/12 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  東日本大震災から
  2年4ヶ月
  今また原発の再稼働のことが
  平然と語られるなど
  あの日の記憶が遠くなっていると
  思わないでもない。
  このブログでは
  まだまだ紹介しないといけない
  震災関連の本があるので
  これからもあの日のことを忘れないためにも
  紹介を続けたいと思います。
  今日紹介するのは
  2012年8月に刊行された
  稲泉連さんの『復興の書店』という
  ルポタージュ。
  「書店」というキーワードがありながら
  見過ごしてきたのは
  恥ずかしいかぎり。
  刊行当時にすぐに紹介しないと
  いけませんでしたね。
  おそらくこの本の刊行から
  この中で紹介されている書店の姿も
  変わってきているのではないかなぁ。
  「復興」とは日々の変化。
  いい街に生まれ変わることを
  願っています。

  じゃあ、読もう。

復興の書店復興の書店
(2012/08/06)
稲泉 連

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sai.wingpen  「復興」の先にある書店を思う                   

 町とは何だろう。
 人が住むところだけではないように思う。人が集い、笑い、そして共に生きていこうとする場所。それが町ではないだろうか。
 東日本大震災以前から東北の多くの町はシャッター通りと称されるほど商店街などの衰退が問題となっていて、高齢者の問題や若者の都会への流出などけっしてこれといった解決策が見出せないでいた。
 その町々に東日本大震災による津波被害や原発問題が襲ったのだから、ことは深刻だ。
 「復興」と簡単にはいえないほど、東北の町々が抱える問題はたくさんある。

 「書店があるかどうかは、町の文化度を表すバロメーター」とこの本の中で話すのは東日本大震災で大きな被害が出た大槌町で図書館長などを務める佐々木さん。
 この本はその「書店」をキーワードにして、東日本大震災の被害から「復興」しようとする多くの書店人の頑張りを紹介するルポタージュである。
 多くの人的犠牲、住居喪失と同じように、この大震災ではさまざまな店舗も被害を受けた。
 当然生活の糧となる食料品だけでなく、生活の場面場面で必要となる商店、例えば理髪店や薬局や衣料品店などといったさまざまな商店の早い段階での「復興」が望まれた。
 では、「書店」はどうであったか。
 食料品のようにたちまち生活に直結するものではない本だが、被災された多くの人たちは本を求めて、震災から早々に開店した「書店」にたくさんの人たちが殺到したのだ。

 阪神大震災でも被害に直面した大手ブックチェーンジュンク堂の工藤会長は非常時でも書店で本を求める多くの人の姿を経験しているという。
 「ときとして我々(書店人)は食料以上に必要とされる」と阪神大震災の体験をもとに、東日本大震災のあとも「復興」を急いだとある。
 工藤会長の言葉は「震災が浮かび上がらせたのは、本屋は何となくあるようでいて、そんなふうに街の何かを支えている存在」と続く。

 東日本大震災あるいは原発の問題の悲しみから立ち上がろうとする書店人のさまざまな姿が勇気を与える。
 けれど、忘れないでいたいのは、この大きな悲しみの以前から町から書店が消えつつあったということだ。
 今回の「復興」がそういうことも視点にいれてなされることを心底願う。
  
(2013/07/11 投稿)

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  井上ひさしさんの戯曲
  『水の手紙』を収めたこの本は
  豪華なつくり。
  漫画家の萩尾望都さんがイラストを
  担当しています。
  萩尾望都さんといえば、
  少女漫画界にあって「花の24年組」と称される中でも
  代表的な存在。
  『ポーの一族』や『11人いる!』といった作品は
  男の子も夢中にさせました。
  そんな萩尾望都さんは
  この本のあとがきエッセーの中で
  井上ひさしさんの初期の代表作
  「ひょっこりひょうたん島」が大好きだったことを
  書いています。
  そうなんだ、
  萩尾望都さんもあの番組に夢中になった一人なんだ。
  私より6歳上のお姉さん世代ですが
  そういうところにつながっているんだという
  思いは、
  ただただうれしいものです。

