プレゼント 書評こぼれ話

  今日で8月もおしまい。
  長かった夏休みもおわりですね。
  おっと、明日は日曜日。
  つまりは、今年の夏休みは
  おまけつき。
  いいなぁ。
  子どもたち。
  おまけつきなんて。
  でも、このおまけの一日で
  油断するんだよね、ふつう。
  明日宿題しようと考えたりしていません?
  そんなせこい大人じゃないか。
  あはは。
  今日はそんな楽しい気分で
  読める一冊を。
  東海林さだおさんの『どら焼きの丸かじり』。
  文春文庫の新刊です。
  このブログでも
  久しぶりの「丸かじり」シリーズ
  ちなみに、このブログでは
  「丸かじり」シリーズ全巻の書評が
  読めますよ。
  あ、その前に
  夏休みの宿題は終わらせましょうね。

  じゃあ、読もう。

どら焼きの丸かじり (文春文庫)どら焼きの丸かじり (文春文庫)
(2013/08/06)
東海林 さだお

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sai.wingpen  解説の解説の書評                   

 週刊誌の連載で一度、単行本化でもう一度、文庫本化でさらに一度と、東海林さだおさんの食のエッセイ『丸かじり』シリーズに何度も楽しませてもらっている。
 さらにいうなら、文庫本化で和田誠さんのカバー画にも満足し、文庫解説のさまざまな執筆者のさばき加減に感銘する。
 こんな贅沢、ありません。

 『どら焼きの丸かじり』は2008年に週刊誌連載され、ところで2008年ってどういう年だったかパッと答えられますか、ううーむ、私は出てこなかった。
 でもってネットで調べると、そうか北京オリンピックがあったのがこの年、それで流行語に「ゲリラ豪雨」も登場したのもこの年だったんだ。
 単行本は翌2009年に出版されています。

 この文庫本で解説を書いているのは雑文家の佐藤和歌子さん。
 「書くことがないんですよ」と書き始めた解説のタイトルが「解説の解説」。ですから、この書評は「解説の解説の書評」ということになります。
 「丸かじり」シリーズの文庫本はこの本でちょうど30冊めになるそうで、「解説の解説」と開き直っているようにみえますが、これはなかなかいい試み。
 まずもって、「丸かじり」シリーズの文庫本で「解説」までもが面白いことを知っていないと書けないのですから、佐藤さんなかなかのくせもの。
 しかも歴代解説者(このメンバーが実にいい。「丸かじり」シリーズの「解説文」だけで一冊本ができてしまえるほど)のおいしい一文だけを紹介する手口(なんか怪盗ルパンみたいですが)など、鮮やかというしかない。
 佐藤さんは文庫本表紙の和田誠さんの絵にも触れる細やかさもあって、おぬしやるな、の世界です。

 ところで、この巻ではなんといっても「どら焼き」が主役。
 「愛すべきどら焼き」の章で、東海林さだおさんはこうおっしゃっています。
 「もうね、あれです、見ているだけで幸せ。」。
 どら焼き大好き人間としては、よくぞ書いて頂きました、です。
 そういえば、2008年の流行語大賞は「グ~!」でした。
  
(2013/08/31 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  『切羽へ』で第139回直木賞を受賞した
  井上荒野さんの『それを愛とまちがえるから』を
  今日は紹介します。
  いい題名ですよね。
  「愛とまちがえる」「それ」とは
  なんでしょう。
  なんだっていいのかも。
  人それぞれ、「それ」を持っているような
  気がします。
  登場人物たちの造形が
  少し弱い感じがします。
  その分、共感度が薄れています。
  やはり『切羽へ』には
  届かなかったかな。
  でも、井上荒野さんの描く
  男女はもう少し追いかけてみたいと
  思っています。
  そんな気分にさせる作家の一人と
  いっていいでしょう。

  じゃあ、読もう。

それを愛とまちがえるからそれを愛とまちがえるから
(2013/01/24)
井上 荒野

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sai.wingpen  犬も喰わないもの                   

 夫婦の物語は、時に、滑稽だ。
 問題がある場合は、さらに滑稽になる。
 ありきたりの夫婦など物語にならないせいだろうか、物語にしようとすればするほどに喜劇にしか見えなくなる。それとも、夫婦という関係そのものが喜劇なのだろうか。
 それを深刻ぶるから滑稽感が高まるともいえる。

 雑誌「婦人公論」に連載された井上荒野のこの物語に登場する夫婦もそうだ。
 結婚して15年になる一組の夫婦が主役の物語。夫の匡は42歳、妻の伽耶は41歳。
 3月のある朝、伽耶は夫にこうつぶやく。「あなた、恋人がいるでしょ」。
 なんという書き出し。なかなかこうはいかない。物語の導入部としてはかなりいい。
 伽耶の指摘は正しい。匡には恋人がいる。しかし、実は伽耶にも恋人がいる。
 だから、匡はこう返すのだ。「君にもいるだろう、恋人」。

 物語は匡の恋人朱音や伽耶の恋人誠一郎の登場で、問題が過剰になっていく。
 ついには、4人でキャンプまでしてしまう。しかも、その夜には、それぞれが恋人をさしおいて、夫婦で懐かしいSEXまでしてしまうのだ。
 一体この夫婦は何を求めているのだろうか。
 出合いの時のときめきか。慣れ親しんだ肌のぬくみか。
 夫という役、妻という役を、互いに一生懸命に演じながら、なんとなく違和感をもってしまう、結婚15年めという時間。
 本当は何も語ることがらもないのに、話すことが夫婦というべき関係であると信じているから、すれちがい、その溝は埋まることはない。
 夫婦とはそういうことをことさらにいうべき関係ではないのかもしれない。
 けれど、それを声高にいえば、仮面をつけた役者たちが大げさの仕草で立ち回るしかない。
 すれちがいは滑稽を生む一要素だ。

 「夫婦げんかは犬も喰わない」とよくいう。ただし、「くだらない」ということではないそうだ。犬でさえ見向きもしないということで、放っておけばよいという意味らしい。
 匡と伽耶がその後どうなろうと知ったことではない。
 要は、他人が干渉すべきことではないのだ。
  
(2013/08/30 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  俳優渥美清さんが亡くなったのは
  1996年の8月4日。
  もう17年も経つのですね。
  渥美清さんといえば
  車寅次郎、『男はつらいよ』です。
  渥美清さんが亡くなったので
  シリーズも終わってしまいましたが
  いまはDVDとかでいつでも寅さんに
  会うことができます。
  今日紹介するのは
  小泉信一さんの『寅さんの伝言』。
  最近まで朝日新聞に連載されていましたから
  朝日の読者はよくご存じかも。
  この本の中にも
  紹介されているのですが
  寅さんには数多くの名言があります。
  中でもこの一言ということで
  書きとめておきますね。
  シリーズ39作めの「寅次郎物語」に出てくる名言。
  
    何て言うかな、ほら、あー生まれてきて良かったなって思うことが
    何べんかあるじゃない。そのために人間生きてんじゃねえのか。
  
  いいなぁ、寅さん。

  じゃあ、読もう。

朝日新聞版 寅さんの伝言 (らくらく本)朝日新聞版 寅さんの伝言 (らくらく本)
(2013/06/29)
小泉 信一

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sai.wingpen  あの男が戻ってきました                   

 十年を一昔と呼んでいた時代があった。
 現在の情報のスピードからいえば一昔は五年ぐらいだろうか。
 山田洋次監督の『男はつらいよ』のシリーズ48作めで最終作となった「寅次郎紅の花」(1995年)からすでに三昔も経ったことになるだろうか。
 かってお盆と正月には『男はつらいよ』を観に映画館に足を運んだ時代があったなんて若い世代には信じられないことかもしれない。
 時代は変わっても、『男はつらいよ』を愛する人は多いし、主人公の車寅次郎を演じた俳優渥美清を心の糧にしている人もまだたくさんいる。

 本書は朝日新聞の日曜日版に毎週掲載されていた記事を編集したものだ。
 実はその記事が連載されると同時に切り抜きを始めた、私にとってもうれしい一冊だ。
 切り抜きを始めたきっかけはいうまでもない。
 それが『男はつらいよ』の関連記事だったこと。
 一つひとつの記事が、『男はつらいよ』に出演したマドンナ(女優)たちや脇役たちのインタビューで構成されていたことなど、毎週日曜日が楽しみであった連載であった。
 それがこうして一冊になると、読むという点ではやはりこちらの方が読みやすい。
 よくぞ単行本化してくれたものだと、うれしくなる。

 映画『男はつらいよ』は渥美清が演じる寅次郎は作品ごとにマドンナを好きになり、そのつど振られてしまうという定型ながら、その一つひとつはまったく違う恋が描かれていた。
 それは演じる側のマドンナたちの証言でもよくわかる。
 ベテラン女優として、新人女優として、彼女たちが感じた山田洋次監督の真摯な姿、渥美清のやさしい眼差し。
一つひとつの証言が、それぞれの作品の奥行を深めてくれる。
 きっとこの本を読んだあとで映画を観れば、また違った見方ができるような気がする。

 残念ながらこの連載に間に合わなかった俳優たちも多い。
 森川信、松村達雄、下條正巳の三人の「おいちゃん」、三崎千恵子の「おばちゃん」、笠智衆の「御前様」など、もったいないことをした。
 そして、渥美清の「車寅次郎」はもちろん、いない。

 『男はつらいよ』は、十年を一昔と呼んでいた時代の映画であった。
 しかし、今でも見ごたえのある、懐かしい映画でもある。
  
(2013/08/29 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  「青空書房」店主さかもとけんいちさんの本は
  今日紹介する
  『ほんじつ休ませて戴きます―人生最晩年、あふれ出た愛の言葉集』で
  3冊めになります。
  いちばんまとまっているかもしれません。
  さかもとけんいちさんの本を
  一番最初に薦めてくれたのが
  従姉妹の美人? 姉妹。
  彼女たちがその両親に薦めて、
  その両親(つまりは叔父叔母)が
  私の兄に薦めて
  兄から私のところにと。
  一冊の本ながら
  なんというリレーでしょ。
  それが今では
  私は3冊のさかもとけんいちさんの本を
  読むまでになるのですから。
  私の書評を読んで
  また新しい人がさかもとけんいちさんの本に
  出会えますように。

  じゃあ、読もう。

ほんじつ休ませて戴きます―人生最晩年、あふれ出た愛の言葉集 (ゆうゆうBOOKS)ほんじつ休ませて戴きます―人生最晩年、あふれ出た愛の言葉集 (ゆうゆうBOOKS)
(2013/07/03)
さかもと けんいち

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sai.wingpen  愛の原点は感謝                   

 定休日に貼りだされる、「ほんじつ休ませて戴きます」のポスター。
 そこに添えられた、味わいのある言葉とイラスト。
 90歳を過ぎてもなお元気に古書店「青空書房」の店を守る、さかもとけんいちさん。
 戦後の闇市の頃に始めたこのお店も開業67年になるそうです。
 多分大きな儲けにはならなかったでしょうが、「読書は息をするようなもの。本は人生そのもの」というさかもとさんだから、続けてこられたともいえます。
 だから、定休日のポスターにも本への思いがあふれる言葉が添えられています。
 そんなポスターが生まれるさかもとさんの半生と「青空書房」の歴史を、たくさんの図版とともにさかもとさんが綴られてできたのが、この本です。

