02/15/2014 百合のリアル(牧村 朝子):書評「どの性を愛するかではなく、誰を愛するかだ」

昨日勝目梓さんの『秘事(ひじ)』という
小説を紹介しました。
主人公の女性は男性だけでなく
女性ともセックスができる「両性愛者」でした。
その相手となる女性は
「同性愛者」という設定。
今日は、その「同性愛」を
真面目に解説した新書を
紹介します。
牧村朝子さんの『百合のリアル』。
牧村朝子さん自身、同性と結婚されていますから
内容は想像で書かれたものでは
ありません。
さらにいうなら、
「同性愛」というくくりの問題ではなく
愛の問題が書かれていると
思った方がいいでしょう。
人類は今「同性愛」の問題を
解決する動きにあります。
けれど、これからもさまざまな
指向を持った人たちが
あらわれてくると思います。
愛はそれほどに
複雑な問題なのです。
じゃあ、読もう。
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華々しく開催したソチ冬季オリンピックだが、その裏に「同性愛」についての問題が起こっていた。
というのも、昨年「同性愛」の宣伝を禁止する法律がロシアで制定され、それに反対する国々が猛烈に抗議したのである。
今や「同性愛」さらには「同性婚」を容認する動きは世界の潮流といえるほど活発になっている。
異性であろうが同性であろうが、愛するというのは、誰を愛するかということだ。
もちろん、今でも「同性愛」を否定する人々は多くいる。慣習や宗教上の問題として反対する声もある。
けれど、「同性愛」はマイノリティの声ではなくなってきている。
この本も「同性愛」の問題を真剣に捉えた一冊である。
タイトルの「百合」であるが、「女性同士の同性愛を指す」隠語として、使われることもある言葉だ。
ちなみに著者は、26歳の女性で。フランス人の女性と結婚をしている。
「しこう」という言葉があるが、漢字表記をすると「指向」「嗜好」とある。
「性的指向」というのは、「どの性別の相手と恋愛やセックスをしたいか、もしくは、したくないか」ということで、「性的嗜好」の場合は「何に対して性的に興奮するか」ということになる。
「同性愛」者というのは愛の対象が「同性」という「指向」の人を指す。
思うのだが、男性から見た時の「同性愛」は女性同士の「レズビアン」ということが多いのは官能の刺激としてであろう。だから、AVなどにもレズ物といわれる企画がある。この場合は、「性的嗜好」といえる。
著者は冒頭に「この本は、レズビアンのためだけの本ではありません。同性愛者の自伝でもありません」と書いている。
では、どういう本かというと、人間をさまざまに分類する状況(例えば、男性と女性といった性であったり、優等生と劣等生といった区分けであったり)との、「向き合い方を見つけるための本」とある。
人にさまざまな「指向」があり、「嗜好」も違う。それを何かのグループに押し込めることで、安心感が得られる。その反面、そこからはみだすものを排除しようとする。
あくまでも、人間は元をただせば、個にいきつく。
この本では、そのことが書かれている。
どの性を愛するかではなく、誰を愛するかが、大切なのだ。
(2014/02/15 投稿)

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