  じゃあ、読もう。
  
水の手紙: 群読のために水の手紙: 群読のために
(2013/03/27)
井上 ひさし、萩尾 望都 他

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sai.wingpen  井上ひさしが伝えたかった水への想い                   

 福島原発事故の不安が拭いきれない。
 先日も新たに汚染地下水が確認されている。東電関係者は「海に汚染された地下水が漏れているかどうか確認できない」とコメントしているが、海は東電のものではない。福島のものでも、日本のものでもない。
 海は世界につながる。
 海に満ちる水は誰のものでもない、この地球のものだ。
 この地球に生きるすべての人のものだ。

 井上ひさしは2010年4月9日に亡くなったから、2011年3月11日に起こった東日本大震災の災害を見ることはなかった。
 井上が愛した東北があれほどの被害を受けたことを知ったら、井上はどんなに悲しがり、嘆いたことであろう。 もしかしたら、井上に東日本大震災を見せなかったのは、神のご加護だったのかもしれない。
 そんな井上が2003年10月、故郷山形で開催された「国民文化祭」の開会式で上演したのが、この『水の手紙 -群読のために』である。
 本書は『井上ひさし全芝居』に収録されているが、単行本として初めて刊行される戯曲で、しかも漫画家の萩尾望都の絵がついた上質な造りとなっている。

 この作品の上演時に井上は「やまがた水宣言」として格調高いメッセージを残している。
 「水は地球をめぐりながら、ヒトや草や木や生きものたちに生命をめぐんでくれている。これがたった一つの地球の決まりごとです」と。
 この戯曲の中で井上はさまざまな地域の、水についての困惑と不安を事象として取り上げている。消えていくアラル海や黄河のこと、地球温暖化の影響で沈んでいく島のこと、バラを枯らす雨のことなど、世界各地で起こっている、この地球の悲鳴を描きとめている。
 それでも、井上の思いは「わたしたちは水そのもの」という、単純だけど大切な事実に尽きる。
 井上は生前「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく」と語っている。
 この戯曲には難しいことなどひとつもない。あるのはやさしいことだけだが、井上の願いが深い。

 どうか原発の汚れた水を海に流さないでほしい。
 東電の海ではない。福島の、日本の海でもない。
 世界につながる、この地球の海なのだから。
  
(2013/07/10 投稿)

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  今日紹介する
  さかもとけんいちさんの『だれにも一つの青空がある』は
  昨日紹介しました東京国際ブックフェア
  購入した一冊です。
  7月5日(金)に著者のさかもとけんいちさんは
  大阪からわざわざ来場されて
  講演もされました。
  講演でな涙する人もいたそうです。
  聴きたかったなぁ。
  その時、サインされたこの本が
  たまたま残っていて
  今私の手元にあるのはさかもとさんのサイン本です。
  サイン本といっても
  アイドルではありませんから
  ただ「さかもとけんいち」と書かれてあるだけ。
  その素朴さが
  90歳のさかもとけんいちさんらしいと思います。
  表紙のイラストでもわかるように
  さかもとけんいちさんの笑顔は
  青空そのものといえます。

  じゃあ、読もう。

だれにも一つの青空がある―大阪「青空書房」店主90歳、休業ポスターに込めた人生の応援メッセージ。だれにも一つの青空がある―大阪「青空書房」店主90歳、休業ポスターに込めた人生の応援メッセージ。
(2013/06)
さかもと けんいち

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sai.wingpen  お休みの日にも人が集まる、そのわけは                   

 普通お店は休みの日には客は来ないものだ。ところが、大阪の中心部に近い商店街にあるこの古書店だけは、休日でも客が集まる。
 目当ては閉じられたお店のシャッターに貼られる「休業」お知らせのポスターだ。
 店の名は「青空書房」。今年90歳になる店主さかもとけんいち(坂本健一)さんが丹精込めてそのポスターを描いている。