 さかもとさんには有名になった定休日のポスター以外にも、実はすてきな「愛の言葉集」があります。
 それが、平成22年80歳で亡くなった奥さん和美さんに宛てた多くの絵てがきです。
 最初はちょっとした夫婦げんかが始まりでした。
 やきもちからさかもとさんに口をきかなくなった和美さん。しかたなく、チラシの裏を使って書きはじめた「家庭内通信」。
 ここでは本というテーマではなく、妻への愛情がいっぱいつまっています。
 「生きるとは支えあうこと/ひとりでは絶対生きて行けない/お前と夫婦になって/やっぱり幸せだった」。
 この読者は一人、和美さんでした。
 なんという贅沢な読者であったことでしょう。

 このあと、和美さんは病気を患い、病院での生活をおくるようになります。
 そんな和美さんに毎日は病院に行けないさかもとさんは絵てがみを出しつづけるのです。
 「いとしきものよ」で始まる、その絵てがみに、和美さんはどれほどの幸福をかみしめたことでしょう。

 そして、いま、この本で私たちはさかもとさんの愛にあふれた「家庭内通信」も「絵てがみ」も読むことができます。
 さかもとさんの愛を、たくさんの読者が共有できるのです。
 さかもとさんだけを感じるのではなく、奥さんの和美さんの胸にあふれていた愛まで感じとることができるのです。

 病気の奥さんがある日駄々をこねて、さかもとさんに病院に来てほしいとせがみました。
 この時、さかもとさんは店のシャッターにこう張り紙をしたといいます。
 「やすみます ごめん/いとしきものが生命と向かいあっています。/つきあってやりたい・・・/わがままおゆるしを」。
 なんという愛でしょう。
  
(2013/08/28 投稿)

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  ゲンが帰ってきた。

 先日、「ほんのニュース」で取り上げ
 松江市教育委員会の『はだしのゲン』(中沢啓治 作)の閲覧禁止が
 手続きに不備があるとして撤回されました。

    はだしのゲン制限撤回
  
 8月27日の朝日新聞朝刊一面で
 大きく取り上げられています。
 ゲンが子どもたちのところに戻ってきたのは
 いいことです。

  でも、おとなの皆さん。
 だからといって、子どもたちとの時間を惜しまないで下さい。
  『はだしのゲン』を仲立ちにして、
 おとなと子どもが戦争について原爆について
 話し合ってください。

 すべてを子どものせいにしないでください。

  同日の朝日新聞夕刊に
 中沢啓治さんの奥さんミサヨさんのコメントが
 掲載されています。
 その中で、中沢啓治さんのこんな言葉が紹介されています。

   きれいな戦争はないんだ。

 そして、ミサヨさんは

   ゲンは読みたい子には読ませたらいいし、
   読みたくない子に無理に読ませなくてもいい。

 と話されています。
 おとなの都合で
 子どもたちに何もかも背負い込まさないでください。

  もうすぐ夏休みもおしまい。
 親子が共に話し合える
 いい機会になったのではないでしょうか。

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プレゼント 書評こぼれ話

  いま巷では
  NHKの朝の連続ドラマ「あまちゃん」と二分する勢いで
  TBSの日曜夜のドラマ「半沢直樹」が
  大ブレークしています。
  私も遅まきながら
  見ているのですが
  これはこれは
  面白い。
  原作が池井戸潤さんですから
  面白いのもうなづけます。
  池井戸潤さんはもともと銀行マンですから
  裏事情にも詳しいのかも。
  今日紹介する
  堀場雅夫さんの『イヤならやめろ! 』は
  半沢直樹とはまったく違う世界の
  ビジネス本ですが、
  書名のインパクトは
  半沢直樹ぐらい面白い。
  ドラマが終われば
  ぜひこちらも読んでみて下さい。

  じゃあ、読もう。

イヤならやめろ!  新装版-社員と会社の新しい関係 (日経ビジネス人文庫)イヤならやめろ! 新装版-社員と会社の新しい関係 (日経ビジネス人文庫)
(2013/06/04)
堀場 雅夫

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sai.wingpen  半沢直樹の10倍返しに匹敵するタイトル                   

 経営者にも流行がある。
 今、旬な経営者といえば日航を再生させた京セラの稲盛和夫さんとかソフトバンクの孫正義さんだろうか。
 松下幸之助さんは死してもなお人気の高い経営者だ。
 一時多くのビジネスマンの支持をえながらも、失速した経営者も数多いる。
 今も活躍しながらも、多くを語らなくなった経営者もいる。
 経営者が発する言葉が、時代に合っていたり、時代を先取りするものである場合、流行になることが多い。
 産業用分析計の専門メーカー堀場製作所を創業し、ベンチャー産業の草分け、神様と呼ばれた堀場雅夫もまた、1995年に刊行されたこの本がベストセラーになるなど、流行の先端を行く経営者だったことは間違いない。

 堀場の経営哲学、「おもしろおかしく」を問うたこの本は、今読んでも充分に面白いし、為になる。
 ビジネスの在り方、人生の進むべき道、といった、ビジネスマンにとって重要なことは、この本に書かれているし、古びていない。
 ただ、堀場雅夫を越える、新しい経営者が出てきて、旬ではなくなったということだろう。
 けれど、堀場は今も元気に働いている。彼の経営哲学が変わっていない。
 読者も新しいものばかりを追いかけるのではなく、堀場のこの本をじっくり読むことも必要ではないか。

 この本では、堀場の経営の哲学がやさしく語り聞かせるように書かれている。
 書名にもなっている「イヤならやめろ」もドキッとするものだが、同じタイトルで書かれた文章を読むと、堀場のいわんとすることがよくわかる。
 ここでは堀場が経験した離婚裁判の調停員としての経験が話され、「やれるだけやってみて、駄目だったらあきらめることも肝心」という答えを導き出している。
 1995年当時、そういうことを声高にいう経営者はあまりいなかったのではないだろうか。
 だから、堀場は時代の寵児としての経営者であったのだろう。

 ここで書かれている堀場の経営哲学は少しも古くはなっていない。
 むしろ、いま、新たに読み返すことで、今では常識となっている考え方の本質が見えてくるともいえる。
 経営者にも流行があるが、いつまでも古びない経営者の本を読みなおすのも、たまにはいい。
  
(2013/08/27 投稿)

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 最近ソワソワしてます。
 理由は、NHKの朝の連続ドラマ「あまちゃん」。
 で、なんでソワソワなんだよってお聞きになりますか。
 だって、「あまちゃん」、あと一ヶ月で終わってしまうんですよ。
 これこそ

  じぇじぇじぇじぇ!!

 でしょ。
 この先、アキはどうなるんですか?
 やっぱり「潮騒のメロディー」は春子さん(小泉今日子さん)が歌うんですか?
 ユイちゃんは? 水口は? 種市先輩との恋は?
 そして、そして、
 東日本大震災は描かれるの?
 さらに、
 「あまちゃん」が終わったあとの心の空白はそうなっべ?

 それにしても
 どうして「あまちゃん」がこんなにも面白いかといえば
 そのスピード感、てんこ盛りのエピソード、どれもこれもありですよ感。
 これって、「オール讀物」と同じ。
 「あまちゃん」が似ているのか、
 「オール讀物」が似ているのか、
 勉(べん)さん、教えてくださーい。

 ということで、
 今回の「雑誌を歩く」は
 「オール讀物」9月号(文藝春秋・1000円)の「あまちゃん」ぶりを
 紹介します。

オール讀物 2013年 09月号 [雑誌]オール讀物 2013年 09月号 [雑誌]
(2013/08/22)
不明

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 今号はなんといっても
 第149回直木賞の発表号。
 すでにご存じのとおり、桜木紫乃さんの『ホテルローヤル』が受賞されました。
 おめでとうございます。
 ということで、桜木紫乃さんの「自伝エッセイ」や
 小池真理子さんとの受賞記念対談
 直木賞だけでもうれしいのに、
 平岩弓枝さんの「かわせみ」シリーズの最新作まであるんですよ。
 何しろ平岩弓枝さんの「かわせみ」シリーズは
 昭和48年に初めて公表されてから40年ですよ。
 いやあ、すごい。
 まるで、夏ばっぱみたい。
 かっけー。

 東海林さだおさんの好評連載「男の分別学」は特別編で
 東海林さだおさんと近藤誠さんの対談「もし僕が、がんになったら」。
 平松洋子さんの連載「食を見れば 人がわかる!」では
 ロングブレスですっかり有名になった美木良介さんとの対談。
 そうか、「オール讀物」は対談が多いんだ。
 そのにぎやかさも「あまちゃん」に似てる。

 しばらくは「オール讀物」9月号を読んでみるとして
 読み終わる頃には
 「あまちゃん」の終わりも近くなってるかも。
 いかん、いかん。

 われらの「あまちゃん」は永遠だー。

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プレゼント 書評こぼれ話

  東日本大震災はたくさんの悲しみを
  私たちにもたらせましたが、
  その一方で多くの文学作品も
  生み出しました。
  ただ、まだそれらは生まれたばかり。
  完成度という点では
  まだまだこれからでしょう。
  今日紹介する
  長谷川集平さんの『およぐひと』は
  絵本ですが、
  きわめて重要、
  かつ、重い作品だと
  思います。
  完成度も高い。
  もちろん、
  書評のタイトルにもしましたが
  これは「中間報告」です。
  長谷川集平さんが
  今後どんな作品を描くか
  楽しみです。

  じゃあ、読もう。

およぐひと およぐひと
(2013/04/19)
長谷川 集平

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sai.wingpen  絵本作家の「中間報告」                   

 作者らしき背の高い男性。彼が出会った「そのひとは ながれにさからって およいでいた」。
 大きなうねりに、車も家も流れている光景。どこかでみた光景。
 男性は土手を駆けながら「そのひと」に「どうして そんなことを しているのですか」と大声でたずねた。
 「そのひと」はうちに早く帰りたいのだといって、やがて見えなくなった。
 そんな話で始まる、絵本。

 奥付をみる。
 「2013年4月20日 発行」とある。
 やはりそうだ。これは、東日本大震災のあと描かれたものだ。
 詩人が詩を詠み、作家が物語を書くように、絵本作家もあの日とそれにつづく日々を描くしかない。
 絵本作家の心が、ここにはある。

 家に戻ってきた、作者らしき背の高い男性。「あそこで なにが あったの?」と、娘に聞かれる。
 「ぼくがみたのは・・・・といって、言葉をつまらせる。
 絵本作家は、胸の奥にあるものを、言葉にならなかったものを、作品に託したのだ。
 濁流に逆らって「およぐひと」を、小さな子を抱いて「逃げるのです」といった母親を、描くしかなかったのだ。
 きっともっとたくさんのことを絵本作家は目にしただろう。
 それを子どもたちに伝えるには、そして震災から2年という歳月で伝えるには、まだ言葉が生まれないことを、絵本作家は知っている。

