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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日勝目梓さんの『秘事(ひじ)』という
  小説を紹介しました。
  主人公の女性は男性だけでなく
  女性ともセックスができる「両性愛者」でした。
  その相手となる女性は
  「同性愛者」という設定。
  今日は、その「同性愛」を
  真面目に解説した新書を
  紹介します。
  牧村朝子さんの『百合のリアル』。
  牧村朝子さん自身、同性と結婚されていますから
  内容は想像で書かれたものでは
  ありません。
  さらにいうなら、
  「同性愛」というくくりの問題ではなく
  愛の問題が書かれていると
  思った方がいいでしょう。
  人類は今「同性愛」の問題を
  解決する動きにあります。
  けれど、これからもさまざまな
  指向を持った人たちが
  あらわれてくると思います。
  愛はそれほどに
  複雑な問題なのです。

  じゃあ、読もう。

百合のリアル (星海社新書)百合のリアル (星海社新書)
(2013/11/26)
牧村 朝子

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sai.wingpen  どの性を愛するかではなく、誰を愛するかだ                   

 華々しく開催したソチ冬季オリンピックだが、その裏に「同性愛」についての問題が起こっていた。
 というのも、昨年「同性愛」の宣伝を禁止する法律がロシアで制定され、それに反対する国々が猛烈に抗議したのである。
 今や「同性愛」さらには「同性婚」を容認する動きは世界の潮流といえるほど活発になっている。
 異性であろうが同性であろうが、愛するというのは、誰を愛するかということだ。
 もちろん、今でも「同性愛」を否定する人々は多くいる。慣習や宗教上の問題として反対する声もある。
 けれど、「同性愛」はマイノリティの声ではなくなってきている。
 この本も「同性愛」の問題を真剣に捉えた一冊である。
 タイトルの「百合」であるが、「女性同士の同性愛を指す」隠語として、使われることもある言葉だ。
 ちなみに著者は、26歳の女性で。フランス人の女性と結婚をしている。

 「しこう」という言葉があるが、漢字表記をすると「指向」「嗜好」とある。
 「性的指向」というのは、「どの性別の相手と恋愛やセックスをしたいか、もしくは、したくないか」ということで、「性的嗜好」の場合は「何に対して性的に興奮するか」ということになる。
 「同性愛」者というのは愛の対象が「同性」という「指向」の人を指す。
 思うのだが、男性から見た時の「同性愛」は女性同士の「レズビアン」ということが多いのは官能の刺激としてであろう。だから、AVなどにもレズ物といわれる企画がある。この場合は、「性的嗜好」といえる。

 著者は冒頭に「この本は、レズビアンのためだけの本ではありません。同性愛者の自伝でもありません」と書いている。
 では、どういう本かというと、人間をさまざまに分類する状況(例えば、男性と女性といった性であったり、優等生と劣等生といった区分けであったり)との、「向き合い方を見つけるための本」とある。
 人にさまざまな「指向」があり、「嗜好」も違う。それを何かのグループに押し込めることで、安心感が得られる。その反面、そこからはみだすものを排除しようとする。
 あくまでも、人間は元をただせば、個にいきつく。
 この本では、そのことが書かれている。

 どの性を愛するかではなく、誰を愛するかが、大切なのだ。
  
(2014/02/15 投稿)

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