 さかもとさんには亡き奥さん和美さんとの思い出を綴った『夫婦の青空』という著作もあり、その中でも「休業」ポスターについて触れている。
 人々のこころを惹きつける「休業」ポスターとはどんなものなのか。
 本書はさかもとさんがこれまでに描いてきた数百点のポスターから100点を厳選したポスターを全作カラーで紹介したものである。

 大きく「ほんじつ休ませて戴きます」と書かれているのは、「休業」お知らせゆえのもの。人々の心を打つのは、それに添え書きされたさかもとさんのひとことメッセージと季節ごとのイラスト。
 夜空に浮かぶ通天閣、梅の花、夏の日の花火、秋の夕暮れ、クリスマスのサンタ(そういえばUFOに乗ったサンタを描いたものも)、岡本太郎の太陽の塔、落葉、さらには亡くなった奥さん和美さんの笑顔も。(ちなみに、この日さかもとさんが書いたメッセージがいい。「大阪大好き 文学は生命 嫁さんは世界一だ」)
 かつて寺田寅彦は歳時記を「日本人の感覚のインデックス(索引)」と表現したが、さかもとさんが描く「休業」ポスターも歳時記なのだ。
 季節の持つ色を知りたくて人々が集まる。季節のふちどられた感情を味わいたくて人々が集う。
 閉まったシャッターに貼られたポスターに、生きることの機微を人々は感じるのだろう。
 それがさかもとさんの、人としての魅力といっていい。

 古書店の店主のさかもとさんだけに「休業」ポスターにも本を愛するメッセージもふるっている。
 「人生のジャンプ台は読書」「十人の知己より一冊の本が君を助けることもある」「読書は頭のごはんです」「本のない人生なんて羅針盤のない航海」…、と、本を愛するさかもとさんらしい。

 大阪にある小さな古書店「青空書房」。
 お休みの日にも人は安らぎを求めて、この店を訪れる。
  
(2013/07/09 投稿)

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 今年も「東京国際ブックフェア」に行ってきました。
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 今年で第20回になる「ブックフェア」ですが、
 年々規模が小さくなるようで、
 こんなところにも紙の本の苦境が感じられます。
 しかも今年は7月3日(水)から6日(土)までの開催で
 たくさんの人がでるだろう日曜日がはずれたのですから
 なんとも寂しいかぎりです。

 とっても暑くなった土曜に
 東京ビッグサイトに出かけたのですが、
 それでも本好きの人で賑わっていました。
 でも、何年か前に比べると
 出版社側でも無料配布のおまけがうんと少なくなっていて
 ここでもがっかり。
 ここは気分を取り直して、
 今回の期待のブース天理教道友社のブースに
 急ぎます。
 ここは天理教の出版社なのですが、
 私のお目当ては、この日開催される
 中城健雄さんの『昭和少年70’s』の刊行記念講演です。
 20130706_113841_convert_20130706211151.jpg
 ちなみに左が道友社のブース。
 さかもとけんいちさんの古書店の
 イメージですね。

 中城健雄さんといっても
 知らない人が多いかもしれませんが
 昭和50年代に大活躍した漫画家です。
 当時は中城健というペンネームで
 『四角いジャングル』(少年マガジン)とか
 『カラテ地獄篇』(週刊サンケイ)といった作品を
 描いていました。
 中城健雄さんは漫画の神様手塚治虫さんに師事して
 手塚さんの代筆とかもしていたそうです。
 この日講演したブースの隣が
 奇しくも手塚プロダクションのブースで
 中城健雄さんも「こんなこと話すと手塚先生に叱られるかな」と
 苦笑まじりに
 それでも手塚治虫さんの知られざる一面を楽しそうに
 話されていました。