 作者らしき背の高い男性は娘を抱きしめながらこういう。
 「まだ ことばに できそうにない。でも、なるべくはやく はなして あげるよ」。
 この絵本にあるのは、絵本作家の正しい心だ。
 そして、東日本大震災に対する私たちの心の「中間報告」だ。
 子どもたちに話す言葉がどんなものになるのかわからないが、おとなたちは自信をもって「あの日」に向き合わないと。

 流れに逆らって泳いでいた「そのひと」は、まだ着くべき家が見つからずに、泳ぎ続けているかもしれない。
  
(2013/08/25 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日、本田健さんの『60代にしておきたい17のこと』という
  本を紹介しましたが、
  その中でも異性のパートナーが大事だと
  ありました。
  年をとったからといって
  枯れることはないでしょう。
  では、男性も70歳を超えれば
  さすがにあちらの方は???
  今日は渡辺淳一さんの話題作
  『愛ふたたび』を紹介します。
  私はこの本を読んだから
  70歳になっても
  がんばれます??
  か、どうかわかりませんが。
  この作品の中では
  渡辺淳一さんのあっち方面の語録が
  たくさん出てきます。
  今度のために? 書きとめておきますね

   ペニスはもっとも生理的かつ根源的なプライドの原点

   セックスとは、いわゆる性的関係だけををいうのではない。そうではなく、
   男と女が二人でいるときの、すべての関係をいうのである。

  どうです?
  すごく参考になったでしょ。
  男の身勝手という
  女性の声が聞こえてきそうですが。

  じゃあ、読もう。

愛ふたたび愛ふたたび
(2013/06/28)
渡辺 淳一

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sai.wingpen  渡辺淳一は肉食系男子                   

 先日発表された平均寿命によると、女性が86.41歳で世界1位、男性が79.94歳で世界5位らしい。
 今や日本は世界に冠たる長寿国であり、高齢者社会であるといえる。
 だからだろうか、最近の週刊誌の記事に顕著なのが、高齢者のSEX。
 60歳どころか70歳80歳まであたり前のような風潮だ。
 SEXは若者の専売特許ではなく、高齢者の熱き問題と化している。
 となれば、かつて『失楽園』や『愛の流刑地』で愛のかたちを描いてきた渡辺淳一も黙っていない。
 ここは自身の得意分野とばかり、高齢者の(但し男性ですが)SEXの形を世に問いた、この作品は野心作である。

 渡辺淳一自身すでに80歳になろうとしています。だから多分に経験してきたこともあろうと思いますが、この物語の主人公国分隆一郎、「気楽堂」という整形外科の個人病院を営む院長、は73歳。
 世間的にいえば、高齢者の部類にはいるでしょう。
 妻に先立たれた隆一郎ですが、50代と20代の愛人がいるというのですから、さすが渡辺淳一の世界は違います。
 渡辺文学の面白いところは、普通の読者の生活基準とかけ離れている点でしょうか。
 美しい女性とつきあい、おいしい食事をし、京都の街を旅し、なんて、一般の人にはなかなかできるものではありません。
 渡辺文学はおとなの、それも男性の、ファンタジーだからこそ、人気があるのだと思います。

 物語の冒頭、50代の人妻とナニをしている最中に隆一郎は自分の局所が反応しないことに気がつき、愕然とします。
 いわゆるインポテンツといわれる症状。
 隆一郎の場合、加齢によるものですが、ここから彼はひたすらこの症状を「勉強」し始めます。
 何度もいいますが、物語の主人公は73歳。それでいて、自身の症状だけでなく、女性の肉体の神秘まで解き明かそうとするマメさは、時にコミカルでもあります。
 ひと昔前なら、こういう老人は軽蔑されたかもしれませんが、高齢者社会となったこの国では、りっぱに存在できるのです。

 渡辺淳一は「男なら、最後まで女性を追いかけるべきである。女性を追うから、男なのだろう」と書いています。
 若者たちは草食系になって、今や肉食系は高齢者なのかもしれません。
 さて、このあと40代の美しき女性弁護士とまで付き合うようになる隆一郎の、復活の一手はなんだったのか、それはこの本を読んでのお楽しみにしておきましょう。
  
(2013/08/24 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日の書評の中で
  本棚の整理の話を書きました。
  整理した本は
  古本屋さんに持っていきました。
  誰の本を売ったのかはご勘弁頂くとして
  私が利用している古書店は
  浦和にあります。
  創業100年以上経っているそうですから
  りっぱなものです。
  もしかしたら、
  石井桃子さんが子どもの頃から
  石井桃子さんは浦和の出身、
  あったのかもしれませんね。
  今度聞いてみようかな。
  と、いうことで、
  今日紹介するのは
  本田健さんの『60代にしておきたい17のこと』。
  いっておきますが、
  私はまだ50代ですよ。
  といっても、あとわずかですが。
  この本のその時の準備のため。
  気が早い?

  じゃあ、読もう。

60代にしておきたい17のこと (だいわ文庫)60代にしておきたい17のこと (だいわ文庫)
(2012/10/12)
本田 健

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sai.wingpen  耳を傾けることも大事                   

 夏の休みに本棚を整理しました。
 少しばかりは人より本を持っている方だと思いますが、はたしてこれからの残りの時間を思えば、そのうちのどれだけの本を読むのかわかりません。
 ましては、これからも読みたい新刊がでてくる。
 本棚に並んだ本は今までの自分の経歴なようなものですが、これに固執することはないでしょう。
 整理して空ができた本棚をみながら、自分の残り時間はどれだけだろうとぼんやり見ています。

 本田健さんの『50代にしておきたい17のこと』を読んだあと、「準備は早いに越したことはない」と書きました。
 58歳のいま、『60代にしておきたい17のこと』を読んでも早くはないでしょうね。
 この本の中では、60代はまだまだ現役として書かれています。その反面、「人生の最終章の始まり」ともあります。つまり、人生という物語は「最終章」で大きく変わる余地があるということです。
 物語でいえば、「どんでん返し」。
 ハッピーエンドで終わるか、つまらないエンドにするかは、自分次第です。

 「しておきたい17のこと」全部をここで紹介できませんが、印象に残ったいくつかを書くと、そのひとつが「「もういいか」を手放す」です。
 「もういいか」と思ったところで人生は終わる、と本田さんは書いています。確かにそうです。
 難しいのは、潮時をどう見つけるかということです。
 自分はまだまだできる、「もういいか」と思うには早すぎる、それはそれでいいでしょうが、晩節を汚すということもないわけではありません。
 だから、60代になる前にはある程度の心がまえが必要かもしれません。

 次に、「子どもの人生に干渉しない」があります。
 60代の親としたら、お子さんは30代ぐらいでしょうか。
3 0代といえばりっぱな大人ですが、親にとってはいつまでも子どもですからつい干渉をしたくなります。でも、それはいけないと、本田さんはいいます。
 「子どもは自分とは別個の人間という認識をもつ」ことが大事と。
 さらには、「心配は、愛の仮面をかぶった呪い」だとも。

 そのほか、お金のこと、パートナーとのことなど書かれていますが、他人の話を聞かなくなるのも60代かも。
 ここは、じっと耳を傾けてみることも大切に。
  
(2013/08/23 投稿)

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  シリーズも3冊めともなると
  貫禄がでてきた感じがします。
  新聞広告でみつけて
  「あ、また出たんだ」と
  さっそく手にしたのが
  今日紹介する
  永江朗さんの『広辞苑の中の掘り出し日本語3』。
  今回は「花鳥風月編」。
  このシリーズの面白さは
  書評にも書きましたが、
  昭和の気分が満載というところでしょうか。
  そもそも「広辞苑」そのものが
  すでに昭和的ともいえます。
  今なら電子辞書、かな。
  「電子辞書の中の掘り出し日本語」では
  面白くないですものね。
  やはり、ここは「広辞苑」でないと。
  今回もすっかり堪能しました。

  じゃあ、読もう。

広辞苑の中の掘り出し日本語3花鳥風月編広辞苑の中の掘り出し日本語3花鳥風月編
(2013/06/26)
永江朗

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sai.wingpen  よほどラッキーな本                   

 「風花(かざはな)」という、美しい日本語を知ったのはいつだったろうか。
 広辞苑では、「晴天にちらつく雪」とされているようだが、漢字といい、語感といい、なんともいいようがない。
 日本は四季が豊かだ。あわせて、言葉もあふれんばかりだ。
 かつて朝日新聞に連載されていた大岡信さんの「折々のうた」には単に短詩に紹介だけでなく、美しい日本語もまた多く教えられたものだ。
 その時に、広辞苑を開く癖でもあれば、もっと美しい日本語に堪能できたはず。
 あとの祭りだ。

 永江朗さんの『広辞苑の中の掘り出し日本語』もこの「花鳥風月編」でシリーズ3冊めとなる。
 単に言葉の紹介というよりも、その言葉につけられた永江さんの短文の面白さが好評の要因だろう。
 それと、永江さんの短文にある昭和の香りも、また、人気の秘訣だと思っている。
 永江さんは1958年、昭和33年生まれである。
 遅れてきた団塊の世代ではあるが、短文のはしばしに、昭和30年代のあの頃がひそんでいる。

 例えば、「にわたずみ」という言葉がある。
 「にわたずみ」というのは「路上の水たまり」のことらしい。
 その紹介短文の中で永江さんはこんな光景を書きとめている。
 「子どもの頃過ごした田舎町は、まだ舗装されていない道路が多く、(中略)水たまりと水たまりをつなぐ水路を作ったりもした」とある。
 私は昭和30年生まれだが、私もこの「水路」を作って遊んでいた。一体何が面白かったのだろう。単にこっちの水たまりの水があっちの水たまりに移動するだけなのに、よく遊んだ。
 今では舗装されていない道路を探すのが難しいくらいだが、昭和30年代にはまだまだ土の道があった。
 これもいまではめったに見られない風景といっていい。

 また、本屋での勤務が長かった永江さんらしいひとことも随所にあり、この点も読書人には魅力になっている。
 「現代の書物の運命は蝉の一生に似ている」という文章があるのは、「蟄居」という言葉につけられた短文。
 「七年かけて書いても、書店の店頭に並んでいるのは一週間ぐらい」と続く。
 つまり、永江さんのこのシリーズは、「よほどラッキーな本」といえる。
  
(2013/08/22 投稿)

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  この夏、
  東京江東区の東京都現代美術館で開催されている
  「手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガの力」展
  を見に行ったが、
  考えてみれば
  手塚治虫さんの展覧会は
  もう何度も見に行っています。
  どこかで、
  といっても東京近郊でということになりますが
  手塚治虫さんの展覧会があると
  むずむずしてしまうのです。
  それほど手塚治虫さんの展覧会も
  多いということです。
  つまり、今でも人気が高いのです。
  多分、さまざまな角度で
  表現が可能な漫画家なのでしょう。
  それだけでも、
  手塚治虫さんは「漫画の神様」です。
  今日紹介するのは、
  『火の鳥』の第2巻、「未来編」です。

