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プレゼント 書評こぼれ話

  先月第149回芥川賞と直木賞の発表が
  ありましたね。
  芥川賞が藤野可織さんの『爪と目』。
  直木賞が桜木紫乃さんの『ホテルローヤル』。
  二つの作品ともに
  すでに書籍化されていて
  今本屋さんの平台にドーンと
  積まれています。
  特に芥川賞の作品は
  今月発売の「文藝春秋」に全文掲載されますから
  出版社としては
  それまでに単行本化して
  先に読者を確保したいのでしょうね。
  きっと単行本の売れ行きは
  だいぶ違うと思います。
  そういえば、
  前回第148回直木賞受賞作
  朝井リョウさんの『何者』を
  まだ読んでいませんでした。
  大急ぎで読まないと。
  ということで
  今日紹介しますね。
  若い作品ですね。
  最初の書き出しはともかく
  中盤以降面白くなりますよ。

  じゃあ、読もう。

何者何者
(2012/11/30)
朝井 リョウ

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sai.wingpen  これはツイッターではありません                   

 第148回直木賞受賞作。(2013年)
 平成の時代も20年以上経過した今、「就活」と呼ばれる人生最大の関門を迎えた若者たちを描く、「痛い」小説である。
 ここでいう「痛い」はもちろん肉体的なものではなくて、最近の若者たちが使っている用法で書いたつもり。
 つまりは、自分自身の痛みではなく、相手の言動をみて、感じる「痛み」のこと。
 この物語の主人公拓人はおそらく友人たちをそう見ていただろうが、一番「痛い」のは彼自身だったといえる。

 携帯やES(「就活」に欠かせないエントリーシートのこと)、ツイッターといった現代IT事情が氾濫する小説に渡辺淳一選考委員がどのような選評を書いているのか気になった。
 それが意外なことに、「もっとも心をひかれた」とある。思わず、エエーッとのけぞった。
しかも、「個々の人格や個性を失い、変貌していく実態が。さまざまな視点から鮮やかに描かれている」と、絶賛である。
 つまりは現代風のさまざまな装置を使ってはいるが、青春小説として評価されたということだろう。

 実は他の選考委員もおおむねこの作品を評価しているのだ。
 私からすれば、ツイッターの文面をあまりにも多用し、そこにこの物語の答えのようなものを潜ませる手法はどうかと思ってしまうのだが、そのことを指摘する委員はいなかった。
 桐野夏生委員は、この作品が「この世代が負っている「重荷」を垣間見せてくれた」と評しているが、そのことが「痛い」という従来とはまったく違う意味での用法に近いような気がする。
 情報があまりにも氾濫したことによって、新しい人類が誕生しているともいえる。
 作者の朝井リョウは、古い文体を捨て、そんな新しい人類の視点で長編小説を描ききったことは評価されていい。
 ただ、浅田次郎委員がいうように、この作品自体は「短編小説の題材」ともいえる。
 くどくどを書くのではなく、絞り込むことも必要だろう。ただし、ツイッターのように、140文字以内におさめることではないことは、いうまでもない。
  
(2013/08/8 投稿)

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