 中城健雄さんの漫画は梶原一騎さんとのコンビのものも多く、
 いかつい男二人で銀座に繰り出した話や空手の大山倍達さんとのエピソードなど
 当時漫画に夢中になった世代にとっては
 興味深々の話ばかり。
 友達だった永島慎二さんの、
 あ、永島慎二さんのことも知らない人が多いですね、
 少し説明すると
 1970年代に『漫画家残酷物語』や『フーテン』といった作品で
 青春漫画の教祖と呼ばれた人気漫画家です、
 そんな永島慎二さんとの交友の話が聞ければもっとよかったなぁ。

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  『昭和少年70’s』という本は
 そんな話も満載のようで
 私も講演終了後サイン本を買いました。
 左がそのサイン。
 S88が昭和にこだわっていて、いいですよね。
 ここでは『夫婦の青空』のさかもとけんいちさんの新しい本
 『だれにも一つの青空がある』も
 サイン本で購入しました。
 実はさかもとけんいちさん、7月5日(金)にこのフェアに来られて
 講演をされています。
 今年90歳、大阪の古本屋のおっちゃんは
 まだまだ元気です。

 ということで、
 出版は大手だけでもっているのではなく
 さまざまな会社がいい本をたくさん出しています。
 さかもとけんいちさんがいうように
 「夢を培うもの それは本ですよ」。

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  今日は七夕
  ところが、俳句の世界では
  七夕は秋の季語なんですね。
  試験問題にでるかどうかはわかりませんが
  間違いやすいですよね。

   七夕や髪ぬれしまま人に逢ふ  橋本多佳子

  妙に色っぽい俳句ですよね。
  七夕の夜に濡れ髪にまま逢う相手って
  誰なんでしょう?
  一年に一度出会う、牽牛と織姫の伝説が
  下敷きにあるから
  俳句に奥深さと官能が生まれています。
  こんな句、詠めたら最高ですよね。
  そんな七夕の日に紹介する絵本は
  直木賞作家森絵都さんの
  『ぼくだけのこと』。
  絵はスギヤマカナヨさん。
  森絵都さんの文もいいですが
  スギヤマカナヨさんの絵もいいですね。
  表紙の男の子の見ているのは
  青空ですが
  今夜見上げたら
  牽牛と織姫の恋の物語が見られるかも。

  じゃあ、読もう。

ぼくだけのことぼくだけのこと
(2013/04/16)
森 絵都

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sai.wingpen  あなただけのことをさがして                   

 直木賞作家森絵都さんの素敵な絵本。
 スギヤマカナヨさんの絵もかわいい。ともに、1967~68年生まれですから、同級生感覚でできたのかも。
 絵本というのは、一人で文も絵も書く人もいますが、この絵本のように文は文、絵は絵というように担当を分けることもよくあります。
 例えば、文はAさん、絵はBさんということでできあがる絵本と、文はAさん絵はCさんの絵本があるとすれば、やはりまったく違うものになります。
 だとしたら、この絵本は、文森絵都、絵スギヤマカナヨでできた、たったひとつの絵本ということです。
 この絵本の題名でいえば、「この絵本だけのこと」。

 ようた君は三人きょうだいのまんなか。でも、右のほっぺにえくぼができるのは、ようた君だけ。
 ようた君ちは五人家族。でも、いつも蚊にさされるのは、ようた君だけ。
 ようた君の仲良し六人組で逆立ち歩きができるのは、ようた君だけ。
 となりに家の犬のチャッピーに吠えられないのも、ようた君だけ。
 そういうたくさんのことを組み合わさって、世界でたった一人、ようた君はようた君。

 森さんが描きたかったのは、読む人みんなみんな、自分だけのことをもっているのだということです。
 この絵本を読んだ人はたくさんいるでしょうが、その朝納豆を食べたのは数人しかいないかもしれません。ましてや、この絵本をお母さんと一緒に読んだのはもっと少なくなります。
 そう、あなたはあなた。世界中でたったひとりの、あなた、なのです。