  じゃあ、読もう。

火の鳥 (2) (角川文庫)火の鳥 (2) (角川文庫)
(1992/12)
手塚 治虫

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sai.wingpen  地球は火の鳥になれるだろうか                   

 漫画や映画の世界で何度も地球は滅んできた。しかし、当たり前ではあるが、その都度人間は生き残る。
 それが近い将来なのか遠い未来なのかわからないが、どこかで自分たちが生きている間くらいは大丈夫だろうと思っている節がある。
 果たして私たちは地球の危機を救えるほどの科学の進歩を手に入れたのだろうか。
 福島の原発事故の対応をみても、どうもあやしい。
 手塚治虫さんの名作『鉄腕アトム』を見ても明らかだ。
 『鉄腕アトム』が発表されたのは1951年。その時設定されたアトムの誕生日は2003年4月。手塚さんは50年もあれば、アトムのようなロボットが誕生するのではと期待していたのかもしれない。
 ところが、2003年の科学はアトムを生み出さなかった。
 同じように、もしかすれば、手塚さんや多くの漫画家たちが想定する以上に地球の滅亡は早いかもしれない。

 『火の鳥』2巻めは「未来編」。
 舞台は西暦3404年。そして、お決まりのように、地球は死にかかっている。
 地表は荒れ果て、人類は地下に「永遠の都」をつくって、なんとか生き延びている。
 2級宇宙戦士のマサトは宇宙から連れてこられた不定形生物ムービーが女性の姿に変身したタマミと幸せな時間を過ごしている。しかし、ムービーを飼うことは禁じられているのだ。
 マサトもそれを追求され、タマミと二人で「永遠の都」から地上へと逃亡をはかる。
 マサトたちを安全な場所へと導いたのは、火の鳥。

 この「未来編」では、火の鳥は饒舌だ。
 この長編漫画の謎をすべて解き明かすかのようだ。もっとも、どれだけ火の鳥が宇宙全体の生命の構造を説明したとしても、人間の心はもっと複雑だ。
 マサトは火の鳥によって永遠の命を手にいれる。いつまでも死なない人間。
 しかし、それは「黎明編」でヒミコたちが求めたものとは、それは違う。
 肉体はやはり滅びてしまう。死なないのは、存在そのもの。

 火の鳥は自分のからだを火で焼き、また新たなからだを手にいれるという。
 しかし、永遠の生命を手にいれたマサトは、存在となって生きるしかない。
 いまも、マサトの存在が私たちの地球を見守っている。
 その目は希望に輝いているだろうか。
 それとも、悲しげでうつろだろうか。
  
(2013/08/21 投稿)

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  今日は、
  直木賞作家葉室麟さんの
  『月神』という作品を紹介します。
  娯楽作品としての時代小説というよりも
  それぞれの仕事に対して
  どう対峙すべきかを考える一冊として
  読む方がいいように思います。
  2部構成になっていますが、
  後半の部で仕事に挫折し
  その地を去ろうとする主人公に
  かけられる言葉がいいので
  書きとめておきます。

   あなたは正しさを求める、よいひとだが、いる場所を間違えている。
   あなたはあなたのいるべき場所にいなければならない。

  いくらいい人であっても
  いる場所を間違えば、
  どこかで狂いが生じる。
  この言葉の意味は
  重い。

  じゃあ、読もう。

月神月神
(2013/07/13)
葉室 麟

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sai.wingpen  理想を見失った時どうすべきかを問う                   

 宮田昇氏の『図書館に通う』という、現代の図書館のありかたを問うたエッセイ集の中に、この物語の作者葉室麟のことを書いたくだりがある。
 元編集者の友人に「もしかして藤沢周平に代わりうる作家かもしれない」と教えられ、葉室の初期の作品を図書館で借りて読む。「どれも面白く読」み、直木賞受賞作『蜩ノ記』に感心する様子が描かれている。
 葉室のファンは多い。
 葉室作品の根底に流れる、耐えること、忍ぶことに魅了されるのだろう。

 この長編歴史小説は、幕末から明治を舞台にして、葉室の地元福岡藩で月形という姓を名乗る一族を描いたものである。
 前半の「月の章」では坂本竜馬だけではない、薩長連合のもう一人の立役者月形洗蔵の、短くも波乱に満ちた生涯を描き、後半の「神の章」では洗蔵の甥で、明治初期まだ開発途上の北海道で監獄所を造ることになる月形潔の半生を描いている。
 どれほど有名な人なのか、私は知らない。だから、純粋に物語として愉しめたというのが、率直な感想である。
 後半、月形潔が典獄を勤めた監獄に囚人として収監される一人「五寸釘の寅吉」こと西川寅吉も実在の人物である。

 この作品では二部構成になっていると先に書いたが、大筋では時代の先をゆくものの悲哀を描いているといえる。
 「月の章」の中でまだ幼い潔は叔父で尊王攘夷派の洗蔵にこう問いかける場面がある。
 「志士とは何なのでしょう」。
 幼きものの問いに洗蔵はこう答える。
 「志士とは灯りのない暗夜の道を自らの命を燃やす松明をかかげて行く者だ」と。
 残念ながら、そんな洗蔵は明治という新しい時代を見ることはなかった。
 松明は甥の潔に受け継がれた。

 しかし、過酷な北海道の地で監獄の造作という任務を与えられた潔は道半ばで倒れていった洗蔵たち志士たちの思いとは何であったかと悩む。
 明治の世にはなったが、これでいいのか、これが目指したものであったのかと。
 時代が大きく変革する時、理想としたものを人は時に見失うものだ。
 幕末の志士たちも同じであったろう。
 こののち、日本が大きく道を過つことは、周知の事実だ。
 物語の先までも見ると、なんと重いテーマであろうか。
  
(2013/08/20 投稿)

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 今日からまた仕事という人
 多いでしょうね。
 私もそうですが、
 急いで夏休みのことを。
 念願の「開高健記念館」に行った話を
 書きとめておきます。
 何しろここ何年間かずっと
 私の中では行きたい記念館ベストワンだったもので。

 それがなかなか行けなかったのは
 地理的な問題。
 「開高健記念館」は神奈川茅ヶ崎にあります。
 埼玉に住んでいる者にとっては
 やはり遠いっていう印象ですね。
 でも、行きたい。
 やっぱり、行こう。
 という訳で今年の夏(8.16)行って来ました。

開高1  ここはもともと開高健の自宅だったところ。
 1974年(昭和49年)から亡くなるまでの15年間、
 ここで住んでいたそうです。

   海岸から三百メートルから四百メートルほどのところで
   ひっそりと暮らしている。

 と、開高健が書いているように
 茅ヶ崎の東海岸の本当にそばにあります。
 記念館の帰り、この海岸に寄ってみたのですが
 あのえぼし岩
 そうです、サザンオールスターズの「チャコの海岸物語」にも歌われているえぼし岩が
 ばっちり見ることができます。

開高2
 そうそう、「開高健記念館」の話でした。
 玄関横には

   入ってきて人生と叫ぶ
   出ていって死と叫ぶ

 と刻された文学碑があります。
 さて、玄関。
 ここはなんと、入館料無料。
 玄関からはいってすぐに開高健のさまざまな著作や
 愛用した品々が飾ってあります。
 ベトナム戦争に従軍した時のヘルメットや
 おなじみにライターなど。
 奥にはいると、開高の書斎が当時のまま
 見ることができます。
 ベランダには開高がくつろいだだろう、
 白い椅子とテーブルが。

 思えば、開高健が亡くなったのは
 1989年(平成元年)、58歳の時でした。
 そうか、開高は今の私の年で亡くなったのか。
 あれほど大きな小説を書き、
 笑い、食べ、そして旅した作家は
 今の私の年令で生涯を閉じたのか。
 なんとも。
 かんとも。

 ベランダから玄関へと続く
 小さな道に
 「哲学の小径」とつけたのは開高でしょうか。
 それとも、この記念館を管理している茅ヶ崎市でしょうか。
 開高はこの小径をどんなことを想いながら
 歩いたのでしょう。

   悠々として急げ

 開高健らしい言葉。
 もし開高が生きていたら、
 どんなにすごい作品を残したでしょう。
 生き急ぎ?
 いえ、いえ、悠々として急げ、です。

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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日、「うらわ美術館」で開催されています
  「11ぴきのねこと馬場のぼるの世界」展のことを
  書いたので、
  せっかくだから
  今日は馬場のぼるさんの
  『11ぴきのねこ どろんこ』を
  紹介します。
  展覧会では
  この作品の展示はありませんでした。
  『11ぴきのねこ』シリーズでは
  『11ぴきのねことあほうどり』が
  最初のラフスケッチとともに
  紹介されていました。
  すべての絵本作家が
  馬場のぼるさんのようなラフスケッチを
  描くのかどうか知りませんが
  絵本作家になりたい人には
  参考になるかもしれませんね。

  じゃあ、読もう。

11ぴきのねこ どろんこ11ぴきのねこ どろんこ
(1996/10)
馬場 のぼる

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sai.wingpen  手塚治虫さんもうらやましかっただろう人                   

 いま、埼玉にある「うらわ美術館」で「11ぴきのねこと馬場のぼるの世界」展が開催されています。
 『11ぴきのねこ』は絵本の世界でもたくさん愛読者がいる人気の作品ですが、馬場のぼるさんは昭和の人ならよく知っている漫画家ですが、それでも手塚治虫さんや藤子不二雄さん、あるいは石ノ森章太郎さんなどといった人気漫画家ではありませんでした。
 その馬場のぼるさんを取り上げたのですから、「うらわ美術館」の学芸員の方々の英断に感心します。
 馬場のぼるさんは、もっときちんと評価されるべき漫画家です。

 そうはいっても馬場さんの漫画を楽しみにしたという記憶が私にもありません。それでいて、馬場さんのことを覚えているのは、その風貌がなんともいえずいいからです。
 手塚治虫漫画のファンなら、馬場さんが手塚漫画のキャラクターとして登場したことはご存じかと思います。
 手塚さんにとって馬場さんは漫画の世界の住人だったのかもしれません。

 漫画家だった馬場さんが『11ぴきのねこ』という絵本を描いたのは、昭和42年(1967年)のことです。
 独特な画風とユーモアで人気を博しました。あの井上ひさしさんがこの絵本をもとに戯曲を書いたのも、この作品から学ぶところが大いにあったからでしょう。
 シリーズは全部で7作。この『11ぴきのねこ どろんこ』が最後の作品になります。1996年に発表された作品です。
 この作品では11ぴきのねこと一頭の恐竜の子どもの交流が描かれています。

 『11ぴきのねこ』が子どもたちにいつまでも人気があるのは、あくせくしない自由さがあるところではないでしょうか。
 彼らは奔放です。縛られていません。
 だから、恐竜の子どもとどろんこ遊びをしてもへっちゃらです。
 きっとこの絵本を読んだ子どもたちは、どろんこ遊びで真っ黒になったねこたちがうらやましくて仕方がないのではないでしょうか。
 だから、いつまでも『11ぴきのねこ』は愛される絵本なのです。

 馬場さん自身、そんな生活を楽しんでいたのではないでしょうか。
 そんな馬場さんを、締切に追われ続けた手塚さんはうらやましくてならなかったにちがいありません。
 馬場のぼるさんこそ、『11ぴきのねこ』そのものだったような気がします。
  
(2013/08/18 投稿)

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 今朝(8.17)の朝日新聞
 こんな記事が出ていました。

    「ゲン」小中校で閲覧制限
     松江市教委「描写が過激」

 中沢啓治さんの『はだしのゲン』をめぐって、
 松江市の市教育委員会が作品中の暴力描写が過激だとして
 松江市内の小中学校の図書館で
 子どもたちが自由に見ることができない閉架の状態にしたという
 内容です。
 『はだしのゲン』を全巻読んできたものとして
 少し書いておこうと思います。
 書評の中でも書きましたが、
 『はだしのゲン』の中には過激な描写がないわけではありません。
 しかし、それを避けていては
 作者である中沢啓治さんが願ったものは
 伝わらないともいえます。

はだしのゲン 第1巻 青麦ゲン登場の巻はだしのゲン 第1巻 青麦ゲン登場の巻
(1984/01)
中沢 啓治

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 10巻めの書評で、
 私はこう書きました。
 「投げ出すのではなく、寄り添うようにして、この漫画は読むべきだと思う」と。
 今回の松江市教育委員会の対応は
 さまざまな意見を考慮し行われたのでしょうが、
 結果として「投げ出した」ようにしか思えません。
 おとなたちは、惜しんではいけません。
 子どもたちとの時間を惜しんではいけません。
 子どもたちとともに考える時間を惜しんではいけません。
 子どもたちと寄り添うことを惜しんでいけまないのです。

 それと、
 子どもたちを信頼することです。
 『はだしのゲン』が被ばくという現実の前で
 果敢に生き抜いたように、
 子どもたちには強い力があります。

 10巻めの書評の最後に
 こう書きました。

   大人がきちんと「伝える」本だということを忘れてはいけない。

 たくさんの人がこの問題を考えてみること、
 そのためにも
 まず中沢啓治さんの『はだしのゲン』を読破してみて下さい。

   はだしのゲン』全10巻の書評をお読みいただけます。
   検索で「はだしのゲン」と入力してみて下さい。



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 近くにありながら
 しかも企画展がしばしば気になりながら
 なかなか足が向かなかった美術館に
 先日やっと行ってきました。
 その美術館は、「うらわ美術館」。
 JR浦和駅から歩いて7~8分のところにあります。
 この美術館が気になっていたのは、
 「本をめぐるアート」を収集方針にしている点。
 本の装幀とかよく考えると
 間違いなくアートですものね。

馬場
 しかも、今回の企画展は
 「11ぴきのねこと馬場のぼるの世界展」。
 『11ぴきのねこ』は子どもたちに今でも愛される名作絵本です。
 その前に、
 馬場のぼるさんのことを少し書くと
 馬場さんは1927年に青森県三戸で生まれました。
 小さい頃から絵を描くのが好きで、
 今回の展示会では馬場さんが子どもの頃に描いた
 スケッチも数点展示されています。
 小学5年の時の「紙ふうせん」なんかは実に見事なものです。
 戦後漫画家として活躍したことを知っている人も
 今は少ないかもしれませんね。
 代表作に「ポストくん」や「ブウタン」がありますが、
 漫画以上にその飄々とした風貌に人気があったのではないでしょうか。
 親友だった手塚治虫さんの漫画の中にも
 何度も登場してきます。

 そして、絵本を描き始めるのですが、
 絵本の中にも「笑い」を取り入れた独特な作風を確立しました。
 もちろん代表作は『11ぴきのねこ』ですが、
 今回の展示会ではそのほかたくさんの絵本原画が
 展示されています。
 題材はちがうのですが、絵はやはり馬場のぼるさんそのもの。
 まさに「馬場のぼるの世界」です。

 私が行ったのはお盆休みの8月13日。
 親子づれが目立ちました。
 熱心にメモする子どもたちや
 子どもたちに説明しているお母さんなど
 きっと夏休みの自由研究で使うのでしょうね。
 いいな、
 絵本をテーマに自由研究なんて。

 この展示会、夏休みいっぱいの
 9月1日まで開催されています。
 おとなは600円の観覧料ですが、
 小中生はなんと無料
 ぜひ、この機会に「うらわ美術館」に
 行ってみて下さい。

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 いつも8月発売の
 「文藝春秋」9月号は「芥川賞発表」で人気が高い。
 今年の夏はちょっと気になることが、
 気になるといってもなかなかいいなぁと感心したことですが、
 巻末の「編集だより」にも書かれていますので
 そちらから引用します。

   ★文字が小さくて読みにくい、そんな読者の声に応え、
    今号は「大きな文字の文藝春秋」を臨時増刊として作りました。

 どうも一部の地域での試験販売のようですが
 東京の方なら本屋さんの店頭で目にすることができます。
 いつもの「文藝春秋」より少し大きめ。
 ちょうどお兄さんといった風情。
 値段も少し高めで、いつもの版が890円で、
 「大きな文字の文藝春秋」は970円。

 このことをもう少し調べると、
 文芸春秋のホームページにこうありました。

   「文藝春秋」は創刊以来90年版型を変えていません。
   これまで、何度か活字を大きくしてきましたが、そのたびに文字の数が
   減ってしまうという問題点がありました。
   そこで今回は、版型を111%拡大し、文字数を減らすことなく、
   活字を大きく読みやすくしてみました。

 私は本屋さんの店頭で手にとっただけですが
 なかなか悪くないと思います。
 そもそも「文藝春秋」の読者って
 勝手な想像ですが、
 若い人というより、中高年以上じゃないかと思うんです。
 だったら、目に負担の少ないこの版型があってもいいのではないかなぁ。
 それに、これは気分ですが
 大きさはなかなかいいですよ。

文藝春秋 2013年 09月号 [雑誌]文藝春秋 2013年 09月号 [雑誌]
(2013/08/10)
不明

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 と、つい、「大きな文字の文藝春秋」について
 長くなりましたが、
 今号の一番のウリは当然「芥川賞」。
 今回の第149回芥川賞を受賞したのは
 藤野可織さんの『爪と目』。
 すでにニュースなどでご存じのとおり、
 藤野可織さんってとても美形。
 1980年生まれですが、とっても若々しい。
 今号には藤野可織さんの「受賞者インタビュー」もあって
 小学生時代のいじめの話など
 興味津々です。

 芥川賞の話は別の機会として、
 今号では「日本の税金 大研究」とか
 「安倍長期政権への12人の公開質問状」など
 先の参院選で大勝した自民党と安倍政権がらみの記事が
 ドーンと組まれています。
 さらに、これが面白いのですが
 特別企画として「証言1980-83」は読み応え十分。
 なにしろあの時代から今年30年ですからね。
 リード文にあるように、

   ネットもバブルも知らなかった
   日本人が最後に輝いた時代


 です。

 というわけで、
 こんな盛りだくさんの雑誌が890円なんて信じられない。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は終戦の日

   終戦日妻子入れむと風呂洗ふ   秋元不死男

  あの戦争のことを体験した人も
  どんどん少なくなってきています。
  それでも戦争の悲惨さは
  語り継いでいかなければなりません。
  今年になって
  NHK大河ドラマ「八重の桜」に誘発されて
  いくつかの会津の悲劇を
  読んできました。
  戊辰戦争、会津戦争といわれるように
  確かにあれもまた
  戦争だったのです。
  今日紹介する本は
  会津関連としても、
  あるいは明治関連としても
  第一級の歴史書だといえます。
  刊行されたのが昭和46年ですから
  すでに40年以上経っています。
  20万部売れているといいますから
  新書としては異例です。
  それほど人々の胸をうつ
  一冊です。
  『ある明治人の記録―会津人柴五郎の遺書』。
  会津のことだけでなく
  戦争そのものを考える
  重たく、貴重な一冊といえます。

  じゃあ、読もう。

ある明治人の記録―会津人柴五郎の遺書 (中公新書 (252))ある明治人の記録―会津人柴五郎の遺書 (中公新書 (252))
(1971/05)
石光 真人

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sai.wingpen  明治維新のもうひとつの物語                   

 NHKの大河ドラマ「八重の桜」はいよいよ後半の<京都篇>にはいりました。
 八重は会津落城ののち、京都で生きていた兄の山本覚馬を頼って多くの会津藩士たちとは違った道を歩みます。 八重にも八重なりの苦労があったでしょうが、それでも藩の再興を願って寒冷地の下北半島斗南藩に出向いた人たちよりはよかったのではないでしょうか。
 そこにはまた別の、会津の悲しく辛い物語があるのです。
 そして、それは明治維新のもうひとつの物語でもあります。

 この本の主人公は柴五郎という元会津藩士です。会津落城の折りにはまだ10歳の少年でした。成長してのち、陸軍大将にまでなる逸材の人です。
 そんな柴が少年期の思い出として書いたのが、「遺書」と呼ばれるものです。
 「遺書」というものは、生きている間に遺しておきたい思いでしょう。
 柴の場合、それは明治維新がもっていた影の部分といっていいかと思います。
 会津の人々は落城後、どのように流浪していったか。
 読むにあまりにもつらい、これは日本史の現実です。

 会津戦争の際、柴の祖母、母、姉妹は自刃しています。焼けた屋敷跡から、その遺骨を10歳の柴少年は拾い集めるという経験もしています。
 それでも藩再興を信じて父と向かった斗南藩では食べることもままならない暮らしが待っていました。
 その地で、柴少年は犬の肉を食べるしかないところまで追いつめられます。
 吐き気を催す柴少年に父は叱責します。「武士の子たることを忘れしか」と。
 そして、いうのです。
 「ここは戦場なるぞ、会津の国辱雪ぐまでは戦場なるぞ」
 多くの会津藩士にとって、自分たちには罪はない、という思いは終生あったものと思います。
 それは「遺書」の最後、西南戦争で西郷隆盛たちとの戦争に勇躍して臨む元会津藩士の姿によくうかがえます。

 柴はこののち大久保利通の暗殺事件の際にも「非業の最期を遂げたるを当然の帰結」とまで書いています。
 さらに、この時の感慨は「青少年の純なる心情の発露」としながらも、それを否定しようとはしていません。
 柴にとっての明治維新とは何であったのか。
 あるいは、会津の人々にとっては何であったのか。
 どんな言い分があるにしろ、それは人と人とが憎しみあう「戦争」そのものであったのだと思われます。
  
(2013/08/15 投稿)

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  図書館を頻繁に利用するようになったのは
  いつ頃だったか。
  学生時代にはそれほど使った覚えが
  あまりありません。
  浪人していた頃は
  予備校の帰りによく行ったものですが
  あれは勉強部屋の代わりでした。
  結婚して
  子どもができてからかもしれません。
  本を買うといっても
  限度がありますからね。
  毎週日曜に
  朝から図書館に行って
  開架式の本棚を順繰りに見て歩くのが
  好きでした。
  最近は予約した本を借りることばかりで
  その頃の利用方法の方が
  本をさがすには一番だと
  今でも思っています。
  今日紹介するのは
  宮田昇さんの『図書館に通う』。
  図書館好きには
  はずせない本です。

  じゃあ、読もう。

図書館に通う―― 当世「公立無料貸本屋」事情図書館に通う―― 当世「公立無料貸本屋」事情
(2013/05/18)
宮田 昇

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sai.wingpen  あなたは図書館を利用していますか                   