 難しいことが書かれているわけではありません。
 でも、この絵本を読んで、あなたという存在がこの世界でとっても大事なもの、だって世界でたったひとつの存在なんですよ、だとわかるって、素敵だと思いませんか。
 スギヤマさんの描くようた君の顔がとっても明るいように、世界でたったひとりのあなたの顔も明るいにちがいありません。
 今すぐ鏡をのぞいてみてごらん。たった一人のあなたが、きっと笑っているはずです。
  
(2013/07/07 投稿)

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  いよいよ鶴ヶ城の攻防が始まりました。
  NHK大河ドラマ「八重の桜」の話です。
  そこで、今日は
  その様子も詳しい、
  星亮一さんの『敗者の維新史―会津藩士荒川勝茂の日記』を
  紹介します。
  これも中公新書の一冊ですが、
  以前も書きましたが、
  新聞広告で
  「中公新書で読む『八重の桜』の時代」というものがあって
  それに誘われて
  こうして毎週のように読んでいるのですが
  面白いですね。
  特にドラマの方が盛り上がっていますから
  家族にも薀蓄を自慢しています。
  父親の威厳、
  って感じ。
  星亮一さん、中公新書さん、お世話になります、です。

  じゃあ、読もう。

敗者の維新史―会津藩士荒川勝茂の日記 (中公新書)敗者の維新史―会津藩士荒川勝茂の日記 (中公新書)
(1990/04)
星 亮一

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sai.wingpen  NHK大河ドラマを見るならこの本ははずせない                   

 「身にはマンテルをおおい、小袴を着け、あたかも男子のごとし」と、幕末の会津藩の悲劇を描いた本の基になった「会津藩士荒川勝茂の日記」に描かれているのが、NHKの大河ドラマの主人公八重である。
 「これは山本覚馬妹にして川崎庄之助妻なり。さすがに砲術師範の家の女なり。大砲を発する業誤らず敵中へ破裂す。諸人目を驚かす」と、官軍に包囲された会津鶴ヶ城にあって八重の活躍を書きとめている。
 この本が上梓されたのは1990年だから、もちろんこの八重が後に大河ドラマの主人公になるなど、著者の星亮一も知るところではない。

 日記を書いた荒川勝茂は会津の中級武士で、松平容保の京都守護職拝命にともなって京詰めとなってもいる。日記にはその時の京都の様子、さらには戊辰戦争、そして会津での戦いなどが描かれている。
 さらには、敗戦後流浪の民となり越後高田での謹慎生活、さらには北の荒廃地斗南藩での厳しい生活と挫折、そして会津へ帰郷してからの生活と続く。

 会津藩の悲劇は、この日記の主である勝茂だけでなく、「一万数千人の藩士と家族すべてに及ぶ痛恨事」だった。
 それは単に官賊として追われた悲劇ではなく、会津人にとっては「京都守護職として忠誠に励みながら、何ら報われることのなかった」「深い憤り」があった。
 しかし、それでいて勝茂の日記からはそれでもその苦渋を引き受け、家族を失いながらも朴訥と生きる、会津人のけなげな姿がうかがえる。

 歴史をひもとくにはさまざまな資料がある。実際幕末の会津藩の様子は明治40年代になってようやく会津の山川浩によって書かれた『京都守護職始末』などによって明らかにされるのだが、勝茂のこの日記も資料としての価値は高い。
 特に、会津での戦いの様子はこれが戦争であったことを実感できるものだ。けっしてきれいごとではない。
 勝茂は「西郷の屋敷へ出でけるに(中略)見るも哀れなる事なり」と、西郷頼母一族の死の現場の様子も描いている。

 「敗者」というが、一体会津藩は何に敗れたのか。あまりにも厳しい、歴史の姿である。
  
(2013/07/06 投稿)

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  今回の「百年文庫」は
  「」と題されているが、
  安部公房カミュという
  (もう一人はサヴィニオ
  かつて私が大好きだった作家の短編が
  収録されていて、大満足の巻。
  二人の作家に夢中になったのは
  高校2、3年から大学生の時。
  いずれも新潮文庫
  ほとんどの作品がそろえられた。
  同じ頃、倉橋由美子も大好きでした。
  いまもそうなのかどうか知りませんが、
  安部公房の作品は
  新潮文庫でほとんど読めました。
  そのほとんどの挿画が
  奥さんでもあった安部真知さんでした。
  カミュもそうですね。
  文庫シリーズの装丁も印象的でした。
  もう、うんと昔の話です。
  でも、
  安部公房カミュ
  今も若い読者を獲得している点では
  普遍性の高い文学といえます。

  じゃあ、読もう。
  


壁 (百年文庫)壁 (百年文庫)
(2011/05)
カミュ、サヴィニオ 他

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sai.wingpen  解けないがゆえの快感                   

 安部公房が亡くなって今年20年になる。
 晩年にはノーベル賞の候補にもなっていたという安部だが、今もその人気は高い。全集だけでなく、研究書も多数刊行されている。
 具象でありながら抽象ともいえる多くの作品に夢中になった時がある。『箱男』『砂の女』『壁』…、解けない数式が面白いのと同じような感覚だ。
 そんな安部の短編『魔法のチョーク』を収める、百年文庫76巻めのタイトルは「壁」。
 不条理文学の雄、カミュの『ヨナ』とギリシャの作家サヴィニオの『「人生」という名の家』とともに、魅力的な巻となっている。

 安部公房の『魔法のチョーク』には難しい表現は何もない。
 貧しい画家のアルゴン君がある日偶然に「魔法のチョーク」を手にいれる。このチョークで描かれてものは全て本物の物体になる。リンゴ、コーヒー、パン、ベッド。ところが、魔法のチョークで描かれたものは太陽の光があたるとたちまち消滅する。
 アルゴン君は部屋の窓を塞ぎ、チョークが生み出す世界に籠る。食べるものが充たされたが、誰もいない。
 そこでアルゴン君は一人の美女までチョークで生み出してしまう。いつも間にかアルゴン君は創造主になってしまった。しかし、…。
 アルゴン君の行為は愚かだ。けれど、この作品が書かれた1950年はまだ戦争の傷跡が癒えない頃。誰もが「魔法のチョーク」をもって愚かにも戦争を行ったことを認識できたはず。そういう警告を含め、平易な文章に深い意味が隠されている作品だ。

 カミュはいうまでもなく『異邦人』や『ペスト』といった作品で時代の寵児となった作家。
 1957年にはノーベル文学賞を受賞したが、そのことを「過去の作家に対するはなむけ」と批判する人もいたらしい。
 収録作の『ヨナ』はそんな時期に書かれて作品で、画家としての栄光に包まれた主人公のヨナがいつしか時代に取り残されていく悲劇を描いたもの。
 わずか46歳で亡くなったカミュだが、文学史に残した功績はいまだ消えることはない。
 もうひとつの作品『「人生」という名の家』はサヴィニオという未知の作家のものだが、意外に面白かった。主人公が迷い込んだ家は実は彼の「人生」そのものだったという構成は不思議な感覚を残す。

 いずれも作品も解けない数式のような、読書の快感といえる。
  
(2013/07/05 投稿)

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  今日紹介する渡辺淳一さんの
  『孤舟』は
  刊行時話題となった作品で
  やっと読むことができました。
  渡辺淳一さんの作品に出てくる男性主人公は
  少し能天気な感じがしないでもありませんが、
  そのあたりがヒロインたちに
  もてるのかもしれません、
  この『孤舟』の主人公も
  実際こんな男性がいたら
  奥さんは大変だろうなぁと
  同情いたします。
  何言ってるのよ、あなたそっくりじゃない、っていう
  ご指摘は甘んじて受けますが、
  男性もつらいものですね。
  仕事をやめても
  行き場もないなんて。
  我が家にはこの物語のように
  ペットもいませんから
  犬の散歩もできません。
  うーうむ、困った。
  ペットを飼うにも
  このマンション、ペット禁止だし。