 夏休みの図書館は混む。
 中高生たちであふれ、自習席を取り合っている。自宅にいればつい怠け癖がでてしまう、あるいは煩い親の目から逃げ出せる、私もそうやって図書館を利用した一人だからつい甘くなる。
 さすがに社会人席まで占拠しうずくまって眠っていたりする姿には辟易するが。
 図書館にはさまざまな利用形態がある。
 もちろん、本の貸出、資料の検索が主だが、夏休みの中高生たちのように本を借りるのでもなく、自分たちの勉強の場として利用することもある。
 最近はシニア層の行き場にもなっている。

 そんな図書館のことを「公立無料貸本屋」と揶揄する人たちもいる。
 その根底にあるのは、図書館の存在が出版不況の一因になっているという指摘だ。本が売れなくなったのは、図書館という「無料貸本屋」が増加したためではないか、というのだ。
 かつて編集者などを経験し、出版界で活躍してきた著者ではあるが、「図書館は「公立無料貸本屋」ではいけないのか」と、問題を提起したのが、本書である。
 問題提起といってしまえば堅苦しい印象だが、図書館の利用の愉しみも描かれた、小さなエッセイ集と思って読むのがいい。
 図書館にはさまざまたからものがある。この本でそれを見つけるのも、また愉しい。

 出版界で長年働いていた著者だが、仕事をやめてみると、たくさんの娯楽作品を読んでいないことに気がつく。こういうあたり、多くのシニア層に共通しているだろう。
 本を購入するとなるとそれなりにお金もかかるし、蔵書の問題もある。
 著者もそうだ。「けんめいに蔵書してきた空しさを感じ」、蔵書を整理しようとする。
 そういう人にとって、本がまた増えるのは悩みの種だろう。
 だとしたら、図書館で本を借りて読むのは致し方ない。
 若い頃、図書館の近くで住みたいとどんなに願ったことか。
 だから、著者の気持ちはよくわかる。

 著者は「図書館の利便性が、多くの人を読書に向かわせたのでは」という。
 それでも、読書人口が減っていくのは寂しいかぎりだ。
 図書館で自習する中高生たちが勉強に疲れて少し本でも開いてくれれば、またちがってくるのだろうが。
  
(2013/08/14 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日奥日光紀行ということで
  この夏の小さな思い出を
  書きましたが、
  中禅寺湖、華厳の滝に
  サザエさんも旅しています。
  何のこと? って思った人がいるでしょうが、
  TVアニメ「サザエさん」の
  オープニング映像のこと。
  そう、サザエさんが日本全国の有名なところを
  旅する、あれです。
  でもって、
  今日はそのオープニング映像をまとめた
  『サザエさんと日本を旅しよう! 』という本を
  紹介します。
  手にとってもらえれば
  わかりますが、
  なんとも楽しい一冊です。
  懐かしい場面もあったりして
  みんなが大好き「サザエさん」と一緒に
  日本全国旅したくなります。
  そういえば、
  春に行った兵庫の竹田城
  サザエさんはしっかり行っています。
  夏休み、どこにも行けないという人は
  気分だけでも満喫できること
  間違いありません。

  じゃあ、読もう。

サザエさんと日本を旅しよう! (アニメ「サザエさん」放送45周年記念ブック)サザエさんと日本を旅しよう! (アニメ「サザエさん」放送45周年記念ブック)
(2013/07/12)
不明

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sai.wingpen  サザエさんは大阪が苦手?!                   

 日曜日の夕方、TVアニメ「サザエさん」を見て、また明日から仕事かと憂鬱になることを「サザエさん症候群」といいます。
 だとしたら、「サザエさん」のオープニングに流れる、サザエさんが日本全国の名所を旅するものを見て、あそこに行きたい、ここは行ったなあとか思うことはなんと呼べばいいのでしょう。
 あのオープニング映像で旅に誘われた人も多いのではないかしらん。

 この本はアニメ「サザエさん」放送45周年記念ブックとして出版されたもの。
 ちなみにいえば、TVアニメ「サザエさん」は1969年(昭和44年)10月から始まっています。
 そして、サザエさんの顔の形をした気球に乗ってサザエさんが全国を旅するオープニングになったのは1974年(昭和49年)から。この時は、石川県だったそうです。
 それ以来、制作されたオープニングの数は150を超えるそうです。
 この本の中の「オープニングの歴史」というコラムの中に書いてあります。

 今回はそんなオープニングを都道府県別にまとめたもの。
 そういえば、こんなシーンがあったなぁと思い出すこともあります。あるいは、こんなところにもサザエさんは行っているのかという驚きもあります。
 こうして一冊にまとめられると、日本にはたくさんの名所や名物があることがわかります。
 まずは自分の出身地のどこをサザエさんが紹介しているかを読んでみるのは、高校野球で地元チームを応援する心境と同じです。
 ところが、私の出身の大阪は紹介件数はあまり多くありません。大阪城はあるとしても何故か通天閣がありません。これはどうしたことでしょう。
 そういえば、マスオさんは大阪の出身だったはず。姑のいる大阪は、サザエさんにとって苦手な土地なのかもしれませんね。

 都道府県の紹介ページにはクイズがあったり、たくさんのサザエさんが楽しめる日本地図までついていて、家族で楽しめる一冊というのも、さすが「サザエさん」らしい作りとなっています。
 でも、こんな楽しい本を読んだら、夏休み明けにはきっともっと憂鬱になるかもしれません。
  
(2013/08/13 投稿)

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 お盆休みにはいっている人も
 多いでしょうが、
 それにしても暑いですね。
 日本列島、猛暑です。
 ですので、少しは涼しいお話をということで
 週末に行った  奥日光のことを。

 日光からいろは坂を登って
 もちろん歩いてではなく、バスで登りましたが、
 中禅寺湖まで行ってきました。
 さすがにここまで来れば
 下界はこの夏一番の猛暑でしたが、
 ここは暑いといってもそれほどではなく
 日光1
 中禅寺湖の遊覧船にでも乗れば
 ひんやりとした湖上の風が心地よく、
 左の写真は湖面から望む男体山です。
 日本百名山のひとつだけあって
 さすがに姿のいい山です。
 標高は2,486m。
 なだらかな稜線がいいですね。
 男のなで肩というところでしょうか。

  秋暑く男体山の肩にのる  夏の雨

 あ、これ、私の一句でした。
 おそまつ。

 中禅寺湖といえば
 華厳の滝
 華厳の滝といえば日本三名瀑のひとつ。
 ちなみに、残りの二つは袋田の滝(茨城県)と那智の滝(和歌山県)。
 日光2明治36年、当時一高の学生だった藤村操が身を投げたところでもあります。
 多分、若い人は知らないでしょうが。
 彼が残した遺書の中に

   萬有の真相は唯だ一言にして悉す、
   曰く「不可解」。
 

 とあって
 当時若い人たちに影響を与えたといいます。
 今の人からすれば、
 この文章そのものが「不可解」かもしれませんね。


 華厳の滝には
 エレベーターがあって滝壺近くまで降りることが
 できます。
 そこで、撮ったのが左の写真。
 どうですか、
 少しは涼しくなりましたか。


 さすがに標高もありますから
 中禅寺湖周辺は
 朝晩ともに少し肌さむいくらい。
 こんなところで
 何日もいれば
 読書もすすむのでしょうが、
 さすがにそうはいかず、
 次の日には下界に下りてきました。
 今や世界遺産となった
 日光東照宮のお馴染み定番、
 「見ざる言わざる聞かざる」の三猿や
 左甚五郎の作品といわれる「眠り猫」をしっかりみて
日光3
日光4

 帰ってくれば、
 いやあ、暑いこと、暑いこと。

 それでもクーラーの冷たさが心地よく感じるのは
 少しばかり都会人なのかもしれませんね。

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プレゼント 書評こぼれ話

  東日本大震災から今日で
  2年5ヶ月
  福島原発の汚染水の問題など
  まだまだ解決されないことは多い。
  津波で被災された東北の町々の
  復興だって
  どこまで進んでいるのだろうか。
  私たちはあの日のことを
  遠くのことのように感じていないだろうか。
  あの日のことを忘れないように
  毎月11日の書評は
  東日本大震災関連の本を
  選ぶようにしている。
  せめて私ができること。
  今日は、
  和田誠さんの『画廊の隅から』を
  紹介します。
  これは「東日本大震災チャリティ・イラストレーション作品集」とあるように
  和田誠さんが被災地への支援活動として
  取り組んでいるものを
  画集にまとめたものです。
  和田誠ファンにとっては
  たまらない一冊です。
  和田誠さんの素晴らしい支援活動を
  たたえることはたやすいですが、
  きっと和田誠さんは
  照れるでしょうね。
  だから、ひとこと、
  「ありがとう」といいたい。

  じゃあ、読もう。

画廊の隅から 東日本大震災チャリティ・イラストレーション作品集画廊の隅から 東日本大震災チャリティ・イラストレーション作品集
(2013/06/26)
和田 誠

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sai.wingpen  ありがとう                   

 この画集のことを書くには、それが誕生した経緯のことを書くのが一番いいだろう。
 2011年3月11日の東日本大震災のあと、イラストレーターの和田誠さんが東北の人々への支援を一過性のものではなく続けたいという思いから、東京表参道にあるHBギャラリーという画廊の片隅で自身が描いたハガキサイズのイラストを毎週展示販売し始めた。
 販売されるのは毎週10枚と決められ、購入は一人1枚と限定されている。
 一枚1万円。売上金は全額義援金へと回された。
 ハガキサイズのイラストが1万円。それを安いとみるか高いと思うかはそれぞれだろうが、何しろ日本の代表的なイラストレーターである和田誠さんの原画だ。
  ひっそりと始まったこの企画はいつの間にか多くの人の知るところとなった。

この画集は開始から50週に及ぶ、そんな和田誠さんの「東日本大震災チャリティ・イラストレーション」を集めたものだ。
 驚くことにこの企画は今も続いている。
 和田さんといえば、映画俳優たちの似顔絵、本の装幀画、絵本の作画、レコードのジャケットなどさまざまな分野で独特な線と色使いで多くの人を魅了するイラストラーターだ。
 文学の世界だけでも丸谷才一さんや村上春樹さん、井上ひさしさんの多くの装幀を担当している。
 あるいは、映画愛好家としてチャップリンやヒッチコックといった特徴ある映画人を巧みに描いてきた。
 和田さんはかつて描いてきた作品をわざわざこの企画のために書き直している。だから、白黒の線画だった作品が彩色され、さらに生き生きとしている。元のイラストを覚えている人にとっては、たまらない。

 もちろんこの画集を単純に和田さんのイラストを楽しむということで構わない。
 それだけでなく、この画集には東日本大震災で被災した人たちへの和田さんの思いがあふれている。
 和田さんのすごさは自分ができることを、とぎれることなく続けていることだ。
 できるようで、なかなかできるものではない。

 画集を開く。そこのある和田さんのイラスト。
 それはどんなテーマであれ、翼をもって、被災地へと飛びだす。
 それこそ和田誠さんの思いといっていい。
 見るものに感動を与える、画集である。
 ありがとう、和田誠さん。
 
(2013/08/11 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日紹介した
  『年収200万円からの貯金生活宣言』は
  2009年春の出版でしたが
  今日紹介する
  同じ横山光昭さんの『年収200万円からの投資生活宣言』は
  2013年6月に出たばかり。
  「貯金」から「投資」と、
  時代の風が変わったことが
  ここでもよくわかります。
  もしかしたら『年収200万円からの貯金生活宣言』から
  まじめにコツコツ貯金してきた人が
  いよいよここにきて
  投資に回せるだけの余裕が
  生まれたともいえます。
  ですので、
  読む順番はあくまでも「貯金生活宣言」から。
  「投資生活宣言」はそれからにして下さい。

  じゃあ、読もう。

年収200万円からの投資生活宣言年収200万円からの投資生活宣言
(2013/06/14)
横山 光昭

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sai.wingpen  すべてのタマゴは1つのかごに入れるな                   

 まずは予習から。
 お金の使い方の最初は、「消費・浪費・投資」に分かれます。
 「消費」とは生活に必要なものに使うお金、「浪費」とはもちろんムダづかい。そして、「投資」とは有効な使い方をするお金。
 お金の本にはこの三種類の分け方はよく出てきます。この本でもたびたび出てきます。
 この本は「投資」の本ですから、「有効な使い方をするお金」の話になります。
 もうおわかりかと思いますが、「貯金」というのは「投資」に分類されます。
 この本では、単に普通預金とか定期預金といった超低金利の預け入れ先ではなく、それをいかに増やしていくかを説明しています。
 さあ、本題にはいりましょう。

 まずアメリカの有名なことわざが紹介されています。
 それが「すべてのタマゴは1つのかごに入れるな」です。いわゆる「分散投資」のススメです。
 株式投資だけでは何年か前のリーマンショック時のように、一気に暗い気分になってしまいます。どこにも逃げ場がない状態です。
 「分散投資」すれば、そのリスクが少しでも軽減されます。
 ここで大事なのは、「投資」の金額。
 お金には「守るお金」と「攻めるお金」があるということがこの本の中でも説明されていますが、「投資」はあくまでも「攻めるお金」にとどめること。つまり、それがなくなっても路頭に迷うことのないようにしないといけないのです。
 もっとも金額が目減りするのは誰も好きではありません。しっかり待つことも大事です。

 この本ではむやみに「投資」を推奨していません。どとらかといえば、慎重すぎるくらい。
 大風呂敷を広げてそれに誘導されて失敗なんて、目もあてられません。
 ましては、千円ちょっとのお「お金」の本を読んで大儲けしようということ自体、甘すぎます。
 せいぜい元手、ここでいえば本の価格プラスαぐらい儲ければ、その本を買った価値があるというもの。

 最後に復習しましょう。
 「投資」といっても「お金」のことだけではないということです。
 自分のスキルをあげるためにお金を使うのも「投資」にはいるということ。著者は「お金」の「投資」よりもこちらの方を勧めているのが、好感が持てます。
 一攫千金なんてありません。
 「投資」の本を読んで、そのことがわかるだけでも価値があったと思うべきでしょう。
  
(2013/08/10 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  アベノミクス効果なのか
  最近景気回復ということが
  よくいわれます。
  あの「リーマン・ショック」が
  2008年秋ですから
  あれから5年。
  よく持ち直したものです。
  今日紹介する
  横山光昭さんの『年収200万円からの貯金生活宣言』は
  2009年春に出版されていますから
  リーマン・ショックから
  わずか半年ばかり。
  厳しい経済環境にあって
  この本もよく売れました。
  景気が持ち直したから
  貯金ができるということでは
  ありません。
  こういう時こそ
  しっかり自分の生活を見つめ直すことも
  必要ではないでしょうか。

  じゃあ、読もう。

年収200万円からの貯金生活宣言年収200万円からの貯金生活宣言
(2009/04/15)
横山 光昭

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sai.wingpen  「お金」と「ダイエット」の不思議な関係                   

 「貯金」と「預金」の違いを知っていますか。
 私たちが普段よく利用している銀行にお金を預けるのは「預金」といいます。では、「貯金」というのは、郵便局に貯めるお金のことをいいます。
 「貯める」こと全般を「貯金」と普通使いますが、実際には金融機関の違いで言葉が違います。
 もっとも、この本のタイトルが『貯金生活宣言』になっているからといって、郵便局活用法ではありません。
 お金を「預け」て少しでも増えることも含めて「貯金」と思って下さい。
 それと、この本のあちらこちらハサミのイラストがあって「chokin!」と語呂合わせにあるように、この本では赤字体質の習慣を断ち切り、家計を再生することに主眼があります。

 著者の横山光昭氏はファイナンシャルプランナーでもありますが、「家計再生コンサルタント」という肩書も持っています。
 この本の宣伝文句によれば、「3800人の貯金ゼロ家計を再生させてきた」とあります。
 今、貯金がまったくない人にとって、期待に胸ふくらみますよね。
 でも、はっきりいいますが、この本を読んだからといって、お金は貯まりません。
 ここでがっくり肩を落とされた方もいるでしょうが、言いたいことは、読んだからといって貯まらないと言うことでで、横山氏の提唱する「横山式90日プログラム」を実践したら、貯まるかもしれません。
 ここでガバッと目を見開いた方もいるでしょうが、多くのビジネス本と同様、書かれていることをいかに実践していくかが大事です。
 その点では「ダイエット」本に似ています。
 もし、この「横山式90日プログラム」を実践して「貯金」ができないのであれば、横山氏の本がデタラメなのではなく、この本に書かれていないことが、あなたに合っていなかったというだけです。
 その点でも「ダイエット」本とよく似ています。

 横山氏は「お金」を貯められない人へのアドバイスとして、「他人の目を意識する」ことを挙げています。でも、ことは「お金」のことですから、なかなか「他人の目」というのは危険がつきまといます。
 だから、「自分と会話する」ことを奨めています。
 この点も「ダイエット」に何どもチャレンジする人へのアドバイスに似ています。
 「ダイエット」は減少させること、「貯金生活」は増やすこと。
 そんな二つがよく似ているというのも不思議な気分です。
  
(2013/08/09 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  先月第149回芥川賞と直木賞の発表が
  ありましたね。
  芥川賞が藤野可織さんの『爪と目』。
  直木賞が桜木紫乃さんの『ホテルローヤル』。
  二つの作品ともに
  すでに書籍化されていて
  今本屋さんの平台にドーンと
  積まれています。
  特に芥川賞の作品は
  今月発売の「文藝春秋」に全文掲載されますから
  出版社としては
  それまでに単行本化して
  先に読者を確保したいのでしょうね。
  きっと単行本の売れ行きは
  だいぶ違うと思います。
  そういえば、
  前回第148回直木賞受賞作
  朝井リョウさんの『何者』を
  まだ読んでいませんでした。
  大急ぎで読まないと。
  ということで
  今日紹介しますね。
  若い作品ですね。
  最初の書き出しはともかく
  中盤以降面白くなりますよ。

  じゃあ、読もう。

何者何者
(2012/11/30)
朝井 リョウ

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sai.wingpen  これはツイッターではありません                   

 第148回直木賞受賞作。(2013年)
 平成の時代も20年以上経過した今、「就活」と呼ばれる人生最大の関門を迎えた若者たちを描く、「痛い」小説である。
 ここでいう「痛い」はもちろん肉体的なものではなくて、最近の若者たちが使っている用法で書いたつもり。
 つまりは、自分自身の痛みではなく、相手の言動をみて、感じる「痛み」のこと。
 この物語の主人公拓人はおそらく友人たちをそう見ていただろうが、一番「痛い」のは彼自身だったといえる。

 携帯やES(「就活」に欠かせないエントリーシートのこと)、ツイッターといった現代IT事情が氾濫する小説に渡辺淳一選考委員がどのような選評を書いているのか気になった。
 それが意外なことに、「もっとも心をひかれた」とある。思わず、エエーッとのけぞった。
しかも、「個々の人格や個性を失い、変貌していく実態が。さまざまな視点から鮮やかに描かれている」と、絶賛である。
 つまりは現代風のさまざまな装置を使ってはいるが、青春小説として評価されたということだろう。

 実は他の選考委員もおおむねこの作品を評価しているのだ。
 私からすれば、ツイッターの文面をあまりにも多用し、そこにこの物語の答えのようなものを潜ませる手法はどうかと思ってしまうのだが、そのことを指摘する委員はいなかった。
 桐野夏生委員は、この作品が「この世代が負っている「重荷」を垣間見せてくれた」と評しているが、そのことが「痛い」という従来とはまったく違う意味での用法に近いような気がする。
 情報があまりにも氾濫したことによって、新しい人類が誕生しているともいえる。
 作者の朝井リョウは、古い文体を捨て、そんな新しい人類の視点で長編小説を描ききったことは評価されていい。
 ただ、浅田次郎委員がいうように、この作品自体は「短編小説の題材」ともいえる。
 くどくどを書くのではなく、絞り込むことも必要だろう。ただし、ツイッターのように、140文字以内におさめることではないことは、いうまでもない。
  
(2013/08/8 投稿)

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  今日は立秋
  
   被爆地に残暑の森や風軽し  雨宮抱星

  よく暦の上ではと表現されますが、
  秋といっても夏はまだまだこれから。
  ただ気候の挨拶は今日から残暑になります。
  昨日、井上ひさしさんの『父と暮せば』を
  紹介しましたが、
  今日は同じく井上ひさしさんの
  『太鼓たたいて笛ふいて』を
  紹介します。
  林芙美子を描いた評伝戯曲ですが
  もう一方で
  戦争にはまりこんでいった日本人と
  終戦後どう生きていくべきか
  悩んだ日本人の姿が
  描かれています。
  昨日も書きましたが
  井上ひさしさんはもっと評価されていいと
  思います。
  あれだけの小説、戯曲、日本語論などを
  残された作家なのですから
  しかもどの作品も小難しいものではなく
  少年少女たちにも
  読めるはず。
  子どもたちに残すべき作家なのですから
  もっと文庫本にはいるべきだと
  思うのですが。

  じゃあ、読もう。
  
太鼓たたいて笛ふいて (新潮文庫)太鼓たたいて笛ふいて (新潮文庫)
(2005/10/28)
井上 ひさし

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sai.wingpen  伝達者井上ひさしはもっと評価されていい                   

 2010年4月に亡くなった井上ひさしさんは小説家だけでなく劇作家と評されることがよくあります。
 多様な世界な生きた井上さんならではですが、私は小説家井上ひさしも好きですし、劇作家としてたくさんの功績をあげた人だと思います。
 劇作家としての井上さんは評伝戯曲と呼ばれるジャンルでさまざまな人の人生を描いてきました。
 『人間合格』の太宰治、『頭痛肩こり樋口一葉』の樋口一葉、そして最後の戯曲となった『組曲虐殺』の小林多喜二まで、作品と生涯を交錯させながら、人間を視る目はしっかりとしています。
 この作品では林芙美子の戦中から戦後、そしてその死までを描いています。