  じゃあ、読もう。

孤舟孤舟
(2010/09/24)
渡辺 淳一

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sai.wingpen  お~い、お茶                   

 夫源病、というのがあるらしい。夫がいることで精神が病む病気だとか。夫が源の病気なんて失礼な、と世の男性は憤懣やるかたないだろう。もっとも、婦源病もあるらしいから、お互いさまだが。
 定年後の夫婦の在り方を問うた、渡辺淳一の『孤舟』にも、「主人在宅ストレス症候群」という言葉が出てくる。「夫が家にいることにより、妻が精神的、肉体的にバランスを崩して、不安定になる疾患」だから、夫源病と同じだろうか。
 好きになった男と女は何故結婚とに至るのか。一緒に暮らしていたいという思いがそこにはあっただろうに、結婚して何十年も経つと、お互いがいることでストレスになるなんて、おかしい。
 今は結婚しても互いに働くことが当たり前のようになっているが、少し以前なら専業主婦という、妻が家事に専念することが普通であった。
 妻を外で働かせないことが男の甲斐性みたいに思われていた。

 この物語の主人公威一郎もそうだが、自分が妻を養ってきたという思いがある。だから、定年になってほとんどの時間を家で過ごすようになっても、以前からの習慣が抜けない。
 「おーい、お茶」「飯はまだか」。
 これでは妻の洋子はたまったものではない。
 ついには、娘の下宿に逃げ出してしまう。もっとも、自分がいなくなることで威一郎が自立することを企んだ節もないではないが。
 一人残された威一郎は料理さえできないのだが、この機会とばかりデートクラブに入会までしてしまう。出会った若い女性に夢中になり、すきあればと、願わないでもない。
 こうなれば、笑い話というより悲劇である。

 組織の中で長年働いてきた夫と、夫のいない時間に自分をせっせと磨いてきた妻。
 どう考えても妻の方が有利だ。
 威一郎の言動がこっけいに見えるのは、そのことを理解していないからだ。しかし、この物語が多くの問題を含んでいるのは、こんな威一郎のような男性が多いからだ。
 もっとも若い人からすれば、イクメンという言葉だってあるくらいで、「これは父親たちの世代の話で、今の自分たちは妻と共同で生活しないとやっていけない」となるのではないだろうか。

 あなたなら、威一郎にならないという自信があるだろうか。
  
(2013/07/04 投稿)

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 会社には四半期報告というものがあって
 例えば3月決算の会社であれば
 4~6月が第一四半期、7~9月が第二四半期、
 ここで中間決算ですね、
 10~12月が第三四半期、最後1~3月が第四四半期。
 で、本決算。
 最近では月次で営業成績を公表する会社も多くなっていますが
 まあひとつの目安として四半期報告はあるもの。

 そこで私もこの4月から始めた、
 NHKテレビの「おとなの基礎英語」の第一四半期の報告を
 してみようと思います。

NHK テレビ おとなの基礎英語 2013年 07月号 [雑誌]NHK テレビ おとなの基礎英語 2013年 07月号 [雑誌]
(2013/06/18)
不明

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 報告をするぐらいですから、
 なんとまだ続いているのです。
 この英語講座は一回あたりが10分、しかも月曜から木曜の4回と
 一週間ためてもわずか40分なのが
 負担にならなくていいですね。
 私も日曜に一気に録画したものを見ています。

 最近では面白くなってきていて
 といっても、英会話が面白いというより、
 メインキャストの坂下千里子さんのボケ具合がお気に入り。
 英語が苦手という人も坂下千里子さんの英語レベルを見ていると
 これでも十分も思うんじゃないかな。
 身近。お仲間。ご同輩。
 坂下千里子さんを教える側である太田エイミーさんが
 またいい。
 こんなきれいな先生なら
 私一生懸命勉強しちゃうんだけど。
 と、つい女性陣ばかり見ています。
 二人のファッションセンスもよくて、
 さすがテレビはちがうわいな、と毎週お二人を見るのが
 やみつきとなっています。
 あれ?
 これは英会話のテレビ講座でしたよね。

 そっちの方はちっとも進歩していません。
 でも、もしかしたら、
 少しは話せるようになっているかもしれませんよ、
 そういう場面に出くわしていないだけで。
 そんなこと、ないか。

 ということで、
 久々につづいている「おとなの基礎英語」です。

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プレゼント 書評こぼれ話

  業績不振の電機メーカーの株主総会は
  波乱含みで終わったようですが
  「経営者としての責任の取り方が甘い」という
  株主の声がどこまで反映されているのか
  退任した役員の処遇や退職金の額などを耳にすると
  早期退職、つまりはリストラで辞めざるをえなかった
  従業員たちの悔しさは
  いかばかりかと、
  心が痛みます。
  会社とは株主で決定されるような表現をされますが
  実際は大株主の意向を反映していうに
  過ぎないといえます。
  それが不適切でないかぎり、
  そうやって決定されていきます。
  だとしたら、大株主であっても
  個人の小口株主であっても
  満足するような施策を実現するように
  努力すべきなんでしょうね。
  会社というのは
  人間の欲がからまるから
  難しいし、また面白いのでしょうね。
  今日は
  昨日に続いて小宮一慶さんの
  『はじめてでもわかる財務諸表』という本を
  紹介します。

  じゃあ、読もう。

はじめてでもわかる財務諸表 危ない会社、未来ある会社の見分け方 (PHPビジネス新書)はじめてでもわかる財務諸表 危ない会社、未来ある会社の見分け方 (PHPビジネス新書)
(2013/05/19)
小宮 一慶

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sai.wingpen  まずは学ぼうという気持ちから                   

 今はほとんどの会社が自社のホームページ等で財務諸表を開示しています。逆に開示がされていない会社があると、何かごまかしがあるのではと疑いたくなります。
 それほど身近な財務諸表ですが、実はあまりその「読み方」が理解されていません。
 この本は経営コンサルタントである小宮一慶氏が長年コンサルタントとして培ってきた知識や見識をもって財務諸表の見方を説いた一冊です。

 小宮氏は財務諸表は「作れる必要はない」と言います。「読めればいい」のだと。
 実際金融のプロだと誰もが思っている銀行マンだって仕訳ができ、財務諸表が作れるわけではありません。与信には会社の実態を知る必要があるでしょうが、財務諸表を読めれば最低のことは判断できます。
 一般のビジネスマンもそうです。経理の担当者でなければ作ることはまずありません。ただ、得意先である相手会社がどういう状況にあるかぐらいは興味を持って欲しいと思います。
 そのためにもこの本は役立つでしょう。

 本書にはユニクロのファーストリテイリングやJAL、あるいは東京電力といった有名な企業の財務諸表が具体的に使われています。
 実際には読者がもっとも身近とする、例えば株式投資をしている人であればその会社のといったような、企業の財務諸表を横に置きながら読むのが、理解のための近道かもしれません。

 ここでは「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」という順番で説明されていますが、その間あいだにコラムがあって、その中で小宮氏は「経営と会計は違う」と書いています。
 経営の本質はお客様にいかに満足して頂くということであって、財務諸表が読めることではないと。しかし、「とはいっても」に続く後半の部分が大事で、こうあります。
 「(財務諸表を)自社の成績表として見ながらその現実と向き合い、今自分たちがどういう状況にあるのか」を「きちんと確認する必要があります」と。
 経験や人脈だけで経営の舵がとれる時代ではありません。少なくとも経営のトップは自社の財務諸表を秘することなく従業員全員で共有すべきでしょう。
 改革をいうなら、まずそこから始めるべきでしょう。
  
(2013/07/02 投稿)

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