 井上さんの戯曲の歴史をみていくと、後期になるほど戦争の影が色濃くなってきます。
 この作品でもそうです。林芙美子の半生をつづりながら、戦争に翻弄される市民と文化人の姿がコミカルに描かれています。
 「戦さは儲かるという物語」を聞かされて戦地に勇躍する芙美子だが、戦地で見たものは華やかなものではなかった。戦後反戦争を打ち出した芙美子はがむしゃらに作品を発表していく。
 そんな芙美子のせりふ。
 「歴史の本はわたしたちのことをすぐにも忘れてしまう、だから、わたしたちがどんな思いで生きてきたか、どこでまちがって、どこでそのまちがいから出直したか、いまのうちに書いておかなくてはね」。
 これは、井上さんの決意表明でもあったのだろうと思います。

 この戯曲が発表されたのは2002年ですが、まるで井上さんは自身の残された時間をわかっていたかのようです。
 井上さんはきっとこれからもさまざまな分野で再評価されていくでしょう。しかし、もっとも評価されていいのは、伝達者井上ひさしなのかもしれません。
 原爆のこと戦争のこと、農業のこと、井上さんは何度も警鐘をならし、必死になって伝えようとしていたのです。
 それは「太鼓たたいて笛ふいて」過ぎ去ったものを忘れようとする日本人への警告でもあったのだと思います。
 井上ひさしさんが亡くなったいま、私たちは井上さんから渡されたものを、次へとつなぐ使命があるのです。
  
(2013/08/07 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は広島原爆の日
  そこで、
  井上ひさしさんの『父と暮せば』を
  紹介したいと思います。
  この本は再読になります。

    前回の書評はこちらから。

  この本は新潮文庫で読んだのですが
  この夏の「新潮文庫の100冊」に
  何故かはいっていません。
  しかも
  「新潮文庫の100冊」には
  井上ひさしさんの作品が
  ひとつもはいっていないのです。
  文学は時代とともに評価がかわりますが
  井上ひさしさんはもっと評価されていい作家です。
  さらにいえば、この『父と暮せば』は
  井伏鱒二さんの『黒い雨』と比べても遜色ない
  名作だと思います。
  ちなみにいえば、『黒い雨』は
  「新潮文庫の100冊」に選ばれています。
  この作品が戯曲だから
  選にもれたのでしょうか。
  小説であれ戯曲であれ、
  この作品の持つ重みは変わらないと思うのですが。

   被爆忌のいのち素直に髪洗ふ  中尾杏子

  じゃあ、読もう。

父と暮せば (新潮文庫)父と暮せば (新潮文庫)
(2001/01/30)
井上 ひさし

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sai.wingpen  井上さんからの遺言                   

 演劇を観る機会はなかなかない。
 その点映画は映画館に行くことは減っても、レンタルしたりTV鑑賞という手段はいくらでもあります。
 実際、井上ひさしさんのこの作品に初めて接したのは、映画でした。
 2004年に封切られた、黒木和雄監督作品。主人公の美津江を宮沢りえさんが好演していました。それ以上に父親役の原田芳雄さんが素敵でした。
 黒木監督も原田芳雄さんももう軌跡にはいられているのが信じられません。
 映画から受けた印象はとても深いものでした。宮沢さんや原田さんが話す広島弁がなんといってもよくて、原爆という重いテーマでありながら、どこかに笑いを含んでいるのは、その方言のおかげといってもいいでしょう。

 映画よりももっとしばしば接することができるのが、本です。
 この作品、文庫本にしてわずか126頁。しかも、解説文をいれてです。
 読もうと思えば、毎日でも読めます。
 しかも、これは井上さんの戯曲ですから、自分の心の中の配役が広島弁を巧みに操るのです。
 読者が東北の出身であろうと大阪の出身であろうと、この本を読んでいる時間は広島弁ワールドといっていいでしょう。
 そんな世界を、本は身近に体現してくれるのです。こんないいことはありません。

 舞台は昭和23年7月の広島。
 雷に美津江が「おとったん、こわーい!」と家に逃げ帰ってくる場面から始まります。
 押入れの奥から顔を出す父竹造。誰もが仲のいい親子関係だと思います。
 さりげない導入部ですが、芝居が進むにつれて、父はすでにこの世の人でないことに気付きます。
 父竹造は恋をした美津江が生み出した虚像。原爆で独り生き残った美津江には自分だけが幸福になってはいけないという負い目があります。けれど、恋をしたもう一人の自分がいます。
 それが父となって現れたのです。
 ためらう娘。
 はげます父。
 恋したものだけが知る葛藤といえます。
 それに、原爆の悲劇が重なります。
 井上さんは原爆の悲劇を悲劇のまま終わらせようとはしません。それは悲しい事実だけれど、生き残ったものはそれを乗り越えて生きていかなければならないのです。

 「人間のかなしいかったこと、たのしいかったこと、それを伝えるんがおまいの仕事じゃろうが」という父竹造のせりふ。
 それは、井上さんが自身に向けたものであり、読者にゆだねられた井上さんからの遺言のようなものだと思えるのです。
  
(2013/08/06 投稿)

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 8月最初の週末の土曜日、
 東京江東区にある東京都現代美術館で開催されている

 「手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガの力」展
 

 に行ってきました。
 20130803_112627_convert_20130803184620.jpg
 東京都現代美術館は初めて行く美術館でしたが
 近代的な建物で空間を広くとっていて
 開放感のある素敵な建物です。
 建物にふさわしく、展覧会は
 「漫画の神様」手塚治虫さんと「漫画の王様」石ノ森章太郎さんの
 大物漫画家にふさわしい充実した内容でした。

 私は、絵柄的には石ノ森章太郎さんの方が好きですね。
 手塚治虫さんの方が子どもっぽい感じがしています。
 その点石ノ森章太郎さんの作品には詩情を感じます。
 ただ、代表作の数でいえばやはり手塚治虫さんが圧倒的に多い。
 私が諳んじているだけでも、
 右手左手、足の指ぐらいは必要になります。

 石ノ森章太郎さんにも『サイボーグ009』とか『仮面ライダー』といった代表作はありますが
 数の上では手塚治虫さんの方がダントツ。
 それに、石ノ森章太郎さんの漫画を最初から最後まで読了した記憶が
 あまりないんですよね。
 『サイボーグ009』は絵柄は大好きですが、どうも最後まで読んでいない。
 私にとっても石ノ森章太郎さんは
 長編漫画というより短編漫画のイメージが強いかも。

 この展覧会では石ノ森章太郎さんのデビュー前の
 肉筆回覧雑誌「墨汁一滴」が展示されていて、
 その中身はコピーで見ることができます。
 何しろこの「墨汁一滴」には全国各地の漫画少年たちが寄稿していて
 あの赤塚不二夫さんの名前もあります。
 その中に回覧方法を記してページもあり、
 東京の手塚治虫さんにも回覧されるようになっています。
 それほどに漫画好きだった石ノ森章太郎少年ですが
 漫画の技量も抜群で、
 手塚治虫さんが応援を求めたというエピソードもあります。
 20130803_104456_convert_20130803184719.jpg
 石ノ森少年が向かった先は
 東京・豊島区にあった、有名な「トキワ荘」。
 「トキワ荘」で繰り広げられる漫画家たちの青春物語は
 ここでは省きますが、
 この展覧会では左の写真のように
 「トキワ荘」が再現されています。
 しかも、当時の手塚治虫さんや石ノ森章太郎さんの部屋まで
 再現する凝りようです。
 この「トキワ荘」を見るだけでも一見の価値ある展覧会です。
 念のために言っておくと
 展覧会内はもちろんカメラ撮影禁止ですが、
 このスポットだけはOK! でした。

 先週の土曜日に紹介した手塚治虫さんの
 『火の鳥・黎明編』の生原稿も展示されていて、
 おお、これだこれだと、一人悦にはいっていました。
 「マンガのちから」とは何かというのは
 専門家の人にまかせるとして
 私にとっては、いまある私をつくった一要素であることは
 まちがいありません。

 出口にあるショップも充実していて
欲しいものばかり。
 ただ、図録は高すぎて買えませんでした。
 入場料も大人1200円は微妙な感じ。
 できれば、1000円あたりで見たいところ。
 9月8日までの開催ですから、
 夏休みにはぜひ行ってみて下さい。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日紹介する浜田桂子さんの
  『へいわって どんなこと?』は
  先週紹介しました田島征三さんの『ぼくのこえがきこえますか』と
  同じように、
  日・中・韓 平和絵本シリーズの一冊です。
  8月というのは
  この国にとって戦争のことや平和のことが
  もっとも身近になる月だといえます。
  夏休みでたくさん遊ぶのは仕方がないし、
  いっぱい遊べばいいのですが、
  少しだけ、
  戦争とか平和とかのことを考えてみませんか。
  難しい本ではなく
  この『へいわって どんなこと?』という絵本を
  読むだけでもいい。
  きっとそれぞれの平和があって
  そのことを家族や友だちと
  話し合うことって
  とっても大事なことです。
  せっかくだから、お盆におじいちゃんやおばあちゃんのいる田舎に
  帰る機会があったら
  聞いてみるのもいいんじゃないかな。

  じゃあ、読もう。

へいわって どんなこと? (日・中・韓 平和絵本)へいわって どんなこと? (日・中・韓 平和絵本)
(2011/04/01)
浜田 桂子

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sai.wingpen  本を開く前に考えてみないか                   

 平和の話をしよう。
 いまの日本は平和だよね。
 でも、幸福かというと、みんながみんなそうだとは言わないような気がする。
 学校にはいじめがあって、家庭には児童虐待があって、会社ではリストラとかもある。毎年何万人という人が自殺をしてしまう国は、幸福とはいえない。
 だったら、平和というのもおかしいかもしれない。
 戦争をしないからといって、平和とは限らない。原発事故で自分たちの生まれ育った村に帰れない人がたくさんいる。
 それって平和だろうか。
 平和ってみんなのいのちがきちんと守られることじゃないだろうか。

 日本、中国、韓国。隣国でしかも歴史的にも古い関係がある、三つの国。けれど、昭和の時代にはとっても悲しい戦争があったのも事実。いまもまた領土問題でけっしてうまくいっているようには見えない。
 そんな三つの国の絵本作家たちが子どもたちに平和の意味を問う絵本をシリーズで刊行している。
 この絵本もその中の一冊。
 絵本作家の浜田桂子さんは1947年生まれだから戦争を直接的には知らない世代です。そんな浜田さんが選んだテーマが、「平和」。
 浜田さんの絵はやさしいけれど、力強くもあります。どちらかといえば、ぎゅっと拳を握っている男の子のような絵。あるいは、子どもをぎゅっと抱きしめる母親のような絵。

 浜田さんは「平和」について、たくさんのことをこの絵本の中に書いていますが、その中のひとつにこんな文章があります。
 「わるいことを してしまったときは ごめんなさいって あやまる」。
 なんだ、そんなことが「平和」なんだって言わないで。
 「あやまる」ことができないから、人はいがみ合ったり恨んだりする。仕返しをしようなんて考える。
 簡単なようで、簡単でないから、「平和」って難しい。

 この本の読み方。
 まず、表紙に大きく書いてある、「へいわってどんなこと?」を、ページを開く前に考えてみましょう。
 それから、浜田さんの作品を読んでみます。
 そして、もう一度、みんなで「平和」について話してみませんか。
 そこから、「平和」の一歩が始まるように思います。
  
(2013/08/04 投稿)

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